2016/12/28(水) - 09:03
今年から日本でも本格的な展開を開始したポーランドのパーツブランド、アブソリュートブラック。今回は、同社の主力プロダクトである楕円チェーンリングをインプレッションした。
アブソリュートブラック PREMIUM OVAL ROAD 110/4 BCD CHAINRING
力の掛かりづらい上下死点でのギア数を小さくすることで、より効率的なペダリングを可能とする楕円チェーンリング。一定のペースを保つことが求められるヒルクライムやタイムトライアルといったレースにおいて、クリス・フルームをはじめとしたトップレーサーからホビーライダーまで、少しでも速く走りたいサイクリストたちに受け入れられてきた。
フランスのオーシンメトリックやスペインのローターなど、さまざまなブランドがそれぞれ独自の理論に基づく楕円形状を持ったチェーンリングを発表し、鎬を削る中、ポーランドからデビューしたのがCNC加工を得意とするニューカマー、アブソリュートブラックだ。
お洒落な梱包が使う前から気分を高める
チェーンリングと同じくアルマイト加工されたチェーンピンもラインアップ
複雑な造形に加工されている 歯先形状もしっかりひとつひとつ考えられている
裏面に施された変速ポイント
5mm厚の超々ジュラルミンインゴットから削りだされたチェーンリングは、ライバルとなるどの楕円リングよりも高い剛性によって駆動ロスを排除するとともに優れた変速性能を実現する。アウターチェーンリングは分厚く堅牢に作られる一方で、表面には複雑な切削加工が施されており、軽量性にも優れている。
アウターチェーンリングの裏面には、一般的な変速ピンの替わりに6か所の変速ポイントが設けられている。得意の切削加工によって作られた変速ポイントと、分厚く堅牢でねじれに強い設計によって、チェーンにテンションがかかった状態でも、スムーズな変速を実現している。
アウターリング実測重量
インナーリング実測重量
また、楕円形状に関してもアブソリュートブラックが提唱する独自の楕円率によって、ピークパワーに対応するポイントを設定している。アウターが52T、50T、インナーが36T、34Tの2種類ずつ用意されるそれぞれの歯数に対して、楕円形状が細かくチューニングされているのだ。楕円率は52Tと50Tが10.3%、36Tが11.4%、34Tが6.5%となっており、仮想歯数が最大となるクランク角は108°~109.5°に設定されることで、ペダリング効率の最大化を図っている。
カラーは、アウターがブラック、グレー、レッドの3種類、インナーがブラックの1種類で、いずれもアルマイト加工によって着色される。なお、SRMやパイオニア・ペダリングモニターといったパワーメーターとも併用可能だ。
アブソリュートブラック Ovalチェーンリング
歯数:アウター50T/52T、インナー34T/36T
楕円率:10.3%(50T/52T)、11.4%(36T)、6.5%(34T)
PCD:110(シマノ4アーム、5アームクランク対応)
価格:アウター 14,800円(税抜)
インナー 7,900円(税抜)
チェーンリング固定ボルト
カラー:ブラック
価格:ロードダブル/4アーム用 2,300円(税抜)
ロードダブル/5アーム用 2,875円(税抜)
ー 編集部インプレッション
「純正リングからも違和感なく移行できる完成度」
純正からも違和感の無い使用感
楕円リングに興味はあれど手が出せない。そんな方も多いのではないだろうか。かくいう私もその一人で、編集部員が次々に楕円リングデビューしているのを見つつ、「でもそんなに踏み方が変わるのを強制されるのも」だとか、「変速スピードが……。」だとか、ちょっとした理由でこれまでチャレンジしてこなかった。
300kmほどのインプレッションを行った
変速ポイントのアルマイトは少し剥げているところもあるが、逆説的に言えばきっちり仕事をしているということでもある そんな私が、アブソリュートブラックを使い始めた最初の感想は「予想以上の違和感の無さ」。レッドアルマイトされたチェーンリングにはこれでもかと言わんばかりの切削加工が施され、見た目からもかなり特殊なパーツといった雰囲気を醸し出していた。
相応の覚悟、というか、かなりマニア向けの尖った製品なのだろうという印象とともに試用を開始したのだが、これがなかなか具合が良い。といっても、坂道でギアが一枚変わりました!とか、ケイデンスが上がりました!とか、いわゆる楕円リングらしい効果をてきめんに感じた、というわけではない。
そういった効果に関して言えば、案外踏み心地も変わらないな、という感想になるのだが、逆に私にとってはそれがぴったりフィットした。以前、少しだけ乗ったことのある他社製の楕円リングでは、最初から違和感が大きくやっぱり自分には合わないかもしれないと感じたことがあっただけに、自然なフィーリングで踏めるこのモデルは驚きだった。
フィーリング自体は非常にナチュラルなのだけれど、実際に歯数は変化しているわけで、おそらくだが自分のペダリングリズムとこの楕円率が絶妙にマッチした結果なのだろう。シッティングでもダンシングでもペダリングが変に脈動するような感覚はなかったし、普段と違う疲れ方をするということもなかった。
自然に使うことができるという意味においては変速フィーリングについても書いておかなければならないだろう。チェーンリング裏の切削加工による変速ポイントは階段状になっており、「絶対にチェーンを捕まえてやる!」という意思を感じさせるような造形。あまり他社のチェーンリングでは見ない形状であるが、これが実際に大きな効果を発揮していた。
赤いアルマイトが特別なパーツであるというオーラを放つ
組み付け自体もあまり特別なコツのようなものは必要なく、最大歯数の時にFDの羽根が当たらないように高さを決め、純正のチェーンリングと同じ手順で調整をすればしっかりと変速してくれる。組み付け作業の難易度も、実際の変速スピードも純正品とほぼ遜色ないレベルに仕上がっているため、そういったメカニカルな部分で楕円リングを敬遠していた人にとっては、非常に敷居が低い製品に仕上がっている。
違和感なく楕円リングの恩恵を受けたいという人にとってはこれ以上ないプロダクトだろう。押し出しの効いたルックスも相まって、愛車をよりスペシャルな一台へと引き上げてくれるはずだ。そのデザインから存在を主張しすぎてしまうのがたまにキズかもしれないが、ブラックやシルバーといった落ち着いた色を選べばどんな車体にもマッチするはずだ。面倒な角度調整なども必要ないし、価格もリーズナブルとあって、楕円リング入門にはうってつけの名盤といえるだろう。
text:Naoki.Yasuoka
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力の掛かりづらい上下死点でのギア数を小さくすることで、より効率的なペダリングを可能とする楕円チェーンリング。一定のペースを保つことが求められるヒルクライムやタイムトライアルといったレースにおいて、クリス・フルームをはじめとしたトップレーサーからホビーライダーまで、少しでも速く走りたいサイクリストたちに受け入れられてきた。
フランスのオーシンメトリックやスペインのローターなど、さまざまなブランドがそれぞれ独自の理論に基づく楕円形状を持ったチェーンリングを発表し、鎬を削る中、ポーランドからデビューしたのがCNC加工を得意とするニューカマー、アブソリュートブラックだ。
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5mm厚の超々ジュラルミンインゴットから削りだされたチェーンリングは、ライバルとなるどの楕円リングよりも高い剛性によって駆動ロスを排除するとともに優れた変速性能を実現する。アウターチェーンリングは分厚く堅牢に作られる一方で、表面には複雑な切削加工が施されており、軽量性にも優れている。
アウターチェーンリングの裏面には、一般的な変速ピンの替わりに6か所の変速ポイントが設けられている。得意の切削加工によって作られた変速ポイントと、分厚く堅牢でねじれに強い設計によって、チェーンにテンションがかかった状態でも、スムーズな変速を実現している。
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また、楕円形状に関してもアブソリュートブラックが提唱する独自の楕円率によって、ピークパワーに対応するポイントを設定している。アウターが52T、50T、インナーが36T、34Tの2種類ずつ用意されるそれぞれの歯数に対して、楕円形状が細かくチューニングされているのだ。楕円率は52Tと50Tが10.3%、36Tが11.4%、34Tが6.5%となっており、仮想歯数が最大となるクランク角は108°~109.5°に設定されることで、ペダリング効率の最大化を図っている。
カラーは、アウターがブラック、グレー、レッドの3種類、インナーがブラックの1種類で、いずれもアルマイト加工によって着色される。なお、SRMやパイオニア・ペダリングモニターといったパワーメーターとも併用可能だ。
アブソリュートブラック Ovalチェーンリング
歯数:アウター50T/52T、インナー34T/36T
楕円率:10.3%(50T/52T)、11.4%(36T)、6.5%(34T)
PCD:110(シマノ4アーム、5アームクランク対応)
価格:アウター 14,800円(税抜)
インナー 7,900円(税抜)
チェーンリング固定ボルト
カラー:ブラック
価格:ロードダブル/4アーム用 2,300円(税抜)
ロードダブル/5アーム用 2,875円(税抜)
ー 編集部インプレッション
「純正リングからも違和感なく移行できる完成度」
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そういった効果に関して言えば、案外踏み心地も変わらないな、という感想になるのだが、逆に私にとってはそれがぴったりフィットした。以前、少しだけ乗ったことのある他社製の楕円リングでは、最初から違和感が大きくやっぱり自分には合わないかもしれないと感じたことがあっただけに、自然なフィーリングで踏めるこのモデルは驚きだった。
フィーリング自体は非常にナチュラルなのだけれど、実際に歯数は変化しているわけで、おそらくだが自分のペダリングリズムとこの楕円率が絶妙にマッチした結果なのだろう。シッティングでもダンシングでもペダリングが変に脈動するような感覚はなかったし、普段と違う疲れ方をするということもなかった。
自然に使うことができるという意味においては変速フィーリングについても書いておかなければならないだろう。チェーンリング裏の切削加工による変速ポイントは階段状になっており、「絶対にチェーンを捕まえてやる!」という意思を感じさせるような造形。あまり他社のチェーンリングでは見ない形状であるが、これが実際に大きな効果を発揮していた。
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組み付け自体もあまり特別なコツのようなものは必要なく、最大歯数の時にFDの羽根が当たらないように高さを決め、純正のチェーンリングと同じ手順で調整をすればしっかりと変速してくれる。組み付け作業の難易度も、実際の変速スピードも純正品とほぼ遜色ないレベルに仕上がっているため、そういったメカニカルな部分で楕円リングを敬遠していた人にとっては、非常に敷居が低い製品に仕上がっている。
違和感なく楕円リングの恩恵を受けたいという人にとってはこれ以上ないプロダクトだろう。押し出しの効いたルックスも相まって、愛車をよりスペシャルな一台へと引き上げてくれるはずだ。そのデザインから存在を主張しすぎてしまうのがたまにキズかもしれないが、ブラックやシルバーといった落ち着いた色を選べばどんな車体にもマッチするはずだ。面倒な角度調整なども必要ないし、価格もリーズナブルとあって、楕円リング入門にはうってつけの名盤といえるだろう。
text:Naoki.Yasuoka
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