2017/09/04(月) - 09:37
アンダルシアでの2連続超級山岳フィニッシュ2日目。129.4kmで3,305mを登る過酷なブエルタ第15ステージで、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)が2勝目を手中に。クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)はマイヨロホを堅守した。
荒涼とした超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠の頂上付近 photo:CorVos
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第15ステージ image:Unipublic
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第15ステージ image:Unipublic
ブエルタの第2週目を締めくくるのがアンダルシアの2連続超級山頂フィニッシュ。その2日目は、距離129.4kmという短さにも関わらず、1級山岳ハザリャナス峠→1級山岳プルケ峠→超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠と破壊力満点の3つの峠が組み込まれ獲得標高が3,305mにものぼる過酷な行程だ。
この日はレース距離が短いため、序盤から活発にアタック合戦が巻き起こる。ステファン・ロゼット(フランス)とアントニー・ペレス(フランス)のコフィディスコンビとネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)の3名がようやく35km地点から抜け出し、ここにマイヨプントスを着用するマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)ら5名が10kmにわたる追走の後に合流に成功。合計8名がローテーションを回しながら集団とのリードを広げていった。
45km地点に用意された中間スプリントでは、狙い通りトレンティンが先頭通過を果たしリードを広げることに成功。しかし直後の1級山岳ハザリャナス峠(長さ16.3km/平均5.5%)では19〜22%という勾配を刻む激坂区間で8名は散り散りとなり、サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)やロゼットが生き残る。
アスタナがコントロールするメイン集団。その後ろにチームスカイが控える photo:Unipublic/Photogomez Sport
クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Unipublic/Photogomez Sport
1級山岳ハザリャナス峠でアタックしたアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) photo:Unipublic/Photogomez Sport
チームスカイではなくアスタナがコントロールを担った集団からは、「ステージ優勝を狙ってのアタックだったが、チャベスの為の前待ちも考えていた」というアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)が、ピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)に同調してアタック。ここにロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)と、総合順位ジャンプアップを狙うステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)が同調して追走集団が生まれた。
一気にメイン集団から遅れていく選手たちの中には、総合トップ10返り咲きを目指していたニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やマイヨモンターニャを着る2016年ジャパンカップ覇者ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)の姿も。この日ロッシュは16分以上も遅れ、総合争いから脱落を喫した。
1級山岳プルケ峠(長さ8.5km/平均8%)は下り区間を含むため実質的な平均勾配は10%近い難関山岳。それまで独走を築いていたアルメは追走グループに追いつかれ、続けざまなにイェーツが軽やかなダンシングでアタック。バルデやクライスヴァイクはイェーツのプッシュに後塵を拝した。
「作戦も何もなく、とにかくギリギリの限界付近でプッシュし続けた。フィニッシュまで全力を尽くすだけだった」というイェーツの2分後方では、メイン集団から総合8位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)と同10位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がアタック。静観することを選んだチームスカイに対して徐々に差を広げ、勢いを失くしたバルデらを吸収しながらプルケ峠頂上を越え、ダウンヒルに突入していく。
集団前方で超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠を登るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Unipublic/Photogomez Sport
距離19.3km、平均勾配5.6%という超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠に到達した時点で、先頭イェーツと追想グループ(ロペス、コンタドール、バルデ、クライスヴァイク)に対して1分差、そして追走からメイン集団までは更に1分差。チームスカイのミケル・ニエベ(スペイン)とワウト・プールス(オランダ)のペースメイクによって、メイン集団の人数は15名程度にまで絞り込まれれた。
すると追想グループからは残り6km地点でロペスがアタックし、コンタドールは脱落。「勇敢に走りたかったし、アタックした後ろで集団がどう反応するか見たかった。チームスカイは非常にパワフルで結果的に(引き離すのは)難しかった。リスクは理解していたが、あえてその作戦を選んだ」と言うコンタドールに対して、赤ゼッケンを付けるロペスは一気にリードを広げていく。
力強いペダリングで突き進んだロペスは4.2km地点でイェーツに追いつき、そのままアタックを続行。ここまで逃げ続けてきたイェーツも一瞬食らいついたものの、すぐに脱落。時を同じくして遅れたバルデとコンタドールはメイン集団に飲み込まれ、やがて遅れていった。
独走で超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠を登るミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:CorVos
終盤に抜け出したイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) photo:CorVos
下を向いてフィニッシュを目指すクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:CorVos
独走で今大会最高標高の超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠を登ったミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:CorVos
プールスがコントロールする集団からはイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)がアタックしたが、集中した表情でプッシュを続けるロペスは遥か先。最後まで勢いを保ち続けたロペスは独走で今大会の最高地点でもある標高2,510mのフィニッシュ地点に到達。胸で従事を切り、人差し指で空を指差した。
ザカリンは36秒差、ゴール直前でアタックしたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)が45秒差、続いてエスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)とフルームがフィニッシュしたため、フルームはマイヨロホを堅守。ザカリンは4位から3位に順位を上げたほか、ステージ優勝したロペスは10位から6位へと大躍進を収めた。
ブエルタ中盤戦から強さを発揮しているロペスはフィニッシュ後に「素晴らしい一日になった。チーム全体で攻撃した末に生まれた勝利で、僕のために尽くしてくれた彼らのために負けたくはなかった。最後の登りは長かったけれど、僕にはパワーがあった。最高の勝利だ」とコメントしている。
一方、遅れつつも粘ったコンタドールはフルームらから40秒以上遅れ、総合順位を一つ落として9位に。また、ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)も5分23秒遅れたため、総合7位から11位に落とした。



ブエルタの第2週目を締めくくるのがアンダルシアの2連続超級山頂フィニッシュ。その2日目は、距離129.4kmという短さにも関わらず、1級山岳ハザリャナス峠→1級山岳プルケ峠→超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠と破壊力満点の3つの峠が組み込まれ獲得標高が3,305mにものぼる過酷な行程だ。
この日はレース距離が短いため、序盤から活発にアタック合戦が巻き起こる。ステファン・ロゼット(フランス)とアントニー・ペレス(フランス)のコフィディスコンビとネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)の3名がようやく35km地点から抜け出し、ここにマイヨプントスを着用するマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)ら5名が10kmにわたる追走の後に合流に成功。合計8名がローテーションを回しながら集団とのリードを広げていった。
45km地点に用意された中間スプリントでは、狙い通りトレンティンが先頭通過を果たしリードを広げることに成功。しかし直後の1級山岳ハザリャナス峠(長さ16.3km/平均5.5%)では19〜22%という勾配を刻む激坂区間で8名は散り散りとなり、サンデル・アルメ(ベルギー、ロット・ソウダル)やロゼットが生き残る。



チームスカイではなくアスタナがコントロールを担った集団からは、「ステージ優勝を狙ってのアタックだったが、チャベスの為の前待ちも考えていた」というアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)が、ピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)に同調してアタック。ここにロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル)と、総合順位ジャンプアップを狙うステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)が同調して追走集団が生まれた。
一気にメイン集団から遅れていく選手たちの中には、総合トップ10返り咲きを目指していたニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やマイヨモンターニャを着る2016年ジャパンカップ覇者ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)の姿も。この日ロッシュは16分以上も遅れ、総合争いから脱落を喫した。
1級山岳プルケ峠(長さ8.5km/平均8%)は下り区間を含むため実質的な平均勾配は10%近い難関山岳。それまで独走を築いていたアルメは追走グループに追いつかれ、続けざまなにイェーツが軽やかなダンシングでアタック。バルデやクライスヴァイクはイェーツのプッシュに後塵を拝した。
「作戦も何もなく、とにかくギリギリの限界付近でプッシュし続けた。フィニッシュまで全力を尽くすだけだった」というイェーツの2分後方では、メイン集団から総合8位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)と同10位のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)がアタック。静観することを選んだチームスカイに対して徐々に差を広げ、勢いを失くしたバルデらを吸収しながらプルケ峠頂上を越え、ダウンヒルに突入していく。

距離19.3km、平均勾配5.6%という超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠に到達した時点で、先頭イェーツと追想グループ(ロペス、コンタドール、バルデ、クライスヴァイク)に対して1分差、そして追走からメイン集団までは更に1分差。チームスカイのミケル・ニエベ(スペイン)とワウト・プールス(オランダ)のペースメイクによって、メイン集団の人数は15名程度にまで絞り込まれれた。
すると追想グループからは残り6km地点でロペスがアタックし、コンタドールは脱落。「勇敢に走りたかったし、アタックした後ろで集団がどう反応するか見たかった。チームスカイは非常にパワフルで結果的に(引き離すのは)難しかった。リスクは理解していたが、あえてその作戦を選んだ」と言うコンタドールに対して、赤ゼッケンを付けるロペスは一気にリードを広げていく。
力強いペダリングで突き進んだロペスは4.2km地点でイェーツに追いつき、そのままアタックを続行。ここまで逃げ続けてきたイェーツも一瞬食らいついたものの、すぐに脱落。時を同じくして遅れたバルデとコンタドールはメイン集団に飲み込まれ、やがて遅れていった。




プールスがコントロールする集団からはイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)がアタックしたが、集中した表情でプッシュを続けるロペスは遥か先。最後まで勢いを保ち続けたロペスは独走で今大会の最高地点でもある標高2,510mのフィニッシュ地点に到達。胸で従事を切り、人差し指で空を指差した。
ザカリンは36秒差、ゴール直前でアタックしたウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ)が45秒差、続いてエスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)とフルームがフィニッシュしたため、フルームはマイヨロホを堅守。ザカリンは4位から3位に順位を上げたほか、ステージ優勝したロペスは10位から6位へと大躍進を収めた。
ブエルタ中盤戦から強さを発揮しているロペスはフィニッシュ後に「素晴らしい一日になった。チーム全体で攻撃した末に生まれた勝利で、僕のために尽くしてくれた彼らのために負けたくはなかった。最後の登りは長かったけれど、僕にはパワーがあった。最高の勝利だ」とコメントしている。
一方、遅れつつも粘ったコンタドールはフルームらから40秒以上遅れ、総合順位を一つ落として9位に。また、ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)も5分23秒遅れたため、総合7位から11位に落とした。
H3
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第15ステージ
ステージ成績
1位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 3:34:51 |
2位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 0:36 |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 0:45 |
4位 | エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | 0:47 |
5位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
6位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | 0:50 |
7位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 0:53 |
8位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | |
9位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | |
10位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ) | 1:02 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 62:06:25 |
2位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 1:01 |
3位 | イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) | 2:08 |
4位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 2:11 |
5位 | エスデバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) | 2:39 |
6位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 2:51 |
7位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 3:24 |
8位 | マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック) | 3:26 |
9位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 3:59 |
10位 | ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ) | 5:22 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 110pts |
2位 | マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) | 107pts |
3位 | ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 88pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位 | ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) | 49pts |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 41pts |
3位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 29pts |
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 5pts |
2位 | ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) | 12pts |
3位 | ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、サンウェブ) | 21pts |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 185:51:26 |
2位 | チームスカイ | 12:38 |
3位 | モビスター | 31:21 |
text:So.Isobe
photo:CorVos,Unipublic/Photogomez Sport
photo:CorVos,Unipublic/Photogomez Sport
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