2017/06/05(月) - 11:15
6月4日、フランスで第69回クリテリウム・デュ・ドーフィネが開幕した。スプリンター向きではない初日のアップダウンコースで逃げ切りが決まり、世界最高峰の逃げ屋として知られるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)が独走勝利した。
前日にロンドンで発生したテロの被害者に捧げる黙祷を経て動き出したドーフィネ第1ステージ。サンテティエンヌを発着する170.5kmで行われた初日はカテゴリー山岳が8つ詰め込まれたアップダウンコースで、獲得標高差は3,000mに達する。しかも終盤にかけて3級山岳ロシュタイエ(全長3.4km/平均5.4%)を含む15kmの周回コースを3周するため決してスプリンター向きではない。
このアタッカー向きのコースに「逃げ屋」の食指が動いた。序盤から逃げグループを形成したのはアントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)、シルヴィオ・ヘルクロッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、デリオ・フェルナンデス&アンヘル・マドラソ(スペイン、デルコ・マルセイユKTM)、デヘントの合計7名。
リーダーチームのいないステージレース初日の傾向として率先してメイン集団をリードするチームはおらず、かと言ってピュアスプリンターの出番もないため、タイム差は最大6分まで拡大する。後半にかけてエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)の勝利を狙うディメンションデータと、同じくダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・バイクエクスチェンジ)で狙うオリカ・スコットがメイン集団を率いたものの、前半に開いた大きなタイム差が仇となった。
逃げグループは協調しながら3分45秒のリードをもって終盤の周回コース(15kmを3周)に突入。合計3回登ることになる3級山岳ロシュタイエではメイン集団からピュアスプリンターが相次いで脱落する。先頭は2回目の3級山岳ロシュタイエ登坂でデヘントとドモンの2人に絞られ、他の逃げメンバーはメイン集団に吸収された。
メイン集団とのタイム差が着々と縮まる中、最後の3級山岳ロシュタイエ登坂中にデヘントがドモンを振り切って独走を開始した。山岳ポイントを連取して水玉模様(ツールと赤と白が逆)の山岳賞ジャージを確定させるとともにフィニッシュまでの8kmをデヘントが快走。得意の勝ちパターンに持ち込んだデヘントがドモンを44秒、そしてメイン集団から抜け出したディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)らを57秒、メイン集団を59秒引き離して独走勝利した。
「最初は山岳賞が目的だったけど、イエロージャージを手にしてしまったから山岳賞ジャージを着るチャンスはなくなってしまった」と、初日に勝利して総合首位に立ったデヘントはレース直後のインタビューで冗談交じりに語る。これまでジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスの難関山岳ステージで逃げ切り勝利を果たしている30歳が総合首位で8日間のステージレースをスタートさせた。
「今日は1日中ずっと調子が良くて、逃げグループとメイン集団のタイム差も順調に拡大。集団が追撃しにくい最後の周回コースにタイム差をもったまま突入したことが勝利につながった。少なくとも(第4ステージの)タイムトライアルまでイエロージャージを着続けることができると思う。その先の山岳ステージでもイエロージャージを着ている可能性もある」と、ビッグネームから1分の総合リードを奪ったデヘントは語っている。
クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)をはじめ、総合優勝候補の選手たちは59秒遅れの第1集団でフィニッシュしている。総合エースとスプリンターのために働いた新城幸也(バーレーン・メリダ)と別府史之(トレック・セガフレード)はそれぞれ8分07秒遅れと13分08秒遅れの集団で初日を終えた。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第1ステージ結果
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 4h17'04"
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) +44"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +57"
4位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)
5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +59"
7位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
10位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)
個人総合成績
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 4h16'54"
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) +48"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +1'03"
4位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) +1'07"
5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1'09"
7位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
10位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)
ポイント賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 25pts
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) 22pts
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 20pts
山岳賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 16pts
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) 4pts
3位 アンヘル・マドラソ(スペイン、デルコ・マルセイユKTM) 3pts
ヤングライダー賞
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) 4h18'01"
2位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ) +02"
チーム総合成績
1位 ロット・ソウダル 12h53'10"
2位 アージェードゥーゼール +42"
3位 UAEチームエミレーツ +57"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
前日にロンドンで発生したテロの被害者に捧げる黙祷を経て動き出したドーフィネ第1ステージ。サンテティエンヌを発着する170.5kmで行われた初日はカテゴリー山岳が8つ詰め込まれたアップダウンコースで、獲得標高差は3,000mに達する。しかも終盤にかけて3級山岳ロシュタイエ(全長3.4km/平均5.4%)を含む15kmの周回コースを3周するため決してスプリンター向きではない。
このアタッカー向きのコースに「逃げ屋」の食指が動いた。序盤から逃げグループを形成したのはアントニオ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、ロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)、シルヴィオ・ヘルクロッツ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)、デリオ・フェルナンデス&アンヘル・マドラソ(スペイン、デルコ・マルセイユKTM)、デヘントの合計7名。
リーダーチームのいないステージレース初日の傾向として率先してメイン集団をリードするチームはおらず、かと言ってピュアスプリンターの出番もないため、タイム差は最大6分まで拡大する。後半にかけてエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー)の勝利を狙うディメンションデータと、同じくダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・バイクエクスチェンジ)で狙うオリカ・スコットがメイン集団を率いたものの、前半に開いた大きなタイム差が仇となった。
逃げグループは協調しながら3分45秒のリードをもって終盤の周回コース(15kmを3周)に突入。合計3回登ることになる3級山岳ロシュタイエではメイン集団からピュアスプリンターが相次いで脱落する。先頭は2回目の3級山岳ロシュタイエ登坂でデヘントとドモンの2人に絞られ、他の逃げメンバーはメイン集団に吸収された。
メイン集団とのタイム差が着々と縮まる中、最後の3級山岳ロシュタイエ登坂中にデヘントがドモンを振り切って独走を開始した。山岳ポイントを連取して水玉模様(ツールと赤と白が逆)の山岳賞ジャージを確定させるとともにフィニッシュまでの8kmをデヘントが快走。得意の勝ちパターンに持ち込んだデヘントがドモンを44秒、そしてメイン集団から抜け出したディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)らを57秒、メイン集団を59秒引き離して独走勝利した。
「最初は山岳賞が目的だったけど、イエロージャージを手にしてしまったから山岳賞ジャージを着るチャンスはなくなってしまった」と、初日に勝利して総合首位に立ったデヘントはレース直後のインタビューで冗談交じりに語る。これまでジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスの難関山岳ステージで逃げ切り勝利を果たしている30歳が総合首位で8日間のステージレースをスタートさせた。
「今日は1日中ずっと調子が良くて、逃げグループとメイン集団のタイム差も順調に拡大。集団が追撃しにくい最後の周回コースにタイム差をもったまま突入したことが勝利につながった。少なくとも(第4ステージの)タイムトライアルまでイエロージャージを着続けることができると思う。その先の山岳ステージでもイエロージャージを着ている可能性もある」と、ビッグネームから1分の総合リードを奪ったデヘントは語っている。
クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)やアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)をはじめ、総合優勝候補の選手たちは59秒遅れの第1集団でフィニッシュしている。総合エースとスプリンターのために働いた新城幸也(バーレーン・メリダ)と別府史之(トレック・セガフレード)はそれぞれ8分07秒遅れと13分08秒遅れの集団で初日を終えた。
クリテリウム・デュ・ドーフィネ2017第1ステージ結果
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 4h17'04"
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) +44"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +57"
4位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール)
5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +59"
7位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
10位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)
個人総合成績
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 4h16'54"
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) +48"
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) +1'03"
4位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) +1'07"
5位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1'09"
7位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)
8位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
10位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ)
ポイント賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 25pts
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) 22pts
3位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 20pts
山岳賞
1位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) 16pts
2位 アクセル・ドモン(フランス、アージェードゥーゼール) 4pts
3位 アンヘル・マドラソ(スペイン、デルコ・マルセイユKTM) 3pts
ヤングライダー賞
1位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) 4h18'01"
2位 エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ミケル・ヴァルグレン(デンマーク、アスタナ) +02"
チーム総合成績
1位 ロット・ソウダル 12h53'10"
2位 アージェードゥーゼール +42"
3位 UAEチームエミレーツ +57"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport