2016/06/20(月) - 02:37
途中から豪雨となった最終の太地ステージ。序盤から逃げたメンバーでのスプリント勝負を大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が制し、チームは2勝目。オスカル・プジョル(チーム右京)がTOJに続いて個人総合優勝を達成。
ゴールスプリントは僅差で大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が制する photo:Hideaki TAKAGI
総合1位2位は9秒差でスタート
ツール・ド・熊野最終日第3ステージが6月19日(日)、和歌山県太地町で行われた。1周10kmの中にあらゆる状況が詰め込まれた名コースでは、過去数々の名勝負が繰り広げられてきた。過去には逆転劇が多く生まれたが、UCIレースになってからはそのまま守りきることが多くなっている。
個人総合はリーダーのプジョルに9秒差でマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がつける。さらに27秒差でベンジャミ・プラデス(チーム右京)が位置する。総合をめぐる攻防はあっても、この順位はレース後もそのまま推移することが予想された。懸念材料はレース途中からの雨だ。天気予報ではスタート時は曇りだが中盤から大雨となっていた。
ランニングバイクの子どもたちもレースに参戦 photo:Hideaki TAKAGI
スタート前の4賞ジャージ着用者。全員が守り抜いた photo:Hideaki TAKAGI
2周目の6人の逃げ
114名で始まったツール・ド・熊野も第3ステージの出走は74名。このステージで最終的に30名がリタイアし完走者が44名になることを誰が予想しただろうか。スタート時点は曇り。だが途中から大雨との天気予報から選手の幾人かは雨対策を施していた。11時10分にレースはスタート、10周する100kmの戦いだ。
スタート直後からアタックがかかる。1周目後半にダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)がアタック。これに木村圭佑(シマノレーシング)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)とジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)が、そして最後に大久保が合流し2周目後半にして6人の逃げができる。
4周目KOMへの上り。雨が近い photo:Hideaki TAKAGI
3周目へ、6人の逃げ集団ができ、集団は容認する photo:Hideaki TAKAGI
豪雨でも続く激しい攻防
メイン集団はリーダーチームのチーム右京がおもに引く。逃げの6人は木村が総合で4分47秒遅れでそのほか5人は10分以上であり、総合に影響のないメンバーでの逃げは容認され差は2分に。先頭6人は協調して逃げ続けるいっぽう、メイン集団では9秒差総合2位のガルシアが攻撃を繰り返す。これにチーム右京が対応するが後半にかけてリーダーのプジョル自ら反応することも。
12時20分過ぎ、6周回目中に降り出した雨はすぐに勢いを増す。ここからフィニッシュまでの1時間ほどコースは豪雨に見舞われることに。先頭は変わらず逃げ続けるがメイン集団は変わらずガルシアの攻撃が続く。そして思うようにタイム差が縮まらない集団からは入部正太朗(シマノレーシング)がアタックを繰り返す。時間雨量45mmと雨脚が特に強まった8周目から9周目でもメイン集団前方では激しい攻防が続く。
6周目 上り区間で仕掛けるマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)と追うオスカル・プジョル(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI
8周目後半、雨脚が強くなるがメイン集団では攻防が繰り広げられる photo:Hideaki TAKAGI
9周目前半 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)とオスカル・プジョル(チーム右京)の攻防は続く photo:Hideaki TAKAGI
9周目前半 攻撃するマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)はオスカル・プジョル(チーム右京)を振り切れない photo:Hideaki TAKAGI
大久保陣(宇都宮ブリッツェン)がスプリントで優勝
そして最終周回の10周目、逃げ切りが見えてきた先頭集団ではKOMへの上りで木村がアタック。1kmほどのちにフェルナンデスと大久保が合流し先頭は3人に。「人数を絞るためアタックした」という木村。だがスプリンターの大久保が粘って追いついたことがレースを決めた。この3人でのスプリント勝負はビデオ判定のすえ、僅差で大久保がフェルナンデスを下して優勝。チームはプロローグの阿部に続いて大会2勝目を挙げた。
優勝した大久保は「3度目の2位(奈良クリテ、熊野プロローグ)かと思いましたがやっと勝てて嬉しいです。UCIレースでは初めての優勝です。父とは握手しましたが言葉は交わしていません」と語った。会場にいたシマノレーシングのメカニックである父・修一さん(元シマノレーシング選手)への何よりの父の日のプレゼントだ。
最終周回へ入る先頭5人 photo:Hideaki TAKAGI
ラスト8km、アタックする木村圭佑(シマノレーシング) photo:Hideaki TAKAGI
総合2位につけていたガルシアは攻撃を続けていたが9周目に落車し、プジョルのいた集団からさらに1分遅れでフィニッシュし総合10位になった。ガルシアは2位を守る走りでなく、逆転を狙って攻撃をかけ続けた結果のことであり、その姿勢は評価されよう。
日本チームが活躍
今年のツール・ド・熊野は例年になく日本チームが活躍した年になった。日本チームとしてはステージ3勝、個人総合1位から6位までとポイント賞、山岳賞、U23賞を獲得。日本人選手としてはステージ2勝、そして個人総合5位に伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)が入った。伊藤はハードなステージとなった第2第3ステージでともに上位に食い込んだ。チームとしてはチーム右京がアジアツアーでポイント上位3チームに入る可能性が出てきた。そして宇都宮ブリッツェンが若手中心のメンバーでこの結果を出せた意義は大きい。
第3ステージ表彰 photo:Hideaki TAKAGI
個人総合時間賞表彰 photo:Hideaki TAKAGI
オスカル・プジョル(チーム右京)のシャンパンが一番飛ぶ photo:Hideaki TAKAGI
チーム総合表彰 photo:Hideaki TAKAGI
各賞優勝者 photo:Hideaki TAKAGI
ホストチームでもあるキナンサイクリングチーム。攻めるスタイルのまま、チーム総合と個人総合山岳賞を獲得 photo:Hideaki TAKAGI
結果
黒潮ロードレース太地ステージ photo:Hideaki TAKAGI
JBCF Fクラスタ 唐見実世子(弱虫ペダルサイクリングチーム)が3ステージ完全優勝 photo:Hideaki TAKAGI第3ステージ 100.0km
1位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)2時間32分29秒
2位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)
3位 木村圭佑(シマノレーシング)+02秒
4位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)+19秒
5位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
6位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
7位 入部正太朗(シマノレーシング)
8位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
9位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
10位 ベンジャミ・プラデス(マトリックスパワータグ)
JBCF エリート 岡篤志(弱虫ペダルサイクリングチーム)が3ステージ総合優勝 photo:Hideaki TAKAGI
JBCF エリート 太地ステージは寺崎浩平(バルバレーシングクラブ)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI
個人総合時間賞 最終成績
1位 オスカル・プジョル(チーム右京)7時間58分13秒
2位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)+31秒
3位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+35秒
4位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+43秒
5位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+44秒
6位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
7位 マイケル・カミング(ステイトオブマター・マープ)+45秒
8位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+1分07秒
9位 入部正太朗(シマノレーシング)+1分27秒
10位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)+1分30秒
個人総合ポイント賞 最終成績
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)42ポイント
2位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター/マープ)35ポイント
3位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)34ポイント
個人総合山岳賞 最終成績
1位 ウェズリー・サルツバーガー(キナンサイクリングチーム)18ポイント
2位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)12ポイント
3位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)8ポイント
個人総合U23賞 最終成績
1位 秋田拓磨(シマノレーシング)8時間05分03秒
チーム総合 最終成績
1位 キナンサイクリングチーム 23時間58分13秒
2位 チーム右京 +1分51秒
3位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム +2分53秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
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総合1位2位は9秒差でスタート
ツール・ド・熊野最終日第3ステージが6月19日(日)、和歌山県太地町で行われた。1周10kmの中にあらゆる状況が詰め込まれた名コースでは、過去数々の名勝負が繰り広げられてきた。過去には逆転劇が多く生まれたが、UCIレースになってからはそのまま守りきることが多くなっている。
個人総合はリーダーのプジョルに9秒差でマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がつける。さらに27秒差でベンジャミ・プラデス(チーム右京)が位置する。総合をめぐる攻防はあっても、この順位はレース後もそのまま推移することが予想された。懸念材料はレース途中からの雨だ。天気予報ではスタート時は曇りだが中盤から大雨となっていた。
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2周目の6人の逃げ
114名で始まったツール・ド・熊野も第3ステージの出走は74名。このステージで最終的に30名がリタイアし完走者が44名になることを誰が予想しただろうか。スタート時点は曇り。だが途中から大雨との天気予報から選手の幾人かは雨対策を施していた。11時10分にレースはスタート、10周する100kmの戦いだ。
スタート直後からアタックがかかる。1周目後半にダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)がアタック。これに木村圭佑(シマノレーシング)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)とジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)が、そして最後に大久保が合流し2周目後半にして6人の逃げができる。
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豪雨でも続く激しい攻防
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12時20分過ぎ、6周回目中に降り出した雨はすぐに勢いを増す。ここからフィニッシュまでの1時間ほどコースは豪雨に見舞われることに。先頭は変わらず逃げ続けるがメイン集団は変わらずガルシアの攻撃が続く。そして思うようにタイム差が縮まらない集団からは入部正太朗(シマノレーシング)がアタックを繰り返す。時間雨量45mmと雨脚が特に強まった8周目から9周目でもメイン集団前方では激しい攻防が続く。
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大久保陣(宇都宮ブリッツェン)がスプリントで優勝
そして最終周回の10周目、逃げ切りが見えてきた先頭集団ではKOMへの上りで木村がアタック。1kmほどのちにフェルナンデスと大久保が合流し先頭は3人に。「人数を絞るためアタックした」という木村。だがスプリンターの大久保が粘って追いついたことがレースを決めた。この3人でのスプリント勝負はビデオ判定のすえ、僅差で大久保がフェルナンデスを下して優勝。チームはプロローグの阿部に続いて大会2勝目を挙げた。
優勝した大久保は「3度目の2位(奈良クリテ、熊野プロローグ)かと思いましたがやっと勝てて嬉しいです。UCIレースでは初めての優勝です。父とは握手しましたが言葉は交わしていません」と語った。会場にいたシマノレーシングのメカニックである父・修一さん(元シマノレーシング選手)への何よりの父の日のプレゼントだ。
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総合2位につけていたガルシアは攻撃を続けていたが9周目に落車し、プジョルのいた集団からさらに1分遅れでフィニッシュし総合10位になった。ガルシアは2位を守る走りでなく、逆転を狙って攻撃をかけ続けた結果のことであり、その姿勢は評価されよう。
日本チームが活躍
今年のツール・ド・熊野は例年になく日本チームが活躍した年になった。日本チームとしてはステージ3勝、個人総合1位から6位までとポイント賞、山岳賞、U23賞を獲得。日本人選手としてはステージ2勝、そして個人総合5位に伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)が入った。伊藤はハードなステージとなった第2第3ステージでともに上位に食い込んだ。チームとしてはチーム右京がアジアツアーでポイント上位3チームに入る可能性が出てきた。そして宇都宮ブリッツェンが若手中心のメンバーでこの結果を出せた意義は大きい。
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3位 木村圭佑(シマノレーシング)+02秒
4位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)+19秒
5位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
6位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
7位 入部正太朗(シマノレーシング)
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9位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
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個人総合時間賞 最終成績
1位 オスカル・プジョル(チーム右京)7時間58分13秒
2位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)+31秒
3位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+35秒
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8位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+1分07秒
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個人総合ポイント賞 最終成績
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)42ポイント
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個人総合山岳賞 最終成績
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3位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)8ポイント
個人総合U23賞 最終成績
1位 秋田拓磨(シマノレーシング)8時間05分03秒
チーム総合 最終成績
1位 キナンサイクリングチーム 23時間58分13秒
2位 チーム右京 +1分51秒
3位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム +2分53秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
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