2018/02/24(土) - 09:30
数少ないドメスティックバイクブランドとして、大きな存在感を見せるアンカー。今年フルモデルチェンジを遂げたセカンドグレードの”8”シリーズから、レーシングバイクのRS8をインプレッション。
日本を代表する自転車ブランド、ブリヂストンサイクルのスポーツ部門となるアンカー。同社がサポートを行うブリヂストンアンカーサイクリングチームは国内トップレベルのチームとして大きな存在感を示し続けてきた。常にレースシーンと共にあり続けてきた同ブランドのレーシングモデル「RS」シリーズより、今回セカンドグレードであるRS8がフルモデルチェンジを果たしている。
2013年に当時のトップモデルであったRIS9のテクノロジーを受け継ぎつつ、プライスパフォーマンスに優れたミドルグレードのレースバイクとしてデビューしたRS8。奇をてらうことのない質実剛健な設計で、実戦派のライダーを中心に支持を受けてきた人気モデルだ。
だが、2016年にアンカーはロードバイクの開発に新たなテクノロジーを投入した。「PROFORMAT(プロフォーマット)」と呼ばれる独自の解析技術によって、ライダーが感じた感覚を科学的数値に変換し、解析したデータをフレーム造形へとフィードバックすることで、フレームが持つ推進力を最大化することを可能としたのだ。
PROFORMATによって作り上げられた初のモデルであるフラッグシップ”RS9”は2016年の全日本選手権で勝利を挙げ、その優秀性を示して見せた。RS9の成功を背景に、レーシングアルミモデル”RS6”やエンデュランスシリーズのRL9やRL6などPROFORMATによって設計されたモデルが多数投入されてきた。
そしてついに今年、RS8にPROFORMATが投入され、5年目にして初のフルモデルチェンジを遂げる。全体的なフレームの造形は、ハイエンドモデルであるRS9の形状を引き継ぐ一方、使用されるカーボンマテリアルやレイアップスケジュールを調整することでリーズナブルな価格とトップモデルに肉薄する走行性能を実現した、価値ある一台として生まれ変わった。
使用される素材は、トップモデルRS9に使用される高弾性カーボンに対して、強度と耐衝撃性に優れる標準弾性カーボン。より軽く、より硬くという面においてはRS9の後塵を拝するものの、扱いやすさや耐久性といった面ではRS8に軍配が上がる。
前作から大きく変更が加えられたのがフロントトライアングルの剛性だ。PROFORMATが示したのは、ボトムブラケット部の動きを最小限にとどめることで踏力を余さず推進力へと変換するための設計だった。その思想が最も良く窺えるのが、シートチューブとダウンチューブを繋ぐガゼットのような造形が与えられたBB集合部だろう。
さらに大口径化したダウンチューブと合わせ、前作に比べてフロントトライアングルの剛性は25%アップ。不要なねじれを抑えることで推進力を発揮するフロントサイドに対し、快適性にも大きく関わるリアトライアングルの剛性数値は据え置きとされた。ボリューム感ある左右非対称設計のチェーンステーによって横方向へのねじれを抑えつつ、細身のシートステーを採用することで縦方向への柔軟性を向上させることで、剛性はそのままにより快適な乗り味を実現している。
さらには、より軽量化が推し進められたことにも触れておかねばならないだろう。フレームセットでの重量において、前作から70gのダイエットを果たし、より軽やかな走りを手に入れた。また、前作では機械式コンポーネントのケーブルルーティングが外装式だったものが、今回のモデルチェンジにあたりフレームへ内装され、どんなコンポーネントをアセンブルしてもクリーンなルックスで組み上げられる。
全日本を制したRS9の設計を受け継ぎつつ、強度の高いカーボン素材を使うことで扱いやすさを増した新型RS8。フレームセットで18万円という手の届きやすい価格と相まって、ビギナーの初めてのカーボンバイクとして、はたまた距離を乗り込むシリアスライダーのトレーニングバイクとして、幅広い用途に応える一台となった。
今回インプレッションするのは、そんな汎用性に優れるフレームに機械式アルテグラとシマノのミドルグレードアルミホイール、WH-RS500を組み合わせたテストバイクだ。それでは早速インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「ホビーレーサーに寄り添った性能で俊敏なハンドリングが持ち味」錦織大祐(フォーチュンバイク)
セカンドグレードとしてよりホビーレーサーに寄り添った扱いやすさが際立つバイクですね。これ以上に反応性が高かったりハンドリングがピーキーであると、プロユースのレーシングバイク感が強まってしまい、逆に腰高感が生まれたりスピードの切れに怖さを感じてしまうなんてこともあると思います。その点このRS8は各性能が丁度よい塩梅に調整されていて、非常に安心感の高い走りを見せてくれました。
踏み込んでみた感覚ではBB、バックステー、フロントフォークの剛性が高く、それによってレーシーな加速感が生み出されています。一方、路面の凹凸を必要以上に拾ってバイクが暴れてしまうことの無いよう、剛性バランスをコントロールして設計されている印象も受けました。それこそ必要なロードインフォメーションは伝えるのですが、ノイズはカットするというメリハリのついた振動の伝達をしてきます。
個人的に1番良いと感じたのはハンドリングの俊敏さですね。ダウンヒルで路面のギャップを避けたり、集団の中で素早くラインチェンジをしたりという動きも思い通りに可能です。30cm横に移動したいと思ったらピッタリその位置にバイクを動かせる、そんな操りやすいハンドリングを持っていると思います。だからといってハンドルが切れ込み過ぎることもなく、バランスの良いフィーリングとなっていますね。
もちろんそういったハンドリングを実現するためにフロントフォークは剛性が高めになっています。しかも縦方向だけでなく横方向にもしっかりと剛性を持たせているため、前輪がねじれるような動きに対してもロス無く反応してくれますね。その分振動は拾いやすいのですが、高速でのコーナリングやスプリント等フロント周りにパワーがかかるシーンでも安心して踏み込んでいけるでしょう。
踏み味に関しては、上位モデルに比べてカーボンのグレードを落としている事もあってか、多少しっとりとした印象です。ですが、これにより反応がワンテンポ遅れるといったネガティブな性能は感じません。またリア三角も振動吸収と推進性のバランスが丁度いい所を狙っていますね。こういった絶妙なバランスは新たに投入されたPROFORMATによる部分で、モデルチェンジによる性能向上をはっきりと感じられました。
反面、フォークの先端部や後輪のエンド周りはカッチリとした仕上がりにすることで、前後輪の動きがライダーに伝わりやすいよう設計してあるようですね。そのため、パワーをかけた際にどのようにバイクが動くかライダーが把握し易いと思います。自身のパフォーマンスを十分に発揮したい時に、フレームが脚を引っ張ることなく意のままに付いてきてくれる、人車一体感を明確に表現するという設計思想が見えますね。選手とともにバイク開発を行うブリヂストンサイクルならではの性格ではないでしょうか。
またケーブルワークや細かいフレームの作り込みも、しっかり詰められている部分はアンカーバイクの特長の1つだと思います。バイクの推進性や振動吸収性とは違った部分ですが、メンテナンスがしやすくバイクのコンディションを維持しやすいというのも、レース機材として使う上で大切なポイントになりますね。
フレームの性格を考えると、スムーズなハンドリングを活かしてサーキットレースやクリテリウムで大いに活用できるバイクとなりそうです。特に学生レーサーやこれからレースを走っていきたい人にとっては確実に即戦力として活躍してくれる1台となるでしょう。自分よりも速い選手に付いていきたいとか、今以上の走りを常に追い求めたいという向上心のあるレーサーにオススメです。これでセカンドグレードモデルの走りと考えたときに、他メーカーバイクと比べても抜きん出たコストパフォーマンスだと思いますね。
「消耗しすぎないバランスの取れた剛性感と伸びのある加速」飯島悠(バイシクルセオ 新松戸店)
非常に剛性のバランスが良いバイクと言うのが第一印象ですね。強く踏み込んでも芯が硬すぎず、脚を消耗し過ぎない程度に剛性が調整されつつも、パワー入力に対しリニアな加速感も両立されています。乗った感触としては前が硬く、後ろがやや柔らかいと言ったイメージで、上手く前後バランスが取られているバイクだと感じました。
フロントフォークはストレート形状ということもあり、剛性が高く設計されています。ダンシングではこの剛性感が活きた小気味良い軽いバイクの振りが味わえますね。対してリア三角はややたわむよう作られており、踏み込むとスッと後ろから伸びるように加速していきます。大トルクのパワーをかけるとやや力がスポイルされる印象もありますが、脚が疲れにくい剛性感でロングライドや長距離のロードレースにマッチしてくれそうです。
振動吸収性もレーシングモデルとして全く不安のないレベルに仕上がっています。シートステーも細身ですし、段差や砂利道の振動をしっかり吸収してくれますので、トップモデルとはまた違った快適性が上手く表現されていると思います。リア三角の柔らかさは、そういった部分にも繋がって性能を発揮しているのでしょう。
アセンブルを見ても、完成車のままで十分レースに対応出来るパーツ構成になっていると思います。その上で、振動吸収性の高いカーボンハンドルやカーボンシートポストに交換することで、より長距離を楽しめるバイクに進化することでしょう。またオーソドックスなフレームだけに、どんなホイールともマッチングすると感じました。自身の走り方に合ったホイールチョイスをしてもらえれば良いと思います。
RSシリーズのセカンドモデルとして、エントリーライダーから中級ライダーまでに最適な踏み心地になっていると思います。ですので初めてのロードバイク、はたまたアルミバイクからカーボンに乗り換える最初の1台としてピッタリではないでしょうか。
より上級ライダーですと、踏み込んだ際の反応性に物足りなさを感じるかもしれませんが、そのレベルであれば上位グレードのRS9を選択して欲しいですね。ですがRS9に見劣りしないレーシーな走りを見せてくれるバイクだけに、ゆくゆくはレースに挑戦したいという人にぜひ乗ってもらいたいですね。
アンカー RS8
フレーム:PROFORMAT 3ピース カーボン
サイズ:430、460、490、520、550mm
シートポスト径:31.6mm
BB規格:BB86
価格:
RS8 ELITE(シマノULTEGRA完成車) 335,000円(税抜)
RS8 EQUIPE(シマノ105完成車) 255,000円(税抜)
RS8フレームセット 180,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
錦織大祐(フォーチュンバイク)
幼少のころより自転車屋を志し、都内の大型プロショップで店長として経験を積んだ後、2010年に東京錦糸町にフォーチュンバイクをオープンさせた新進気鋭の若手店主。世界各国の自転車メーカーと繋がりを持ち、実際に海外の製造現場で得た見聞をユーザーに伝えることを信条としている。シマノ鈴鹿ロードへ20年以上に渡り連続出場する一方、普段はロングライドやスローペースでのサイクリングを楽しむ。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
飯島悠(バイシクルセオ 新松戸店)
高校大学と自転車競技部に所属し、国体に通算4回出場した経歴を持つ競技派。国体ではロードと短距離トラック種目に出場しており、豊かな体格を活かしたスプリントを得意とする。過去にはメッセンジャーやスポーツジムでのパーソナルトレーナーなどの経験も持ち、自転車に対する多方面からの知見をユーザーに還元している。現在はメカニックや接客の他に、クラブチームでの走り方やトレーニング指導も行う。
CWレコメンドショップページ
バイシクルセオ 新松戸店 HP
ウェア協力:マヴィック(今回着用モデルはこちら)
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
日本を代表する自転車ブランド、ブリヂストンサイクルのスポーツ部門となるアンカー。同社がサポートを行うブリヂストンアンカーサイクリングチームは国内トップレベルのチームとして大きな存在感を示し続けてきた。常にレースシーンと共にあり続けてきた同ブランドのレーシングモデル「RS」シリーズより、今回セカンドグレードであるRS8がフルモデルチェンジを果たしている。
2013年に当時のトップモデルであったRIS9のテクノロジーを受け継ぎつつ、プライスパフォーマンスに優れたミドルグレードのレースバイクとしてデビューしたRS8。奇をてらうことのない質実剛健な設計で、実戦派のライダーを中心に支持を受けてきた人気モデルだ。
だが、2016年にアンカーはロードバイクの開発に新たなテクノロジーを投入した。「PROFORMAT(プロフォーマット)」と呼ばれる独自の解析技術によって、ライダーが感じた感覚を科学的数値に変換し、解析したデータをフレーム造形へとフィードバックすることで、フレームが持つ推進力を最大化することを可能としたのだ。
PROFORMATによって作り上げられた初のモデルであるフラッグシップ”RS9”は2016年の全日本選手権で勝利を挙げ、その優秀性を示して見せた。RS9の成功を背景に、レーシングアルミモデル”RS6”やエンデュランスシリーズのRL9やRL6などPROFORMATによって設計されたモデルが多数投入されてきた。
そしてついに今年、RS8にPROFORMATが投入され、5年目にして初のフルモデルチェンジを遂げる。全体的なフレームの造形は、ハイエンドモデルであるRS9の形状を引き継ぐ一方、使用されるカーボンマテリアルやレイアップスケジュールを調整することでリーズナブルな価格とトップモデルに肉薄する走行性能を実現した、価値ある一台として生まれ変わった。
使用される素材は、トップモデルRS9に使用される高弾性カーボンに対して、強度と耐衝撃性に優れる標準弾性カーボン。より軽く、より硬くという面においてはRS9の後塵を拝するものの、扱いやすさや耐久性といった面ではRS8に軍配が上がる。
前作から大きく変更が加えられたのがフロントトライアングルの剛性だ。PROFORMATが示したのは、ボトムブラケット部の動きを最小限にとどめることで踏力を余さず推進力へと変換するための設計だった。その思想が最も良く窺えるのが、シートチューブとダウンチューブを繋ぐガゼットのような造形が与えられたBB集合部だろう。
さらに大口径化したダウンチューブと合わせ、前作に比べてフロントトライアングルの剛性は25%アップ。不要なねじれを抑えることで推進力を発揮するフロントサイドに対し、快適性にも大きく関わるリアトライアングルの剛性数値は据え置きとされた。ボリューム感ある左右非対称設計のチェーンステーによって横方向へのねじれを抑えつつ、細身のシートステーを採用することで縦方向への柔軟性を向上させることで、剛性はそのままにより快適な乗り味を実現している。
さらには、より軽量化が推し進められたことにも触れておかねばならないだろう。フレームセットでの重量において、前作から70gのダイエットを果たし、より軽やかな走りを手に入れた。また、前作では機械式コンポーネントのケーブルルーティングが外装式だったものが、今回のモデルチェンジにあたりフレームへ内装され、どんなコンポーネントをアセンブルしてもクリーンなルックスで組み上げられる。
全日本を制したRS9の設計を受け継ぎつつ、強度の高いカーボン素材を使うことで扱いやすさを増した新型RS8。フレームセットで18万円という手の届きやすい価格と相まって、ビギナーの初めてのカーボンバイクとして、はたまた距離を乗り込むシリアスライダーのトレーニングバイクとして、幅広い用途に応える一台となった。
今回インプレッションするのは、そんな汎用性に優れるフレームに機械式アルテグラとシマノのミドルグレードアルミホイール、WH-RS500を組み合わせたテストバイクだ。それでは早速インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「ホビーレーサーに寄り添った性能で俊敏なハンドリングが持ち味」錦織大祐(フォーチュンバイク)
セカンドグレードとしてよりホビーレーサーに寄り添った扱いやすさが際立つバイクですね。これ以上に反応性が高かったりハンドリングがピーキーであると、プロユースのレーシングバイク感が強まってしまい、逆に腰高感が生まれたりスピードの切れに怖さを感じてしまうなんてこともあると思います。その点このRS8は各性能が丁度よい塩梅に調整されていて、非常に安心感の高い走りを見せてくれました。
踏み込んでみた感覚ではBB、バックステー、フロントフォークの剛性が高く、それによってレーシーな加速感が生み出されています。一方、路面の凹凸を必要以上に拾ってバイクが暴れてしまうことの無いよう、剛性バランスをコントロールして設計されている印象も受けました。それこそ必要なロードインフォメーションは伝えるのですが、ノイズはカットするというメリハリのついた振動の伝達をしてきます。
個人的に1番良いと感じたのはハンドリングの俊敏さですね。ダウンヒルで路面のギャップを避けたり、集団の中で素早くラインチェンジをしたりという動きも思い通りに可能です。30cm横に移動したいと思ったらピッタリその位置にバイクを動かせる、そんな操りやすいハンドリングを持っていると思います。だからといってハンドルが切れ込み過ぎることもなく、バランスの良いフィーリングとなっていますね。
もちろんそういったハンドリングを実現するためにフロントフォークは剛性が高めになっています。しかも縦方向だけでなく横方向にもしっかりと剛性を持たせているため、前輪がねじれるような動きに対してもロス無く反応してくれますね。その分振動は拾いやすいのですが、高速でのコーナリングやスプリント等フロント周りにパワーがかかるシーンでも安心して踏み込んでいけるでしょう。
踏み味に関しては、上位モデルに比べてカーボンのグレードを落としている事もあってか、多少しっとりとした印象です。ですが、これにより反応がワンテンポ遅れるといったネガティブな性能は感じません。またリア三角も振動吸収と推進性のバランスが丁度いい所を狙っていますね。こういった絶妙なバランスは新たに投入されたPROFORMATによる部分で、モデルチェンジによる性能向上をはっきりと感じられました。
反面、フォークの先端部や後輪のエンド周りはカッチリとした仕上がりにすることで、前後輪の動きがライダーに伝わりやすいよう設計してあるようですね。そのため、パワーをかけた際にどのようにバイクが動くかライダーが把握し易いと思います。自身のパフォーマンスを十分に発揮したい時に、フレームが脚を引っ張ることなく意のままに付いてきてくれる、人車一体感を明確に表現するという設計思想が見えますね。選手とともにバイク開発を行うブリヂストンサイクルならではの性格ではないでしょうか。
またケーブルワークや細かいフレームの作り込みも、しっかり詰められている部分はアンカーバイクの特長の1つだと思います。バイクの推進性や振動吸収性とは違った部分ですが、メンテナンスがしやすくバイクのコンディションを維持しやすいというのも、レース機材として使う上で大切なポイントになりますね。
フレームの性格を考えると、スムーズなハンドリングを活かしてサーキットレースやクリテリウムで大いに活用できるバイクとなりそうです。特に学生レーサーやこれからレースを走っていきたい人にとっては確実に即戦力として活躍してくれる1台となるでしょう。自分よりも速い選手に付いていきたいとか、今以上の走りを常に追い求めたいという向上心のあるレーサーにオススメです。これでセカンドグレードモデルの走りと考えたときに、他メーカーバイクと比べても抜きん出たコストパフォーマンスだと思いますね。
「消耗しすぎないバランスの取れた剛性感と伸びのある加速」飯島悠(バイシクルセオ 新松戸店)
非常に剛性のバランスが良いバイクと言うのが第一印象ですね。強く踏み込んでも芯が硬すぎず、脚を消耗し過ぎない程度に剛性が調整されつつも、パワー入力に対しリニアな加速感も両立されています。乗った感触としては前が硬く、後ろがやや柔らかいと言ったイメージで、上手く前後バランスが取られているバイクだと感じました。
フロントフォークはストレート形状ということもあり、剛性が高く設計されています。ダンシングではこの剛性感が活きた小気味良い軽いバイクの振りが味わえますね。対してリア三角はややたわむよう作られており、踏み込むとスッと後ろから伸びるように加速していきます。大トルクのパワーをかけるとやや力がスポイルされる印象もありますが、脚が疲れにくい剛性感でロングライドや長距離のロードレースにマッチしてくれそうです。
振動吸収性もレーシングモデルとして全く不安のないレベルに仕上がっています。シートステーも細身ですし、段差や砂利道の振動をしっかり吸収してくれますので、トップモデルとはまた違った快適性が上手く表現されていると思います。リア三角の柔らかさは、そういった部分にも繋がって性能を発揮しているのでしょう。
アセンブルを見ても、完成車のままで十分レースに対応出来るパーツ構成になっていると思います。その上で、振動吸収性の高いカーボンハンドルやカーボンシートポストに交換することで、より長距離を楽しめるバイクに進化することでしょう。またオーソドックスなフレームだけに、どんなホイールともマッチングすると感じました。自身の走り方に合ったホイールチョイスをしてもらえれば良いと思います。
RSシリーズのセカンドモデルとして、エントリーライダーから中級ライダーまでに最適な踏み心地になっていると思います。ですので初めてのロードバイク、はたまたアルミバイクからカーボンに乗り換える最初の1台としてピッタリではないでしょうか。
より上級ライダーですと、踏み込んだ際の反応性に物足りなさを感じるかもしれませんが、そのレベルであれば上位グレードのRS9を選択して欲しいですね。ですがRS9に見劣りしないレーシーな走りを見せてくれるバイクだけに、ゆくゆくはレースに挑戦したいという人にぜひ乗ってもらいたいですね。
アンカー RS8
フレーム:PROFORMAT 3ピース カーボン
サイズ:430、460、490、520、550mm
シートポスト径:31.6mm
BB規格:BB86
価格:
RS8 ELITE(シマノULTEGRA完成車) 335,000円(税抜)
RS8 EQUIPE(シマノ105完成車) 255,000円(税抜)
RS8フレームセット 180,000円(税抜)
インプレッションライダーのプロフィール
錦織大祐(フォーチュンバイク)
幼少のころより自転車屋を志し、都内の大型プロショップで店長として経験を積んだ後、2010年に東京錦糸町にフォーチュンバイクをオープンさせた新進気鋭の若手店主。世界各国の自転車メーカーと繋がりを持ち、実際に海外の製造現場で得た見聞をユーザーに伝えることを信条としている。シマノ鈴鹿ロードへ20年以上に渡り連続出場する一方、普段はロングライドやスローペースでのサイクリングを楽しむ。
CWレコメンドショップページ
フォーチュンバイク HP
飯島悠(バイシクルセオ 新松戸店)
高校大学と自転車競技部に所属し、国体に通算4回出場した経歴を持つ競技派。国体ではロードと短距離トラック種目に出場しており、豊かな体格を活かしたスプリントを得意とする。過去にはメッセンジャーやスポーツジムでのパーソナルトレーナーなどの経験も持ち、自転車に対する多方面からの知見をユーザーに還元している。現在はメカニックや接客の他に、クラブチームでの走り方やトレーニング指導も行う。
CWレコメンドショップページ
バイシクルセオ 新松戸店 HP
ウェア協力:マヴィック(今回着用モデルはこちら)
text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
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