チームオーダー通りに内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ)が序盤からエスケープ。落車も発生する最終スプリントでペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)がその勝負強さを見せつけた。



青空が広がるトスカーナ地方を走る青空が広がるトスカーナ地方を走る photo: TDWsport / KT



ティレーノ〜アドリアティコ2017第3ステージティレーノ〜アドリアティコ2017第3ステージ image: RCS Sportトスカーナ州を南下する204kmコースは比較的(他のステージと比べると)平坦で、登場するGPM(カテゴリー山岳)は中盤の1つだけ。スプリンター向きのレイアウトだが、残り1kmを切ってから勾配5%ほどの上りが約500m続き、フィニッシュラインまで緩斜面が続くあたりがイタリアらしい。

内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ)を含む逃げグループ内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ)を含む逃げグループ photo: TDWsport / KT「今日のチームオーダーは逃げに乗ること!15分前にはスタート地点で先頭をキープした」という内間康平がレース序盤に形成された7名の逃げグループに入る。内間らはBMCレーシングがコントロールするメイン集団から最大で4分のリードを得た。

クラシックシーズンに向けて乗り込むトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)クラシックシーズンに向けて乗り込むトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KTGPMスカンサーノが近づくと内間は同じく逃げに乗るチームメイトのユーリ・フィロージ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)のためにペースアップ。内間はチームオーダー通りフィロージを先頭通過させることに成功している。

先頭7名は引き続きハイペースで進み続けたが、トスカーナ州らしい丘のアップダウンコースを進むうちにタイム差は縮まった。BMCレーシングに加えてディメンションデータやクイックステップフロアーズの集団牽引によって残り60km地点でタイム差は1分に。

「淡々と走るがやはり疲労が見え始めたので、力を抜くときは抜いて入れるべき所で入れる。これを繰り返し誤魔化すも、遅れてしまった(本人ブログより抜粋)」という内間は残り50km地点で逃げグループから脱落。先頭ではアレクシ・グジャール(フランス、アージェードゥーゼール)、アンドリー・グリブコ(ウクライナ、アスタナ)、フィロージの3名が逃げ続け、残り25km地点から独走に持ち込んだフィロージも残り19km地点で吸収された。



春のトスカーナ地方を走る春のトスカーナ地方を走る photo: TDWsport / KT



上りスプリントで先頭に立つペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)上りスプリントで先頭に立つペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo: TDWsport / KTディメンションデータやチームスカイ、クイックステップフロアーズ、ボーラ・ハンスグローエといったスプリンターチームに加え、危険回避のため総合系チームも先頭で競り合いながらモンタルト・ディ・カスタルトに向かう大集団。

ステージ優勝を飾ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)ステージ優勝を飾ったペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo: TDWsport / KTペースが上がった集団は縦に長く伸び、後方は一列棒状に。ワインディングとアップダウンが続くコースにどのチームもトレインを形成できず、混戦状態のまま残り1kmからの上りに差し掛かる。

Vサインで表彰台に登場したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)Vサインで表彰台に登場したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo: TDWsport / KTすると、集団前方で位置取り合戦を繰り広げていたジャスパー・ストゥイヴェン(ベルギー、トレック・セガフレード)とエドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ)が接触して落車。ちょうど1年前にこの人同じモンタルト・ディ・カスタルトでステージ優勝を飾っているフェルナンド・ガビリア(コロンビア、クイックステップフロアーズ)が巻き添えを食らった。他にもリードアウト役のトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップフロアーズ)やリーダージャージを着るグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ヤングライダー賞ジャージのボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)もこの落車に巻き込まれ、集団は割れた。

チームメイトからリーダージャージを譲り受けたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)チームメイトからリーダージャージを譲り受けたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo: TDWsport / KT緩斜面でのマルコ・クンプ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)によるリードアウトが終わると残り200mでエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)が最初にスプリントを開始。ヴィヴィアーニはコーナー内側の最短ラインを突き進んだが、その後ろから加速したサガンが外側から大きくまくる。

緩斜面スプリントで加速を続けたサガンが勝利。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)はステージ27位に終わっている。Velon(ヴェロン)が公開しているデータによると、ステージ4位に入ったサーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)のラスト3kmの平均スピードは62.3km/h。残り580mからの緩斜面のスプリントに要した時間は43秒で、その平均出力は779W、最大出力1168W、15秒間948Wだった(体重67kg)。

「今日は上手くスプリントに持ち込めた。昨年の同じステージで早めに仕掛けて敗れたこと(ステージ4位)を思い出し、後方に待機して加速するタイミングを待つことにした。風が強かったこともあり、問題なくヴィヴィアーニの番手をキープ。彼は緩斜面が続く残り250mで仕掛けたけど、それはまるで自分が昨年犯したミスのようだった」と、今シーズン2勝目を飾った世界チャンピオンは語る。ティレーノではステージ通算6勝目。前週のストラーデビアンケは体調不良によりリタイアに終わったが、すっかり回復している様子だ。

総合上位陣にタイム差はつかなかったが、ステージの着順によってリーダージャージはヴァンアーヴェルマートからローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)の手に渡った。依然としてBMCレーシングが総合トップ4までをキープしている。



ティレーノ〜アドリアティコ2017第3ステージ結果
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)     4h51’59”
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
3位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ソウダル)
4位 サーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
5位 ルカ・メズゲッツ(スロベニア、オリカ・スコット)
6位 リック・ツァベル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)
7位 アンドレア・パリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
8位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
9位 ゲオルク・プライドラー(オーストリア、サンウェブ)
10位 ラモン・シンケルダム(オランダ、サンウェブ)

個人総合成績
1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)      11h07’13”
2位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)
4位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ニキ・テルプストラ(オランダ、クイックステップフロアーズ)    +16”
6位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)            +21”
8位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)
9位 ヨナタン・カストロビエホ(スペイン、モビスター)
10位 ダニエル・モレーノ(スペイン、モビスター)

ポイント賞
1位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)      20pts
2位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)       20pts
3位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)          12pts

山岳賞
1位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ)   8pts
2位 アラン・マランゴーニ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 8pts
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)        5pts

ヤングライダー賞
1位 ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)11h07’29”
2位 アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)          +08”
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)     +39”

チーム総合成績
1位 BMCレーシング           32h34’57”
2位 モビスター                +21”
3位 アスタナ                 +54”

text:Kei Tsuji
photo:TDWsport

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