2017/06/06(火) - 10:29
勾配4%の最終ストレートでトップスプリンターたちが激突したクリテリウム・デュ・ドーフィネ第2ステージ。ライバルたちを振り切り、頭一つ抜け出して勝利したアルノー・デマール(フランス、エフデジ)が7月のツール・ド・フランスに向けて自信をつけた。
サンシャモンからアルランまでの171kmコースに登場するカテゴリー山岳は合計4つ。中盤にかけて2級、3級、4級山岳が連続して登場し、フィニッシュ30kmを切ってからもアップダウンを繰り返す。集団スプリント向きではあるが、スプリンターたちが獲得標高差2,600mの登りをどれだけ力を使わずにこなすことができるかが勝敗を左右する。
スタート直後に飛び出したのはクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)、ロメン・コンボー(フランス、デルコ・マルセイユKTM)、ネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)、ミカエル・ドゥラージュ(フランス、エフデジ)の4名。タイム差は3分50秒まで広がったためブラウンがバーチャルマイヨジョーヌの座に就いたが、ロット・ソウダルの集団牽引によってタイム差が決定的なものにはならなかった。
デマールのリードアウト要員であるドゥラージュが終盤に備えてメイン集団に戻る中、先頭ではボウマンが山岳ポイントを稼いで山岳賞2位に浮上。山岳賞トップのトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)がリーダージャージを着ているため、ボウマンが翌日の第3ステージで山岳賞ジャージを着用する権利を得ている。
レース中盤にかけてアスタナがメイン集団のペースアップを図り、タイム差が1分を切ったところでアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)がカウンターアタックを仕掛けて単独で先頭3名にジョイン。2012年にU23世界チャンピオンに輝いているルツェンコが残り31km地点から独走に持ち込んだが、ロット・ソウダルからスプリンターチームの牽引に切り替わったメイン集団を振り切ることはできなかった。
集団先頭に立ったのはディメンションデータで、ここに新城幸也(バーレーン・メリダ)も加わってローテーション。アップダウン区間で先頭ルツェンコとのタイム差を詰めるとともにライバルチームのスプリンターたちの脚をダメージを与える。先頭ルツェンコは残り3kmで吸収され、そこからスプリンターチームの戦いが始まった。
アップダウン区間でどのチームも隊列を崩したため人数を揃えて完全に主導権を握るようなスプリンターチームは現れない。残り1kmを切ってタイミングよく先頭に立ったのはカチューシャ・アルペシン。最終発射台のリック・ツァベル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)を先頭に残り500mから始まる勾配4%の最終ストレートを駆け上がり、残り200mでアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)を発射した。
完璧なリードアウトを受けたクリストフだったが、ほぼ同時に付き位置から加速したデマールが一気に先頭に立つ。クリストフもナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)も、後方からロングスプリントに持ち込んだソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)も届かない。最終的にライバルたちを3〜4m引き離す加速力でデマールが圧勝した。登り基調のスプリントだったにも関わらずステージ2位のクリストフのトップスピードは62.6km/hに達している。
パリ〜ニースでもステージ優勝を飾っているデマールが、ASOが主催するUCIワールドツアーレースで再び勝利。「レース中盤の山岳で集団から脱落したものの、チームメイトたちのおかげで集団に復帰。終盤もアップダウンが続いたので本当に集団スプリントになるのか自信がなかった。チームは集中力を絶やさずに勝負に挑めたし、チームメイトたちの働きに報いることができたよ。厳しい展開だったけど、厳しいのはみんな同じだと自分に言い聞かせた」と、簡単な勝利ではなかったことを明らかにする。
「ドーフィネでの勝利は大きな満足感。ツールに向けての準備レースで結果を残せたことは良い兆しだ。山岳やスプリントでのチームメイトたちとの連携も確認することができたし、今週またチャンスがあればミスしたくない」と、デマールは2年ぶりの出場となるツール・ド・フランスに向けて自信をつけた様子だ。
「風邪をひいていたことを考えると結果は悪くない」と語るのはステージ2位のクリストフ。ポイント賞ジャージのマイヨヴェールは連日トップ10フィニッシュしているコルブレッリの手に渡っている。コルブレッリは「デマールとクリストフの番手につけていたものの接触によってポジションを下げてしまったので、残り300mあたりからかなりのロングスプリントに持ち込むしかなかった。ようやく彼に並んだところで、彼らがスプリントを開始したので対抗できず。そんな状況で4位という結果は悪くないと思う。目標であるツールのマイヨヴェール獲得に向けて調子の良さを確認できたよ」と語っている。
総合順位は変わらず、1日を通してチームメイトにエスコートされたデヘントが首位をキープしている。「マイヨジョーヌを着て走ることは素晴らしい気分だった。パリ〜ニースでもジャージを着ているし、いつの日かツールでも着たいという思いが強くなったよ」と語るデヘントがあと数日はレースをリードすることになりそうだ。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第2ステージ結果
1位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 4h13'53"
2位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
4位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
5位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
7位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
8位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
10位 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
個人総合成績
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 8h30'47"
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) +48"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +1'03"
4位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) +1'07"
5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1'09"
7位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
8位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
9位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
10位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)
ポイント賞
1位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 32pts
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 25pts
3位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 25pts
山岳賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 17pts
2位 クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) 9pts
3位 ロメン・コンボー(フランス、デルコ・マルセイユKTM) 6pts
ヤングライダー賞
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) 4h18'01"
2位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +02"
チーム総合成績
1位 ロット・ソウダル 25h34'49"
2位 アージェードゥーゼール +42"
3位 UAEチームエミレーツ +57"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
サンシャモンからアルランまでの171kmコースに登場するカテゴリー山岳は合計4つ。中盤にかけて2級、3級、4級山岳が連続して登場し、フィニッシュ30kmを切ってからもアップダウンを繰り返す。集団スプリント向きではあるが、スプリンターたちが獲得標高差2,600mの登りをどれだけ力を使わずにこなすことができるかが勝敗を左右する。
スタート直後に飛び出したのはクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)、ロメン・コンボー(フランス、デルコ・マルセイユKTM)、ネイサン・ブラウン(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)、ミカエル・ドゥラージュ(フランス、エフデジ)の4名。タイム差は3分50秒まで広がったためブラウンがバーチャルマイヨジョーヌの座に就いたが、ロット・ソウダルの集団牽引によってタイム差が決定的なものにはならなかった。
デマールのリードアウト要員であるドゥラージュが終盤に備えてメイン集団に戻る中、先頭ではボウマンが山岳ポイントを稼いで山岳賞2位に浮上。山岳賞トップのトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)がリーダージャージを着ているため、ボウマンが翌日の第3ステージで山岳賞ジャージを着用する権利を得ている。
レース中盤にかけてアスタナがメイン集団のペースアップを図り、タイム差が1分を切ったところでアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)がカウンターアタックを仕掛けて単独で先頭3名にジョイン。2012年にU23世界チャンピオンに輝いているルツェンコが残り31km地点から独走に持ち込んだが、ロット・ソウダルからスプリンターチームの牽引に切り替わったメイン集団を振り切ることはできなかった。
集団先頭に立ったのはディメンションデータで、ここに新城幸也(バーレーン・メリダ)も加わってローテーション。アップダウン区間で先頭ルツェンコとのタイム差を詰めるとともにライバルチームのスプリンターたちの脚をダメージを与える。先頭ルツェンコは残り3kmで吸収され、そこからスプリンターチームの戦いが始まった。
アップダウン区間でどのチームも隊列を崩したため人数を揃えて完全に主導権を握るようなスプリンターチームは現れない。残り1kmを切ってタイミングよく先頭に立ったのはカチューシャ・アルペシン。最終発射台のリック・ツァベル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)を先頭に残り500mから始まる勾配4%の最終ストレートを駆け上がり、残り200mでアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)を発射した。
完璧なリードアウトを受けたクリストフだったが、ほぼ同時に付き位置から加速したデマールが一気に先頭に立つ。クリストフもナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)も、後方からロングスプリントに持ち込んだソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)も届かない。最終的にライバルたちを3〜4m引き離す加速力でデマールが圧勝した。登り基調のスプリントだったにも関わらずステージ2位のクリストフのトップスピードは62.6km/hに達している。
パリ〜ニースでもステージ優勝を飾っているデマールが、ASOが主催するUCIワールドツアーレースで再び勝利。「レース中盤の山岳で集団から脱落したものの、チームメイトたちのおかげで集団に復帰。終盤もアップダウンが続いたので本当に集団スプリントになるのか自信がなかった。チームは集中力を絶やさずに勝負に挑めたし、チームメイトたちの働きに報いることができたよ。厳しい展開だったけど、厳しいのはみんな同じだと自分に言い聞かせた」と、簡単な勝利ではなかったことを明らかにする。
「ドーフィネでの勝利は大きな満足感。ツールに向けての準備レースで結果を残せたことは良い兆しだ。山岳やスプリントでのチームメイトたちとの連携も確認することができたし、今週またチャンスがあればミスしたくない」と、デマールは2年ぶりの出場となるツール・ド・フランスに向けて自信をつけた様子だ。
「風邪をひいていたことを考えると結果は悪くない」と語るのはステージ2位のクリストフ。ポイント賞ジャージのマイヨヴェールは連日トップ10フィニッシュしているコルブレッリの手に渡っている。コルブレッリは「デマールとクリストフの番手につけていたものの接触によってポジションを下げてしまったので、残り300mあたりからかなりのロングスプリントに持ち込むしかなかった。ようやく彼に並んだところで、彼らがスプリントを開始したので対抗できず。そんな状況で4位という結果は悪くないと思う。目標であるツールのマイヨヴェール獲得に向けて調子の良さを確認できたよ」と語っている。
総合順位は変わらず、1日を通してチームメイトにエスコートされたデヘントが首位をキープしている。「マイヨジョーヌを着て走ることは素晴らしい気分だった。パリ〜ニースでもジャージを着ているし、いつの日かツールでも着たいという思いが強くなったよ」と語るデヘントがあと数日はレースをリードすることになりそうだ。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第2ステージ結果
1位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 4h13'53"
2位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
4位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
5位 フィル・バウハウス(ドイツ、サンウェブ)
6位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
7位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
8位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
9位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
10位 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
個人総合成績
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 8h30'47"
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) +48"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +1'03"
4位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) +1'07"
5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1'09"
7位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
8位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
9位 トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)
10位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)
ポイント賞
1位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) 32pts
2位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 25pts
3位 アルノー・デマール(フランス、エフデジ) 25pts
山岳賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 17pts
2位 クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) 9pts
3位 ロメン・コンボー(フランス、デルコ・マルセイユKTM) 6pts
ヤングライダー賞
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) 4h18'01"
2位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 アルベルト・ベッティオール(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +02"
チーム総合成績
1位 ロット・ソウダル 25h34'49"
2位 アージェードゥーゼール +42"
3位 UAEチームエミレーツ +57"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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