2018/06/11(月) - 08:50
クリテリウム・デュ・ドーフィネを締めくくる1級山岳サン=ジェルヴェ・モン=ブランの山頂フィニッシュで、逃げていたナバーロを残り50mでパスしたアダム・イェーツが勝利。7月のツールでフルームとダブルエースを組むゲラント・トーマスが総合優勝に輝いた。
クリテリウム・デュ・ドーフィネの最終第7ステージもアルプスの峠道がたっぷりと組み込まれた。1級山岳コルメ・ド・ロズラン峠、3級山岳ルート・デ・ヴィレ峠、1級山岳セジー峠、1級山岳ザムラン峠、1級山岳サン=ジェルヴェ・モン=ブランが登場するコースの獲得標高差は3,800m。この日もワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)がファーストアタックを仕掛けた。
1級山岳コルメ・ド・ロズラン峠(全長19km/平均6%)の登りが始まってようやく逃げが決まる。ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)のアタックにジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)、エドワルド・ラヴァージ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNLユンボ)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が合流。強力な逃げグループを形成し、メイン集団とのタイム差を3分以上に広げながら連続するアルプスの峠に挑んだ。
レース中盤の1級山岳セジー峠(全長15.1km/平均6.4%)に差し掛かると、チームスカイに代わってアージェードゥーゼールが集団ペースアップを開始した。すると、ステージ前半に1回パンクしていたマイヨジョーヌのトーマスが1級山岳セジー峠の下りで再びパンクに見舞われる。トーマスはジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)からフロントホイールを受け取って再スタートを切ったが、アージェードゥーゼール率いるメイン集団から一時的に1分の遅れを被った。
総力を挙げて追走体制を築いたチームスカイは、約15kmにわたる追走の末にトーマスを集団復帰させることに成功している。総合リーダーのパンク復帰を待たなかったことについては賛否両論あり、アージェードゥーゼールのラヴニュ監督は「我々は(パンクの前から)チームの作戦として逃げを追うためにペースを上げていた。ペースを落とす理由はなかった」と説明。集団復帰後、トーマスはロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)に「どうもありがとう」と声をかけている。
急勾配の1級山岳ザムラン峠(全長2.7km/平均11.2%)に突入すると逃げグループとメイン集団はともに崩壊。先頭では2016年ツール・ド・ラヴニール総合優勝のゴデュが独走に持ち込んで頂上を越えていく。1分後方のメイン集団は、バルデのアタックによってタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)の4名にまで人数を減らした。
1級山岳ザムラン峠の下りで先頭ゴデュにはナバーロとロランが追いつき、4名に絞られていたマイヨジョーヌグループには遅れていたダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)やエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)らが合流。先頭3名と約10名のメイン集団が30秒差でこの日最後の、今大会最後の、1級山岳サン=ジェルヴェ・モン=ブラン(全長7km/平均7.7%)へと入っていく。
フィニッシュ地点に向かう登りが始まると、先頭ではナバーロがゴデュとロランを振り切った。ゴデュとロランが吸収された一方で、30秒程度のリードを保ったままナバーロが逃げを継続。その後方では総合争いのアタック合戦が始まる。
連日献身的な働きを見せるゲオゲガンハートがトーマスのためにペースを作ると、そこから登りの中腹(残り3.5km地点)でマーティンがアタック。ここからフィニッシュまで総合上位6名によるアタックと牽制が繰り返された。主にブッフマン、イェーツ、バルデの3名がアタックを連発させたがトーマスは離れない。アタック吸収とともに始まる牽制によってペースは上がりきらず、先頭ナバーロとのタイム差は縮まらなかった。
タイム差18秒で残り1kmアーチを切ると、バルデとイェーツの執拗なアタックについにトーマスが脱落。ペースを刻んで一旦は復帰したトーマスを、イェーツがバルデもろともパワフルなアタックでふるい落とした。ダンシングで勢いよく急勾配の登りを突き進んだイェーツは、序盤から逃げていたナバーロを残り50mの最終コーナーでパス。肩を落とすナバーロを背に、バルデに9秒差、ブッフマンに14秒差、トーマスに19秒差をつけたイェーツが優勝した。
ジロ・デ・イタリアで活躍した双子の兄弟サイモンに負けない走りで最終登坂決戦を制したイェーツ。「昨日のステージの疲れが残っていたこともあり、とてもハードなステージだった。ここ数日は早めの仕掛けが仇となっていたので、今日は最後までタイミングを待つことにしたんだ。シーズン最大の目標であるツール・ド・フランスに向けて、さらにトレーニングを積んで仕上げていきたい」と語り、ツール前哨戦を総合2位で終えている。
そして総合優勝はトーマスの手に。トーマスはブライアン・ロビンソン、ロバート・ミラー、ブラドリー・ウィギンズ、クリストファー・フルームに続く5人目のイギリス人ドーフィネ覇者になった。UCIワールドツアーレースでのイギリス人選手による総合ワンツーは、2012年ツール(総合1位ウィギンズ&総合2位フルーム)以来の記録となる。「これはロードのキャリアの中で最大の勝利。毎日その日のことを考え、次の峠のことを考えることしかできなかった。トラックをメインに戦っていたバルロワールド時代にはとても想像もつかなかった勝利であり、素晴らしい気持ちに包まれている。7月が楽しみだ」と、ツールでフルームとダブルエースを組むトーマスは語っている。
新城幸也(バーレーン・メリダ)はツアー・オブ・ジャパンでの落車負傷からの復帰戦を総合106位で完走。コメントは後ほど追加します。
クリテリウム・デュ・ドーフィネの最終第7ステージもアルプスの峠道がたっぷりと組み込まれた。1級山岳コルメ・ド・ロズラン峠、3級山岳ルート・デ・ヴィレ峠、1級山岳セジー峠、1級山岳ザムラン峠、1級山岳サン=ジェルヴェ・モン=ブランが登場するコースの獲得標高差は3,800m。この日もワレン・バルギル(フランス、フォルトゥネオ・サムシック)がファーストアタックを仕掛けた。
1級山岳コルメ・ド・ロズラン峠(全長19km/平均6%)の登りが始まってようやく逃げが決まる。ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス)のアタックにジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)、エドワルド・ラヴァージ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNLユンボ)、ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が合流。強力な逃げグループを形成し、メイン集団とのタイム差を3分以上に広げながら連続するアルプスの峠に挑んだ。
レース中盤の1級山岳セジー峠(全長15.1km/平均6.4%)に差し掛かると、チームスカイに代わってアージェードゥーゼールが集団ペースアップを開始した。すると、ステージ前半に1回パンクしていたマイヨジョーヌのトーマスが1級山岳セジー峠の下りで再びパンクに見舞われる。トーマスはジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ)からフロントホイールを受け取って再スタートを切ったが、アージェードゥーゼール率いるメイン集団から一時的に1分の遅れを被った。
総力を挙げて追走体制を築いたチームスカイは、約15kmにわたる追走の末にトーマスを集団復帰させることに成功している。総合リーダーのパンク復帰を待たなかったことについては賛否両論あり、アージェードゥーゼールのラヴニュ監督は「我々は(パンクの前から)チームの作戦として逃げを追うためにペースを上げていた。ペースを落とす理由はなかった」と説明。集団復帰後、トーマスはロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)に「どうもありがとう」と声をかけている。
急勾配の1級山岳ザムラン峠(全長2.7km/平均11.2%)に突入すると逃げグループとメイン集団はともに崩壊。先頭では2016年ツール・ド・ラヴニール総合優勝のゴデュが独走に持ち込んで頂上を越えていく。1分後方のメイン集団は、バルデのアタックによってタオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームスカイ)、ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)の4名にまで人数を減らした。
1級山岳ザムラン峠の下りで先頭ゴデュにはナバーロとロランが追いつき、4名に絞られていたマイヨジョーヌグループには遅れていたダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)やエマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)らが合流。先頭3名と約10名のメイン集団が30秒差でこの日最後の、今大会最後の、1級山岳サン=ジェルヴェ・モン=ブラン(全長7km/平均7.7%)へと入っていく。
フィニッシュ地点に向かう登りが始まると、先頭ではナバーロがゴデュとロランを振り切った。ゴデュとロランが吸収された一方で、30秒程度のリードを保ったままナバーロが逃げを継続。その後方では総合争いのアタック合戦が始まる。
連日献身的な働きを見せるゲオゲガンハートがトーマスのためにペースを作ると、そこから登りの中腹(残り3.5km地点)でマーティンがアタック。ここからフィニッシュまで総合上位6名によるアタックと牽制が繰り返された。主にブッフマン、イェーツ、バルデの3名がアタックを連発させたがトーマスは離れない。アタック吸収とともに始まる牽制によってペースは上がりきらず、先頭ナバーロとのタイム差は縮まらなかった。
タイム差18秒で残り1kmアーチを切ると、バルデとイェーツの執拗なアタックについにトーマスが脱落。ペースを刻んで一旦は復帰したトーマスを、イェーツがバルデもろともパワフルなアタックでふるい落とした。ダンシングで勢いよく急勾配の登りを突き進んだイェーツは、序盤から逃げていたナバーロを残り50mの最終コーナーでパス。肩を落とすナバーロを背に、バルデに9秒差、ブッフマンに14秒差、トーマスに19秒差をつけたイェーツが優勝した。
ジロ・デ・イタリアで活躍した双子の兄弟サイモンに負けない走りで最終登坂決戦を制したイェーツ。「昨日のステージの疲れが残っていたこともあり、とてもハードなステージだった。ここ数日は早めの仕掛けが仇となっていたので、今日は最後までタイミングを待つことにしたんだ。シーズン最大の目標であるツール・ド・フランスに向けて、さらにトレーニングを積んで仕上げていきたい」と語り、ツール前哨戦を総合2位で終えている。
そして総合優勝はトーマスの手に。トーマスはブライアン・ロビンソン、ロバート・ミラー、ブラドリー・ウィギンズ、クリストファー・フルームに続く5人目のイギリス人ドーフィネ覇者になった。UCIワールドツアーレースでのイギリス人選手による総合ワンツーは、2012年ツール(総合1位ウィギンズ&総合2位フルーム)以来の記録となる。「これはロードのキャリアの中で最大の勝利。毎日その日のことを考え、次の峠のことを考えることしかできなかった。トラックをメインに戦っていたバルロワールド時代にはとても想像もつかなかった勝利であり、素晴らしい気持ちに包まれている。7月が楽しみだ」と、ツールでフルームとダブルエースを組むトーマスは語っている。
新城幸也(バーレーン・メリダ)はツアー・オブ・ジャパンでの落車負傷からの復帰戦を総合106位で完走。コメントは後ほど追加します。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2018第7ステージ結果
1位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 3:51:34 |
2位 | ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) | 0:00:04 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:09 |
4位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:00:14 |
5位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 0:00:19 |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:00:24 |
7位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | |
8位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:00:28 |
9位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:00:35 |
10位 | ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:00:41 |
111位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 0:32:36 |
個人総合成績
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 24:43:12 |
2位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:01:00 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:01:47 |
4位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 0:02:35 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | 0:02:44 |
6位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 0:03:05 |
7位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:04:05 |
8位 | ピエール・ロラン(フランス、EFエデュケーションファースト・ドラパック) | 0:04:22 |
9位 | ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) | 0:04:31 |
10位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:04:45 |
ポイント賞
1位 | ダリル・インピー(南アフリカ、ミッチェルトン・スコット) | 45pts |
2位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ) | 42pts |
3位 | ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) | 40pts |
山岳賞
1位 | ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ) | 53pts |
2位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 37pts |
3位 | ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) | 28pts |
ヤングライダー賞
1位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 24:47:17 |
2位 | アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNLユンボ) | 0:01:16 |
3位 | ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) | 0:01:49 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 73:17:36 |
2位 | UAEチームエミレーツ | 0:07:18 |
3位 | アージェードゥーゼール | 0:10:50 |
text:Kei Tsuji
photo:CorVos
photo:CorVos
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