2010/02/10(水) - 09:31
風が収まり、比較的平穏なレース展開を見せたツアー・オブ・カタール第3ステージ。過去に3回総合優勝に輝いているトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)が、スプリントでハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)らを下し、ステージ通算16勝目を飾った。
第3ステージも砂漠を貫く平坦コース photo: A.S.O.第3ステージは、カタール半島の西岸にあるドハンから首都ドーハに近いメイサッドまで東進する136km。前日まで吹き続けていた強風は収まり、比較的平穏なコンディションの中でレースは行なわれた。
スタート後、2km地点で飛び出したのはアレックス・ダウセット(イギリス、トレック・リブストロングU23)、クラース・ロデウィック(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)、セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)の3名。
逃げたロデウィック(トップスポート・フラーンデレン)、ダウセット(トレック・リブストロングU23)、イノー(アージェードゥーゼル)の3名 photo: A.S.O.しかし追い風に乗ったメイン集団はスピードが落ちず、最大55秒のリードを築いた先頭3名を23km地点で一旦吸収。すると、60km地点で今度はガティス・スムクリス(ラトビア、アージェードゥーゼル)とステフェン・ファンヴーレン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)が飛び出した。
スムクリスとファンヴーレンは、リーダージャージ擁するヴァカンソレイユがコントロールするメイン集団から最大2分30秒のリードを稼ぎ出す。しかしメイン集団でサーヴェロ・テストチームやガーミン・トランジションズによるペースアップが始まると、タイム差はぐんぐん縮小。結局先頭2名はラスト30kmで吸収された。
メイン集団をコントロールするヴァカンソレイユ photo: A.S.O.ここからゴールまではスプリンターチームによるハイスピードな闘いだ。サーヴェロやガーミン、チームHTC・コロンビア、サクソバンク、クイックステップが束になって集団のスピードを上げ続ける。
スイスチャンピオンジャージのファビアン・カンチェラーラ(サクソバンク)も集団牽引に加わり、3車線の広いコースをハイスピードで駆け抜ける大集団。連続するロータリーを抜け、メイサッドのゴール地点にやってきた。
砂漠を貫く平坦路とラクダ注意の標識 photo:Cor Vos最終ストレートでスプリンターたちがライバルたちの動きを監視する中、集団前方に位置していたヴァカンソレイユの選手が落車。この落車にはゲラルド・チオレック(ドイツ、チームミルラム)が巻き込まれ、回避したハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)やバーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)らが先頭でスプリント態勢へ。
しかしひと際目立つベルギーチャンピオンジャージを着るボーネンが、上半身を大きく揺らしながらハウッスラーやクックを抜き去っていく。ライバルたちを力で押さえ込んだボーネンが、そのままゴールラインを駆け抜けた。
遠目に石油工場を見ながら砂漠を進む photo:Cor Vos今シーズン初勝利のボーネンは、カタールでステージ通算16勝目。もちろん歴代最高記録更新だ。
ボーネンはチーム公式サイトの中で「また勝てて嬉しいよ。レース終盤におけるチームメイトの動きは文句無しだった。最後は非常に速いスプリント勝負で、サイクルコンピューターによると最高時速は72km/hも出ていたんだ。とにかくチームの最初の目標であるステージ優勝は達成。すでに総合上位2名が飛び出しているので総合優勝は難しいけど、明日からのステージでまた風が吹けば、集団を粉々に出来るかも知れない。この勝利は先日亡くなったフランコ・バッレリーニに捧げたい。彼はいつでも模範的な人物だった」と語っている。
ハウッスラーらとスプリントで競り合うトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vosボーナスタイムにより、ボーネンは総合3位にジャンプアップ。リーダージャージはワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ)が守っている。
また、ゴール前の落車に巻き込まれたチオレックは鎖骨を骨折し、レースを離脱。チームミルラムはエーススプリンターを早くも失った。このツアー・オブ・カタールでは落車が多発しており、前日にはクルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームスカイ)とスティーヴン・コッザ(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)が鎖骨骨折でリタイアしている。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントはチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・カタール2010第3ステージ結果
1位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) 3h01'39"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)
3位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)
4位 ケニー・デハース(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
6位 ぺーター・ヴロリヒ(オーストリー、チームミルラム)
7位 タイラー・フィニー(アメリカ、トレック・リブストロングU23)
8位 ボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ)
9位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
10位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
個人総合成績
1位 ワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ) 6h42'30"
2位 ヘールト・ステウルス(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン) +09"
3位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) +1'55"
4位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム) +1'59"
5位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム) +2'05"
6位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ) +2'15"
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +2'17"
8位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク) +2'40"
9位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +2'41"
10位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム) +2'43"
ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)
新人賞
ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)
チーム総合成績
トップスポート・フラーンデレン
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.
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スタート後、2km地点で飛び出したのはアレックス・ダウセット(イギリス、トレック・リブストロングU23)、クラース・ロデウィック(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)、セバスティアン・イノー(フランス、アージェードゥーゼル)の3名。
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スムクリスとファンヴーレンは、リーダージャージ擁するヴァカンソレイユがコントロールするメイン集団から最大2分30秒のリードを稼ぎ出す。しかしメイン集団でサーヴェロ・テストチームやガーミン・トランジションズによるペースアップが始まると、タイム差はぐんぐん縮小。結局先頭2名はラスト30kmで吸収された。
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スイスチャンピオンジャージのファビアン・カンチェラーラ(サクソバンク)も集団牽引に加わり、3車線の広いコースをハイスピードで駆け抜ける大集団。連続するロータリーを抜け、メイサッドのゴール地点にやってきた。
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しかしひと際目立つベルギーチャンピオンジャージを着るボーネンが、上半身を大きく揺らしながらハウッスラーやクックを抜き去っていく。ライバルたちを力で押さえ込んだボーネンが、そのままゴールラインを駆け抜けた。
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ボーネンはチーム公式サイトの中で「また勝てて嬉しいよ。レース終盤におけるチームメイトの動きは文句無しだった。最後は非常に速いスプリント勝負で、サイクルコンピューターによると最高時速は72km/hも出ていたんだ。とにかくチームの最初の目標であるステージ優勝は達成。すでに総合上位2名が飛び出しているので総合優勝は難しいけど、明日からのステージでまた風が吹けば、集団を粉々に出来るかも知れない。この勝利は先日亡くなったフランコ・バッレリーニに捧げたい。彼はいつでも模範的な人物だった」と語っている。
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また、ゴール前の落車に巻き込まれたチオレックは鎖骨を骨折し、レースを離脱。チームミルラムはエーススプリンターを早くも失った。このツアー・オブ・カタールでは落車が多発しており、前日にはクルトアスル・アルヴェセン(ノルウェー、チームスカイ)とスティーヴン・コッザ(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)が鎖骨骨折でリタイアしている。
レース展開はレース公式サイト、選手コメントはチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・カタール2010第3ステージ結果
1位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) 3h01'39"
2位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)
3位 バーデン・クック(オーストラリア、サクソバンク)
4位 ケニー・デハース(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)
6位 ぺーター・ヴロリヒ(オーストリー、チームミルラム)
7位 タイラー・フィニー(アメリカ、トレック・リブストロングU23)
8位 ボビー・トラクセル(オランダ、ヴァカンソレイユ)
9位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ)
10位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
個人総合成績
1位 ワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ) 6h42'30"
2位 ヘールト・ステウルス(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン) +09"
3位 トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) +1'55"
4位 ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム) +1'59"
5位 マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム) +2'05"
6位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、カチューシャ) +2'15"
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +2'17"
8位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、サクソバンク) +2'40"
9位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・トランジションズ) +2'41"
10位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム) +2'43"
ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ・テストチーム)
新人賞
ロジェ・クルーゲ(ドイツ、チームミルラム)
チーム総合成績
トップスポート・フラーンデレン
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, A.S.O.
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