Jプロツアー第17戦となる「第2回JBCFまえばしクリテリウム」が開催された。レースはマトリックスパワータグが終始コントロールしてスプリント勝負に持ち込み、吉田隼人が今季3勝目を挙げた。



群馬県庁と前橋市役所など中心市街地を使うコース群馬県庁と前橋市役所など中心市街地を使うコース photo:Hideaki TAKAGI
スタートラインでホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)と話す狩野智也(群馬グリフィン)スタートラインでホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)と話す狩野智也(群馬グリフィン) photo:Satoru KatoJプロツアーに先立ち、午前中は一般参加のレースも行われたJプロツアーに先立ち、午前中は一般参加のレースも行われた photo:Satoru Kato

昨年初開催され、今年2回目の開催となる「まえばしクリテリウム」。会場は群馬県の県庁所在地である前橋市。その中心街に設定された1周3.5kmのコースだ。

リーダージャージのホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)を先頭にスタートリーダージャージのホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)を先頭にスタート photo:Satoru Kato前橋市は、地球温暖化対策のため温室効果ガスの排出減に向けた「COOL CHOICE」という取り組みに賛同し、今年4月に「前橋市COOL CHOICE宣言」を行っている。この取り組みの中には自転車の利用促進が含まれ、レースイベントや自転車道の整備など積極的に行われている。群馬県庁や前橋市役所などが建ち並ぶ公道をコースに使用できるのは、そうした取り組みもあっての事と言えるだろう。

この日は朝まで雨が残ったものの、Jプロツアーがスタートする午後には路面は完全に乾き、時折雲の間から陽が差す天気。予報では肌寒い日との事だったが、最高気温は24℃まで上がり、若干暑さを感じる中でのレースとなった。

マトリックスパワータグが吉田隼人を勝利に導く

P1はコースを14周する49km。スタート直後からアタック合戦が続き、シマノレーシングや宇都宮ブリッツェンなどが抜け出しを試みる。しかしマトリックスパワータグがチェックに入り、逃げが決まらない時間が続く。

2周目 U23全日本チャンピオンの横山航太(シマノレーシング)、高木三千成(東京ヴェントス)が飛び出すも、直後に集団が迫る2周目 U23全日本チャンピオンの横山航太(シマノレーシング)、高木三千成(東京ヴェントス)が飛び出すも、直後に集団が迫る photo:Satoru Kato4周目 馬渡伸弥(宇都宮ブリッツェン)と、小山貴大(シマノレーシング)が逃げる4周目 馬渡伸弥(宇都宮ブリッツェン)と、小山貴大(シマノレーシング)が逃げる photo:Satoru Kato
5周目に形成された5人の逃げ集団。先頭は前年覇者の入部正太朗(シマノレーシング)5周目に形成された5人の逃げ集団。先頭は前年覇者の入部正太朗(シマノレーシング) photo:Satoru Kato佐野淳哉を先頭に集団コントロールするマトリックスパワータグ佐野淳哉を先頭に集団コントロールするマトリックスパワータグ photo:Satoru Kato

5周目、飯野智行(宇都宮ブリッツェン)、入部正太朗(シマノレーシング)、水野恭兵(インタープロサイクリングアカデミー)、吉岡直哉(那須ブラーゼン)、安原大貴(マトリックスパワータグ)ら5人の逃げが容認される。メイン集団は引き続きマトリックスパワータグがコントロールし、差を10秒から15秒に維持して周回を重ねていく。

残り5周 マトリックスパワータグが追撃開始残り5周 マトリックスパワータグが追撃開始 photo:Satoru Kato残り4周 逃げる4人の後方にメイン集団残り4周 逃げる4人の後方にメイン集団 photo:Satoru Kato

残り5周、マトリックスパワータグは逃げ集団の安原を下げて集団コントロールに加わらせる。4人になった逃げ集団はなお10秒ほどの差で逃げ続けるが、ペースアップしたメイン集団からは逃げきれず、残り2周で吸収される。

残り2周 リーダージャージのホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)自ら集団を牽引残り2周 リーダージャージのホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)自ら集団を牽引 photo:Satoru Kato最終周回 マトリックスパワータグがコントロールを続ける中、他チームも上がってくる最終周回 マトリックスパワータグがコントロールを続ける中、他チームも上がってくる photo:Satoru Kato

吉田隼人で勝負したいマトリックスパワータグは、逃げを吸収後も集団をコントロール。スプリンターで勝負したいチームが上がってくるが、佐野淳哉が牽引するマトリックス列車はそれらを寄せつけずに突き進む。

そして残り500mまでは土井雪広、そこからアイラン・フェルナンデスが引き継ぎ、最終コーナーを過ぎて残り100mのストレートに入って吉田隼人がスプリント開始。中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、秋田拓磨(シマノレーシングチーム)が続くが並ぶ事も許されず、吉田が今季3勝目を挙げた。

スプリントを制した吉田隼人(マトリックスパワータグ)スプリントを制した吉田隼人(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
吉田は、「レースの始めからペースが速く進み、アタックを選別するのが難しかったのですが、集団の前にチームが集まってコミュニケーションを取って、ちょっと危ないメンバーも入っていたけれど5人を行かせる事にしました。佐野選手と田窪選手が中心になってコントロールしていたのですが、明日のヒルクライムのためにホセ選手を温存したかったので、逃げに入っていた安原選手を戻しました。それがうまくいって、僕はラスト150mを踏むだけでした。先週の山口から良い流れが続いているので、ホセ選手のリーダージャージを維持するのもありますが、チーム総合優勝も取れるようにしていきたいです。気を緩めたら他のチームも狙ってますから、調子の良い時に差をつけられるようにしたいですね」と、コメントした。

P1 表彰式P1 表彰式 photo:Satoru Katoルビーレッドジャージはホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)、ピュアホワイトジャージは大前翔(東京ヴェントス)ルビーレッドジャージはホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)、ピュアホワイトジャージは大前翔(東京ヴェントス) photo:Satoru Kato

一方、2位の中村は「コーナーをうまく立ち回って集団の前に上がり、アイラン、(吉田)隼人さん、僕の順で最終コーナーに入りました。アイランがはけたところ僕とラインがかぶってしまって、ちょっと遅れてしまった感じになってしまいました。でも、ゴールまでもっと距離があったとしても、隼人さんのスピードは勝てなかったと思います。ゴール前で3番手を取れたのは自分でも初めての経験でした。2年前の湾岸クリテリウムで2位になった事はありましたが、それは逃げきっての2位でしたからね」と、スプリント2位の手応えを話す。

中村はジャパンカップクリテリウムのスペシャルライダーズとして出場する事が決まっている。「レベルは段違いになるけれど、ここで2位になった自信を持って臨みます」と、抱負を語った。

E1 八幡光哉が優勝

E1 レース終盤は縦長に集団が伸びるE1 レース終盤は縦長に集団が伸びる photo:Satoru KatoE1 八幡光哉(FORCE)が優勝E1 八幡光哉(FORCE)が優勝 photo:Satoru Kato

6周21kmで行われたE1。レース終盤に浜田大雅(EQADS)が単独で先行するが吸収。その後も福田圭晃(横浜高校)らが飛び出すも勝負を決定づけるものにはならず。集団スプリントを八幡光哉(FORCE)が制して優勝した。ネクストイエロージャージの岩崎晶雲(グランペールサイクリングチーム)が2位に入り、総合首位を維持している。
第2回JBCFまえばしクリテリウム 結果
P1(49km)
1位 吉田隼人(マトリックスパワータグ) 1時間4分10秒
2位 中村龍太郎(イナーメ信濃山形) +0秒
3位 秋田拓磨(シマノレーシング)
4位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
5位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン)
6位 下島将輝(那須ブラーゼン)
7位 入部正太朗(シマノレーシング)
8位 横塚浩平(レオモ・ベルマーレレーシングチーム)
9位 内野直也(ウォークライド・シクロアカデミア)
10位 藤岡克磨(ビクトワール広島)
スプリント賞
小山貴大(シマノレーシング)
安原大貴(マトリックスパワータグ)
吉岡直哉(那須ブラーゼン)

ルビーレッドジャージ:ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)
ピュアホワイトジャージ:大前 翔(東京ヴェントス)
E1(21km)
1位 八幡光哉(FORCE) 28分7秒
2位 岩崎晶雲(グランペールサイクリングチーム) +0秒
3位 武井 裕(アーティーファクトレーシングチーム)
4位 松木健治(VC VELOCE)
5位 中川直樹(SPADE・ACE)
6位 半田子龍(ブラウ・ブリッツェン)
スプリント賞
半澤雄高(LinkTOHOKU)

ネクストイエロージャージ:岩崎晶雲(グランペールサイクリングチーム)

text:Satoru Kato
photo:Hideaki TAKAGI, Satoru Kato

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