シクロクロス世界選手権2日目に開催された男子U23レースで、鮮やかな泥捌きを披露したエリ・イゼルビッド(ベルギー)が一昨年に続くアルカンシェル戴冠。織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は途中リタイアの53位でレースを終えている。
 


スタート直後の森林区間を先頭で抜けるヨリス・ニューウェンハイス(オランダ)スタート直後の森林区間を先頭で抜けるヨリス・ニューウェンハイス(オランダ) photo:So.Isobe
オランダはアルデンヌ地方のファルケンブルグ、アムステルゴールドレースで知られるカウベルグの丘で開催されたシクロクロス世界選手権は2日目。午前11時、61名が挑む男子U23レースが始まる頃には、数万人の観客が会場を埋め尽くした。

アップダウンを含む森林区間に向けてホールショットを獲ったのは、タイトル防衛を賭けて挑んだヨリス・ニューウェンハイス(オランダ)。フランスのヤン・グラスが続き、2年ぶりのアルカンシェルを狙うエリ・イゼルビッド(ベルギー)は3番手。織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)は序盤の混乱を避けてポジションをキープした。

ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ)にエリ・イゼルビッド(ベルギー)が迫るヨリス・ニューウェンハイス(オランダ)にエリ・イゼルビッド(ベルギー)が迫る photo:So.Isobe泥コースに翻弄されたトーマス・ピッドコック(イギリス)泥コースに翻弄されたトーマス・ピッドコック(イギリス) photo:So.Isobe

大声援の後押しを受けて担ぎ区間を上がる選手たち大声援の後押しを受けて担ぎ区間を上がる選手たち photo:So.Isobe
破竹の勢いで勝ち星を並べ、U23初年度ながら優勝候補筆頭に挙げられていたトーマス・ピッドコック(イギリス)はこの日精彩を欠いた。スタートの出遅れを取り戻すことなく泥に沈み、最終的に4分弱遅れて15位でレースを終えることとなる。

やがてイゼルビッドはキャンバーでスリップしたニューウェンハイスに追いつき、2大シクロクロス大国による先頭争いに会場は湧き上がった。激しく競り合う中でイゼルビッドはあえてピットインせず、バイク交換を選んだニューウェンハイスとの間に5秒程度の差が生まれる。この判断の違いがアルカンシェルへの決定打を呼び寄せた。

2周目に先頭に立ったエリ・イゼルビッド(ベルギー)2周目に先頭に立ったエリ・イゼルビッド(ベルギー) photo:So.Isobeニューウェンハイスとの距離を縮めるヤン・グラス(フランス)ニューウェンハイスとの距離を縮めるヤン・グラス(フランス) photo:So.Isobe


極めて滑りやすい泥コースで飛ぶように走り、ランニングの速さも際立つイゼルビッドは着実にリードを広げていく。地元オランダファンの大声援を受けたニューウェンハイスだったが、スタートから調子の良さを見せていたグラスに追いつかれそうになるなど、イゼルビッドとの泥捌きの差は明確だった。

そのまま快調に飛ばしたイゼルビッドが、2年ぶり2回目のU23世界タイトルを確保。強力なライバルを倒しての悲願の勝利に、表彰台では涙が頬を伝った。

独走でフィニッシュラインに飛び込むエリ・イゼルビッド(ベルギー)独走でフィニッシュラインに飛び込むエリ・イゼルビッド(ベルギー) (c)CorVos何度も涙を拭ったエリ・イゼルビッド(ベルギー)何度も涙を拭ったエリ・イゼルビッド(ベルギー) photo:So.Isobe

シクロクロス世界選手権2018男子U23表彰台シクロクロス世界選手権2018男子U23表彰台 photo:So.Isobe
また、イゼルビッドらが刻んだハイペースによって、この日は15名が足切りに。テクニカルな泥コースに苦しんだ織田は、途中リタイアの53位でレースを終えている。以下は織田のコメント。

「ホームストレートを抜けてすぐの森林区間で混乱に巻き込まれてしまいました。1回目は上手く回避できたのですが、2回目には自分ともう一人が絡んで完全に落車してしまいました。ここで遅れたのが致命的でしたが、その後は少しずつ順位を回復できた。もちろん足切りという結果に納得はできないし、こちらの選手とはパワーもテクニックも差は歴然としています。昨年比で自分もレベルアップしていることは確かなのですが、それが問題にならないほど周りが成長していました。でも、完走まであと少しだと感じているので、ロードトレーニングを確実に重ねていきます」

泥のキャンバー区間を走る織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)泥のキャンバー区間を走る織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:So.Isobe
シクロクロス世界選手権2018男子U23結果
1位 エリ・イゼルビッド(ベルギー) 50’54”
2位 ヨリス・ニューウェンハイス(オランダ) +28”
3位 ヤン・グラス(フランス) +35”
4位 アダム・トゥパリック(チェコ) +1’25”
5位 タイス・アールツ(ベルギー) +1’44”
6位 アントワン・ブノワ(フランス) +1’55”
7位 シーベン・ワウテルス(オランダ) +2’25”
8位 ヤコブ・ドリゴーニ(イタリア) +2’56”
9位 ゲイジ・ヘクト(アメリカ) +3’04”
10位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー) +3’11”
53位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) Lap
text&photo:So.Isobe in Valkenburg, Nederland

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