2018/03/15(木) - 21:31
集団ゴールスプリントとなったツール・ド・台湾の最終ステージ。ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)が区間優勝を挙げ、個人総合リーダーとしてスタートした新城幸也(日本ナショナルチーム)は2秒のリードを守りきり、個人総合優勝に輝いた。
5日間のステージレースの最終日となる第5ステージが台湾南部の屏東県にて開催された。コースは平坦基調の192km、屏東県政府から市街地を抜けて台湾南端まで海岸線を進みUターン、最後は大鵬湾を回る12kmの周回コースを3周する。
今大会は晴天に恵まれたが、最終日も引き続き快晴。さらに台湾南部まで南下したこともあり、気温は30度近くにも達し、選手たちは念入りな日焼け対策をしてスタート地点に並んだ。
昨日の山岳ステージを終えて、個人総合リーダーとなったのは新城幸也(日本ナショナル/バーレーン・メリダ)。2秒差の2位のジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)は逆転優勝を狙って走ることは必至で、さらにアジアンリーダージャージを着用した総合成績7位の中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)も同タイムに5選手(6位〜10位)が並ぶ接戦となっているため、表情には緊張が漂う。
スタート後、アタックの応酬が1時間にわたり続き、海沿いに出る手前で総合成績に関係のない4名の逃げが決まった。その後、小林海(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)が2名が集団から飛び出し追走を開始したが、風が強く、前も全力で踏んでいたこともあり、数十キロ追走を図ったものの断念。
メイン集団はリーダーチームである日本ナショナルチームや集団スプリントを狙いたいイスラエルサイクリングアカデミー、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニらがコントロールした。海沿いでは強い風が吹いていたものの、大きな展開はなく、メイン集団は徐々にタイム差を詰めながら、レースは落ち着いて進行。そして周回コースの最終周回に入った11km地点で逃げは集団に吸収。
その後、残り4km地点にかかる大きな橋の登りを利用して、台湾チャンピオンのフェン・チュンカイ(台湾ナショナルチーム)がアタックを敢行。総合成績のジャンプアップを図りたい中根英登がチームメートのフィリッポ・ザッカンティ(イタリア)とともに反応して、一時6名の先頭集団が形成されたが、残り1kmで吸収。大集団でのゴールスプリントの展開となった。
残り1kmを切って集団の主導権を握ったのは、ウィリエールトリエスティーナ。残り200mで放たれたルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)が先行を守りきり先着。両側からセバスティアン・アエドルーカス(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア)とレイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京)が追い上げたが、僅差で勝者には及ばなかった。
新城幸也はチームメートたちに守られ、危なげない走りで集団内フィニッシュ。2秒のリードを守り切って個人総合優勝を挙げ、2012年のツール・ド・リムザン以来となる総合リーダージャージを獲得した。また個人総合成績では中根英登が8位、雨澤毅明(日本ナショナルチーム)が19位に入り、UCIポイントを獲得している。
今回、日本ナショナルチームは、第2ステージで体調不良により佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がリタイアするアクシデントとなったが、新城幸也をキャプテンに、鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)、そしてアンダー23カテゴリーからエリートに上がったばかりの若手3選手(雨澤毅明、岡本隼、小野寺玲)というチーム構成で戦った。
新城幸也は「今日は何もしていない。チームメートたちが守ってくれ、総合成績をキープすることができた。彼らはU23のナショナルチームで浅田監督と一緒にヨーロッパのネーションズカップなどを戦って学んできたことを実践してくれた。彼らの走りは素晴らしかった」と若いチームメートたちの走りを評価する。
またチームを率いた浅田顕監督は「幸也には今後のヨーロッパの活動につながる結果を出してもらいたいと思っていたし、出るからには日本にポイントをガッツリ稼いでもらいたいと、雨澤と二人で総合トップ10というのが当初の目標だった。けれど、新城の勝利へのモチベーションは高く、チームにもそれがいい影響を与えて、昨日は執念でジャージを獲得。今日は一人一人がしっかりと仕事をして、そのジャージを守ることができた。今回はとてもいいチームだと思った。若手選手はまだ経験も少なく、リーダージャージを取った時にチームがどう動くかはほとんど経験したことがない状況だった。幸也はキャプテンであり、リーダーであり、大変な役回りだったけれど、若手選手だけでなく幸也にとってもいい経験になったと思う」と総括する。
登りでの第2エースであり、新城幸也の強力なアシストとなった雨澤毅明は「UCI1クラスで総合リーダーをとって、それを守るというのは初めてのこと。終わったばかりで疲労感しかないけど、他のチームと連携して、考えながら走るというのはとてもいい経験になった。でも今回は新城選手がいたから出せた成績。新城選手がいなくても、今回のような走りができるように自分たちの力を上げないとといけない」と達成感を滲ませながらも、今後を見据える。
故郷石垣島にも程近く、大勢の台湾のファンが“シンチャン(新城の中国語読み)”の活躍に歓喜した今大会。新城幸也は、1週間後に渡欧し、スペインでのブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIワールドツアー)など、ヨーロッパでの本格的なレースシーズンを迎える。「今回の台湾の結果で、調子の良さをチームにアピールすることができる。今回の勝利を、これからのシーズン、多くの良い成績につなげていきたいと思う」と抱負を語った。
5日間のステージレースの最終日となる第5ステージが台湾南部の屏東県にて開催された。コースは平坦基調の192km、屏東県政府から市街地を抜けて台湾南端まで海岸線を進みUターン、最後は大鵬湾を回る12kmの周回コースを3周する。
今大会は晴天に恵まれたが、最終日も引き続き快晴。さらに台湾南部まで南下したこともあり、気温は30度近くにも達し、選手たちは念入りな日焼け対策をしてスタート地点に並んだ。
昨日の山岳ステージを終えて、個人総合リーダーとなったのは新城幸也(日本ナショナル/バーレーン・メリダ)。2秒差の2位のジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア)は逆転優勝を狙って走ることは必至で、さらにアジアンリーダージャージを着用した総合成績7位の中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)も同タイムに5選手(6位〜10位)が並ぶ接戦となっているため、表情には緊張が漂う。
スタート後、アタックの応酬が1時間にわたり続き、海沿いに出る手前で総合成績に関係のない4名の逃げが決まった。その後、小林海(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)が2名が集団から飛び出し追走を開始したが、風が強く、前も全力で踏んでいたこともあり、数十キロ追走を図ったものの断念。
メイン集団はリーダーチームである日本ナショナルチームや集団スプリントを狙いたいイスラエルサイクリングアカデミー、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニらがコントロールした。海沿いでは強い風が吹いていたものの、大きな展開はなく、メイン集団は徐々にタイム差を詰めながら、レースは落ち着いて進行。そして周回コースの最終周回に入った11km地点で逃げは集団に吸収。
その後、残り4km地点にかかる大きな橋の登りを利用して、台湾チャンピオンのフェン・チュンカイ(台湾ナショナルチーム)がアタックを敢行。総合成績のジャンプアップを図りたい中根英登がチームメートのフィリッポ・ザッカンティ(イタリア)とともに反応して、一時6名の先頭集団が形成されたが、残り1kmで吸収。大集団でのゴールスプリントの展開となった。
残り1kmを切って集団の主導権を握ったのは、ウィリエールトリエスティーナ。残り200mで放たれたルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ)が先行を守りきり先着。両側からセバスティアン・アエドルーカス(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア)とレイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京)が追い上げたが、僅差で勝者には及ばなかった。
新城幸也はチームメートたちに守られ、危なげない走りで集団内フィニッシュ。2秒のリードを守り切って個人総合優勝を挙げ、2012年のツール・ド・リムザン以来となる総合リーダージャージを獲得した。また個人総合成績では中根英登が8位、雨澤毅明(日本ナショナルチーム)が19位に入り、UCIポイントを獲得している。
今回、日本ナショナルチームは、第2ステージで体調不良により佐野淳哉(マトリックスパワータグ)がリタイアするアクシデントとなったが、新城幸也をキャプテンに、鈴木龍(宇都宮ブリッツェン)、そしてアンダー23カテゴリーからエリートに上がったばかりの若手3選手(雨澤毅明、岡本隼、小野寺玲)というチーム構成で戦った。
新城幸也は「今日は何もしていない。チームメートたちが守ってくれ、総合成績をキープすることができた。彼らはU23のナショナルチームで浅田監督と一緒にヨーロッパのネーションズカップなどを戦って学んできたことを実践してくれた。彼らの走りは素晴らしかった」と若いチームメートたちの走りを評価する。
またチームを率いた浅田顕監督は「幸也には今後のヨーロッパの活動につながる結果を出してもらいたいと思っていたし、出るからには日本にポイントをガッツリ稼いでもらいたいと、雨澤と二人で総合トップ10というのが当初の目標だった。けれど、新城の勝利へのモチベーションは高く、チームにもそれがいい影響を与えて、昨日は執念でジャージを獲得。今日は一人一人がしっかりと仕事をして、そのジャージを守ることができた。今回はとてもいいチームだと思った。若手選手はまだ経験も少なく、リーダージャージを取った時にチームがどう動くかはほとんど経験したことがない状況だった。幸也はキャプテンであり、リーダーであり、大変な役回りだったけれど、若手選手だけでなく幸也にとってもいい経験になったと思う」と総括する。
登りでの第2エースであり、新城幸也の強力なアシストとなった雨澤毅明は「UCI1クラスで総合リーダーをとって、それを守るというのは初めてのこと。終わったばかりで疲労感しかないけど、他のチームと連携して、考えながら走るというのはとてもいい経験になった。でも今回は新城選手がいたから出せた成績。新城選手がいなくても、今回のような走りができるように自分たちの力を上げないとといけない」と達成感を滲ませながらも、今後を見据える。
故郷石垣島にも程近く、大勢の台湾のファンが“シンチャン(新城の中国語読み)”の活躍に歓喜した今大会。新城幸也は、1週間後に渡欧し、スペインでのブエルタ・アル・パイスバスコ(UCIワールドツアー)など、ヨーロッパでの本格的なレースシーズンを迎える。「今回の台湾の結果で、調子の良さをチームにアピールすることができる。今回の勝利を、これからのシーズン、多くの良い成績につなげていきたいと思う」と抱負を語った。
ステージ結果
1位 | ルカ・パチオーニ(イタリア、ウィリエールトリエスティーナ) | 4h18’52” |
2位 | バスティアン・アエドルーカス(アルゼンチン、ユナイテッドヘルスケア) | |
3位 | レイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京) | |
4位 | TIPPER Jacob(イギリス、メミル・CCNプロサイクリング) | |
5位 | FREIBERG Michael(オーストラリア、ベンネロング・スイスウェルネス) | |
6位 | イメリオ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
7位 | セオ・ジョンヨン(韓国ナショナルチーム) | |
8位 | RODRÍGUEZ José Alfredo(メキシコ、エレベート・KHSプロサイクリング) | |
9位 | ABDUL HALIL Mohamad Izzat Hilmi(マレーシア、チームサプラ) | |
10位 | HO Burr(香港、HKSIプロサイクリング) | |
18位 | 新城幸也(日本ナショナルチーム) | |
32位 | 吉田隼人(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
43位 | 鈴木龍(日本ナショナルチーム) | |
44位 | 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
45位 | 小野寺玲(日本ナショナルチーム) | |
59位 | 雨澤毅明(日本ナショナルチーム) | |
83位 | 小石祐馬(チーム右京) | |
88位 | 小林海(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
96位 | 岡本隼(日本ナショナルチーム) | +0’16” |
個人総合成績
1位 | 新城幸也(日本ナショナルチーム) | 16h50’18” |
2位 | ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア) | +0’02” |
3位 | ジミー・ヤンセン(ベルギー、チベル・セボン) | +0’13” |
4位 | エドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー) | +0’31” |
5位 | マルクス・フライベルガー(オーストリア、チームヒリンコウ・アドヴァリクスサイクリーング) | +0’37” |
6位 | エデル・フライレ(メキシコ、エレベート・KHSプロサイクリング) | +0’41” |
8位 | 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
19位 | 雨澤毅明(日本ナショナルチーム) | +2’00” |
28位 | 小林海(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | +3’13” |
47位 | 小石祐馬(チーム右京) | +15’14” |
63位 | 岡本隼(日本ナショナルチーム) | +23’24” |
73位 | 吉田隼人(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | +27’52” |
80位 | 小野寺玲(日本ナショナルチーム) | +30’02” |
90位 | 鈴木龍(日本ナショナルチーム) | +35’38” |
ポイント賞
エドウィン・アヴィラ(コロンビア、イスラエルサイクリングアカデミー) |
山岳賞
ジミー・ヤンセン(ベルギー、チベル・セボン) |
チーム総合優勝
チベル・セボン |
text&photo:Sonoko.Tanaka
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