2017/07/21(金) - 04:19
超級山岳イゾアール峠にフィニッシュする今大会最後の山岳ステージでマイヨアポワを着るワレン・バルギルが勝利。クリストファー・フルームはライバルたちの攻撃を全て封じたものの、ステージ3位のロマン・バルデが総合タイム差を4秒詰めることに成功した。
2017年のマイヨジョーヌをかけた最後の山岳決戦の舞台となったのがイタリア国境に近い超級山岳イゾアール峠(全長14.1km/平均7.3%)の山頂フィニッシュ。残り50km地点でピークを迎える1級山岳ヴァール峠(全長9.3km/平均7.5%)を越えて、ツール35回目の登場となる今大会最後の超級山岳に挑む。
ブリアンソンの街を出てすぐに始まった新城幸也(バーレーン・メリダ)も加わるアタック合戦は熾烈を極め、やがて14kmが経過したところでメイン集団が割れたといってもいい形で54名が先行。総合最高位は総合16位(33分32秒差)のブリース・フェイユ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)。つまり総合争いに関係しない選手による逃げ集団が形成されると、チームスカイ率いるメイン集団はこれを見送った。
逃げ集団からは3級山岳でリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)とトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)がアタック。山岳賞3位のデヘントが先頭で通過して2ポイントを重ねる。その後も逃げ集団ではアタックが繰り返されたが、概ね54名の塊のまま8分15秒リードをキープして後半へ。スプリントポイント(93km地点)を先頭通過したソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)はポイント賞3位までポジションを上げた。
1級山岳ヴァール峠でロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)とダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が積極的にペースアップすると逃げ集団は崩壊する。トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が合流して先頭は4名に。ルツェンコが1級山岳ヴァール峠を先頭通過したことで、この時点で暫定的にワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)のマイヨアポワ獲得が確定した。
先頭がルツェンコ、ロメン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)の3名に再編成される中、6分後方のメイン集団ではアージェードゥーゼールのペースアップがスタート。逃げグループとのタイム差を詰めながら超級山岳イゾアール峠へ。
本格的な登坂開始を前に先頭で独走に持ち込んだのはルツェンコ。しかし標高2,360mの頂上に向かう険しい登りは完全にクライマー向きだった。ポジションを上げたアタプマが残り6.5km地点でルツェンコをパスして先頭に立つ。
アージェードゥーゼールがハイペースを刻むメイン集団からは総合4位のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が脱落してしまう。すると、総合10位のワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)と総合9位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がメイン集団からアタック。先頭アタプマから1分45秒遅れで残り5km地点を通過したバルギルがやがてコンタドールを振り切った。
バルギルはその後も快調に登りを進み、残り1.5kmでついに先頭のアタプマをキャッチする。フラムルージュ通過とともにバルギルがアタプマを千切って独走開始。執拗に後方を確認しながらリードを保ったバルギルが天を指差してフィニッシュした。
一方のメイン集団ではマイヨジョーヌ争いが白熱。ペースを作ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が下がると今度は総合5位のミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が集団からアタック。チームスカイのサブエースを追って総合6位のダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)や総合3位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)が追撃したものの、マイヨジョーヌのフルームが落ち着いてこれらを処理する。逆に残り3km地点でフルームが自ら動き、短い下り区間を攻めて前を走るランダに合流した。
しかしフルームは直近のライバルたちを引き離せず、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)とバルデが追いついてマイヨジョーヌグループは4名に。ランダが献身的な引きでフルームをエスコートし、その後ろにバルデとウランが食らいついてフラムルージュを潜る。
残り400mでバルデがアタックを繰り出すとランダが力尽き、フルームとともにスプリントしながら登りを突き進む。最後はステージ2位アタプマのすぐ後ろまで迫り、先頭バルギルから20秒遅れでフルームを下したバルデがステージ3位フィニッシュした。
「現実として受け入れることができない」と、ステージ2勝目のバルギルは語る。「アルベルト・コンタドールを引き離して総合順位を上げるためにアタック。でもどれだけの選手が前に残っているのかわからなかった。トニー・ガロパンが最後だと思っていたらまだダルウィン・アタプマがいた。ツール・ド・スイスで彼に負けたことが頭をよぎったけど、リベンジのつもりで走ったんだ」。
バルギルはマイヨアポワを確定させるとともに総合9位に浮上。将来的にマイヨジョーヌを狙うことを公言した。「今はこのマイヨアポワを堪能したい。そして次は総合成績を狙うためにツールに戻ってきたい」。
「フィニッシュラインで息が止まるかと思ったほど、力を出し尽くした」と語るのはステージ3位に入り、フルームとの総合タイム差を4秒詰めて23秒としたバルデ。「チームとしてレースを動かして、最後は気持ちで押し切った。何も後悔しないようにリスクも負った。まだ個人TTが残っているけど、昨年よりも総合で1つ上(総合2位)につけているのですでに成功した気分だ」。
今大会最後の山岳決戦を終えて、総合1位フルームと総合2位バルデの総合タイム差は23秒、そして総合3位ウランとの総合タイム差は29秒に。アルが失速したためランダが1分36秒差の総合4位に浮上している。総合首位でアルプスを終えたフルームは「もちろんツールで最も象徴的な登りでステージ優勝できれば最高だったけど、それよりもマイヨジョーヌを守ることが最優先だった。最も厳しい山岳ステージはこれで終了。マイヨジョーヌを着たままパリにたどり着くことができれば別にステージ優勝なしでも構わない」とコメントする。
総合争いを決するのは第20ステージのマルセイユ個人タイムトライアル。フルームは「マイヨジョーヌの最も大きな脅威はウラン。オールラウンダーの中で自分に次いで2番目にタイムトライアル力があるのが彼であり、29秒しか離れていない。マルセイユの個人TTで注意すべきはウランだ」と、23秒差のバルデではなく29秒差のウランを警戒している。
2017年のマイヨジョーヌをかけた最後の山岳決戦の舞台となったのがイタリア国境に近い超級山岳イゾアール峠(全長14.1km/平均7.3%)の山頂フィニッシュ。残り50km地点でピークを迎える1級山岳ヴァール峠(全長9.3km/平均7.5%)を越えて、ツール35回目の登場となる今大会最後の超級山岳に挑む。
ブリアンソンの街を出てすぐに始まった新城幸也(バーレーン・メリダ)も加わるアタック合戦は熾烈を極め、やがて14kmが経過したところでメイン集団が割れたといってもいい形で54名が先行。総合最高位は総合16位(33分32秒差)のブリース・フェイユ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)。つまり総合争いに関係しない選手による逃げ集団が形成されると、チームスカイ率いるメイン集団はこれを見送った。
逃げ集団からは3級山岳でリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)とトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)がアタック。山岳賞3位のデヘントが先頭で通過して2ポイントを重ねる。その後も逃げ集団ではアタックが繰り返されたが、概ね54名の塊のまま8分15秒リードをキープして後半へ。スプリントポイント(93km地点)を先頭通過したソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)はポイント賞3位までポジションを上げた。
1級山岳ヴァール峠でロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)とダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が積極的にペースアップすると逃げ集団は崩壊する。トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が合流して先頭は4名に。ルツェンコが1級山岳ヴァール峠を先頭通過したことで、この時点で暫定的にワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)のマイヨアポワ獲得が確定した。
先頭がルツェンコ、ロメン・アルディ(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)、ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)の3名に再編成される中、6分後方のメイン集団ではアージェードゥーゼールのペースアップがスタート。逃げグループとのタイム差を詰めながら超級山岳イゾアール峠へ。
本格的な登坂開始を前に先頭で独走に持ち込んだのはルツェンコ。しかし標高2,360mの頂上に向かう険しい登りは完全にクライマー向きだった。ポジションを上げたアタプマが残り6.5km地点でルツェンコをパスして先頭に立つ。
アージェードゥーゼールがハイペースを刻むメイン集団からは総合4位のファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が脱落してしまう。すると、総合10位のワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)と総合9位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がメイン集団からアタック。先頭アタプマから1分45秒遅れで残り5km地点を通過したバルギルがやがてコンタドールを振り切った。
バルギルはその後も快調に登りを進み、残り1.5kmでついに先頭のアタプマをキャッチする。フラムルージュ通過とともにバルギルがアタプマを千切って独走開始。執拗に後方を確認しながらリードを保ったバルギルが天を指差してフィニッシュした。
一方のメイン集団ではマイヨジョーヌ争いが白熱。ペースを作ったミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)が下がると今度は総合5位のミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が集団からアタック。チームスカイのサブエースを追って総合6位のダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)や総合3位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)が追撃したものの、マイヨジョーヌのフルームが落ち着いてこれらを処理する。逆に残り3km地点でフルームが自ら動き、短い下り区間を攻めて前を走るランダに合流した。
しかしフルームは直近のライバルたちを引き離せず、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)とバルデが追いついてマイヨジョーヌグループは4名に。ランダが献身的な引きでフルームをエスコートし、その後ろにバルデとウランが食らいついてフラムルージュを潜る。
残り400mでバルデがアタックを繰り出すとランダが力尽き、フルームとともにスプリントしながら登りを突き進む。最後はステージ2位アタプマのすぐ後ろまで迫り、先頭バルギルから20秒遅れでフルームを下したバルデがステージ3位フィニッシュした。
「現実として受け入れることができない」と、ステージ2勝目のバルギルは語る。「アルベルト・コンタドールを引き離して総合順位を上げるためにアタック。でもどれだけの選手が前に残っているのかわからなかった。トニー・ガロパンが最後だと思っていたらまだダルウィン・アタプマがいた。ツール・ド・スイスで彼に負けたことが頭をよぎったけど、リベンジのつもりで走ったんだ」。
バルギルはマイヨアポワを確定させるとともに総合9位に浮上。将来的にマイヨジョーヌを狙うことを公言した。「今はこのマイヨアポワを堪能したい。そして次は総合成績を狙うためにツールに戻ってきたい」。
「フィニッシュラインで息が止まるかと思ったほど、力を出し尽くした」と語るのはステージ3位に入り、フルームとの総合タイム差を4秒詰めて23秒としたバルデ。「チームとしてレースを動かして、最後は気持ちで押し切った。何も後悔しないようにリスクも負った。まだ個人TTが残っているけど、昨年よりも総合で1つ上(総合2位)につけているのですでに成功した気分だ」。
今大会最後の山岳決戦を終えて、総合1位フルームと総合2位バルデの総合タイム差は23秒、そして総合3位ウランとの総合タイム差は29秒に。アルが失速したためランダが1分36秒差の総合4位に浮上している。総合首位でアルプスを終えたフルームは「もちろんツールで最も象徴的な登りでステージ優勝できれば最高だったけど、それよりもマイヨジョーヌを守ることが最優先だった。最も厳しい山岳ステージはこれで終了。マイヨジョーヌを着たままパリにたどり着くことができれば別にステージ優勝なしでも構わない」とコメントする。
総合争いを決するのは第20ステージのマルセイユ個人タイムトライアル。フルームは「マイヨジョーヌの最も大きな脅威はウラン。オールラウンダーの中で自分に次いで2番目にタイムトライアル力があるのが彼であり、29秒しか離れていない。マルセイユの個人TTで注意すべきはウランだ」と、23秒差のバルデではなく29秒差のウランを警戒している。
H3
ツール・ド・フランス2017第18ステージ結果
ステージ成績
1位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 4:40:33 |
2位 | ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) | 0:20 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | |
4位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | |
5位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | 0:22 |
6位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 0:32 |
7位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 0:37 |
8位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 0:39 |
9位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 0:59 |
10位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 1:09 |
13位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 3:14 |
16位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング) | 5:07 |
105位 | 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) | 23:50 |
敢闘賞 | ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 78:08:19 |
2位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:23 |
3位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | 0:29 |
4位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 1:36 |
5位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 1:55 |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 2:56 |
7位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 4:46 |
8位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 6:52 |
9位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 8:22 |
10位 | アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) | 8:34 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 364ts |
2位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) | 204pts |
3位 | ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) | 163pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 169pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 80pts |
3位 | トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) | 63pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 78:13:05 |
2位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 2:06 |
3位 | エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | 26:15 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 234:42:38 |
2位 | アージェードゥーゼール | 15:18 |
3位 | BMCレーシング | 1:47:35 |
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