2016/06/17(金) - 22:58
ツール・ド・熊野2日目、第1ステージは高速のロードレースに。終盤に主導権を握った初参戦のステイトオブマター・マープが、盤石の体制からスプリントに持込み、ジェシー・ケリソンが勝利。個人総合リーダーも獲得した。
ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)が優勝しリーダーに photo:Hideaki TAKAGI
6月17日(金)、ツール・ド・熊野2日目、第1ステージが和歌山県新宮市熊野川町で行なわれた。JR新宮駅前から新宮市内をパレード走行したあと、国道168号で熊野川沿いを熊野川町方面の赤木川清流コースへ。
スタート地点は熊野川温泉さつき前。忘れてならないのは熊野川沿いの国道168号やさつき周辺などは、和歌山県だけでも55人の死者・行方不明者を出した2011年の紀伊半島大水害の現場であることだ。今ではかなり復興しているが、ところどころそのままの場所もある。
ツール・ド・熊野で最も難しいのはこの第1ステージだ。コースや距離は例年通りで、1周16.3kmを7周する114.1km。コントロールライン手前に狭い急坂のKOMを、そしてコントロールラインより後方には狭く曲がりくねった道がコースとなる。この2箇所で伸びた集団は、ペースが上がると分断されて、後方に取り残されると復帰不可能になる。上位陣でもタイム差はつくし、完走できない選手もまた多い。
新宮駅前からパレードスタート photo:Hideaki TAKAGI
小口集落の間を抜けるリーダージャージ photo:Hideaki TAKAGI
メイン集団は宇都宮ブリッツェンがコントロール photo:Hideaki TAKAGI
終盤まで逃げ続けた4人の逃げ photo:Hideaki TAKAGI
スタートからアタックがかかるが集団は安定しない。スプリンターの有力どころやリーダーの宇都宮ブリッツェンが入ったりと、逃げが決まらない。集団が一つとなった3周目・中間の折り返し地点でトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)が抜け出し、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)が合流。さらに後方からアレックス・ウォーラー(ステイトオブマター・マープ)が合流して、逃げは4人に。
メイン集団は逃げに乗せていない各チームが先頭を引き、タイム差最大2分をコントロール。終盤へ向けてはチーム右京と愛三工業レーシングチームが先頭を、さらにラスト2周後半からはキナンサイクリングチームが先頭固定で引き、最終周回入って差を10秒までに詰める。逃げの4人も佐野と堀の2人となり、ラスト4kmでキナンサイクリングチームの引くメイン集団に吸収される。
6周目、追走はチーム右京、愛三工業、キナンサイクリングチームが引く photo:Hideaki TAKAGI
最終周回、メイン集団はキナンサイクリングチームが引く photo:Hideaki TAKAGI
2人の吸収と同時にステイトオブマター・マープが6人で先頭を固め高速で引く。その後方はブリヂストンアンカーと愛三工業レーシングが位置取り、チーム右京も続いてスプリント体制へ。最終コーナーでもステイトオブマター・マープ先頭の構図は崩れず、ジェシー・ケリソンが圧倒のスプリントで優勝。ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)、鈴木龍(ブリヂストンアンカー)そして福田真平(愛三工業レーシングチーム)と続いた。
ステイトオブマター・マープは中盤からの逃げに選手を送り込んで力を温存、逃げの吸収に合わせて間髪入れずに先頭に立ち、コントロールする盤石の態勢で勝利した。前方に位置取れなかったアベラストゥリは、それでも2位に。鈴木は昨年の熊野第3ステージに続いてUCIポイント獲得の3位入賞だ。114名が出走した第1ステージは26名が完走できない厳しいレースとなった。
ラスト4km、最後まで逃げる佐野淳哉(マトリックスパワータグ)と堀孝明(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI
ラスト3km、ステイトオブマター・マープの後方はブリヂストンアンカーと愛三工業レーシングが位置取る photo:Hideaki TAKAGI
翌第2ステージは熊野山岳コース。丸山千枚田など風光明媚な場所を走るが、厳しい上りと、日本一と言ってよい下りの厳しさが特徴のコース。特に札立峠の下り区間は、上りの2分差なら挽回できるほどのテクニカルコース。登坂力に加え自転車のコントロール能力も必要なタフなもの。第1ステージまではスプリンターが活躍したが、第2ステージはすべてが入れ替わるほどのハードなステージ。昨年はそこで雌雄が決した。キナンサイクリングチーム、チーム右京らの総合系選手に注目だ。
結果
優勝したジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)はバジェットフォークリフトにも所属していたスプリンター photo:Hideaki TAKAGI
第1ステージ表彰 photo:Hideaki TAKAGI
各賞リーダーが並ぶ photo:Hideaki TAKAGI第1ステージ赤木川清流 114.1km
1位 ジェシー・ケリソン 2時間36分59秒
(ステイトオブマター・マープ)
2位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)
3位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー)
4位 福田真平(愛三工業レーシング)
5位 ポール・ヴァンデルプローグ
(ステイトオブマター・マープ)
6位 雨乞竜己(シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDA)
7位 ソフィアン・ナビル・モハド・パクリ+03秒
(NSCマイクロン)
8位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリング)
9位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)
10位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
個人総合時間賞 第1ステージ終了時点
1位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)2時間37分42秒
2位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)+02秒
3位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー)+06秒
4位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)+08秒
5位 ポール・ヴァンデルプローグ(ステイトオブマター・マープ)+09秒
6位 雨乞竜己(シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDA)+11秒
7位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)
8位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)+12秒
9位 大塚航(シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDA)+13秒
10位 下島将輝(那須ブラーゼン)
個人総合ポイント賞 第1ステージ終了時点
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)28ポイント
2位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)25ポイント
3位 福田真平(愛三工業レーシング)21ポイント
個人総合山岳賞 第1ステージ終了時点
1位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)2ポイント
2位 ソフィアン・ナビル・モハド・パクリ(NSCマイクロン)2ポイント
3位 ポール・ヴァンデルプローグ(ステイトオブマター・マープ)1ポイント
個人総合U23賞 第1ステージ終了時点
1位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)2時間37分42秒
チーム総合 第1ステージ終了時点
1位 ステイトオブマター・マープ 7時間53分39秒
2位 チーム右京 +02秒
3位 宇都宮ブリッツェン +03秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
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6月17日(金)、ツール・ド・熊野2日目、第1ステージが和歌山県新宮市熊野川町で行なわれた。JR新宮駅前から新宮市内をパレード走行したあと、国道168号で熊野川沿いを熊野川町方面の赤木川清流コースへ。
スタート地点は熊野川温泉さつき前。忘れてならないのは熊野川沿いの国道168号やさつき周辺などは、和歌山県だけでも55人の死者・行方不明者を出した2011年の紀伊半島大水害の現場であることだ。今ではかなり復興しているが、ところどころそのままの場所もある。
ツール・ド・熊野で最も難しいのはこの第1ステージだ。コースや距離は例年通りで、1周16.3kmを7周する114.1km。コントロールライン手前に狭い急坂のKOMを、そしてコントロールラインより後方には狭く曲がりくねった道がコースとなる。この2箇所で伸びた集団は、ペースが上がると分断されて、後方に取り残されると復帰不可能になる。上位陣でもタイム差はつくし、完走できない選手もまた多い。
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スタートからアタックがかかるが集団は安定しない。スプリンターの有力どころやリーダーの宇都宮ブリッツェンが入ったりと、逃げが決まらない。集団が一つとなった3周目・中間の折り返し地点でトマ・ルバ(ブリヂストンアンカー)が抜け出し、佐野淳哉(マトリックスパワータグ)が合流。さらに後方からアレックス・ウォーラー(ステイトオブマター・マープ)が合流して、逃げは4人に。
メイン集団は逃げに乗せていない各チームが先頭を引き、タイム差最大2分をコントロール。終盤へ向けてはチーム右京と愛三工業レーシングチームが先頭を、さらにラスト2周後半からはキナンサイクリングチームが先頭固定で引き、最終周回入って差を10秒までに詰める。逃げの4人も佐野と堀の2人となり、ラスト4kmでキナンサイクリングチームの引くメイン集団に吸収される。
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2人の吸収と同時にステイトオブマター・マープが6人で先頭を固め高速で引く。その後方はブリヂストンアンカーと愛三工業レーシングが位置取り、チーム右京も続いてスプリント体制へ。最終コーナーでもステイトオブマター・マープ先頭の構図は崩れず、ジェシー・ケリソンが圧倒のスプリントで優勝。ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)、鈴木龍(ブリヂストンアンカー)そして福田真平(愛三工業レーシングチーム)と続いた。
ステイトオブマター・マープは中盤からの逃げに選手を送り込んで力を温存、逃げの吸収に合わせて間髪入れずに先頭に立ち、コントロールする盤石の態勢で勝利した。前方に位置取れなかったアベラストゥリは、それでも2位に。鈴木は昨年の熊野第3ステージに続いてUCIポイント獲得の3位入賞だ。114名が出走した第1ステージは26名が完走できない厳しいレースとなった。
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翌第2ステージは熊野山岳コース。丸山千枚田など風光明媚な場所を走るが、厳しい上りと、日本一と言ってよい下りの厳しさが特徴のコース。特に札立峠の下り区間は、上りの2分差なら挽回できるほどのテクニカルコース。登坂力に加え自転車のコントロール能力も必要なタフなもの。第1ステージまではスプリンターが活躍したが、第2ステージはすべてが入れ替わるほどのハードなステージ。昨年はそこで雌雄が決した。キナンサイクリングチーム、チーム右京らの総合系選手に注目だ。
結果
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1位 ジェシー・ケリソン 2時間36分59秒
(ステイトオブマター・マープ)
2位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)
3位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー)
4位 福田真平(愛三工業レーシング)
5位 ポール・ヴァンデルプローグ
(ステイトオブマター・マープ)
6位 雨乞竜己(シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDA)
7位 ソフィアン・ナビル・モハド・パクリ+03秒
(NSCマイクロン)
8位 ジャイ・クロフォード(キナンサイクリング)
9位 サルバドール・グアルディオラ(チーム右京)
10位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)
個人総合時間賞 第1ステージ終了時点
1位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)2時間37分42秒
2位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)+02秒
3位 鈴木龍(ブリヂストンアンカー)+06秒
4位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)+08秒
5位 ポール・ヴァンデルプローグ(ステイトオブマター・マープ)+09秒
6位 雨乞竜己(シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDA)+11秒
7位 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)
8位 吉田隼人(マトリックスパワータグ)+12秒
9位 大塚航(シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDA)+13秒
10位 下島将輝(那須ブラーゼン)
個人総合ポイント賞 第1ステージ終了時点
1位 ジョン・アベラストゥリ(チーム右京)28ポイント
2位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)25ポイント
3位 福田真平(愛三工業レーシング)21ポイント
個人総合山岳賞 第1ステージ終了時点
1位 佐野淳哉(マトリックスパワータグ)2ポイント
2位 ソフィアン・ナビル・モハド・パクリ(NSCマイクロン)2ポイント
3位 ポール・ヴァンデルプローグ(ステイトオブマター・マープ)1ポイント
個人総合U23賞 第1ステージ終了時点
1位 ジェシー・ケリソン(ステイトオブマター・マープ)2時間37分42秒
チーム総合 第1ステージ終了時点
1位 ステイトオブマター・マープ 7時間53分39秒
2位 チーム右京 +02秒
3位 宇都宮ブリッツェン +03秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
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