2016/06/06(月) - 01:18
ツアー・オブ・ジャパン最終日の東京ステージは、序盤に発生した逃げ集団が吸収されずにゴールし、サム・クローム(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)が優勝。内間康平(ブリヂストンアンカー)が3位に入った。個人総合は、オスカル・プジョル(チーム右京)が初優勝を決めた。
5月29日に大阪・堺をスタートした今年のツアー・オブ・ジャパンは、終着地の東京にたどり着いた。ここまで残った選手は70人。スタート前、安堵の表情を見せる選手、今日が最後の勝負と気合を入れる選手と、様々だ。
コースは、官庁街や東京駅も近い日比谷シティ前をスタートし、大井埠頭に設定された14.7㎞の周回コースを14周する計112.7km。コースプロフィールは、定規で引いた直線のように平坦コースだ。
この日に合わせたかのように関東甲信地方の梅雨入りが発表され、前日までの好天続きから一転して曇り。朝方は雨が降っていたものの、路面はおよそ乾いた状態。最高気温は20℃前後にとどまり、立ち止まっていると肌寒さを感じる中でのレースとなった。
大井埠頭に入る前からアタック合戦が続き、ブリヂストンアンカーやシマノレーシング、アタッキ・チームグストなどが積極的に前に出てくる。しかし、なかなか逃げが容認されないまま大井埠頭へ。
例年ならリーダーチームが早々に逃げを容認して集団を落ち着かせるが、リーダージャージのプジョルとサルバドール・グアルディオラの2人しかいないチーム右京は集団をコントロールしきれず、2周に渡って逃げと吸収が繰り返される。ようやく逃げが容認されたのは3周目に入ってからだった。
前日の伊豆ステージを優勝した新城幸也(ランプレ・メリダ)、南信州ステージで大逃げを見せた内間康平(ブリヂストンアンカー)など、日本人選手5人を含む10人が先行。メイン集団は、個人総合2位のマルコス・ガルシアを擁するキナンサイクリングチームと、スプリンターで勝負したいNIPPOヴィーニファンティーニがコントロール。終始1列棒状のハイスピードでレースは進行する。
レース終盤になると、愛三工業レーシングチームや日本ナショナルチームも集団コントロールに加わり、差は一気に縮まり始める。一方、逃げ集団からは新城ら4人が遅れて6人に。
最終周回に入って差が1分を切ると、吸収は時間の問題と思われた。残り2㎞を過ぎて若干牽制気味にペースが緩んだところで、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)がアタック。他の5人はすかさず追いかけ、失速した鈴木を置き去りにしてスプリント勝負へ。
12万8千人の観衆の前、今大会最後のスプリント勝負は、サム・クローム(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)が優勝。わずかに届かなかった内間が3位に入った。
クロームは「今日はポイント賞ジャージのアンソニー(ジャコッポ)を勝たせるつもりだった。作戦とは違ってしまったが、ステージ優勝を飾る事が出来たので、チームとしては良い結果だったと思う。我々アヴァンティとしては個人総合優勝を目指してこのレースに出場した。いいポジションにはいたが、富士山でタイムを失い、そこからはステージ優勝狙いに切り替えた。だから今日のステージ優勝はとても重要だった」と、レース後の記者会見で語った。
逃げ集団を目前にしながら捕まえきれなかったメイン集団は、ダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ)を先頭にゴール。リーダージャージのプジョルもこの集団の中でゴールし、個人総合優勝を確定させた。ポイント賞は、ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がゴールポイントで8点を加算したのに対し、アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)はポイントを取れず。デネグリが逆転でポイント賞トップとなった。
■信じられない気分 オスカル・プジョル(チーム右京)
「アシストはサルバ(サルバドール・グアルディオラ)のみという状況だったので、レースを我々がコントロールすることは難しい。総合成績に関係ない選手たちの逃げを許して、スプリント狙いのチームに牽引とコントロールの仕事をしてもらうのが今日の作戦だった。そのとおりいった。パーフェクト。
落車もメカトラブルも無いように走ること。そしてそのとおり我々にとってパーフェクトに事は運んだ。逃げが決まるまでの最初のうちだけナーヴァスだったが、逃げが容認されてからはタイム差をマネジメントするだけでよかった。サルバは僕を護って走ってくれたし、安全に気をつけて走ればよかった。そして落車もすることなくフィニッシュすることができた。
チーム右京は日本のチームだから、このツアー・オブ・ジャパンはチームにとって非常に重要なレースだと肝に銘じて走った。正直、グリーンジャージでこの場に立つというのは想定外だった。富士山ステージで獲ったグリーンジャージを最後の最後まで護り抜くことができたのは大変な喜びだ。とくに昨日の伊豆ステージでイランチームの攻撃にあって地獄の苦しみを味わったとき、ジャージを護れるとは思っていなかった。信じられない気分だ。」
■重要な一歩 チーム右京 片山右京監督
オスカルが話した通り、僕たち日本のチームであるチーム右京が日本のTOJで勝つことは重要な意味があります。今回勝てたことがまだ信じられないのですが、まだまだこれから上を目指す以上、この勝利に一喜一憂していてもいけないと思う。ひとつ重要な一歩を進めたことは嬉しいし、今入ったニュースではツール・ド・韓国でもチームのジョン・アベラストゥリがステージ優勝して総合でもリーダーに立ったと聞きました。
インドネシアのレースなどでチームが消耗していた状況で、オスカルは伊豆ステージを一人で戦わざるをえない状況だったのに、彼は「富士山で勝利をプレゼントする」と言ってくれた。最初はそれを信じていなくて、「勝つことに意味があるんだ」と言ってくれていたことが本当だったのか、と思う。オスカルらベテランに続けるよう、若い日本人選手も強くなってくれればと思う。
■逆転して個人総合ポイント賞を獲得したピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
スポンサーのNIPPOの国でのレースだから、我々チームにとって非常に大事なレースだった。ジャージを獲ることと、ステージ勝利を挙げるつもりで闘った。逃げは非常に強力で、チームは集団の前方に全員を集結させて逃げとのタイム差を詰めていった。逃げは捕まえられなかったけれど、ジャージを獲ることができた。とてもハッピーだ。
日本人選手コメント
■3位の内間康平(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)
「昨日、幸也さんが優勝した事にエネルギーをもらったので、今日は平坦ステージで難しかったけれど絶対勝つと思ってスタートしました。逃げは良いメンバーだったし、幸也さんもいたので、最後はオリンピック代表の2人で一緒に行けたらいいなと思ってました。最後は3位に終わって残念でしたが、勝ったクロームは強かったです。たくさんの人に応援してもらって、飯田と東京でオリンピック代表として良い走りが出来た事は良かったと思っています。
リオデジャネイロオリンピックでは、この程度ではまだ戦えるレベルではないと思っていますが、最高のコンディションでレース当日を迎えられるようにしたいと思っています。」
■ポイント賞のデネグリをアシストした窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)
「個人的には優勝したかったけれど、デネグリがポイント賞ジャージを獲得してくれたので良かったと思っています。ここまでヨーロッパで走ってきて、その集大成としてこのレースに出場しました。リオデジャネイロオリンピックまであと2ヶ月、良い手応えを掴めたので、今後はトラックに集中していきたいです。」
■個人総合10位の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
「目標としていた表彰台には届かなかったけれど、新しく生まれ変わったツアー・オブ・ジャパンを楽しむ事は出来ました。最低限の目標として、日本人選手のトップを3年連続獲る事が出来たのは良かったと思います。富士山ではタイムを失いましたが、調子が良かったので伊豆で取り返す事が出来ました。
富士山では昨年よりタイムを縮める事が出来ましたし、堺のタイムトライアルも3位に入りました。30歳を過ぎても少しずつだけれど成長できるんだなという事を感じました。でも1人では出来ない事なので、チームメイトにたくさん助けてもらって足を温存してレースを進める事が出来ました。」
■社会人レーサーで完走した中村龍太郎(日本ナショナルチーム)
8日間連続のレースというのは初めての経験で大変でした。社会人でもこれくらい出来るというところは見せられたと思います。応援してくれる人達から、平日は行けないから何が何でも伊豆までは残ってくれと言われていたので、その約束は果たせたので良かったです。
明日の月曜日から仕事です。仕事のメールが溜まってると思うとちょっとウンザリですね。TOJは終わりますけれど、TOJ(ツアー・オブ・ジョブ)が始まります(笑)。
UCI2.1クラスとしては異例の8日間に渡り開催された今年のツアー・オブ・ジャパン。記者会見の最後に内間は「これまでは移動日を挟んでいたので、調子を崩す事も多かった。今年は8日間連続でレースをしてくれた事で、調子を落とす事なく良い走りをする事が出来ました。8日間開催に尽力してくれた関係者の方々には本当に感謝しています」と、8日間開催になったツアー・オブ・ジャパンを歓迎した。
特に、初開催となった京都ステージで、平日月曜日の開催にも関わらず5万人もの観衆を集めた事は特筆すべき事だろう。その他ステージでも例年より多めの観客が集まっており、名実共に日本最大のステージレースとなったと言える。
例年強さを見せるイラン勢だが、今年はイラン国内のオリンピック予選などがあった事から、本調子ではない選手が多かったという。それでも総合優勝争いに絡んでくる強さは、素直に認めざるを得ない。
来年は20回記念大会。今年以上の日本人選手の活躍を期待したい。
■第8ステージ 東京(112.7km) 結果
1位 サム・クローム(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 2時間17分29秒 49.1km/h
2位 アルヴィン・モアゼミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) +0秒
3位 内間康平(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)
4位 入部正太郎(シマノレーシングチーム)
5位 エイドリアン・ヘギヴァリ(ユナイテッドヘルスケア)
6位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) +7秒
7位 ダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ) +19秒
8位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
9位 岡本 隼(日本ナショナルチーム)
10位 ダニエーレ・コッリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
■個人総合順位
1位 オスカル・プジョル(チーム右京) 19時間22 分37秒
2位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) +1分05秒
3位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ) +1分8秒
4位 ダニエル・ホワイトハウス(トレンガヌ・サイクリングチーム) +1分23秒
5位 ラヒーム・エマミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) +1分24秒
6位 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(タブリーズ・シャハルダリ) +1分43秒
7位 キャメロン・バイリー(アタッキ・チームグスト) +2分00秒
8位 アミール・コラドゥーズバグ +2分27秒
9位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム) +2分52秒
10位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +2分58秒
■個人総合ポイント順位
1位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 74p
2位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 67p
3位 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(ユナイテッドヘルスケア) 61p
■山岳賞総合順位
1位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ) 23p
2位 ラヒーム・エマミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) 20p
3位 オスカル・プジョル(チーム右京)
■チーム総合順位
1位 タブリーズ・シャハルダリ 58時間16分01秒
2位 ピシュガマン・サイクリングチーム +3分23秒
3位 ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム +4分24秒
photo&text:Satoru.KATO
photo:Hideaki.TAKAGI, Makoto.AYANO
5月29日に大阪・堺をスタートした今年のツアー・オブ・ジャパンは、終着地の東京にたどり着いた。ここまで残った選手は70人。スタート前、安堵の表情を見せる選手、今日が最後の勝負と気合を入れる選手と、様々だ。
コースは、官庁街や東京駅も近い日比谷シティ前をスタートし、大井埠頭に設定された14.7㎞の周回コースを14周する計112.7km。コースプロフィールは、定規で引いた直線のように平坦コースだ。
この日に合わせたかのように関東甲信地方の梅雨入りが発表され、前日までの好天続きから一転して曇り。朝方は雨が降っていたものの、路面はおよそ乾いた状態。最高気温は20℃前後にとどまり、立ち止まっていると肌寒さを感じる中でのレースとなった。
大井埠頭に入る前からアタック合戦が続き、ブリヂストンアンカーやシマノレーシング、アタッキ・チームグストなどが積極的に前に出てくる。しかし、なかなか逃げが容認されないまま大井埠頭へ。
例年ならリーダーチームが早々に逃げを容認して集団を落ち着かせるが、リーダージャージのプジョルとサルバドール・グアルディオラの2人しかいないチーム右京は集団をコントロールしきれず、2周に渡って逃げと吸収が繰り返される。ようやく逃げが容認されたのは3周目に入ってからだった。
前日の伊豆ステージを優勝した新城幸也(ランプレ・メリダ)、南信州ステージで大逃げを見せた内間康平(ブリヂストンアンカー)など、日本人選手5人を含む10人が先行。メイン集団は、個人総合2位のマルコス・ガルシアを擁するキナンサイクリングチームと、スプリンターで勝負したいNIPPOヴィーニファンティーニがコントロール。終始1列棒状のハイスピードでレースは進行する。
レース終盤になると、愛三工業レーシングチームや日本ナショナルチームも集団コントロールに加わり、差は一気に縮まり始める。一方、逃げ集団からは新城ら4人が遅れて6人に。
最終周回に入って差が1分を切ると、吸収は時間の問題と思われた。残り2㎞を過ぎて若干牽制気味にペースが緩んだところで、鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)がアタック。他の5人はすかさず追いかけ、失速した鈴木を置き去りにしてスプリント勝負へ。
12万8千人の観衆の前、今大会最後のスプリント勝負は、サム・クローム(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)が優勝。わずかに届かなかった内間が3位に入った。
クロームは「今日はポイント賞ジャージのアンソニー(ジャコッポ)を勝たせるつもりだった。作戦とは違ってしまったが、ステージ優勝を飾る事が出来たので、チームとしては良い結果だったと思う。我々アヴァンティとしては個人総合優勝を目指してこのレースに出場した。いいポジションにはいたが、富士山でタイムを失い、そこからはステージ優勝狙いに切り替えた。だから今日のステージ優勝はとても重要だった」と、レース後の記者会見で語った。
逃げ集団を目前にしながら捕まえきれなかったメイン集団は、ダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ)を先頭にゴール。リーダージャージのプジョルもこの集団の中でゴールし、個人総合優勝を確定させた。ポイント賞は、ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がゴールポイントで8点を加算したのに対し、アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)はポイントを取れず。デネグリが逆転でポイント賞トップとなった。
■信じられない気分 オスカル・プジョル(チーム右京)
「アシストはサルバ(サルバドール・グアルディオラ)のみという状況だったので、レースを我々がコントロールすることは難しい。総合成績に関係ない選手たちの逃げを許して、スプリント狙いのチームに牽引とコントロールの仕事をしてもらうのが今日の作戦だった。そのとおりいった。パーフェクト。
落車もメカトラブルも無いように走ること。そしてそのとおり我々にとってパーフェクトに事は運んだ。逃げが決まるまでの最初のうちだけナーヴァスだったが、逃げが容認されてからはタイム差をマネジメントするだけでよかった。サルバは僕を護って走ってくれたし、安全に気をつけて走ればよかった。そして落車もすることなくフィニッシュすることができた。
チーム右京は日本のチームだから、このツアー・オブ・ジャパンはチームにとって非常に重要なレースだと肝に銘じて走った。正直、グリーンジャージでこの場に立つというのは想定外だった。富士山ステージで獲ったグリーンジャージを最後の最後まで護り抜くことができたのは大変な喜びだ。とくに昨日の伊豆ステージでイランチームの攻撃にあって地獄の苦しみを味わったとき、ジャージを護れるとは思っていなかった。信じられない気分だ。」
■重要な一歩 チーム右京 片山右京監督
オスカルが話した通り、僕たち日本のチームであるチーム右京が日本のTOJで勝つことは重要な意味があります。今回勝てたことがまだ信じられないのですが、まだまだこれから上を目指す以上、この勝利に一喜一憂していてもいけないと思う。ひとつ重要な一歩を進めたことは嬉しいし、今入ったニュースではツール・ド・韓国でもチームのジョン・アベラストゥリがステージ優勝して総合でもリーダーに立ったと聞きました。
インドネシアのレースなどでチームが消耗していた状況で、オスカルは伊豆ステージを一人で戦わざるをえない状況だったのに、彼は「富士山で勝利をプレゼントする」と言ってくれた。最初はそれを信じていなくて、「勝つことに意味があるんだ」と言ってくれていたことが本当だったのか、と思う。オスカルらベテランに続けるよう、若い日本人選手も強くなってくれればと思う。
■逆転して個人総合ポイント賞を獲得したピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
スポンサーのNIPPOの国でのレースだから、我々チームにとって非常に大事なレースだった。ジャージを獲ることと、ステージ勝利を挙げるつもりで闘った。逃げは非常に強力で、チームは集団の前方に全員を集結させて逃げとのタイム差を詰めていった。逃げは捕まえられなかったけれど、ジャージを獲ることができた。とてもハッピーだ。
日本人選手コメント
■3位の内間康平(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)
「昨日、幸也さんが優勝した事にエネルギーをもらったので、今日は平坦ステージで難しかったけれど絶対勝つと思ってスタートしました。逃げは良いメンバーだったし、幸也さんもいたので、最後はオリンピック代表の2人で一緒に行けたらいいなと思ってました。最後は3位に終わって残念でしたが、勝ったクロームは強かったです。たくさんの人に応援してもらって、飯田と東京でオリンピック代表として良い走りが出来た事は良かったと思っています。
リオデジャネイロオリンピックでは、この程度ではまだ戦えるレベルではないと思っていますが、最高のコンディションでレース当日を迎えられるようにしたいと思っています。」
■ポイント賞のデネグリをアシストした窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)
「個人的には優勝したかったけれど、デネグリがポイント賞ジャージを獲得してくれたので良かったと思っています。ここまでヨーロッパで走ってきて、その集大成としてこのレースに出場しました。リオデジャネイロオリンピックまであと2ヶ月、良い手応えを掴めたので、今後はトラックに集中していきたいです。」
■個人総合10位の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
「目標としていた表彰台には届かなかったけれど、新しく生まれ変わったツアー・オブ・ジャパンを楽しむ事は出来ました。最低限の目標として、日本人選手のトップを3年連続獲る事が出来たのは良かったと思います。富士山ではタイムを失いましたが、調子が良かったので伊豆で取り返す事が出来ました。
富士山では昨年よりタイムを縮める事が出来ましたし、堺のタイムトライアルも3位に入りました。30歳を過ぎても少しずつだけれど成長できるんだなという事を感じました。でも1人では出来ない事なので、チームメイトにたくさん助けてもらって足を温存してレースを進める事が出来ました。」
■社会人レーサーで完走した中村龍太郎(日本ナショナルチーム)
8日間連続のレースというのは初めての経験で大変でした。社会人でもこれくらい出来るというところは見せられたと思います。応援してくれる人達から、平日は行けないから何が何でも伊豆までは残ってくれと言われていたので、その約束は果たせたので良かったです。
明日の月曜日から仕事です。仕事のメールが溜まってると思うとちょっとウンザリですね。TOJは終わりますけれど、TOJ(ツアー・オブ・ジョブ)が始まります(笑)。
UCI2.1クラスとしては異例の8日間に渡り開催された今年のツアー・オブ・ジャパン。記者会見の最後に内間は「これまでは移動日を挟んでいたので、調子を崩す事も多かった。今年は8日間連続でレースをしてくれた事で、調子を落とす事なく良い走りをする事が出来ました。8日間開催に尽力してくれた関係者の方々には本当に感謝しています」と、8日間開催になったツアー・オブ・ジャパンを歓迎した。
特に、初開催となった京都ステージで、平日月曜日の開催にも関わらず5万人もの観衆を集めた事は特筆すべき事だろう。その他ステージでも例年より多めの観客が集まっており、名実共に日本最大のステージレースとなったと言える。
例年強さを見せるイラン勢だが、今年はイラン国内のオリンピック予選などがあった事から、本調子ではない選手が多かったという。それでも総合優勝争いに絡んでくる強さは、素直に認めざるを得ない。
来年は20回記念大会。今年以上の日本人選手の活躍を期待したい。
■第8ステージ 東京(112.7km) 結果
1位 サム・クローム(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 2時間17分29秒 49.1km/h
2位 アルヴィン・モアゼミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) +0秒
3位 内間康平(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム)
4位 入部正太郎(シマノレーシングチーム)
5位 エイドリアン・ヘギヴァリ(ユナイテッドヘルスケア)
6位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン) +7秒
7位 ダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ) +19秒
8位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
9位 岡本 隼(日本ナショナルチーム)
10位 ダニエーレ・コッリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)
■個人総合順位
1位 オスカル・プジョル(チーム右京) 19時間22 分37秒
2位 マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム) +1分05秒
3位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ) +1分8秒
4位 ダニエル・ホワイトハウス(トレンガヌ・サイクリングチーム) +1分23秒
5位 ラヒーム・エマミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) +1分24秒
6位 ガーデル・ミズバニ・イラナグ(タブリーズ・シャハルダリ) +1分43秒
7位 キャメロン・バイリー(アタッキ・チームグスト) +2分00秒
8位 アミール・コラドゥーズバグ +2分27秒
9位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム) +2分52秒
10位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +2分58秒
■個人総合ポイント順位
1位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 74p
2位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 67p
3位 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(ユナイテッドヘルスケア) 61p
■山岳賞総合順位
1位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・シャハルダリ) 23p
2位 ラヒーム・エマミ(ピシュガマン・サイクリングチーム) 20p
3位 オスカル・プジョル(チーム右京)
■チーム総合順位
1位 タブリーズ・シャハルダリ 58時間16分01秒
2位 ピシュガマン・サイクリングチーム +3分23秒
3位 ブリヂストンアンカー・サイクリングチーム +4分24秒
photo&text:Satoru.KATO
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