2017/05/29(月) - 04:25
終着地ミラノに向かう29.3kmの個人タイムトライアルでトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)がステージ2位に入る快走。ステージ27位に沈んだナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)から総合首位を奪い返したデュムランがオランダ人初のジロ総合優勝を果たした。
F1イタリアGPの開催地モンツァ・サーキットからミラノ中心部のドゥオーモ広場までの29.3kmコースで行われたジロ最終個人タイムトライアル。真っ平らなコースはスペシャリスト向きであり、ミラノにたどり着いた162名が総合下位の選手から順にスタートした。
暫定トップタイムをマークしたのは42番手スタートのヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)で、中間計測でファンエムデンに肉薄するタイムを刻んだマヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)やヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)は届かず。「ホットシートに座って待つことに慣れている」というファンエムデンのトップタイムが総合上位陣の指標となる。
総合1位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)から39秒差で総合2位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、43秒差で総合3位ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)、そして53秒差で総合4位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)という僅差で迎えたマリアローザ最終決戦。4名の中で先にスタートしたデュムランが前半から好走し、ファンエムデンから数秒遅れのハイペースを刻んだ。
後続のピノとニーバリ、キンタナは前半からデュムランから遅れをとる。レース中盤の時点でデュムランはキンタナとの総合タイム差53秒をひっくり返し、順位を逆転させる。暫定総合首位に立ったデュムランは後半にかけてわずかにペースを落としながらも、ファンエムデンから15秒遅れのステージ2位のタイムでフィニッシュラインを切った。
ニーバリとピノはそれぞれデュムランから54秒遅れと1分27秒遅れ。最終走者キンタナはデュムランから1分24秒遅れてしまい、マリアローザを明け渡すことになった。最終的にデュムランが総合優勝し、31秒差の総合2位にキンタナ、40秒差の総合3位ニーバリという総合表彰台に。
長時間ホットシートで結果を待ち続けたファンエムデンは「最後は血が沸騰するかと思った。待ち続けた末に勝利を逃す経験をしてきたので、最後の最後に勝利することの喜びはひとしおだ。これはキャリア最高の勝利であり、オランダにとってスペシャルな1日になったよ」と喜び、雄叫びをあげて表彰台に飛び乗った。
そして総合優勝はデュムランの手に。「フィニッシュしてからみんなに祝福されたけど、テントに入って映像を見るとキンタナと3秒しか離れていなくて、なんでみんな祝福したんだと怒りを覚えた。間違いなく人生で一番ナーバスになった瞬間だった」と語るデュムランは、キンタナのレースを見届けながら、総合優勝が確定した瞬間に飛び上がって喜んだ。
オランダ人選手として初めて最終日の表彰台でマリアローザを受け取ったデュムラン。「過去のプレッシャーの大きなTTの経験が生きた。今回のジロでは、お腹を壊したバッドデーに大きなタイムを失わなかったことが勝利につながった。とても特別なレースに勝ったけど、自分は自分のままで歩み続けたい」。第100代ジロ覇者は最後まで落ち着いて記者会見の質問に答えた。
第20ステージの時点でポイント賞はフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、山岳賞はミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が確定させていた一方で、ヤングライダー賞争いは最後までもつれた。マリアローザ争いと同様に、TTを得意とする同賞2位のボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)がステージ8位に入る好走を見せ、ステージ51位に沈んだアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)からマリアビアンカを奪い返すことに成功している。
中間計測ラップタイム
第1区間(0〜8.8km)
1位 ファンエムデン 9'59"
2位 デュムラン +02"
4位 ユンゲルス +03"
8位 キリエンカ +15"
9位 ザカリン +19"
10位 クインツィアート +19"
11位 ニーバリ +19"
18位 イェーツ +27"
19位 ピノ +28"
24位 ロスコフ +30"
25位 モレマ +31"
27位 キンタナ +33"
38位 ポッツォ +41"
第2区間(8.8〜17.4km)
1位 ファンエムデン 10'04"
2位 デュムラン +04"
3位 ロスコフ +08"
4位 クインツィアート +09"
5位 キリエンカ +11"
15位 ユンゲルス +21"
18位 ニーバリ +24"
26位 ピノ +31"
31位 キンタナ +33"
33位 モレマ +34"
35位 ザカリン +35"
--位 イェーツ +?
--位 ポッツォ +?
第3区間(17.4〜29.3km)
1位 ロスコフ 13'02"
2位 クインツィアート +02"
3位 ファンエムデン +03"
4位 キリエンカ +08"
6位 デュムラン +12"
15位 ユンゲルス +23"
19位 ニーバリ +29"
25位 キンタナ +36"
37位 モレマ +44"
39位 ピノ +46"
54位 ザカリン +58"
--位 イェーツ +?
--位 ポッツォ +?
ジロ・デ・イタリア2017第21ステージ結果
1位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) 33'08"
2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +15"
3位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング) +27"
4位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) +31"
5位 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシング) +35"
6位 ヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・ハンスグローエ) +39"
7位 ゲオルク・プライドラー(オーストリア、サンウェブ) +51"
8位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +54"
9位 ヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) +57"
10位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +1'02"
13位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1'09"
27位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +1'39"
28位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +1'42"
31位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1'46"
33位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1'49"
51位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2'28"
59位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +2'49"
85位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +3'30"
マリアローザ 個人総合成績
1位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 90h34'54"
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +31"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +40"
4位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +1'17"
5位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1'56"
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +3'11"
7位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +3'41"
8位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +7'04"
9位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +8'10"
10位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +15'17"
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 325pts
2位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 192pts
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 117pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 224pts
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) 118pts
3位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 104pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 90h41'58"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1'06"
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +8'13"
チーム総合成績
1位 モビスター 272h21'54"
2位 アージェードゥーゼール +59'46"
3位 エフデジ +1'19'56"
text&photo:Kei Tsuji in Milano, Italy
F1イタリアGPの開催地モンツァ・サーキットからミラノ中心部のドゥオーモ広場までの29.3kmコースで行われたジロ最終個人タイムトライアル。真っ平らなコースはスペシャリスト向きであり、ミラノにたどり着いた162名が総合下位の選手から順にスタートした。
暫定トップタイムをマークしたのは42番手スタートのヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)で、中間計測でファンエムデンに肉薄するタイムを刻んだマヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング)やヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)は届かず。「ホットシートに座って待つことに慣れている」というファンエムデンのトップタイムが総合上位陣の指標となる。
総合1位ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)から39秒差で総合2位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、43秒差で総合3位ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)、そして53秒差で総合4位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)という僅差で迎えたマリアローザ最終決戦。4名の中で先にスタートしたデュムランが前半から好走し、ファンエムデンから数秒遅れのハイペースを刻んだ。
後続のピノとニーバリ、キンタナは前半からデュムランから遅れをとる。レース中盤の時点でデュムランはキンタナとの総合タイム差53秒をひっくり返し、順位を逆転させる。暫定総合首位に立ったデュムランは後半にかけてわずかにペースを落としながらも、ファンエムデンから15秒遅れのステージ2位のタイムでフィニッシュラインを切った。
ニーバリとピノはそれぞれデュムランから54秒遅れと1分27秒遅れ。最終走者キンタナはデュムランから1分24秒遅れてしまい、マリアローザを明け渡すことになった。最終的にデュムランが総合優勝し、31秒差の総合2位にキンタナ、40秒差の総合3位ニーバリという総合表彰台に。
長時間ホットシートで結果を待ち続けたファンエムデンは「最後は血が沸騰するかと思った。待ち続けた末に勝利を逃す経験をしてきたので、最後の最後に勝利することの喜びはひとしおだ。これはキャリア最高の勝利であり、オランダにとってスペシャルな1日になったよ」と喜び、雄叫びをあげて表彰台に飛び乗った。
そして総合優勝はデュムランの手に。「フィニッシュしてからみんなに祝福されたけど、テントに入って映像を見るとキンタナと3秒しか離れていなくて、なんでみんな祝福したんだと怒りを覚えた。間違いなく人生で一番ナーバスになった瞬間だった」と語るデュムランは、キンタナのレースを見届けながら、総合優勝が確定した瞬間に飛び上がって喜んだ。
オランダ人選手として初めて最終日の表彰台でマリアローザを受け取ったデュムラン。「過去のプレッシャーの大きなTTの経験が生きた。今回のジロでは、お腹を壊したバッドデーに大きなタイムを失わなかったことが勝利につながった。とても特別なレースに勝ったけど、自分は自分のままで歩み続けたい」。第100代ジロ覇者は最後まで落ち着いて記者会見の質問に答えた。
第20ステージの時点でポイント賞はフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)、山岳賞はミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が確定させていた一方で、ヤングライダー賞争いは最後までもつれた。マリアローザ争いと同様に、TTを得意とする同賞2位のボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)がステージ8位に入る好走を見せ、ステージ51位に沈んだアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)からマリアビアンカを奪い返すことに成功している。
中間計測ラップタイム
第1区間(0〜8.8km)
1位 ファンエムデン 9'59"
2位 デュムラン +02"
4位 ユンゲルス +03"
8位 キリエンカ +15"
9位 ザカリン +19"
10位 クインツィアート +19"
11位 ニーバリ +19"
18位 イェーツ +27"
19位 ピノ +28"
24位 ロスコフ +30"
25位 モレマ +31"
27位 キンタナ +33"
38位 ポッツォ +41"
第2区間(8.8〜17.4km)
1位 ファンエムデン 10'04"
2位 デュムラン +04"
3位 ロスコフ +08"
4位 クインツィアート +09"
5位 キリエンカ +11"
15位 ユンゲルス +21"
18位 ニーバリ +24"
26位 ピノ +31"
31位 キンタナ +33"
33位 モレマ +34"
35位 ザカリン +35"
--位 イェーツ +?
--位 ポッツォ +?
第3区間(17.4〜29.3km)
1位 ロスコフ 13'02"
2位 クインツィアート +02"
3位 ファンエムデン +03"
4位 キリエンカ +08"
6位 デュムラン +12"
15位 ユンゲルス +23"
19位 ニーバリ +29"
25位 キンタナ +36"
37位 モレマ +44"
39位 ピノ +46"
54位 ザカリン +58"
--位 イェーツ +?
--位 ポッツォ +?
ジロ・デ・イタリア2017第21ステージ結果
1位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) 33'08"
2位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) +15"
3位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシング) +27"
4位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) +31"
5位 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシング) +35"
6位 ヤン・バルタ(チェコ、ボーラ・ハンスグローエ) +39"
7位 ゲオルク・プライドラー(オーストリア、サンウェブ) +51"
8位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +54"
9位 ヤン・トラトニク(スロベニア、CCCスプランディ・ポルコウィチェ) +57"
10位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター) +1'02"
13位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1'09"
27位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +1'39"
28位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +1'42"
31位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +1'46"
33位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1'49"
51位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +2'28"
59位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +2'49"
85位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +3'30"
マリアローザ 個人総合成績
1位 トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) 90h34'54"
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) +31"
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) +40"
4位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ) +1'17"
5位 イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン) +1'56"
6位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール) +3'11"
7位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +3'41"
8位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) +7'04"
9位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +8'10"
10位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +15'17"
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ) 325pts
2位 ジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード) 192pts
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 117pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 224pts
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ) 118pts
3位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ) 104pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ) 90h41'58"
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) +1'06"
3位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック) +8'13"
チーム総合成績
1位 モビスター 272h21'54"
2位 アージェードゥーゼール +59'46"
3位 エフデジ +1'19'56"
text&photo:Kei Tsuji in Milano, Italy
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