2016/09/06(火) - 10:30
地中海に面した美しい海岸線でのスプリント勝負。先行したジャンニ・メールスマンを交わしたジャンピエール・ドラッカーが勝利し、自身初となるグランツアーのステージ優勝を収めた。
地中海を目指して南下する第16ステージ photo:TDWsport/Kei Tsuji
3分差で逃げ続けるルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)ら6名 photo:TDWsport/Kei Tsuji
逃げを見送ったメイン集団がペースを落とす photo:TDWsport/Kei Tsuji
山岳賞のケニー・エリッソンド(フランス、FDJ) photo:TDWsport/Kei Tsuji
登りで逃げを牽くマリオ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) photo:TDWsport/Kei Tsuji荒れに荒れたピレネー決戦を終えたブエルタ。第16ステージはアルカニスから一路地中海を目指して南東に向かう156.4kmで、じっくり時間をかけて標高950mの3級山岳カスティーリョ・デ・モレリャ峠(3.4km/平均5.2%)へ。
頂上通過後にノンカテゴリーの峠をもう一つ超え、バレンシア州の海岸線まで一気に下り、17kmのフラットコースを経てゴールに飛び込むスプリンター向けのレイアウトだ。
この日序盤から逃げたのは、シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)とスヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)、ダヴィデ・ヴィッレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)、マリオ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)、ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、ジュリアン・モリス(フランス、ディレクトエネルジー)の6名。
逃げグループは3分ほどのリードを得て逃げ続け、プロトンのコントロールはIAMサイクリングやエティックス・クイックステップ、ジャイアント・アルペシンらゴール勝負を狙いたい各チームが担当。平穏を取り戻した「通常通り」の展開に、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)やクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)ら総合勢は集団内で落ち着いて距離を消化していった。
ステージ前半では集団内で総合5位サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)が落車したものの、特に大きなダメージ無く復帰する。
この日唯一設定された3級の山岳ポイントで先着したのはビストロム。地中海を目指す下りに突入する頃にはメイン集団の牽引にディメンションデータも加わってペースを上げ、逃げグループのリードを2分に抑え込んだ。
先頭6名もペースアップを試みたものの、道幅の広い平坦路ではサプライズは起こらない。地中海に面した美しい海岸線に出た頃には先頭はディリエル、マテマルドネス、ビストロムの3名に縮小。30秒差に迫った集団ではティンコフがペースアップを行ったことも手伝って、残り12kmでそのまま成す術無く逃げは吸収された。
古い城壁の中に進むプロトン photo:TDWsport/Kei Tsuji
メイン集団を率いるエティックス・クイックステップ photo:TDWsport/Kei Tsuji
最後まで逃げ続けたシルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)ら3名 photo:TDWsport/Kei Tsuji
ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)を抜くジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング) photo:TDWsport/Kei Tsuji
スプリント勝負で勝利したジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング) photo:TDWsport/Kei Tsuji
自身初のグランツアー勝利を祝うジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング) photo:TDWsport/Kei Tsujiするとフルームを安全にゴールさせたいチームスカイや、ジャイアント・アルペシンがハイペースでの牽引を開始する。集団が縦に伸ばされる中、先頭のペースが緩んだ一瞬のタイミングを突いて、スプリントを狙うと思われていたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ)がサプライズアタックを仕掛けた。
勢いよく逃げ続けたベンナーティだったが、残り1kmでエティックス・クイックステップが牽くメイン集団の射程圏内に捉えられる。ラスト300mで解き放たれたジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)がベンナーティを追撃するように踏み込み、ラスト200mで先頭に立つ。
しかしメールスマンは徐々に失速し、番手に入ったジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)やリュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)の先行を許してしまう。ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)らの追撃を許さず、最後まで踏み抜いたドラッカーが余裕を持って先着した。
「ここ数日はものすごく苦しめられてしまった。特にオービスクはキツすぎたけれど、ずっとステージ優勝を挙げたいという気持ちでここまで繋いできた。最後はタイミングを待ち続けてスプリント。グランツアーで優勝できるなんて夢みたいだ」と語るドラッカーは、1986年生まれの30歳。ワンティを経て2015年からBMCレーシングに所属しており、2回目のグランツアーでステージ優勝の栄冠をつかんだ。
総合上位陣は同タイムでフィニッシュし、タイム差や順位に変動は起こらず。スプリントに絡んだ別府史之(トレック・セガフレード)は15位に。ブエルタは最後の休息日を経て、個人TTと2つの頂上ゴールが用意された最終週に挑む。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第16ステージ結果
1位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング) 3h21’18”
2位 リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
3位 ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
5位 ロレンツォ・マンジン(フランス、FDJ)
6位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
7位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
8位 キール・レイネン(アメリカ、トレック・セガフレード)
9位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位 ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ)
マイヨロホ(個人総合成績)
マイヨプントス(ポイント賞)
マイヨモンターニャ(山岳賞)
マイヨコンビナーダ(複合賞)
チーム総合成績
敢闘賞
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
text:So.Isobe
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頂上通過後にノンカテゴリーの峠をもう一つ超え、バレンシア州の海岸線まで一気に下り、17kmのフラットコースを経てゴールに飛び込むスプリンター向けのレイアウトだ。
この日序盤から逃げたのは、シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)とスヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)、ダヴィデ・ヴィッレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)、マリオ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)、ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、ジュリアン・モリス(フランス、ディレクトエネルジー)の6名。
逃げグループは3分ほどのリードを得て逃げ続け、プロトンのコントロールはIAMサイクリングやエティックス・クイックステップ、ジャイアント・アルペシンらゴール勝負を狙いたい各チームが担当。平穏を取り戻した「通常通り」の展開に、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)やクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)ら総合勢は集団内で落ち着いて距離を消化していった。
ステージ前半では集団内で総合5位サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)が落車したものの、特に大きなダメージ無く復帰する。
この日唯一設定された3級の山岳ポイントで先着したのはビストロム。地中海を目指す下りに突入する頃にはメイン集団の牽引にディメンションデータも加わってペースを上げ、逃げグループのリードを2分に抑え込んだ。
先頭6名もペースアップを試みたものの、道幅の広い平坦路ではサプライズは起こらない。地中海に面した美しい海岸線に出た頃には先頭はディリエル、マテマルドネス、ビストロムの3名に縮小。30秒差に迫った集団ではティンコフがペースアップを行ったことも手伝って、残り12kmでそのまま成す術無く逃げは吸収された。
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勢いよく逃げ続けたベンナーティだったが、残り1kmでエティックス・クイックステップが牽くメイン集団の射程圏内に捉えられる。ラスト300mで解き放たれたジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)がベンナーティを追撃するように踏み込み、ラスト200mで先頭に立つ。
しかしメールスマンは徐々に失速し、番手に入ったジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)やリュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)の先行を許してしまう。ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)らの追撃を許さず、最後まで踏み抜いたドラッカーが余裕を持って先着した。
「ここ数日はものすごく苦しめられてしまった。特にオービスクはキツすぎたけれど、ずっとステージ優勝を挙げたいという気持ちでここまで繋いできた。最後はタイミングを待ち続けてスプリント。グランツアーで優勝できるなんて夢みたいだ」と語るドラッカーは、1986年生まれの30歳。ワンティを経て2015年からBMCレーシングに所属しており、2回目のグランツアーでステージ優勝の栄冠をつかんだ。
総合上位陣は同タイムでフィニッシュし、タイム差や順位に変動は起こらず。スプリントに絡んだ別府史之(トレック・セガフレード)は15位に。ブエルタは最後の休息日を経て、個人TTと2つの頂上ゴールが用意された最終週に挑む。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第16ステージ結果
1位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング) 3h21’18”
2位 リュトガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
3位 ニキアス・アルント(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
4位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
5位 ロレンツォ・マンジン(フランス、FDJ)
6位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
7位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
8位 キール・レイネン(アメリカ、トレック・セガフレード)
9位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
10位 ヨナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ)
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)
8位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
9位 ダヴィド・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)
10位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)
4位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
5位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ドラパック)
8位 ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)
9位 ダヴィド・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)
10位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
64h57’27”
+3’37”
+3’57”
+4’02”
+5’07”
+6’12”
+6’43”
+7’17”
+7’23”
+7’39”
+3’37”
+3’57”
+4’02”
+5’07”
+6’12”
+6’43”
+7’17”
+7’23”
+7’39”
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
3位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
3位 ファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
93pts
86pts
767pts
86pts
767pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)
2位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
2位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)
56pts
48pts
30pts
48pts
30pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)
7pts
18pts
29pts
18pts
29pts
チーム総合成績
1位 BMCレーシング
2位 モビスター
3位 キャノンデール・ドラパック
2位 モビスター
3位 キャノンデール・ドラパック
183h43’06”
24’20”
+24’50”
24’20”
+24’50”
敢闘賞
ルイス・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)
text:So.Isobe
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