2016/06/19(日) - 00:18
ツール・ド・熊野の大勢を決する第2ステージは、終盤ともに逃げたオスカル・プジョル(チーム右京)とマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)の戦いとなりプジョルが制してリーダーに。ガルシアは2位で翌最終ステージへ向かう。
最高難易度の下りを含む山岳コース
6月18日(土)、ツール・ド・熊野の大勢を決する山岳コースの第2ステージが熊野市で行なわれた。コースは宿泊・観光リゾート「熊野倶楽部」をパレードスタートし、丸山千枚田からいったん下って札立峠を越え、ふたたび丸山千枚田を経てフィニッシュ地点に至る119.2km。大きな上りは3箇所でそれぞれにKOMが配される。なかでも札立峠は上りだけでなく下りが厳しい。車の離合が出来ない狭く曲がりくねった林間の道で、しかも緑色の苔があり国内ロードレースで最高難易度の下り区間だ。
スタート5kmで5人の逃げ
朝から晴れ渡り、気温の上がった熊野市でのレース。パレードを終えた選手たちは正式スタートすぐにアタック合戦となり5km地点で5人の逃げが決まる。メンバーはマイケル・カミング(ステイトオブマター・マープ)、平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)、内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、入部正太郎(シマノレーシング)そしてウェズリー・サルツバーガー(キナンサイクリングチーム)。
メイン集団からはその後にホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が単独で抜け出し5人を追走する。1か所あるホットスポットは争わずに平塚、内間、入部の順に通過。平塚はここで得た3秒で結果として総合4位に位置している。5人、1人、メイン集団の構図のまま1回目の千枚田をクリアし次の札立峠のふもとへ向かう。5分差となったメイン集団はチーム右京がおもに引き差を縮めていく。
札立峠でメイン集団は崩壊
いよいよ最大の難所である札立峠への登りに入る。入り口はチーム右京と宇都宮ブリッツェンが先頭。そこから土井雪広(マトリックスパワータグ)が先頭に立ち、さらにベンジャミ・プラデス(チーム右京)がペースを上げて集団は一気に崩壊。その先頭は先逃げしていたホセ・ビセンテを吸収しKOMを超えて下り区間へ。雨の続いた熊野地方でこの林間の狭い道は緑色のコケが生え滑りやすい路面に。特に集団中盤から後方で落車が発生した。
下り区間でまとまった追走は8人。プジョル、マルコス・ガルシア、プラデス、ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)、リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)、トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)。札立峠下で先頭5人とのタイム差は2分まで縮まる。後方は土井ら3人が追走する。
先頭は13人に
千枚田頂上までの登り区間で、先頭5人に追走8人が合流し、先頭は13人に。ここから勝者ができる集団がいよいよ完成。13人の集団をほぼ先頭固定で引くのは、集団に4人をそろえ逃げ切りを図りたいキナンサイクリングチームのサルツバーガー。千枚田を下り2回目の千枚田入り口までの平坦区間も山岳賞をほぼ確定させたサルツバーガーが先頭固定で牽引する。
そして決戦は2回目の千枚田上り。この序盤からアタックしたのはマルコス・ガルシア。これに内間が反応しプジョルも追いつき3人で上るが内間がほどなく下がりプジョルとガルシアの2人で千枚田を越え下りへ。この時点でタイム差は30秒。後方も9人で追い上げれば17kmの下りと平坦で追いつける差だ。
オスカル・プジョルとマルコス・ガルシアの一騎打ちへ
先頭2人はプジョルが多く先頭を引き快調に逃げ続ける。追走の9人は思惑が一致せず、うまく回らない。内間がペースを上げようと抜け出しても、それは同じでタイム差は30秒前後のまま。先頭2人はそのままフィニッシュ地点前の上りに入り、プジョルが先行して優勝。27秒差で入った集団は昨年の総合覇者のプラデスが先頭で3位入賞した。
序盤の逃げメンバーとそれに追いついた選手たちによる勝負となった今年の第2ステージ。ツール・ド・熊野の歴史の中では数少ない展開となった。やはり札立峠の上り勝負で抜け出したメンバーが上位を占めた。ツアー・オブ・ジャパンで抜群の登坂力を見せたプジョルとガルシアがその順位のままこの熊野第2ステージでも結果を出した。日本人選手では先逃げしていた平塚がホットスポットの3秒もあり個人総合4位に浮上。伊藤も札立峠の強烈な上りに耐えた唯一の日本人選手だ。
チーム右京の桑原忠彦GMは「オスカルは今年、TOJに集中するということで他選手とは別スケジュールで調整してきました。オスカル自身も今が彼のキャリアの中で一番いい数値を出しています。その調子のままリーダーとなれましたが、もちろん今日でリタイアした選手も含めチームでの動きによるもの。明日も引き締めて走ります」とコメント。
総合1位のプジョルと2位ガルシアの差は9秒。3位プラデスは31秒差。このタイム差で最終第3ステージへ向かう。スプリントポイントでのボーナスタイムや逃げ切りでのタイム差などで上位2人は予断を許さない。さらに一時大雨との天気予報がある。ステージ優勝やUCIポイント獲得の動きなど、最終ステージ特有の動きと総合の順位がどうなうかが見どころだ。
結果
第2ステージ 109.3km
1位 オスカル・プジョル(チーム右京)2時間47分38秒
2位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)+02秒
3位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)+27秒
4位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
5位 リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)
6位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
7位 マイケル・カミング(ステイトオブマター・マープ)
8位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)
9位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+32秒
10位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+33秒
個人総合時間賞 第2ステージ終了時点
1位 オスカル・プジョル(チーム右京)5時間25分25秒
2位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)+09秒
3位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)+31秒
4位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)+33秒
5位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+35秒
6位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)+37秒
7位 リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)
8位 マイケル・カミング(ステイトオブマター・マープ)+38秒
9位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+43秒
10位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+44秒
個人総合ポイント賞 第2ステージ終了時点
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)28ポイント
2位 オスカル・プジョル(チーム右京)25ポイント
3位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター/マープ)25ポイント
個人総合山岳賞 第2ステージ終了時点
1位 ウェズリー・サルツバーガー(キナンサイクリングチーム)17ポイント
2位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)12ポイント
3位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)8ポイント
個人総合U23賞 第2ステージ終了時点
1位 秋田拓磨(シマノレーシング)5時間30分18秒
チーム総合 第2ステージ終了時点
1位 キナンサイクリングチーム 16時間17分40秒
2位 チーム右京 +4分00秒
3位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム +5分02秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
最高難易度の下りを含む山岳コース
6月18日(土)、ツール・ド・熊野の大勢を決する山岳コースの第2ステージが熊野市で行なわれた。コースは宿泊・観光リゾート「熊野倶楽部」をパレードスタートし、丸山千枚田からいったん下って札立峠を越え、ふたたび丸山千枚田を経てフィニッシュ地点に至る119.2km。大きな上りは3箇所でそれぞれにKOMが配される。なかでも札立峠は上りだけでなく下りが厳しい。車の離合が出来ない狭く曲がりくねった林間の道で、しかも緑色の苔があり国内ロードレースで最高難易度の下り区間だ。
スタート5kmで5人の逃げ
朝から晴れ渡り、気温の上がった熊野市でのレース。パレードを終えた選手たちは正式スタートすぐにアタック合戦となり5km地点で5人の逃げが決まる。メンバーはマイケル・カミング(ステイトオブマター・マープ)、平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)、内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、入部正太郎(シマノレーシング)そしてウェズリー・サルツバーガー(キナンサイクリングチーム)。
メイン集団からはその後にホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が単独で抜け出し5人を追走する。1か所あるホットスポットは争わずに平塚、内間、入部の順に通過。平塚はここで得た3秒で結果として総合4位に位置している。5人、1人、メイン集団の構図のまま1回目の千枚田をクリアし次の札立峠のふもとへ向かう。5分差となったメイン集団はチーム右京がおもに引き差を縮めていく。
札立峠でメイン集団は崩壊
いよいよ最大の難所である札立峠への登りに入る。入り口はチーム右京と宇都宮ブリッツェンが先頭。そこから土井雪広(マトリックスパワータグ)が先頭に立ち、さらにベンジャミ・プラデス(チーム右京)がペースを上げて集団は一気に崩壊。その先頭は先逃げしていたホセ・ビセンテを吸収しKOMを超えて下り区間へ。雨の続いた熊野地方でこの林間の狭い道は緑色のコケが生え滑りやすい路面に。特に集団中盤から後方で落車が発生した。
下り区間でまとまった追走は8人。プジョル、マルコス・ガルシア、プラデス、ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)、リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)、トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)。札立峠下で先頭5人とのタイム差は2分まで縮まる。後方は土井ら3人が追走する。
先頭は13人に
千枚田頂上までの登り区間で、先頭5人に追走8人が合流し、先頭は13人に。ここから勝者ができる集団がいよいよ完成。13人の集団をほぼ先頭固定で引くのは、集団に4人をそろえ逃げ切りを図りたいキナンサイクリングチームのサルツバーガー。千枚田を下り2回目の千枚田入り口までの平坦区間も山岳賞をほぼ確定させたサルツバーガーが先頭固定で牽引する。
そして決戦は2回目の千枚田上り。この序盤からアタックしたのはマルコス・ガルシア。これに内間が反応しプジョルも追いつき3人で上るが内間がほどなく下がりプジョルとガルシアの2人で千枚田を越え下りへ。この時点でタイム差は30秒。後方も9人で追い上げれば17kmの下りと平坦で追いつける差だ。
オスカル・プジョルとマルコス・ガルシアの一騎打ちへ
先頭2人はプジョルが多く先頭を引き快調に逃げ続ける。追走の9人は思惑が一致せず、うまく回らない。内間がペースを上げようと抜け出しても、それは同じでタイム差は30秒前後のまま。先頭2人はそのままフィニッシュ地点前の上りに入り、プジョルが先行して優勝。27秒差で入った集団は昨年の総合覇者のプラデスが先頭で3位入賞した。
序盤の逃げメンバーとそれに追いついた選手たちによる勝負となった今年の第2ステージ。ツール・ド・熊野の歴史の中では数少ない展開となった。やはり札立峠の上り勝負で抜け出したメンバーが上位を占めた。ツアー・オブ・ジャパンで抜群の登坂力を見せたプジョルとガルシアがその順位のままこの熊野第2ステージでも結果を出した。日本人選手では先逃げしていた平塚がホットスポットの3秒もあり個人総合4位に浮上。伊藤も札立峠の強烈な上りに耐えた唯一の日本人選手だ。
チーム右京の桑原忠彦GMは「オスカルは今年、TOJに集中するということで他選手とは別スケジュールで調整してきました。オスカル自身も今が彼のキャリアの中で一番いい数値を出しています。その調子のままリーダーとなれましたが、もちろん今日でリタイアした選手も含めチームでの動きによるもの。明日も引き締めて走ります」とコメント。
総合1位のプジョルと2位ガルシアの差は9秒。3位プラデスは31秒差。このタイム差で最終第3ステージへ向かう。スプリントポイントでのボーナスタイムや逃げ切りでのタイム差などで上位2人は予断を許さない。さらに一時大雨との天気予報がある。ステージ優勝やUCIポイント獲得の動きなど、最終ステージ特有の動きと総合の順位がどうなうかが見どころだ。
結果
第2ステージ 109.3km
1位 オスカル・プジョル(チーム右京)2時間47分38秒
2位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)+02秒
3位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)+27秒
4位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
5位 リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)
6位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
7位 マイケル・カミング(ステイトオブマター・マープ)
8位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)
9位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+32秒
10位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+33秒
個人総合時間賞 第2ステージ終了時点
1位 オスカル・プジョル(チーム右京)5時間25分25秒
2位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)+09秒
3位 ベンジャミ・プラデス(チーム右京)+31秒
4位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)+33秒
5位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+35秒
6位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)+37秒
7位 リカルド・ガルシア(キナンサイクリングチーム)
8位 マイケル・カミング(ステイトオブマター・マープ)+38秒
9位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+43秒
10位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+44秒
個人総合ポイント賞 第2ステージ終了時点
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)28ポイント
2位 オスカル・プジョル(チーム右京)25ポイント
3位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター/マープ)25ポイント
個人総合山岳賞 第2ステージ終了時点
1位 ウェズリー・サルツバーガー(キナンサイクリングチーム)17ポイント
2位 平塚吉光(愛三工業レーシングチーム)12ポイント
3位 内間康平(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)8ポイント
個人総合U23賞 第2ステージ終了時点
1位 秋田拓磨(シマノレーシング)5時間30分18秒
チーム総合 第2ステージ終了時点
1位 キナンサイクリングチーム 16時間17分40秒
2位 チーム右京 +4分00秒
3位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム +5分02秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
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