2017/11/21(火) - 10:47
11月19日に滋賀県高島市のマキノ高原で開催された関西シクロクロス第3戦マキノ高原(UCI C2)。冷たい雨が降る過酷なコンディションの中、小坂光と與那嶺恵理がそれぞれエリートレースを制した。
C1 泥の緩斜面を進む3番手パック photo:Kei Tsuji
C1 スタート後すぐに先頭に立ったギャリー・ミルバーン(SPEEDVAGEN X MAAP) photo:Kei Tsuji
C1 泥によって乗車率が著しく低下したキャンバー区間 photo:Kei Tsuji
気温が上がらずコース上の冷たい泥水を全身に浴びる厳しいコンディション。男女合わせて112名のエリートライダーたちが福井県との県境に近い滋賀県北部のマキノ高原に集まった。日本国内ではこの関西シクロクロス第3戦を皮切りに、翌週にRaphaスーパークロス野辺山、翌々週に宇都宮シクロクロスとUCIレースが連続。その後に全日本選手権が続くため、エリートライダーにとってはコンディション作りの点でも落とせないレースが続く。
12月の営業開始を待つスキー場の斜面を利用したマキノ高原のコースは関西を代表するパワーコースとして知られる。概ね3〜4%の勾配のついたゲレンデを登ったり下ったりで、獲得標高差は1周につき50mほど。前日から降り続いた雨によってコースは泥に覆われ、常にトルクをかけて走ることを強いる重馬場に。晴れ間がのぞいたと思えば大きな雨粒が落ちるような冬山らしい天気で、最高気温も6度ほどまでしか上がらない。午後にかけてみぞれを伴う雨が降ったため最終レースのC2では低体温症によるリタイア者が続出した。
C1 前田とともに先頭に立った小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) photo:Kei Tsuji
C1 翌週の野辺山にも出場予定のギャリー・ミルバーン(SPEEDVAGEN X MAAP) photo:Kei Tsuji
C1 3番手パックを率いる沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) photo:Kei Tsuji
C1 先頭を独走する小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) photo:Kei Tsuji
C1 単独2番手に浮上したギャリー・ミルバーン(SPEEDVAGEN X MAAP) photo:Kei Tsuji
89名がスタート(100名エントリー)したC1はオーストラリアから来日したばかりのギャリー・ミルバーン(SPEEDVAGEN X MAAP)が先導する形で進んで行く。2016年シクロクロス東京で5位に入り、同年Raphaスーパークロス野辺山2日目で優勝しているミルバーン。数週間日本に滞在してUCIレースを転戦予定のミルバーンが快調に飛ばしたが、半周足らずでパンクによって後退してしまう。
ミルバーンに代わって先頭に立ったのは小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)と前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2人だった。「序盤からミスが続いてしまった」という全日本チャンピオンの沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)は出遅れ気味のスタートとなり、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や丸山厚(BOMA/ROND BICYCLE)とパックを組んで前を追う形に。
一面泥に覆われたマキノ名物の長い芝の下りでは、見えない石や穴によってパンクが続出する。パンクによって前田が先頭から遅れると、ピットで何度もバイクを交換した小坂が先頭へ。「前週の水曜日に風邪をひいてしまって、治ったかなと思ったらまたぶり返してしまい、前日はひたすら休んでいました。アップの段階では微妙な感触だったものの、スタートして前田選手と一緒に先頭に立った時にリズムの良さを感じた」という小坂が、大きなミスもなく、最終周回まで後続とのタイム差を広げ続ける走りでフィニッシュした。2番手パックから抜け出したミルバーンは再度パンクに見舞われながらも2位。その後方では沢田が竹内遼(drawer THE RACING)に追いつかれながらも3位を守っている。
C1 マキノ高原スキー場のゲレンデを走る小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) photo:Kei Tsuji
C1 沢田の背後に迫る竹内遼(drawer THE RACING) photo:Kei Tsuji
C1 大きなトラブルなく1時間を走りきる小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) photo:Kei Tsuji
C1 雨の中、フィニッシュラインを切る小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) photo:Kei Tsuji
「来週の野辺山には全日本と同じトップコンディションで挑みたいと思っていたので、早めに風邪をひいて逆に良かったのかもしれません。今日ここまで走れるとは思っていませんでしたが、今年は自分が一段階強くなっていることを実感していますし、この結果はベースができている証拠かもしれない」と、連続するUCIレースに向けて体調不良の不安を払拭する走りを見せた小坂は語っている。
今井美穂(CO2 bicycle)のホールショットでスタートしたCL1レース。JCXシリーズリーダーの唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が出遅れる中、「試走を何回もして、自信を持って走った」という今井がぐんぐんと後続を引き離し始める。
2番手の與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope)とのタイム差は40秒まで広がったが、今井は泥の下りで後輪をパンクさせて失速してしまう。スペアバイクに乗り換えた今井と與那嶺がしばらく先頭で抜きつ抜かれつの攻防を繰り広げたが、登りのたびに與那嶺がリードを奪う走りを見せて決着。1位與那嶺、2位今井の順でフィニッシュし、3位にはフィオナ・モーリス(SPEEDVAGEN X MAAP)と競り合った宮内佐季子(ClubLa.sistaOffroadTeam)が入った。
CL1 ホールショットをとった今井美穂(CO2 bicycle)が先行 photo:Kei Tsuji
CL1 パンクした今井に追いついた與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope) photo:Kei Tsuji
CL1 単独先頭に立った與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope) photo:Kei Tsuji
CL1 與那嶺に先行を許した今井美穂(CO2 bicycle)がフライオーバーをクリア photo:Kei Tsuji
CL1 今井に21秒差をつけて勝利した與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope) photo:Kei Tsuji
前週のツール・ド・おきなわを走り、オフシーズンのトレーニングとしてシクロクロスに打ち込んでいる與那嶺は「今年のオフシーズンはコンディションを落とさずに、ベースを作ってむしろコンディションを上げた状態で1月のロードシーズンに挑む予定です」と話す。FDJからウィグル・ハイファイブに移籍する2018年は1月のツアー・ダウンアンダー出場も視野に入れる。「オフシーズンのトレーニングの一環として、強度の高いトレーニングとしてシクロクロスに打ち込んでいます」。
「今井選手や唐見選手が真剣に立ち向かってきてくれるからレースをしていて楽しい」という與那嶺が狙うのは全日本のタイトル。全日本選手権後はロードレースのシーズンインに向けてオーストラリアで個人合宿を行う予定だ。
C1表彰台 photo:Kei Tsuji
CL1表彰台 photo:Kei Tsuji
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12月の営業開始を待つスキー場の斜面を利用したマキノ高原のコースは関西を代表するパワーコースとして知られる。概ね3〜4%の勾配のついたゲレンデを登ったり下ったりで、獲得標高差は1周につき50mほど。前日から降り続いた雨によってコースは泥に覆われ、常にトルクをかけて走ることを強いる重馬場に。晴れ間がのぞいたと思えば大きな雨粒が落ちるような冬山らしい天気で、最高気温も6度ほどまでしか上がらない。午後にかけてみぞれを伴う雨が降ったため最終レースのC2では低体温症によるリタイア者が続出した。
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ミルバーンに代わって先頭に立ったのは小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)と前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)の2人だった。「序盤からミスが続いてしまった」という全日本チャンピオンの沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)は出遅れ気味のスタートとなり、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や丸山厚(BOMA/ROND BICYCLE)とパックを組んで前を追う形に。
一面泥に覆われたマキノ名物の長い芝の下りでは、見えない石や穴によってパンクが続出する。パンクによって前田が先頭から遅れると、ピットで何度もバイクを交換した小坂が先頭へ。「前週の水曜日に風邪をひいてしまって、治ったかなと思ったらまたぶり返してしまい、前日はひたすら休んでいました。アップの段階では微妙な感触だったものの、スタートして前田選手と一緒に先頭に立った時にリズムの良さを感じた」という小坂が、大きなミスもなく、最終周回まで後続とのタイム差を広げ続ける走りでフィニッシュした。2番手パックから抜け出したミルバーンは再度パンクに見舞われながらも2位。その後方では沢田が竹内遼(drawer THE RACING)に追いつかれながらも3位を守っている。
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今井美穂(CO2 bicycle)のホールショットでスタートしたCL1レース。JCXシリーズリーダーの唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が出遅れる中、「試走を何回もして、自信を持って走った」という今井がぐんぐんと後続を引き離し始める。
2番手の與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope)とのタイム差は40秒まで広がったが、今井は泥の下りで後輪をパンクさせて失速してしまう。スペアバイクに乗り換えた今井と與那嶺がしばらく先頭で抜きつ抜かれつの攻防を繰り広げたが、登りのたびに與那嶺がリードを奪う走りを見せて決着。1位與那嶺、2位今井の順でフィニッシュし、3位にはフィオナ・モーリス(SPEEDVAGEN X MAAP)と競り合った宮内佐季子(ClubLa.sistaOffroadTeam)が入った。
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「今井選手や唐見選手が真剣に立ち向かってきてくれるからレースをしていて楽しい」という與那嶺が狙うのは全日本のタイトル。全日本選手権後はロードレースのシーズンインに向けてオーストラリアで個人合宿を行う予定だ。
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C1(エリート男子)
1位 | 小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム) | 1:03:34 |
2位 | ギャリー・ミルバーン(SPEEDVAGEN X MAAP) | 1:05:13 |
3位 | 沢田時(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) | 1:05:32 |
4位 | 竹内遼(drawer THE RACING) | 1:05:34 |
5位 | 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 1:06:12 |
6位 | 丸山厚(BOMA/ROND BICYCLE) | 1:07:14 |
7位 | 兼子博昭(スワコレーシングチーム) | 1:07:38 |
8位 | 中原義貴(紀州DECOJA RACING) | 1:08:20 |
9位 | 中村龍太郎(SNEL CYCLOCROSS TEAM) | 1:08:53 |
10位 | 前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 1:09:14 |
CL1(エリート女子)
1位 | 與那嶺恵理(FDJ Nouvelle Aquitaine Futuroscope) | 0:44:44 |
2位 | 今井美穂(CO2 bicycle) | 0:45:05 |
3位 | 宮内佐季子(ClubLa.sistaOffroadTeam) | 0:46:24 |
4位 | フィオナ・モーリス(SPEEDVAGEN X MAAP) | 0:47:23 |
5位 | 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム) | 0:47:54 |
6位 | 西山みゆき(Toyo Frame Field Model) | 0:49:10 |
7位 | 福本千佳(Live GARDEN Bici Stelle) | 0:50:57 |
8位 | 平田千枝(ClubLa.sistaOffroadTeam) | 0:51:01 |
9位 | 上田順子(ダム部) | 0:51:04 |
10位 | 江嶋綾(INTHEWOODS×MAAP) | 0:51:34 |
text&photo:Kei Tsuji
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