2017/07/31(月) - 07:59
7月30日、イギリスのロンドンにて第6回プルデンシャル・ライドロンドン・サリー・クラシックが開催。UCIワールドツアーに昇格したワンデーレースは残り1.5kmで逃げを捉えた集団によるスプリントに持ち込まれ、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)が勝利した。
7月最後の週末、ロンドンはサイクリストのものになった。一般参加型のフリーライドやブロンプトン世界選手権、UCIウィメンズ・ワールドツアーレース、プロレースと同じコースを走る参加者3万人のシクロスポルティーフなど、金曜日から日曜日までロンドン中心部で開催されたプルデンシャル・ライドロンドン。その3日間のイベントを締めくくるのが6年目のライドロンドン・サリー・クラシックだ。
ロンドン五輪の準備レースとして2011年に初開催され、2013年から毎年開催されているワンデーレースは2017年にUCIワールドツアーレースに昇格した。イギリス初のUCIワールドツアーレースとなった大会はその名の通りロンドン市内からサリー州の丘陵地帯を経てロンドン市内に戻るレイアウトで、バッキンガム宮殿につながる大通りのザ・マルでフィナーレを迎える。
全長183kmコースの最高地点は標高250mで、獲得標高差も2,000m足らず。その数字だけ見ると難易度は低いように感じられるが、中盤は小刻みなアップダウンの繰り返しで、チームカーが一台やっと通れるほどの田舎道も登場するため気が抜けない。2012年のロンドン五輪で使用されたボックスヒルが最後の難所だ。
UCIワールドツアー昇格に伴って自動的に出場権を得た18のUCIワールドチームのうち、出場したのはアスタナとモビスター、エフデジ、バーレーン・メリダを除く14チーム。ここに8つのUCIプロコンチネンタルチームを加えた22チームがスタートを切った。
大々的に交通規制されたロンドン中心部を離れて郊外に向かう集団からはアタックが続発。イーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)やマッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)を含む5名が先行を開始し、4分のリードでサリー州の丘陵地帯へと入っていく。
メイン集団をコントロールしたのはマイケル・マシューズ(オーストラリア)擁するサンウェブと、これまで2回表彰台に上っているベン・スウィフト(イギリス)擁するUAEチームエミレーツ、そして地元イギリスのチームスカイ。ペースを落とさずに丘を越えていくメイン集団はレース中盤に早くも逃げを吸収してしまった。
すると、フィニッシュまでまだ73kmを残した最後から2つめのKOMランモアでチームスカイが攻撃に出る。タオ・ゲオゲガンハート(イギリス)のペースアップから発射される形でピーター・ケニャック(イギリス)がアタック。ここにマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)とダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)が飛びついた。
ケニャックがメカトラで脱落したため先頭はトレンティンとインピーの2人に。30秒に満たないリードのまま最後のKOMボックスヒルに差し掛かると、メイン集団からカウンターアタックしたジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が先頭に合流。こうして、フィニッシュまで50kmを残して強力なエスケープトリオが形成され、30秒のリードでロンドン中心部に向かう平坦路へ。やがてインピーが脱落したが、トレンティンとストゥイヴェンの2人が力強いペースで逃げ続ける。
カチューシャ・アルペシンとサンウェブの集団牽引によって残り10km地点で15秒までタイム差は縮まったが、クイックステップフロアーズとトレック・セガフレードが集団前方に人数を揃えたためローテーションが回らない。逃げと集団のペースが拮抗した状態が続き、タイム差が縮まらないまま残り5kmのサインを通過する。
残り4kmを切るとサンウェブやオリカ・スコット、チームスカイも集団前方へ。ポジション争いが始まった集団は自然とスピードが上がり、前を走るトレンティンとストゥイヴェンとの距離が縮まり始めた。
テムズ川に沿った平坦路を走り、ロンドン中心部に近づくとメイン集団は逃げをロックオン。フィニッシュラインまで1.5kmを残して、ビッグベン(ウェストミンスター宮殿)の真ん前で逃げは吸収。4名を揃えるオリカ・スコットが主導権を握った状態で残り1kmアーチをくぐった。
ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・スコット)を先頭にトラファルガー広場前の最終コーナーを抜け、アドミラルティ・アーチをくぐってザ・マルの最終ストレートに突入。残り300mでリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)のためのリードアウトを開始する。
タイミング良くスプリントに持ち込んだベネットだったが、ほぼ同時に加速したクリストフが先頭を奪う。別ラインから仕掛けたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)は伸びず、マグナスコルト・ニールセン(デンマーク、オリカ・スコット)とマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がクリストフを追撃。しかしフィニッシュラインの位置を何度か確認しながら下を向いてもがき続けたクリストフが先頭を守り抜いた。
「強力な逃げが形成されたので手こずったけど、ニルス・ポリッツが猛烈な勢いで追いかけてくれた。他のチームの協力をあまり得られなかったので、カチューシャ・アルペシンが最後まで集団を引き続けた。ツールの時よりもずっと調子が良くて、スプリントになればチャンスがあると思っていた。最後はミカエル・モルコフにリードアウトされ、自分は最後の最後に加速しただけ」と、約3ヶ月ぶりの勝利を手にしたクリストフ。
クリストフは同じザ・マルにフィニッシュしたロンドン五輪ロードレースで銅メダルを獲得している。「落車が連続したこともあってツール・ド・フランスで1勝もできなかったので、ここで一発奮起したかった。今日はメンバー全員が使命感を持って勝負に挑んだ。このコースは完全に自分向きだと思っていたよ」。クリストフはツール・ド・フランスで5回トップ5フィニッシュしているもののステージ優勝には届かず。チーム移籍が噂されている状態の中で価値ある勝利を飾った。
7月最後の週末、ロンドンはサイクリストのものになった。一般参加型のフリーライドやブロンプトン世界選手権、UCIウィメンズ・ワールドツアーレース、プロレースと同じコースを走る参加者3万人のシクロスポルティーフなど、金曜日から日曜日までロンドン中心部で開催されたプルデンシャル・ライドロンドン。その3日間のイベントを締めくくるのが6年目のライドロンドン・サリー・クラシックだ。
ロンドン五輪の準備レースとして2011年に初開催され、2013年から毎年開催されているワンデーレースは2017年にUCIワールドツアーレースに昇格した。イギリス初のUCIワールドツアーレースとなった大会はその名の通りロンドン市内からサリー州の丘陵地帯を経てロンドン市内に戻るレイアウトで、バッキンガム宮殿につながる大通りのザ・マルでフィナーレを迎える。
全長183kmコースの最高地点は標高250mで、獲得標高差も2,000m足らず。その数字だけ見ると難易度は低いように感じられるが、中盤は小刻みなアップダウンの繰り返しで、チームカーが一台やっと通れるほどの田舎道も登場するため気が抜けない。2012年のロンドン五輪で使用されたボックスヒルが最後の難所だ。
UCIワールドツアー昇格に伴って自動的に出場権を得た18のUCIワールドチームのうち、出場したのはアスタナとモビスター、エフデジ、バーレーン・メリダを除く14チーム。ここに8つのUCIプロコンチネンタルチームを加えた22チームがスタートを切った。
大々的に交通規制されたロンドン中心部を離れて郊外に向かう集団からはアタックが続発。イーリョ・ケイセ(ベルギー、エティックス・クイックステップ)やマッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)を含む5名が先行を開始し、4分のリードでサリー州の丘陵地帯へと入っていく。
メイン集団をコントロールしたのはマイケル・マシューズ(オーストラリア)擁するサンウェブと、これまで2回表彰台に上っているベン・スウィフト(イギリス)擁するUAEチームエミレーツ、そして地元イギリスのチームスカイ。ペースを落とさずに丘を越えていくメイン集団はレース中盤に早くも逃げを吸収してしまった。
すると、フィニッシュまでまだ73kmを残した最後から2つめのKOMランモアでチームスカイが攻撃に出る。タオ・ゲオゲガンハート(イギリス)のペースアップから発射される形でピーター・ケニャック(イギリス)がアタック。ここにマッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)とダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・スコット)が飛びついた。
ケニャックがメカトラで脱落したため先頭はトレンティンとインピーの2人に。30秒に満たないリードのまま最後のKOMボックスヒルに差し掛かると、メイン集団からカウンターアタックしたジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)が先頭に合流。こうして、フィニッシュまで50kmを残して強力なエスケープトリオが形成され、30秒のリードでロンドン中心部に向かう平坦路へ。やがてインピーが脱落したが、トレンティンとストゥイヴェンの2人が力強いペースで逃げ続ける。
カチューシャ・アルペシンとサンウェブの集団牽引によって残り10km地点で15秒までタイム差は縮まったが、クイックステップフロアーズとトレック・セガフレードが集団前方に人数を揃えたためローテーションが回らない。逃げと集団のペースが拮抗した状態が続き、タイム差が縮まらないまま残り5kmのサインを通過する。
残り4kmを切るとサンウェブやオリカ・スコット、チームスカイも集団前方へ。ポジション争いが始まった集団は自然とスピードが上がり、前を走るトレンティンとストゥイヴェンとの距離が縮まり始めた。
テムズ川に沿った平坦路を走り、ロンドン中心部に近づくとメイン集団は逃げをロックオン。フィニッシュラインまで1.5kmを残して、ビッグベン(ウェストミンスター宮殿)の真ん前で逃げは吸収。4名を揃えるオリカ・スコットが主導権を握った状態で残り1kmアーチをくぐった。
ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・スコット)を先頭にトラファルガー広場前の最終コーナーを抜け、アドミラルティ・アーチをくぐってザ・マルの最終ストレートに突入。残り300mでリュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)のためのリードアウトを開始する。
タイミング良くスプリントに持ち込んだベネットだったが、ほぼ同時に加速したクリストフが先頭を奪う。別ラインから仕掛けたエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)は伸びず、マグナスコルト・ニールセン(デンマーク、オリカ・スコット)とマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がクリストフを追撃。しかしフィニッシュラインの位置を何度か確認しながら下を向いてもがき続けたクリストフが先頭を守り抜いた。
「強力な逃げが形成されたので手こずったけど、ニルス・ポリッツが猛烈な勢いで追いかけてくれた。他のチームの協力をあまり得られなかったので、カチューシャ・アルペシンが最後まで集団を引き続けた。ツールの時よりもずっと調子が良くて、スプリントになればチャンスがあると思っていた。最後はミカエル・モルコフにリードアウトされ、自分は最後の最後に加速しただけ」と、約3ヶ月ぶりの勝利を手にしたクリストフ。
クリストフは同じザ・マルにフィニッシュしたロンドン五輪ロードレースで銅メダルを獲得している。「落車が連続したこともあってツール・ド・フランスで1勝もできなかったので、ここで一発奮起したかった。今日はメンバー全員が使命感を持って勝負に挑んだ。このコースは完全に自分向きだと思っていたよ」。クリストフはツール・ド・フランスで5回トップ5フィニッシュしているもののステージ優勝には届かず。チーム移籍が噂されている状態の中で価値ある勝利を飾った。
プルデンシャル・ライドロンドン・サリー・クラシック2017結果
1位 | アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) | 4:45:41 |
2位 | マグナスコルト・ニールセン(デンマーク、オリカ・スコット) | |
3位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | |
4位 | セップ・ヴァンマルク(ベルギー、キャノンデール・ドラパック) | |
5位 | ワウテル・ウィッペルト(オランダ、キャノンデール・ドラパック) | |
6位 | ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング) | |
7位 | ザッカリ・デンプスター(オーストラリア、イスラエル・サイクリングアカデミー) | |
8位 | サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) | |
9位 | ルディ・バルビエ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
10位 | オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール) |
text&photo:Kei Tsuji in London, UK
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