2016/06/23(木) - 20:13
伊豆大島で行われる全日本選手権ロードレース。今年は個人TTとロードで3日間の開催だ。女子エリートはリオオリンピック候補選手選考大会であり注目が集まる。各レースの見どころを紹介しよう。
東京都大島町、伊豆大島において6月24日(金)から始まる全日本ロード。初日は個人TT各クラスとパラサイクリング、2日目は男子U23と女子エリートのロード、そして3日目は男子エリートロードレースが行われる。なおジュニア男女については11月に島根県益田市でジュニア全日本選手権ロードレースが行われる。そのため今回はすべてのクラスで時差スタートによる混走が無くなり、独立したレースとなる。
コースはすべて今年1月に行われたアジア選手権大会ロードと全く同じもの。個人タイムトライアルは海沿いの概ね平坦なコース。ロードレースは大きく1か所上るコースだ。注目のリオオリンピック出場選手選考は男子については新城幸也(ランプレ・メリダ)と内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)で決定発表済み。だが女子についてはUCIポイントランキング上位者3名からこの全日本選手権ロードの上位順に選考される。
伊豆大島では1986年に三原山噴火による全島避難が1か月にわたった。そして2013年に台風26号の集中豪雨による土砂災害で、元町地区を中心に39名の死者行方不明者を出す災害に見舞われた。1月のアジア選手権ロードに続いて当地にて大会が行われるのは、その復興支援の意味もある。この伊豆大島で、3日間にわたって町の中心部や幹線道路、生活道路を全面交通規制して行われるのが今年の全日本ロードの特徴だ。
日程
6月24日(金)【個人タイムトライアル】
9:00~ WJ+WU17 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
9:20~ MU17+MU15 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
9:40~ MJ 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
10:00~ MU23 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
10:30~ パラサイクリング MT, FT, MB, FB, MC1-5, FC1-5, MH1-5, FH1-5 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
11:20~ 表彰式
12:00~ WE 個人タイムトライアル・スタート22.4 km (11.2 km× 2 周)
13:15~ ME WAVE 1 個人タイムトライアル・スタート33.6 km (11.2 km× 3 周)
14:30~ ME WAVE 2 個人タイムトライアル・スタート33.6 km (11.2 km× 3 周)
15:45~随時 個人タイムトライアル表彰式 元町港客船ターミナル
6月25日(土) 【個人ロードレース】
9:00~ U23 個人ロード・スタート 119.0 km (11.9 km× 10 周)
12:30 U23 表彰式: 大島支庁:駐車場
13:00~ WE 個人ロード・スタート107.1 km (11.9 km× 9 周)
16:45 WE 表彰式: 大島支庁
6月26日(日)【個人ロードレース】
8:00~ ME 個人ロード・スタート154.7 km (11.9 km×13 周)
12:25 (予定) ME 表彰式: 大島支庁
なおジュニア男女などのロードレースは、11月6日(日)に島根県益田市で第3回益田チャレンジャーズステージに併せて行われる。MU17+MU15、MJ,WJ+WU17のクラス分けだ。
初日は海沿いコースの個人タイムトライアル
大会初日の6月24日(金)は、個人タイムトライアル各カテゴリーとパラサイクリングロードが行われる。コースは元町港から”サンセットパームライン”を北上し、野田浜で折り返す往復11.2kmで、途中数か所の小さなアップダウンがあるが平坦基調のコースだ。
1月のアジア選手権時には強風の条件下で、男子エリート優勝者チェン・キンロ(香港)が4往復44.8km(全日本は3往復)で1時間00分15秒50(44.60km/h)、女子エリート優勝者萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)が2往復(全日本と同じ)22.4kmで32分25秒17(41.45km/h)のタイムだった。上位の目安タイムは、男子エリートは3周で43分、女子エリートは2周で31分、男子U23は1周で14分半、男子U17で15分前後だろう。
西薗良太、増田成幸、山本元喜、中村龍太郎らの男子エリートTT
注目の選手は男子エリートで昨年覇者・中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、2012年の覇者・西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、昨年の2位・増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、そして山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)がまず挙げられよう。そして2位を3回獲っている佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、オムニアムアジアチャンピオンの橋本英也(NIPPOレーシング/GOKISO)、熊野プロローグ覇者・阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)らが有力候補だ。
與那嶺恵理、萩原麻由子、梶原悠未らの女子エリートTT
女子エリートは昨年の覇者・與那嶺恵理(Hagens Berman Supermint Pro Cycling Team)と同2位の萩原麻由子(Wiggle High 5)が筆頭に挙げられる。とくに2012年からの直接対決では、それぞれが1位と2位を2回ずつ獲っており実績では互角だ。今春に筑波大学へ入った梶原悠未はジュニアからエリートに上がって1年目だが、トラックですでに結果を出しており、個人TTでも與那嶺と萩原の2人に対してどこまで迫るかが注目どころだ。上野みなみ(CIEL BLEU KANOYA)、坂口聖香(パナソニックレディース)と上位陣が続く。
男子U23とU19、U17は?
男子U23は昨年2位の山本大喜(鹿屋体育大学)、同3位の小林海(Team KUOTA C.PAULINO)、今年は弱虫ペダルサイクリングチームで出場の岡篤志、学生個人TT覇者の池邉聖(慶應義塾大学)、同4位の真砂英作(明治大学)、同5位の徳田優(鹿屋体育大学)、岡本隼(日本大学)らが上位にくるだろう。
男子U19では昨年の覇者・大町健斗(安芸府中高校)、ロード2連覇の沢田桂太郎(日本大学)、アジア選3位の渡邉歩(EQADS)、ポイントレースジュニア世界チャンピオンの今村駿介(中央大学)らが挙げられよう。
男子U17は昨年の覇者・小野寺慶(真岡工業高校)、昨年3位の日野泰静(松山城南高校)が、女子U17ではロードアジアチャンピオンの下山美寿々(大阪教育大学附属天王寺高校)が有力だ。
個人ロードレースは2日間開催 混走を回避したスケジュール
個人ロードレースは6月25日(土)、26日(日)の2日間で行われる。1月のアジア選手権と同じコースであり、1か所の大きな上りと下り、そしてそれをつなぐ平坦基調の区間で構成される。登りは約2kmで150m上るもので、平均勾配7%ほど。上りきってもアップダウンが続く精神的にもきついもの。ただし時間にして6分ほどの上りであり、クライマーよりはパンチャーや独走力に長ける選手が有利だ。またジュニアを11月開催としたことですべてのクラスで時差スタートがなくなり、混走によってどちらかのクラスにニュートラルがかかるような昨年までの事態は回避される。
増田成幸、山本元喜、内間康平、畑中勇介ら男子エリートロードは?
昨年2位の畑中勇介(チーム右京)、同3位の増田成幸、山本元喜、リオ五輪代表の内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、2012年覇者・土井雪広(マトリックスパワータグ)、中根英登(愛三工業レーシングチーム)ら、実績と今年に入ってからの調子が良いメンバーを中心に展開するだろう。畑中と内間は今年1月のアジア選手権でこのコースを走っている。予想される展開は、終盤の上りで抜け出した数人または一人が逃げ切るようなサバイバルなレースになるだろう。その点、増田も山本も独走力もあり、実力としては甲乙つけがたい。
さらに井上和郎、西薗良太(ブリヂストンアンカー)、黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)、伊藤雅和(愛三工業レーシング)、小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ)、入部正太郎(シマノレーシング)らがひのき舞台に上がってくるだろう。なお一部のU23選手はエリートで戦う。昨年のU23覇者・中井路雅(チーム右京/京都産業大学)、田窪賢次(マトリックスパワータグ)、EQADSの内野直也、城田大和、新城雄大、石上優大がそのメンバーだ。
女子ロードは萩原、與那嶺、金子から1人がリオ五輪へ
この全日本選手権ロードは、世界選手権ロードレース代表候補選手選考の参考とされるのは例年通り。そして8月のブラジル・リオデジャネイロで行われるオリンピック代表選手は、男子ロードとトラックについてはすでに決定、発表されている。女子ロードレースは1枠が決定しているが、この全日本選手権ロードの結果が大きく関わる。JCFが発表している選手選考基準は、「(女子ロード)参加枠が決定次第、2015年6月1日より2016年5月31日までの期間のUCIポイントランキング上位者3名の中で2016年全日本選手権ロードの上位順に選考する」となっている。
UCIが発表したその5月31日集計のランキングは次の通り。
92位 萩原麻由子 103点
158位 與那嶺恵理 46点
317位 金子広美 11点
322位 吉川美穂 11点
525位 合田祐美子 3点
557位 坂口聖香 3点
624位 西加南子 1点
よって萩原、與那嶺、金子の3名の中からこの全日本ロードの上位順に選考されることになる。このことはレース展開に大きく影響を及ぼす。この3名とそれ以外の選手による2つのレースが展開する可能性もある。通常の展開ならば昨年の覇者・萩原、與那嶺、金子そして梶原の4人がまず候補に挙げらよう。そして総合力のある坂口、登坂力のある合田祐美子(BH ASTIFO)と樫木祥子(ニールプライド南信スバル)、新人の福田咲絵(慶應義塾大学)、スプリント力の最もある吉川美穂(Live GARDEN Bici Stelle)らが展開によって上位に位置するだろう。
だがオリンピック出場を意識したレース展開となるならば、その3人がけん制するのは想像に難くない。その場合はもともと優勝候補の一人の梶原が筆頭に挙げられるだろう。その3人の中では展開次第であり順位の予想はしにくい。願わくば優勝者がリオへの切符を手にしてほしいところだ。優勝者はだれか? リオへの切符を手にするのはだれか? 女子エリートロードレースは今年の全日本ロードの一番の見どころだ。
男子U23は激戦に
今年のU23はシマノレーシングなどコンチネンタルチームの若手と大学生が主体のレースだ。有力どころは学生個人ロード覇者・徳田優、学生クリテ覇者・岡本隼(日本大学)、昨年のインカレロード覇者・吉田悠人(日本大学)、学生個人TT覇者・池邉聖、そして岡篤志、山本大喜、小林海、黒枝咲哉(鹿屋体育大学)、JPT奈良クリテ覇者・小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、さらにはシマノレーシング小橋勇利、秋田拓磨、学生個人ロード2位の安田京介(京都産業大学)、同3位の松本祐典(明治大学)、同4位の野本空(明治大学)、孫崎大樹(早稲田大学)、草場啓吾(日本大学)らが挙げられよう。
text:高木秀彰
東京都大島町、伊豆大島において6月24日(金)から始まる全日本ロード。初日は個人TT各クラスとパラサイクリング、2日目は男子U23と女子エリートのロード、そして3日目は男子エリートロードレースが行われる。なおジュニア男女については11月に島根県益田市でジュニア全日本選手権ロードレースが行われる。そのため今回はすべてのクラスで時差スタートによる混走が無くなり、独立したレースとなる。
コースはすべて今年1月に行われたアジア選手権大会ロードと全く同じもの。個人タイムトライアルは海沿いの概ね平坦なコース。ロードレースは大きく1か所上るコースだ。注目のリオオリンピック出場選手選考は男子については新城幸也(ランプレ・メリダ)と内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)で決定発表済み。だが女子についてはUCIポイントランキング上位者3名からこの全日本選手権ロードの上位順に選考される。
伊豆大島では1986年に三原山噴火による全島避難が1か月にわたった。そして2013年に台風26号の集中豪雨による土砂災害で、元町地区を中心に39名の死者行方不明者を出す災害に見舞われた。1月のアジア選手権ロードに続いて当地にて大会が行われるのは、その復興支援の意味もある。この伊豆大島で、3日間にわたって町の中心部や幹線道路、生活道路を全面交通規制して行われるのが今年の全日本ロードの特徴だ。
日程
6月24日(金)【個人タイムトライアル】
9:00~ WJ+WU17 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
9:20~ MU17+MU15 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
9:40~ MJ 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
10:00~ MU23 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
10:30~ パラサイクリング MT, FT, MB, FB, MC1-5, FC1-5, MH1-5, FH1-5 個人タイムトライアル・スタート11.2 km (11.2 km× 1 周)
11:20~ 表彰式
12:00~ WE 個人タイムトライアル・スタート22.4 km (11.2 km× 2 周)
13:15~ ME WAVE 1 個人タイムトライアル・スタート33.6 km (11.2 km× 3 周)
14:30~ ME WAVE 2 個人タイムトライアル・スタート33.6 km (11.2 km× 3 周)
15:45~随時 個人タイムトライアル表彰式 元町港客船ターミナル
6月25日(土) 【個人ロードレース】
9:00~ U23 個人ロード・スタート 119.0 km (11.9 km× 10 周)
12:30 U23 表彰式: 大島支庁:駐車場
13:00~ WE 個人ロード・スタート107.1 km (11.9 km× 9 周)
16:45 WE 表彰式: 大島支庁
6月26日(日)【個人ロードレース】
8:00~ ME 個人ロード・スタート154.7 km (11.9 km×13 周)
12:25 (予定) ME 表彰式: 大島支庁
なおジュニア男女などのロードレースは、11月6日(日)に島根県益田市で第3回益田チャレンジャーズステージに併せて行われる。MU17+MU15、MJ,WJ+WU17のクラス分けだ。
初日は海沿いコースの個人タイムトライアル
大会初日の6月24日(金)は、個人タイムトライアル各カテゴリーとパラサイクリングロードが行われる。コースは元町港から”サンセットパームライン”を北上し、野田浜で折り返す往復11.2kmで、途中数か所の小さなアップダウンがあるが平坦基調のコースだ。
1月のアジア選手権時には強風の条件下で、男子エリート優勝者チェン・キンロ(香港)が4往復44.8km(全日本は3往復)で1時間00分15秒50(44.60km/h)、女子エリート優勝者萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)が2往復(全日本と同じ)22.4kmで32分25秒17(41.45km/h)のタイムだった。上位の目安タイムは、男子エリートは3周で43分、女子エリートは2周で31分、男子U23は1周で14分半、男子U17で15分前後だろう。
西薗良太、増田成幸、山本元喜、中村龍太郎らの男子エリートTT
注目の選手は男子エリートで昨年覇者・中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、2012年の覇者・西薗良太(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、昨年の2位・増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、そして山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)がまず挙げられよう。そして2位を3回獲っている佐野淳哉(マトリックスパワータグ)、オムニアムアジアチャンピオンの橋本英也(NIPPOレーシング/GOKISO)、熊野プロローグ覇者・阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)らが有力候補だ。
與那嶺恵理、萩原麻由子、梶原悠未らの女子エリートTT
女子エリートは昨年の覇者・與那嶺恵理(Hagens Berman Supermint Pro Cycling Team)と同2位の萩原麻由子(Wiggle High 5)が筆頭に挙げられる。とくに2012年からの直接対決では、それぞれが1位と2位を2回ずつ獲っており実績では互角だ。今春に筑波大学へ入った梶原悠未はジュニアからエリートに上がって1年目だが、トラックですでに結果を出しており、個人TTでも與那嶺と萩原の2人に対してどこまで迫るかが注目どころだ。上野みなみ(CIEL BLEU KANOYA)、坂口聖香(パナソニックレディース)と上位陣が続く。
男子U23とU19、U17は?
男子U23は昨年2位の山本大喜(鹿屋体育大学)、同3位の小林海(Team KUOTA C.PAULINO)、今年は弱虫ペダルサイクリングチームで出場の岡篤志、学生個人TT覇者の池邉聖(慶應義塾大学)、同4位の真砂英作(明治大学)、同5位の徳田優(鹿屋体育大学)、岡本隼(日本大学)らが上位にくるだろう。
男子U19では昨年の覇者・大町健斗(安芸府中高校)、ロード2連覇の沢田桂太郎(日本大学)、アジア選3位の渡邉歩(EQADS)、ポイントレースジュニア世界チャンピオンの今村駿介(中央大学)らが挙げられよう。
男子U17は昨年の覇者・小野寺慶(真岡工業高校)、昨年3位の日野泰静(松山城南高校)が、女子U17ではロードアジアチャンピオンの下山美寿々(大阪教育大学附属天王寺高校)が有力だ。
個人ロードレースは2日間開催 混走を回避したスケジュール
個人ロードレースは6月25日(土)、26日(日)の2日間で行われる。1月のアジア選手権と同じコースであり、1か所の大きな上りと下り、そしてそれをつなぐ平坦基調の区間で構成される。登りは約2kmで150m上るもので、平均勾配7%ほど。上りきってもアップダウンが続く精神的にもきついもの。ただし時間にして6分ほどの上りであり、クライマーよりはパンチャーや独走力に長ける選手が有利だ。またジュニアを11月開催としたことですべてのクラスで時差スタートがなくなり、混走によってどちらかのクラスにニュートラルがかかるような昨年までの事態は回避される。
増田成幸、山本元喜、内間康平、畑中勇介ら男子エリートロードは?
昨年2位の畑中勇介(チーム右京)、同3位の増田成幸、山本元喜、リオ五輪代表の内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、2012年覇者・土井雪広(マトリックスパワータグ)、中根英登(愛三工業レーシングチーム)ら、実績と今年に入ってからの調子が良いメンバーを中心に展開するだろう。畑中と内間は今年1月のアジア選手権でこのコースを走っている。予想される展開は、終盤の上りで抜け出した数人または一人が逃げ切るようなサバイバルなレースになるだろう。その点、増田も山本も独走力もあり、実力としては甲乙つけがたい。
さらに井上和郎、西薗良太(ブリヂストンアンカー)、黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)、伊藤雅和(愛三工業レーシング)、小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ)、入部正太郎(シマノレーシング)らがひのき舞台に上がってくるだろう。なお一部のU23選手はエリートで戦う。昨年のU23覇者・中井路雅(チーム右京/京都産業大学)、田窪賢次(マトリックスパワータグ)、EQADSの内野直也、城田大和、新城雄大、石上優大がそのメンバーだ。
女子ロードは萩原、與那嶺、金子から1人がリオ五輪へ
この全日本選手権ロードは、世界選手権ロードレース代表候補選手選考の参考とされるのは例年通り。そして8月のブラジル・リオデジャネイロで行われるオリンピック代表選手は、男子ロードとトラックについてはすでに決定、発表されている。女子ロードレースは1枠が決定しているが、この全日本選手権ロードの結果が大きく関わる。JCFが発表している選手選考基準は、「(女子ロード)参加枠が決定次第、2015年6月1日より2016年5月31日までの期間のUCIポイントランキング上位者3名の中で2016年全日本選手権ロードの上位順に選考する」となっている。
UCIが発表したその5月31日集計のランキングは次の通り。
92位 萩原麻由子 103点
158位 與那嶺恵理 46点
317位 金子広美 11点
322位 吉川美穂 11点
525位 合田祐美子 3点
557位 坂口聖香 3点
624位 西加南子 1点
よって萩原、與那嶺、金子の3名の中からこの全日本ロードの上位順に選考されることになる。このことはレース展開に大きく影響を及ぼす。この3名とそれ以外の選手による2つのレースが展開する可能性もある。通常の展開ならば昨年の覇者・萩原、與那嶺、金子そして梶原の4人がまず候補に挙げらよう。そして総合力のある坂口、登坂力のある合田祐美子(BH ASTIFO)と樫木祥子(ニールプライド南信スバル)、新人の福田咲絵(慶應義塾大学)、スプリント力の最もある吉川美穂(Live GARDEN Bici Stelle)らが展開によって上位に位置するだろう。
だがオリンピック出場を意識したレース展開となるならば、その3人がけん制するのは想像に難くない。その場合はもともと優勝候補の一人の梶原が筆頭に挙げられるだろう。その3人の中では展開次第であり順位の予想はしにくい。願わくば優勝者がリオへの切符を手にしてほしいところだ。優勝者はだれか? リオへの切符を手にするのはだれか? 女子エリートロードレースは今年の全日本ロードの一番の見どころだ。
男子U23は激戦に
今年のU23はシマノレーシングなどコンチネンタルチームの若手と大学生が主体のレースだ。有力どころは学生個人ロード覇者・徳田優、学生クリテ覇者・岡本隼(日本大学)、昨年のインカレロード覇者・吉田悠人(日本大学)、学生個人TT覇者・池邉聖、そして岡篤志、山本大喜、小林海、黒枝咲哉(鹿屋体育大学)、JPT奈良クリテ覇者・小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、さらにはシマノレーシング小橋勇利、秋田拓磨、学生個人ロード2位の安田京介(京都産業大学)、同3位の松本祐典(明治大学)、同4位の野本空(明治大学)、孫崎大樹(早稲田大学)、草場啓吾(日本大学)らが挙げられよう。
text:高木秀彰
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