2017/05/29(月) - 11:09
逆転でマリアローザを射止めたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)、2位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ら総合勢、そして各賞ジャージを獲得した選手たちの言葉を紹介します。
マリアローザを射止めたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)
総合2位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)、総合1位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)、総合3位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
フィニッシュしてからみんなに祝福されたけど、テントに入って映像を見るとキンタナと3秒しか離れていなくて、なんでみんな祝福したんだと怒りを覚えた。間違いなく人生で一番ナーバスになった瞬間だった。
勝利なんて決して確実なものではないし、その結果なんて本当に誰だって分からない。でも朝食を食べている時はそこまでナーバスではなかったし、ストレスも含めて前夜から個人TTが楽しみだったんだ。コース下見もしっかりできたし、午前中はチームバスのベッドでリラックスできていたんだ。お昼頃には緊張も高まってきたけれど、身体の代謝は高く、集中できていた。これまで何回もプレッシャーの中で個人TTを走ってきた経験が今回はものすごく役に立ってくれたんだ。
僕は山岳で軽やかに走れるTTスペシャリストではない。例えばミゲール・インデュラインは僕よりも5段階レベルが高かっただろうし、ブラドレー・ウィギンズのポテンシャルにもまだ届いていないと思う。けれど僕は僕であって、誰とも比べられたくはないし、クライマーとしても決して悪くはない、と、いつも心に秘めながら走ってきた。マーストリヒト周辺には山がなく、子供の頃はほとんど山岳練習は積んでこなかったけど、ここ最近テネリフェやシエラネバダで行っていたトレーニングキャンプが功を奏した。3年前から3kg減程度で登れるような身体を作ることができた。
デュムランを総合優勝に導いたサンウェブ photo:Kei Tsuji / TDWsport
今日は信じられないような1日で、本当に嬉しい。フィニッシュから今の記者会見まであまりにも早くオランダ国内の反応を追えていないけど、今僕が言いたいことはマリアローザ獲得前と獲得後の今を比べても、僕は何も変わらないということ。きっとみんなこれまでと違うように声を掛けてくるだろうけど、自分は自分でありたい。スーパースターのように気を遣われながら街中を歩きたいとは思わないし、これまでと何も変わりたくはないんだ。
トロフェオ・センツァフィーネに名前を刻み込まれるのは、とても素晴らしく、そして名誉なこと。自分のことをチャンピオンだとは思っていないけど、トロフィーの名前を見るとそんな気分も少しだけ湧いてくるよ。ヤン・ヤンセンは初めてブエルタを制したオランダ人で、ジロは自分。将来的にはもっと多くの戦績を残したいけど、今は単に嬉しくて仕方がない。すごく特別な舞台で勝つことができた。
総合2位、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
個人TTを走り終えたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVos表彰台に乗ることが出来たんだから何も失望することはない。僕らは機械じゃない。レースの前に立てていた目標を全て完璧にこなすことが絶対にできるわけじゃない。目標に向けてどれだけ努力したって、報われないこともある。今回の結果はとても満足しているんだ、なんといってもモビスターがチームとして素晴らしい絆を見せてくれた。
レースが始まる前、デュムランの事は総合争いのライバルとしては全くのノーマークだった。でも、彼は最高のタイムトライアルを走り、山岳でも素晴らしいパフォーマンスを見せた。この勝利を手にするにふさわしいと思っている。
僕らはこれからも多くの経験を積んで強くなっていく。今日のタイムトライアルは貴重な経験だった。山岳ステージでもっといい結果を残せていれば良かったけど、最終週は体調を崩してしまい、総合争いの集団にとどまるだけで精一杯だったんだ。最終ステージの前に、もっとたくさんのリードを築いておく必要があった、デュムランのようなスペシャリストを相手にする時にはね。
前日に積極的に攻めたナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji / TDWsport
「将来的な自信にも繋がった」(写真は第20ステージ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
今回のジロは、僕にグランツールへの適正があるという自信に繋がった。もし、きちんと準備することが出来れば、ライバル達と十分に戦えるはずだ。ジロが終わっても、ツールに向けたトレーニングが待っている。僕を応援してくれた全てのファンたちに感謝を。
総合4位、ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
総合表彰台圏内から落ちて落胆しているけど、実現不可能ではないことが分かった。完全フラットなTTコースでリズムを捉えるのが難しく、更にギア比も合ってなかった。ものすごくタフなジロだったけど、美しいステージ優勝と、将来的な希望を見出すことができたことはとても大きい。最終日までマリアローザ争いに加わっていたことは、これからの糧になっていくはずだ。
今回はチーム全員が僕に対して重要な責務を果たしてくれた。日の当らない影の部分で仕事をしてくれた選手もいるし、リタイアに追い込まれたウィリアム・ボネが果たしてくれた部分も決して少なくなんてない。すべてのメンバーなくしては達成できなかった結果で、その一員となれたことに意味を感じている。
最速タイムをマークしたヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)
喜びを爆発させるヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
この地球上でいま最も幸せな気分なのは僕だよ、間違いない!これまでホットシートで待ち続け、最後に誰かが僕を上回る経験を積み重ねてきただけに、今日の勝利は格別だ。これはキャリア最高の勝利であり、オランダにとってスペシャルな1日になったよ。
一つ目の中間計測でデュムランより2秒先行していた。一番踏めていた次の区間ではそれが6秒差に。今日はメカニックが58Tのアウターリングを用意してくれていたから、58×11Tを踏みまくったんだ。おかげで良い結果を残すことができた。
マリアビアンカを奪還したボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
マリアビアンカを獲得したボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マリアビアンカを巡る戦いはとても素晴らしいものだった。今回のジロではいい日もあれば悪い日もあった。でも全てが終わった今、この新人賞を手にすることができて最高に幸せだ。チームメイトがどれだけ僕の助けであり、誇りであったか!9人全員がこのタフなジロを完走できたのは、素晴らしいチームである証。新人賞と総合8位という成績は、僕のキャリアにとって大切な節目になるはずだ。
グランツール初出場にしてマリアチクラミーノのフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)
マリアチクラミーノを獲得したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
初めてのグランツールで、これだけの成功を収めることができて、どう受け止めていいのか少し戸惑っているほど。ミラノにこの素晴らしいチーム皆でたどり着けたことがなによりも嬉しいよ。僕らは最高のスプリントをし、常に集団の先頭を引き続け、小さな機会を見逃さずに戦い続けた。そして今、最高の瞬間を迎えているんだ。
text:Naoki.Yasuoka,So.Isobe
マリアローザを射止めたトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)
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フィニッシュしてからみんなに祝福されたけど、テントに入って映像を見るとキンタナと3秒しか離れていなくて、なんでみんな祝福したんだと怒りを覚えた。間違いなく人生で一番ナーバスになった瞬間だった。
勝利なんて決して確実なものではないし、その結果なんて本当に誰だって分からない。でも朝食を食べている時はそこまでナーバスではなかったし、ストレスも含めて前夜から個人TTが楽しみだったんだ。コース下見もしっかりできたし、午前中はチームバスのベッドでリラックスできていたんだ。お昼頃には緊張も高まってきたけれど、身体の代謝は高く、集中できていた。これまで何回もプレッシャーの中で個人TTを走ってきた経験が今回はものすごく役に立ってくれたんだ。
僕は山岳で軽やかに走れるTTスペシャリストではない。例えばミゲール・インデュラインは僕よりも5段階レベルが高かっただろうし、ブラドレー・ウィギンズのポテンシャルにもまだ届いていないと思う。けれど僕は僕であって、誰とも比べられたくはないし、クライマーとしても決して悪くはない、と、いつも心に秘めながら走ってきた。マーストリヒト周辺には山がなく、子供の頃はほとんど山岳練習は積んでこなかったけど、ここ最近テネリフェやシエラネバダで行っていたトレーニングキャンプが功を奏した。3年前から3kg減程度で登れるような身体を作ることができた。
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今日は信じられないような1日で、本当に嬉しい。フィニッシュから今の記者会見まであまりにも早くオランダ国内の反応を追えていないけど、今僕が言いたいことはマリアローザ獲得前と獲得後の今を比べても、僕は何も変わらないということ。きっとみんなこれまでと違うように声を掛けてくるだろうけど、自分は自分でありたい。スーパースターのように気を遣われながら街中を歩きたいとは思わないし、これまでと何も変わりたくはないんだ。
トロフェオ・センツァフィーネに名前を刻み込まれるのは、とても素晴らしく、そして名誉なこと。自分のことをチャンピオンだとは思っていないけど、トロフィーの名前を見るとそんな気分も少しだけ湧いてくるよ。ヤン・ヤンセンは初めてブエルタを制したオランダ人で、ジロは自分。将来的にはもっと多くの戦績を残したいけど、今は単に嬉しくて仕方がない。すごく特別な舞台で勝つことができた。
総合2位、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
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レースが始まる前、デュムランの事は総合争いのライバルとしては全くのノーマークだった。でも、彼は最高のタイムトライアルを走り、山岳でも素晴らしいパフォーマンスを見せた。この勝利を手にするにふさわしいと思っている。
僕らはこれからも多くの経験を積んで強くなっていく。今日のタイムトライアルは貴重な経験だった。山岳ステージでもっといい結果を残せていれば良かったけど、最終週は体調を崩してしまい、総合争いの集団にとどまるだけで精一杯だったんだ。最終ステージの前に、もっとたくさんのリードを築いておく必要があった、デュムランのようなスペシャリストを相手にする時にはね。
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今回のジロは、僕にグランツールへの適正があるという自信に繋がった。もし、きちんと準備することが出来れば、ライバル達と十分に戦えるはずだ。ジロが終わっても、ツールに向けたトレーニングが待っている。僕を応援してくれた全てのファンたちに感謝を。
総合4位、ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)
総合表彰台圏内から落ちて落胆しているけど、実現不可能ではないことが分かった。完全フラットなTTコースでリズムを捉えるのが難しく、更にギア比も合ってなかった。ものすごくタフなジロだったけど、美しいステージ優勝と、将来的な希望を見出すことができたことはとても大きい。最終日までマリアローザ争いに加わっていたことは、これからの糧になっていくはずだ。
今回はチーム全員が僕に対して重要な責務を果たしてくれた。日の当らない影の部分で仕事をしてくれた選手もいるし、リタイアに追い込まれたウィリアム・ボネが果たしてくれた部分も決して少なくなんてない。すべてのメンバーなくしては達成できなかった結果で、その一員となれたことに意味を感じている。
最速タイムをマークしたヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)
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この地球上でいま最も幸せな気分なのは僕だよ、間違いない!これまでホットシートで待ち続け、最後に誰かが僕を上回る経験を積み重ねてきただけに、今日の勝利は格別だ。これはキャリア最高の勝利であり、オランダにとってスペシャルな1日になったよ。
一つ目の中間計測でデュムランより2秒先行していた。一番踏めていた次の区間ではそれが6秒差に。今日はメカニックが58Tのアウターリングを用意してくれていたから、58×11Tを踏みまくったんだ。おかげで良い結果を残すことができた。
マリアビアンカを奪還したボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
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マリアビアンカを巡る戦いはとても素晴らしいものだった。今回のジロではいい日もあれば悪い日もあった。でも全てが終わった今、この新人賞を手にすることができて最高に幸せだ。チームメイトがどれだけ僕の助けであり、誇りであったか!9人全員がこのタフなジロを完走できたのは、素晴らしいチームである証。新人賞と総合8位という成績は、僕のキャリアにとって大切な節目になるはずだ。
グランツール初出場にしてマリアチクラミーノのフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)
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初めてのグランツールで、これだけの成功を収めることができて、どう受け止めていいのか少し戸惑っているほど。ミラノにこの素晴らしいチーム皆でたどり着けたことがなによりも嬉しいよ。僕らは最高のスプリントをし、常に集団の先頭を引き続け、小さな機会を見逃さずに戦い続けた。そして今、最高の瞬間を迎えているんだ。
text:Naoki.Yasuoka,So.Isobe
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