バスク最大の都市ビルバオをスタートし、フランスとの国境をまたいだ第13ステージ。大きなリードを得たエスケープが逃げ切り、終盤に独走したヴァレリオ・コンティがキャリア最大の勝利を収めた。



風光明媚なビスケー湾を横目に東進する風光明媚なビスケー湾を横目に東進する (c)A.S.O.
ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第13ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2016第13ステージ image:Unipublicブエルタ・ア・エスパーニャ2016第13ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2016第13ステージ image:Unipublicリラックスして走るマイヨコンビナーダ(次点)のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)リラックスして走るマイヨコンビナーダ(次点)のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) (c)A.S.O.コントロールするモビスターも全員リラックスした表情コントロールするモビスターも全員リラックスした表情 (c)A.S.O.観客が詰めかけた山岳を走るプロトン観客が詰めかけた山岳を走るプロトン (c)CorVosイベリア半島の北端に位置する、バスク最大の都市ビルバオが第13ステージのスタート地点。今日のコースは海鮮の産地としても名高い風光明媚なビスケー湾を横目に西進し、4つ目の3級山岳プエルト・デ・リザレタを境にフランスとの国境を横断。フランスとスペインの国境をまたぐ周回コースを走り、スペイン側の街ダンチャリネアへとフィニッシュする213.4kmだ。

絶えずアップダウンが続きながらも、これまでと比べれば山岳の難易度は高くなく、残り5kmはゴールに向かって緩やかに下る。つまりは逃げ切りの可能性が高い、アタッカー向けのレイアウト。数少ないチャンスを狙うべく、この日も序盤は激しいアタック合戦が掛かった。

そんな中で逃げを決めたのは、チェザーレ・ベネディッティ(イタリア、ボーラ・アルゴン18)、ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)、ガティス・スムクリス(ラトビア、アスタナ)、イェーレ・ワレイス(ベルギー、ロット・ソウダル)、ミカエル・ゴーグル(オーストリア、ティンコフ)、ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)ら12名の選手たち。

総合成績を脅かす選手が入らない逃げだったため、ナイロ・キンタナ(コロンビア)を擁するモビスターらは積極的に追いかけず、タイム差は60km経過時点で11分、バスク最大のレース開催地であるサンセバスチャンを通過する頃には残り90km地点で19分にまで拡大。今年のグランツアー中最も余裕の あるタイム差を持って、12名の逃げグループは快調にゴールまでの距離を減らしていった。

連続する山岳ポイントではセルゲイ・ラグティン(ロシア、カチューシャ)が連取して山岳ジャージを再び手中に。ゴールが近づいていくといよいよエスケープの中でステージ優勝に向けた勝負が熱を帯びていく。残り13kmでミカエル・ゴーグル(オーストリア、ティンコフ)が口火を切ると、イェーレ・ワレイス(ベルギー、ロット・ソウダル)が反応してペースアップ。2名は抜け出したものの後続を引き離すには至らず、活性化する中でキャッチされてしまう。

続いてラエンゲンやイヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)らも続々とアタックを仕掛ける中、決定的な抜け出しを成功させたのはコンティだった。5名の追走グループを15秒以上引き離すと、ゴールまで20km弱を残しながらの独走が始まった。



独走でゴールに辿り着いたヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)独走でゴールに辿り着いたヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) (c)CorVos


山岳賞を取り戻したセルゲイ・ラグティン(ロシア、 カチューシャ)山岳賞を取り戻したセルゲイ・ラグティン(ロシア、 カチューシャ) (c)A.S.O.ステージ表彰に上がるヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)ステージ表彰に上がるヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ) (c)A.S.O.力強く突き進むコンティに対し、後続グループは徐々に水を開けられてしまう。「5人で全力ローテーションしていたのに、タイム差はどんどんと離れてしまった。コンティはとても強かったんだ」と追走に入ったラグティンは振り返っている。

結局リードを失うことなく駆け抜けたコンティは、後続を55秒引き離してフィニッシュへ。ゴールライン上ではゆっくりと喜びを噛み締めながらのガッツポーズが決まった。

2013年に現チームでプロ入りしたコンティは、1993年生まれの23歳。前回の勝利は2015年のツアー・オブ・ジャパン伊豆ステージであり、この時は集団を5秒抑えての逃げ切りだった。コンティにとっては初のワールドツアーレース優勝であり、間違いなくキャリア最大の勝利だ。

メイン集団はモビスターを先導に、争うことなく平穏にフィニッシュ。翌日から再び加熱する総合争いに向けて足休めの1日となった。



ブエルタ・ア・エスパーニャ2016第13ステージ結果
1位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
2位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)
3位 セルゲイ・ラグティン(ロシア、カチューシャ)
4位 ミカエル・ゴーグル(オーストリア、ティンコフ)
5位 スターク・ラエンゲン(ノルウェー、IAMサイクリング)
6位 イヴ・ランパート(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
7位 チェザーレ・ベネディッティ(イタリア、ボーラ・アルゴン18)
8位 イェーレ・ワレイス(ベルギー、ロット・ソウダル)
9位 ガティス・スムクリス(ラトビア、アスタナ)
10位 ステファン・ロセット(フランス、コフィディス)
5h29’04”
+55’




+1’02”
+1’04”

+1’08”


個人総合成績
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)             52h56’29”
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)                +54”
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)            +1’05”
4位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)    +2’34”
5位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)            +3’08”
6位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、チームスカイ)             +3’09”
7位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)      +3’25”
8位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)              +3’34”
9位 ダビ・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)      +3’45”
10位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)            +3’56”

マイヨプントス(ポイント賞)
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)           89pts
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)            65pts
3位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)              62pts

マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 セルゲイ・ラグティン(ロシア、 カチューシャ)              21pts
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)                20pts
3位 オマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)           19pts

マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)              5pts
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)              13pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)           19pts

チーム総合成績
1位 BMCレーシング                           157h31’55” 
2位 アスタナ                                +14’01”
3位 エティックス・クイックステップ                     +14’45”

敢闘賞
ダビ・ロペスガルシア(スペイン、チームスカイ)

text:So.Isobe

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