2018/03/12(月) - 22:13
ツアー・オブ・台湾第2ステージは、今季より日本籍のチーム右京に移籍したロビー・ハッカー(オーストラリア)が1級山岳山頂での10名のスプリントを制して優勝。先頭集団に入った新城幸也(日本ナショナルチーム/バーレーン・メリダ)が日本人選手最高位の7位にてフィニッシュした。
DSC 1435スタート地点では地元のチアリーダーたちが選手を応援! photo:Sonoko.Tanaka
イエロージャージを着てスタートを待つ岡本隼(日本ナショナルチーム/愛三工業レーシング) photo:Sonoko.Tanaka
台湾らしい風景のなかを進んでいく選手たち photo:Sonoko.Tanaka
国際空港のある桃園市内からスタートした120kmの第2ステージ。前半は高速道路を使用し、中盤を過ぎてから山間部へと入り、88km地点、101km地点の2級山岳を越えて、1級山岳が設定された観光地の角板山公園でゴールを迎えるコースレイアウト。近年よく使用される定番のコースにもなっている。
昨日に引き続き、2日目も晴れ渡った空のもとで迎えた。個人総合リーダーとしてイエロージャージを着用するのは、第1ステージのスプリントを制した岡本隼(日本ナショナルチーム/愛三工業レーシング)だ。桃園市政府からスタートが切られ、台湾らしいカラフルな看板が立ち並ぶ市街地を抜けると、集団はアタックの攻防を繰り広げながら海風を受ける海沿いの高速道路を南下していった。
なかなか逃げは決まらず、鈴木龍(日本ナショナルチーム/宇都宮ブリッツェン)を含む7名の選手が先行をはじめたのは、一旦高速道路から降りた50km地点付近。その後、中間スプリントポイントを通過し、再び内陸部へと戻る高速道路に乗ると、今度は新城幸也や2016年の大会チャンピオンであるロビー・ハッカーら有力選手、そして多くのチームが含まれる11名の追走集団が形成され、勢いのある追走集団は最初の2級山岳を前に先頭集団と合流。18名の大きな先頭集団となった。
海沿いの高速道路で長く続いたアタックの攻防 photo:Sonoko.Tanaka
鈴木龍(日本ナショナルチーム/宇都宮ブリッツェン)を含む7名の先頭集団 photo:Sonoko.Tanaka
新城幸也(日本ナショナルチーム/バーレーン・メリダ)を含む強力な18名の先頭集団が形成された photo:Sonoko.Tanaka
その後、コースの誘導がわかりにくく、先頭集団は正しいコースを行ったものの、メイン集団がコースを間違えるという大きなトラブルが発生。メイン集団はそのまま数km走行し、道が行き止まりになっていたために、ミスコースの事実に気づき、Uターン。ショートカットしながら正しいコースに戻ったが、元々1分を切り始めていたタイム差はここで5分以上と大きく開いてしまった。
すぐにレースを止める状況だったが、先頭集団は2回目の2級山岳を登り始めていたことを審判団は考慮し、2級山岳を登りきったフィニッシュまで残り18km地点で一度レースは休止。5分後に1分のタイム差にて再スタートが切られたが、この判断に首を傾げる関係者が多かった。
レースがトラブルにより一時休止した photo:Sonoko.Tanaka
コミッセールが選手たちに状況を説明し、再スタートが切られた photo:Sonoko.Tanaka
先頭集団でスプリントに備えるロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京) photo:Sonoko.Tanaka
懸命に前を追う中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Sonoko.Tanaka
メイン集団は先頭に選手を送っていないNIPPOヴィーニファンティーニが中心となって牽引。一方で、最後は登り基調ではあるものの、スピードの乗るアップダウンが続き、先頭集団はハイペースをキープした。やがて鈴木龍はドロップしたが、彼のアシストを受けた新城幸也は力強い走りをみせ、10名まで人数を減らした先頭集団の逃げ切りが濃厚となった。
残り150m地点に設置される最終コーナーは、下り基調の道幅の広い道路から左折し、細い急な登りを登っていくテクニカルなもの。過去にはオーバーペースから落車も発生し、嫌な思い出をもつ選手も少なくはない。勝者となるロビー・ハッカー(チーム右京)は2年前に同じステージを走っており、今日のレース前も「何度も最後のコースマップを見て、イメージして、頭に叩き込んだ」と話す。
それが大きな勝因となった。10名でのスプリントとなった最終局面で、新城幸也も好位置につけていたが、この最終コーナーで失速。コーナーを最短距離で抜けられる内側からスプリントに挑んだハッカーがフィニッシュラインに先着。ハッカーは個人総合成績でも首位に立った。
テクニカルなコーナーを抜け、登坂区間でのスプリントを制したロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京) photo:Sonoko.Tanaka
悔しさのなか18位でのゴールとなった中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Sonoko.Tanaka
厳しいコースに加え、暑さにも見舞われた第2ステージ。全力を出し切った鈴木龍(日本ナショナルチーム/宇都宮ブリッツェン)が座り込む photo:Sonoko.Tanaka
ロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京)が総合リーダー、岡本隼(日本ナショナルチーム/愛三工業レーシング)はポイント賞ジャージをキープ photo:Sonoko.Tanaka
チーム右京のパブロ・ウルタスン監督は、本大会開幕前に「今年の体制で挑む最初のレース。もちろん勝利を狙っていくが、まずはチームとしてどう機能するか、しっかりと見たいと思う」と語っていたが、大会2日目にして大きな勝利を掴んだ。
27歳のハッカーにとっては今回がプロ3勝目。いずれもツール・ド・台湾で勝利している。ハッカーは「今日の展開は予想していなかったものだけど(少人数でのスプリントを予想していたけど)、勝てたことをとても嬉しく思っている。明日からはジャージを守ることになるが、自分たちは今回とても強いチームで参戦しているし、前回優勝した2016年から多くのトレーニングを積み、パフォーマンスも向上していると思う。明日からのステージでもチームでベストを尽くしたい」と抱負を語った。
日本人選手の最高位は新城幸也の7位。次いで、メイン集団から懸命に追い上げた中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が33秒差の18位でフィニッシュした。また岡本隼はポイント賞ジャージを獲得している。
最終コーナーのミスで優勝のチャンスを逃した新城幸也のコメント
「昨日に続いてのステージ優勝は叶わなかった。50km近くアタック合戦の末に鈴木が入った逃げが決まった。そのことで、チームとしては逃げ切っても良い展開となり、集団を引くというよりは、次は追撃に乗って、前(先頭集団)の人数は増やすことに動きを変えていった。70kmぐらいで10人以上の追走に僕が乗ることができて、日本チームとして、とても良い展開になった。
2つ目の山岳賞ポイントで逃げていた先頭集団が2つに割れ、10人ぐらいに絞られたところで急にレースがストップ!? 結局、先頭集団から遅れていた選手も合流しての再スタート。残り20km切ってからのニュートラル措置は結果的に先頭集団から遅れていた選手が上位に入ってしまい、ステージ争いを大きく影響してしまった。
気持ちをしっかりと切り替えて、自分のステージ優勝目指したが、最終コーナーで進入角度を見誤ってしまい、フルブレーキ。自分のミスでステージ優勝を逃してしまった。 このミスはどこかで返上しなければならない。あと3ステージ。最後まで諦めずに頑張ります」(チームユキヤ通信より)
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国際空港のある桃園市内からスタートした120kmの第2ステージ。前半は高速道路を使用し、中盤を過ぎてから山間部へと入り、88km地点、101km地点の2級山岳を越えて、1級山岳が設定された観光地の角板山公園でゴールを迎えるコースレイアウト。近年よく使用される定番のコースにもなっている。
昨日に引き続き、2日目も晴れ渡った空のもとで迎えた。個人総合リーダーとしてイエロージャージを着用するのは、第1ステージのスプリントを制した岡本隼(日本ナショナルチーム/愛三工業レーシング)だ。桃園市政府からスタートが切られ、台湾らしいカラフルな看板が立ち並ぶ市街地を抜けると、集団はアタックの攻防を繰り広げながら海風を受ける海沿いの高速道路を南下していった。
なかなか逃げは決まらず、鈴木龍(日本ナショナルチーム/宇都宮ブリッツェン)を含む7名の選手が先行をはじめたのは、一旦高速道路から降りた50km地点付近。その後、中間スプリントポイントを通過し、再び内陸部へと戻る高速道路に乗ると、今度は新城幸也や2016年の大会チャンピオンであるロビー・ハッカーら有力選手、そして多くのチームが含まれる11名の追走集団が形成され、勢いのある追走集団は最初の2級山岳を前に先頭集団と合流。18名の大きな先頭集団となった。
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すぐにレースを止める状況だったが、先頭集団は2回目の2級山岳を登り始めていたことを審判団は考慮し、2級山岳を登りきったフィニッシュまで残り18km地点で一度レースは休止。5分後に1分のタイム差にて再スタートが切られたが、この判断に首を傾げる関係者が多かった。
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メイン集団は先頭に選手を送っていないNIPPOヴィーニファンティーニが中心となって牽引。一方で、最後は登り基調ではあるものの、スピードの乗るアップダウンが続き、先頭集団はハイペースをキープした。やがて鈴木龍はドロップしたが、彼のアシストを受けた新城幸也は力強い走りをみせ、10名まで人数を減らした先頭集団の逃げ切りが濃厚となった。
残り150m地点に設置される最終コーナーは、下り基調の道幅の広い道路から左折し、細い急な登りを登っていくテクニカルなもの。過去にはオーバーペースから落車も発生し、嫌な思い出をもつ選手も少なくはない。勝者となるロビー・ハッカー(チーム右京)は2年前に同じステージを走っており、今日のレース前も「何度も最後のコースマップを見て、イメージして、頭に叩き込んだ」と話す。
それが大きな勝因となった。10名でのスプリントとなった最終局面で、新城幸也も好位置につけていたが、この最終コーナーで失速。コーナーを最短距離で抜けられる内側からスプリントに挑んだハッカーがフィニッシュラインに先着。ハッカーは個人総合成績でも首位に立った。
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チーム右京のパブロ・ウルタスン監督は、本大会開幕前に「今年の体制で挑む最初のレース。もちろん勝利を狙っていくが、まずはチームとしてどう機能するか、しっかりと見たいと思う」と語っていたが、大会2日目にして大きな勝利を掴んだ。
27歳のハッカーにとっては今回がプロ3勝目。いずれもツール・ド・台湾で勝利している。ハッカーは「今日の展開は予想していなかったものだけど(少人数でのスプリントを予想していたけど)、勝てたことをとても嬉しく思っている。明日からはジャージを守ることになるが、自分たちは今回とても強いチームで参戦しているし、前回優勝した2016年から多くのトレーニングを積み、パフォーマンスも向上していると思う。明日からのステージでもチームでベストを尽くしたい」と抱負を語った。
日本人選手の最高位は新城幸也の7位。次いで、メイン集団から懸命に追い上げた中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ)が33秒差の18位でフィニッシュした。また岡本隼はポイント賞ジャージを獲得している。
最終コーナーのミスで優勝のチャンスを逃した新城幸也のコメント
「昨日に続いてのステージ優勝は叶わなかった。50km近くアタック合戦の末に鈴木が入った逃げが決まった。そのことで、チームとしては逃げ切っても良い展開となり、集団を引くというよりは、次は追撃に乗って、前(先頭集団)の人数は増やすことに動きを変えていった。70kmぐらいで10人以上の追走に僕が乗ることができて、日本チームとして、とても良い展開になった。
2つ目の山岳賞ポイントで逃げていた先頭集団が2つに割れ、10人ぐらいに絞られたところで急にレースがストップ!? 結局、先頭集団から遅れていた選手も合流しての再スタート。残り20km切ってからのニュートラル措置は結果的に先頭集団から遅れていた選手が上位に入ってしまい、ステージ争いを大きく影響してしまった。
気持ちをしっかりと切り替えて、自分のステージ優勝目指したが、最終コーナーで進入角度を見誤ってしまい、フルブレーキ。自分のミスでステージ優勝を逃してしまった。 このミスはどこかで返上しなければならない。あと3ステージ。最後まで諦めずに頑張ります」(チームユキヤ通信より)
ステージ結果
1位 | ロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京) | 2h53’46” |
2位 | チェ・ヒョンミン(韓国ナショナルチーム) | |
3位 | ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア) | |
4位 | アレハンドロ・バロン(コロンビア、チームイルミネート) | |
5位 | クリス・ハーパー(オーストラリア、ベンネロング・スイスウェルネス) | |
6位 | レナート・テウヘルス(ベルギー、チベル・セボン) | |
7位 | 新城幸也(日本ナショナルチーム) | |
8位 | コナー・ブラウン(アメリカ、チームイルミネート) | |
9位 | ジミー・ヤンセン(ベルギー、チベル・セボン) | |
10位 | ルイス・レムス(メキシコ、イスラエルサイクリングアカデミー) | |
18位 | 中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ) | +0’31” |
29位 | 雨澤毅明(日本ナショナルチーム) | |
52位 | 小石祐馬(チーム右京) | |
54位 | 小野寺玲(日本ナショナルチーム) | +1’21” |
58位 | 小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ) | +1’23” |
70位 | 岡本隼(日本ナショナルチーム) | +3’06” |
77位 | 吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ) | +3:38 |
89位 | 佐野淳哉(日本ナショナルチーム) | +5’03” |
96位 | 鈴木龍(日本ナショナルチーム) | +6’57” |
個人総合成績
1位 | ロビー・ハッカー(オーストラリア、チーム右京) | 4h42’31” |
2位 | チェ・ヒョンミン(韓国ナショナルチーム) | +0’04” |
3位 | ジョナサン・クラーク(オーストラリア、ユナイテッドヘルスケア) | +0’06” |
4位 | レナート・テウヘルス(ベルギー、チベル・セボン) | +0’09” |
5位 | コナー・ブラウン(アメリカ、チームイルミネート) | +0’10” |
6位 | 新城幸也(日本ナショナルチーム) | |
21位 | 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) | +0’41” |
32位 | 雨澤毅明(日本ナショナルチーム) | |
50位 | 小石祐馬(チーム右京) | |
54位 | 小野寺玲(日本ナショナルチーム) | +1’31” |
59位 | 小林海(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) | +1’33” |
69位 | 岡本隼(日本ナショナルチーム) | +3’06” |
77位 | 吉田隼人(NIPPO・ヴィーニファンティーニ) | +3:48 |
89位 | 佐野淳哉(日本ナショナルチーム) | +5’13” |
96位 | 鈴木龍(日本ナショナルチーム) | +7’07” |
text&photo:Sonoko.Tanaka
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