2016/07/02(土) - 09:17
スポーツサイクル用から自動車用まで幅広いジャンルのタイヤを展開するアメリカンブランドのマキシス。蛇の鱗のようなユニークなサイドウォールを持つロード用の新型レースタイヤ「MAMUSHI」をテストした。同じく新登場のロード用レースモデル「RELIX」「DOLOMITES」とあわせて紹介する。
マキシス MAMUSHI
「MAMUSHI(マムシ)」は、マキシスとしては久方ぶりとなる新型のハイエンドクリンチャータイヤ。その特徴は、マムシを模したサイドウォールのパターンにある。蛇革の模様の中には、迫力あるマムシの顔が描かれており、捉えた路面を逃さないように睨みを効かせている。
コンパウンドは2種類を使いわけている。スリック状のセンタートレッドとあわせて転がり抵抗を抑えつつも、サイドはハイグリップなコンパンドと平織り状のトレッドパターンの組み合わせによりグリップ力を高めている。なお、マムシを模したパターンは、相当バンクさせない限りは地面と接触しない位置にある。
ケーシングには、マキシスの歴代クリンチャータイヤの中では最も繊維密度の高い170TPIの「ONE70」を採用し、しなやかな乗り心地を実現しているという。内部には、サイドウォールまでを覆う耐パンク材「SILKSHIELD」を挿入し、信頼性を確保した。サイズは700x25Cで、マヴィックOPEN PROリムに装着して7bar充填した際の実測幅は24.8mmであった。
ーインプレッション
マキシスと言えばMTB用タイヤのイメージが強いが、従来からロードタイヤにも意欲的だ。そして、世界で初めてトリプルコンパウンドを採用した「Courchevel」やラジアル構造のチューブレス「Radiale TL」、20Cのクリンチャーながら140gを実現したヒルクライム決戦用モデル「Mont Ventoux」など、過去には個性的なモデルをラインアップしてきた。
今回インプレッションする「MAMUSHI」も、歴代のマキシスロードタイヤに比肩する個性的なデザインを備えている。結論から述べると、顔の一部と尾っぽを除いて、マムシを模した部分は地面とは接しそうにない位置にあり、その効果は感じることはできなかった。しかし、転がり性能とグリップを高バランスで両立しており、フラッグシップのレーシングモデルを名乗るに相応しいタイヤである。
実際に手に取って見ると、全体に薄手であることが伝わってくる。このため、ホイールへの装着は比較的容易で、難なく作業を終えることができた。以前にシクロワイアードでは、チューブラーの「Campione」をテストしたが、その時はホイールへの取り付けに苦労していた記憶があるだけに、少々意外であった。
走りだして最初に感じるのが、転がり性能の高さだ。全体的な薄さから想像するよりもタイヤ全体の剛性が高いようで、タイヤの断面が真円に近い状態を保ちながら転がってくれる。実測で205gという軽さもあって、ゼロ発進にも不満はなく、アップダウンも軽快にこなすことができる。
転がり性能の高さは直進時だけではなく、バイクを倒した状態でも同様である。加えて、剛性の高さはコーナリング時の回頭性の高さにも繋がっている。筆者が使用したことのあるタイヤで例えると、コンチネンタルのCOMPETITIONをやや転がり性能に振ったイメージといえるかもしれない。
今回のインプレッションでは、空気圧を6bar~8barの間で1/2barずつ変更しながら試乗を行った。剛性感、転がり、乗り心地のバランスを考えると、体重73kgの筆者にとっては7barがベストだと感じた。7barを下回ると剛性感が損なわれて、コーナリングで腰砕けしてしまい、7.5barを上回ると乗り心地が悪くなるからだ。なお、推奨空気圧は7.9bar~10barとなっているが、23Cの別モデルでも変わらないため、あまり気にする必要はないのだろう。
剛性が高いのに反して、乗り心地も悪くない。薄手のサイドウォールが積極的に潰れてくれる印象である。確かに衝撃吸収性をより重視するのであれば、他の選択肢もあるが、長距離ライドでも気にならない程には快適である。
マムシが這うようにとは行かないが、グリップ力も高い。コンパウンドの高い摩擦力と、糸を平織りにしたような形状のトレッドパターンの組み合わせにより、的確に路面を捉えてくれる。ただ、タイヤ表面の変形は感じにくいため、滑り初めてからのリカバリーは難しいかもしれない。
総じて、「MAMUSHI」は各性能のバランスに長けた優等生的レースタイヤである。全体的に薄いとはいっても、25Cで200gを下回る様な超軽量モデルと比べれば厚みがあり、SILKSHIELDという耐パンク材を搭載していることから、耐久性も悪くはないはずだ。長距離のロードレースやグランフォンドなど、対応するシチュエーションは幅広いだろう。
マキシス MAMUSHI
コンパウンド:デュアル
ケーシング:170TPI
テクノロジー:ONE70 / SilkShield
ビード:フォルダブル
空気圧:7.9bar~10bar
サイズ:700×25C
実測幅:24.8mm(7bar)
重 量:206g(カタログ値215g)
価 格:7,500円(税抜)
マキシス RELIX
「RELIX(レリックス)」はMAMUSHIの兄弟モデルとも言うべき、もう1つのハイエンドクリンチャータイヤ。従来のマキシス製ロードレースタイヤより繊維密度が約1.4倍となった170TPIのナイロンケーシング「ONE70」により、700x23Cという細身のサイズながら快適な乗り心地を実現している。
トレッドパターンは、センターを不規則なしわ状とし、サイドを規則的なダイヤ目としている。デュアルコンパウンドの採用とあわせて、直進時の転がりとコーナリンググリップを、高バランスで両立させている。内部には、サイドウォールまでを覆う耐パンク材「SILKSHIELD」を挿入し、信頼性を確保した。
転がり性能、グリップ力、耐パンク性を兼ね備えながら、重量は195gと軽量に仕上がっている。マヴィックOPEN PROリムに装着して7bar充填した際の実測幅は22.3mmと、表記よりも細めであった。ロードレースはもちろんのころ、軽量性が活きてくるヒルクライムにもオススメだ。
マキシス RELIX
コンパウンド:デュアル
ケーシング:170TPI
テクノロジー:ONE70 / SilkShield
ビード:フォルダブル
空気圧:7.9bar~10bar
サイズ:700×23C
重 量:195g(カタログ値205g)
価 格:7,500円(税抜)
マキシス DOLOMITES
ユネスコ世界遺産に登録されているイタリア北部のドロミテ山塊。総合成績を左右する重要な登りとしてジロ・デ・イタリアに度々登場する景勝地の名を冠したタイヤが「DOLOMITES」である。23Cと25Cの2サイズがラインアップされるが、その製品特性は大きく異なる。
23Cモデルはドロミテの名にふさわしく、マキシスのクリンチャータイヤの中では最軽量となる184gを実現。同時に、ケーシングに独自素材を組み合わせることで耐パンク性能と引き裂き強度を高める「Silkworm」テクノロジーにより、日常使いに対応する耐久性を確保した。トレッドパターンは、センターをスリック、サイドをダイヤ目としている。デュアルコンパウンドとあわせて、転がり抵抗を抑えつつ、コーナリンググリップを高めた。マヴィックOPEN PROリムに装着して7bar充填した際の実測幅は23.3mmといやや太めであった。
25Cモデルは、耐久性を重視したトレーニング向けモデルだ。センターがスリック、サイドがダイヤ目というトレッドパターンは23Cモデルと変わらないものの、コンパウンドをシングルとし、ケーシングを60TPIとしている。重量は240gだ。
マキシス DOLOMITES 700x23C
コンパウンド:デュアル
ケーシング:120TPI
テクノロジー:Silkworm
ビード:フォルダブル
空気圧: 最大9bar
重 量:184g(カタログ値185g)
価 格:5,500円(税抜)
マキシス DOLOMITES 700x25C
コンパウンド:シングル
ケーシング:60TPI
ビード:フォルダブル
空気圧: 最大9bar
重 量:240g
価 格:4,600円(税抜)
マキシス MAMUSHI
「MAMUSHI(マムシ)」は、マキシスとしては久方ぶりとなる新型のハイエンドクリンチャータイヤ。その特徴は、マムシを模したサイドウォールのパターンにある。蛇革の模様の中には、迫力あるマムシの顔が描かれており、捉えた路面を逃さないように睨みを効かせている。
コンパウンドは2種類を使いわけている。スリック状のセンタートレッドとあわせて転がり抵抗を抑えつつも、サイドはハイグリップなコンパンドと平織り状のトレッドパターンの組み合わせによりグリップ力を高めている。なお、マムシを模したパターンは、相当バンクさせない限りは地面と接触しない位置にある。
ケーシングには、マキシスの歴代クリンチャータイヤの中では最も繊維密度の高い170TPIの「ONE70」を採用し、しなやかな乗り心地を実現しているという。内部には、サイドウォールまでを覆う耐パンク材「SILKSHIELD」を挿入し、信頼性を確保した。サイズは700x25Cで、マヴィックOPEN PROリムに装着して7bar充填した際の実測幅は24.8mmであった。
ーインプレッション
マキシスと言えばMTB用タイヤのイメージが強いが、従来からロードタイヤにも意欲的だ。そして、世界で初めてトリプルコンパウンドを採用した「Courchevel」やラジアル構造のチューブレス「Radiale TL」、20Cのクリンチャーながら140gを実現したヒルクライム決戦用モデル「Mont Ventoux」など、過去には個性的なモデルをラインアップしてきた。
今回インプレッションする「MAMUSHI」も、歴代のマキシスロードタイヤに比肩する個性的なデザインを備えている。結論から述べると、顔の一部と尾っぽを除いて、マムシを模した部分は地面とは接しそうにない位置にあり、その効果は感じることはできなかった。しかし、転がり性能とグリップを高バランスで両立しており、フラッグシップのレーシングモデルを名乗るに相応しいタイヤである。
実際に手に取って見ると、全体に薄手であることが伝わってくる。このため、ホイールへの装着は比較的容易で、難なく作業を終えることができた。以前にシクロワイアードでは、チューブラーの「Campione」をテストしたが、その時はホイールへの取り付けに苦労していた記憶があるだけに、少々意外であった。
走りだして最初に感じるのが、転がり性能の高さだ。全体的な薄さから想像するよりもタイヤ全体の剛性が高いようで、タイヤの断面が真円に近い状態を保ちながら転がってくれる。実測で205gという軽さもあって、ゼロ発進にも不満はなく、アップダウンも軽快にこなすことができる。
転がり性能の高さは直進時だけではなく、バイクを倒した状態でも同様である。加えて、剛性の高さはコーナリング時の回頭性の高さにも繋がっている。筆者が使用したことのあるタイヤで例えると、コンチネンタルのCOMPETITIONをやや転がり性能に振ったイメージといえるかもしれない。
今回のインプレッションでは、空気圧を6bar~8barの間で1/2barずつ変更しながら試乗を行った。剛性感、転がり、乗り心地のバランスを考えると、体重73kgの筆者にとっては7barがベストだと感じた。7barを下回ると剛性感が損なわれて、コーナリングで腰砕けしてしまい、7.5barを上回ると乗り心地が悪くなるからだ。なお、推奨空気圧は7.9bar~10barとなっているが、23Cの別モデルでも変わらないため、あまり気にする必要はないのだろう。
剛性が高いのに反して、乗り心地も悪くない。薄手のサイドウォールが積極的に潰れてくれる印象である。確かに衝撃吸収性をより重視するのであれば、他の選択肢もあるが、長距離ライドでも気にならない程には快適である。
マムシが這うようにとは行かないが、グリップ力も高い。コンパウンドの高い摩擦力と、糸を平織りにしたような形状のトレッドパターンの組み合わせにより、的確に路面を捉えてくれる。ただ、タイヤ表面の変形は感じにくいため、滑り初めてからのリカバリーは難しいかもしれない。
総じて、「MAMUSHI」は各性能のバランスに長けた優等生的レースタイヤである。全体的に薄いとはいっても、25Cで200gを下回る様な超軽量モデルと比べれば厚みがあり、SILKSHIELDという耐パンク材を搭載していることから、耐久性も悪くはないはずだ。長距離のロードレースやグランフォンドなど、対応するシチュエーションは幅広いだろう。
マキシス MAMUSHI
コンパウンド:デュアル
ケーシング:170TPI
テクノロジー:ONE70 / SilkShield
ビード:フォルダブル
空気圧:7.9bar~10bar
サイズ:700×25C
実測幅:24.8mm(7bar)
重 量:206g(カタログ値215g)
価 格:7,500円(税抜)
マキシス RELIX
「RELIX(レリックス)」はMAMUSHIの兄弟モデルとも言うべき、もう1つのハイエンドクリンチャータイヤ。従来のマキシス製ロードレースタイヤより繊維密度が約1.4倍となった170TPIのナイロンケーシング「ONE70」により、700x23Cという細身のサイズながら快適な乗り心地を実現している。
トレッドパターンは、センターを不規則なしわ状とし、サイドを規則的なダイヤ目としている。デュアルコンパウンドの採用とあわせて、直進時の転がりとコーナリンググリップを、高バランスで両立させている。内部には、サイドウォールまでを覆う耐パンク材「SILKSHIELD」を挿入し、信頼性を確保した。
転がり性能、グリップ力、耐パンク性を兼ね備えながら、重量は195gと軽量に仕上がっている。マヴィックOPEN PROリムに装着して7bar充填した際の実測幅は22.3mmと、表記よりも細めであった。ロードレースはもちろんのころ、軽量性が活きてくるヒルクライムにもオススメだ。
マキシス RELIX
コンパウンド:デュアル
ケーシング:170TPI
テクノロジー:ONE70 / SilkShield
ビード:フォルダブル
空気圧:7.9bar~10bar
サイズ:700×23C
重 量:195g(カタログ値205g)
価 格:7,500円(税抜)
マキシス DOLOMITES
ユネスコ世界遺産に登録されているイタリア北部のドロミテ山塊。総合成績を左右する重要な登りとしてジロ・デ・イタリアに度々登場する景勝地の名を冠したタイヤが「DOLOMITES」である。23Cと25Cの2サイズがラインアップされるが、その製品特性は大きく異なる。
23Cモデルはドロミテの名にふさわしく、マキシスのクリンチャータイヤの中では最軽量となる184gを実現。同時に、ケーシングに独自素材を組み合わせることで耐パンク性能と引き裂き強度を高める「Silkworm」テクノロジーにより、日常使いに対応する耐久性を確保した。トレッドパターンは、センターをスリック、サイドをダイヤ目としている。デュアルコンパウンドとあわせて、転がり抵抗を抑えつつ、コーナリンググリップを高めた。マヴィックOPEN PROリムに装着して7bar充填した際の実測幅は23.3mmといやや太めであった。
25Cモデルは、耐久性を重視したトレーニング向けモデルだ。センターがスリック、サイドがダイヤ目というトレッドパターンは23Cモデルと変わらないものの、コンパウンドをシングルとし、ケーシングを60TPIとしている。重量は240gだ。
マキシス DOLOMITES 700x23C
コンパウンド:デュアル
ケーシング:120TPI
テクノロジー:Silkworm
ビード:フォルダブル
空気圧: 最大9bar
重 量:184g(カタログ値185g)
価 格:5,500円(税抜)
マキシス DOLOMITES 700x25C
コンパウンド:シングル
ケーシング:60TPI
ビード:フォルダブル
空気圧: 最大9bar
重 量:240g
価 格:4,600円(税抜)
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