2017/07/13(木) - 02:06
ピレネー山脈突入を前にしたツール・ド・フランス第11ステージの大集団スプリントでマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)がステージ5勝目をマーク。圧倒的なスプリントでマイヨヴェールのリードをさらに広げることに成功した。
曇り空のヒマワリ畑を走る photo:Tim de Waele / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第11ステージ ©GEOATLAS
ツール・ド・フランス2017第11ステージ ©A.S.O.
ピレネーの玄関口ポーに向かう203.5kmコースはフラット。4級山岳が1つだけ設定されたコースは完全にスプリンター向きで、ピレネー山脈突入前にスピード自慢たちが結果を残しておきたいところ。街中にあるいくつものラウンドアバウトを越えて、過去に何度もフィニッシュを迎え入れているマキ・デュ・ベアン通りで第11ステージはフィナーレを迎える。
スタートフラッグが振られるとともに飛び出したのはマルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)で、ここにマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)とフレデリック・バカールト(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)がジョイン。こうしてスタート後すぐに形成された3名の逃げは44km地点で最大4分44秒のアドバンテージを築いた。
前日に引き続いてクイックステップフロアーズとロット・ソウダルが集団コントロールを担い、ここにカチューシャ・アルペシンも合流する。向かい風の中でも平均44km/h前後のペースを刻んだ先頭3名だったが、スプリンターチームは容赦なくタイム差を2分30秒前後に抑え込んだ。
平坦な長い直線路で構成されたコースを進んだメイン集団内では落車が散発する。補給ポイントで落車したダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)は手首骨折によってリタイア。クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合優勝者のヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)も落車して手首を痛め、総合逆転を狙うアスタナに暗雲が立ち込める。続いて落車したロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は大きな怪我を免れている。
ヒマワリ畑の広がる平野を走る photo:Tim de Waele / TDWsport
スタート直後から逃げたマルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら3名 photo:Tim de Waele / TDWsport
この日もジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、クイックステップフロアーズ)とラルスイティング・バク(デンマーク、ロット・ソウダル)が長時間集団を牽引 photo:Tim de Waele / TDWsport
メイン集団を牽引するティアゴ・マシャド(ポルトガル、カチューシャ・アルペシン) photo:Tim de Waele / TDWsport
この日もディスクブレーキを使用したマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
残り30km地点で逃げグループとメイン集団のタイム差は30秒に。逃げ吸収へのカウントダウンが始まる中、やがてボドナールが単独での逃げ続行を決意。ポーランドのナショナルTTチャンピオンに4度輝き、2016年ツールでサガンの逃げ切りスプリント勝利に大きく貢献したボドナールが独走に持ち込んだ。
風を警戒するメイン集団は落ち着かず、残り22km地点でアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が落車。2007年と2009年のツール総合優勝者で、現在総合12位(5分15秒遅れ)のコンタドールはチームメイトにアシストされて無事に集団復帰している。
後ろを気にすることなくただひたすら独走を続けたボドナール。集団内で発生した落車の影響でむしろタイム差は広がり、残り10kmでタイム差は40秒に。そのまま独走態勢でフラムルージュを駆け抜けたボドナールだったが、ディメンションデータやクイックステップフロアーズを先頭に縦に長く伸びたメイン集団がすぐ後ろに迫った。
独走で逃げ続けるマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Tim de Waele / TDWsport
落車したミヒャエル・ゴグル(オーストリア、トレック・セガフレード)とアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele / TDWsport
落車したソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)に駆けつける新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Tim de Waele / TDWsport
残り200mでエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)に並ぶマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
約203kmに及んだボドナールの長い逃げは最終ストレート突入後の残り250mで終わりを告げた。ファビオ・サバティーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)がもがきながらのリードアウトを終えると、その番手につけていたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がスプリントを開始する。
しかし、残り300mの時点でおよそ9番手につけていたキッテルが別ラインからポジションを上げ、残り200mで先頭を走るボアッソンハーゲンとマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)のスリップストリームにするりと入る。しばらくタイミングを待ってからキッテルが発進。ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)を引き連れて先頭に立ったキッテルがボアッソンハーゲンを差し切った。
キッテルが2ステージ連続、今大会ステージ5勝目。「勝つためのコンディションと、勝つための気持ちが噛み合っている」というキッテルを止めることのできるスプリンターは現状プロトンの中にいない。キッテルはマイヨヴェールのリードをさらに広げることに成功している。
「どれだけ好調でどれだけ優勝候補に挙げられていても勝つのは簡単なことじゃない。ここまでのステージ5勝はどれも完璧。今日はホイールからホイールを渡り歩いてスプリントした。自身もチャンピオンであるチームメイトたちが自分のために全力を尽くしてくれる。そして掴んだ勝利に言葉が出てこないよ」。フィニッシュ後にキッテルはフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)らと円陣を組み、掛け声とともに拳を高く突き上げた。
2日連続で(コンタドールやバルデは落車したが)平穏なステージを過ごしたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)はマイヨジョーヌをキープ。ピレネー決戦を前にフルームは「昨日と今日はただ集団の中でクルージングしていただけなので自分のコンディションがどうなのか分からないのが正直なところ。明日は自分がどんな状態なのか、まだコンディションが上り調子なのかがはっきり分かると思う。勝負の3週目にかけてコンディションがピークに達するようにここまでプログラムを組んできた。明日からの戦いで重要なのは、総合のライバルたちに挽回の余地を許さずに、アルを徹底的にマークすること。明日は彼のホイールに接着剤でくっつけたような走りをするよ」とコメントしている。
エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)を抜くマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
5本指を立ててフィニッシュするマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ステージ5勝目のマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)が登場 photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨジョーヌを着てピレネーに挑むクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
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ピレネーの玄関口ポーに向かう203.5kmコースはフラット。4級山岳が1つだけ設定されたコースは完全にスプリンター向きで、ピレネー山脈突入前にスピード自慢たちが結果を残しておきたいところ。街中にあるいくつものラウンドアバウトを越えて、過去に何度もフィニッシュを迎え入れているマキ・デュ・ベアン通りで第11ステージはフィナーレを迎える。
スタートフラッグが振られるとともに飛び出したのはマルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)で、ここにマチェイ・ボドナル(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)とフレデリック・バカールト(ベルギー、ワンティ・グループゴベール)がジョイン。こうしてスタート後すぐに形成された3名の逃げは44km地点で最大4分44秒のアドバンテージを築いた。
前日に引き続いてクイックステップフロアーズとロット・ソウダルが集団コントロールを担い、ここにカチューシャ・アルペシンも合流する。向かい風の中でも平均44km/h前後のペースを刻んだ先頭3名だったが、スプリンターチームは容赦なくタイム差を2分30秒前後に抑え込んだ。
平坦な長い直線路で構成されたコースを進んだメイン集団内では落車が散発する。補給ポイントで落車したダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)は手首骨折によってリタイア。クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合優勝者のヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)も落車して手首を痛め、総合逆転を狙うアスタナに暗雲が立ち込める。続いて落車したロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は大きな怪我を免れている。
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残り30km地点で逃げグループとメイン集団のタイム差は30秒に。逃げ吸収へのカウントダウンが始まる中、やがてボドナールが単独での逃げ続行を決意。ポーランドのナショナルTTチャンピオンに4度輝き、2016年ツールでサガンの逃げ切りスプリント勝利に大きく貢献したボドナールが独走に持ち込んだ。
風を警戒するメイン集団は落ち着かず、残り22km地点でアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が落車。2007年と2009年のツール総合優勝者で、現在総合12位(5分15秒遅れ)のコンタドールはチームメイトにアシストされて無事に集団復帰している。
後ろを気にすることなくただひたすら独走を続けたボドナール。集団内で発生した落車の影響でむしろタイム差は広がり、残り10kmでタイム差は40秒に。そのまま独走態勢でフラムルージュを駆け抜けたボドナールだったが、ディメンションデータやクイックステップフロアーズを先頭に縦に長く伸びたメイン集団がすぐ後ろに迫った。
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約203kmに及んだボドナールの長い逃げは最終ストレート突入後の残り250mで終わりを告げた。ファビオ・サバティーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)がもがきながらのリードアウトを終えると、その番手につけていたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がスプリントを開始する。
しかし、残り300mの時点でおよそ9番手につけていたキッテルが別ラインからポジションを上げ、残り200mで先頭を走るボアッソンハーゲンとマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)のスリップストリームにするりと入る。しばらくタイミングを待ってからキッテルが発進。ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)を引き連れて先頭に立ったキッテルがボアッソンハーゲンを差し切った。
キッテルが2ステージ連続、今大会ステージ5勝目。「勝つためのコンディションと、勝つための気持ちが噛み合っている」というキッテルを止めることのできるスプリンターは現状プロトンの中にいない。キッテルはマイヨヴェールのリードをさらに広げることに成功している。
「どれだけ好調でどれだけ優勝候補に挙げられていても勝つのは簡単なことじゃない。ここまでのステージ5勝はどれも完璧。今日はホイールからホイールを渡り歩いてスプリントした。自身もチャンピオンであるチームメイトたちが自分のために全力を尽くしてくれる。そして掴んだ勝利に言葉が出てこないよ」。フィニッシュ後にキッテルはフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)らと円陣を組み、掛け声とともに拳を高く突き上げた。
2日連続で(コンタドールやバルデは落車したが)平穏なステージを過ごしたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)はマイヨジョーヌをキープ。ピレネー決戦を前にフルームは「昨日と今日はただ集団の中でクルージングしていただけなので自分のコンディションがどうなのか分からないのが正直なところ。明日は自分がどんな状態なのか、まだコンディションが上り調子なのかがはっきり分かると思う。勝負の3週目にかけてコンディションがピークに達するようにここまでプログラムを組んできた。明日からの戦いで重要なのは、総合のライバルたちに挽回の余地を許さずに、アルを徹底的にマークすること。明日は彼のホイールに接着剤でくっつけたような走りをするよ」とコメントしている。
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H3
ツール・ド・フランス2017第11ステージ
ステージ成績
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) | 47:01:55 |
2位 | ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) | 0:18 |
3位 | ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) | 0:51 |
4位 | リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) | 0:55 |
5位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 1:37 |
6位 | ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) | 1:44 |
7位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 2:02 |
8位 | ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) | 2:13 |
9位 | ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) | 3:06 |
10位 | ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ) | 3:53 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) | 335pts |
2位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) | 202pts |
3位 | アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) | 171pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) | 60pts |
2位 | プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) | 30pts |
3位 | アレクシ・ヴィエルモーズ(フランス、アージェードゥーゼール) | 27pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) | 47:03:57 |
2位 | ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) | 2:58 |
3位 | ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) | 3:28 |
チーム総合成績
1位 | チームスカイ | 141:11:46 |
2位 | アージェードゥーゼール | 7:12 |
3位 | アスタナ | 26:17 |
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