2009/10/16(金) - 10:29
10月17日、いよいよヨーロッパ最終戦ジロ・ディ・ロンバルディア(UCIヒストリカル)が開催される。今年で開催103回目を迎える伝統の一戦は、別名「落ち葉のクラシック」。連続して登場する上りでのアタック合戦を制し、先頭でコモに飛び込むのは果たして誰か?新城幸也(Bboxブイグテレコム)も出場予定だ。
鍵を握るギザッロ、チヴィリオ、サンフェルモ
今年で開催103回目を迎えるジロ・ディ・ロンバルディア。第1回大会が開催されたのは1905年のこと。ミラノ〜サンレモ(1907年)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年)、パリ〜ルーベ(1896年)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年)と並んで「モニュメント」と称される伝統の一戦だ。
ヨーロッパのレースシーズン最終戦として、例年10月中旬に開催されており、秋色に染まったイタリア北部を駆け抜けることから「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」とも呼ばれている。
ヴァレーゼをスタートする全長242kmのコースは、国際的なリゾート地として知られるコモ湖をぐるっと一周。途中いくつもの峠を越え、平坦なコモ湖畔を駆け抜ける。標高500m〜700mクラスの峠が連続するため、上りをこなせる登坂力が優勝者の必須条件だ。
例年レースが動くのが、ラスト53km地点から始まる登坂距離8.6kmの上りだ。コモ湖畔から高低差511mを駆け上がった先にあるのは、サイクリストの聖地として知られるマドンナ・デル・ギザッロ教会(標高754m)。最大勾配14%のこの上りをクリアするとゴールまで44km。ここからレースは激しさを増して行く。
ギザッロ通過後は細かなアップダウンを経て、ゴール15km手前でチヴィリオ(標高613m)、ゴール5km手前でサンフェルモ・デッラ・バッターリア(標高397m)にアタック。いずれも登坂距離は短いが、道が細く、勾配はキツい。前へ前へと積極的な走りを見せない限り、集団後方に埋もれて勝機を失ってしまう。
このチヴィリオとサンフェルモの上りで飛び出した数名のグループが、ゴール地点コモまで逃げ切るパターンが定石。コースレイアウト的に、大集団のスプリント勝負に持ち込まれる可能性は極めて低い。
レース終盤はテクニカルな下りが連続するため、ダウンヒルテクニックに長けた選手が下りで大きく挽回する可能性も。例年同様、今年もレース終盤は慌ただしい展開が繰り広げられそうだ。
クネゴの3連覇を絶好調ジルベールが阻止するか?
2006年に2連覇を達成したパオロ・ベッティーニ(イタリア)が引退した今、出場選手の中でロンバルディアの優勝経験があるのはダミアーノ・クネゴ(イタリア)だけ。クネゴは22歳の若さでジロ・デ・イタリアを制した2004年に、ロンバルディア初優勝を飾った。
持ち前の登坂力とスプリント力がロンバルディア向きであることは、自他ともに認める事実。昨年は2年連続、3度目のロンバルディア制覇を達成しており、今年は史上3人目の大会3連覇を目指す。ロード世界選手権では思うような展開に持ち込めなかったが、シーズン最後まで好調さをキープしていると思われる。
クネゴ最大のライバルと目されるのが、絶好調のフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)だ。ジルベールは6位だったロード世界選手権以降、コッパ・サバティーニ、パリ〜トゥール、そして2日前のジロ・デル・ピエモンテを全戦全勝。「これまでのキャリアで最高のコンディション」と語るほどだ。
初出場のロンバルディアでクネゴに噛み付くであろうジルベールを援護するのは、世界チャンピオンのカデル・エヴァンス(オーストラリア)。エヴァンスは2007年大会で6位に入っており、レースとの相性は良好だ。
現役復帰レースのブエルタ以降、シーズン終盤にかけてアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)は積極的な走りを見せている。ヴィノは昨年2位のヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)や、ブエルタでの骨折から復活したクリストファー・ホーナー(アメリカ)とともに大会初制覇を目指す。
ロード世界選手権2位のアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、サクソバンク)も登坂力とスプリント力を兼ね備えた選手であり、シュレク兄弟のいないサクソバンクを率いて初タイトルを目指す。ジロ・デッレミリアを制したロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)やイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)の登坂力もレース終盤の上りで発揮されるだろう。
起伏のあるクラシックが得意な選手は他にも、キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア・HTC)やサイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ)、そして「万年2位」の汚名を返上したいジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)らが揃う。
チヴィリオとサンフェルモの下り区間で注目したいのはサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)だ。ロンバルディアでは何度もそのダウンヒルテクニックを披露しており、2006年2位、2007年3位と表彰台を2度経験。上り、下り、スプリントの三拍子揃ったサンチェスは、表彰台の真ん中に立ってもいいころだ。
上記のバッソやヴィスコンティの他にも、ジャパンカップ出場予定のホアキン・ロドリゲス&ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)コンビにも注目。ジャパンカップの1週間前に開催されるだけに、各選手のコンディションを見るには絶好の機会だ。
そして日本からは新城幸也(Bboxブイグテレコム)が初参戦。自身のブログで「調子はいいです」と語っているユキヤは、このヨーロッパ最終戦ロンバルディアを走ってから日本に帰国する予定だ。
ジロ・ディ・ロンバルディア歴代優勝者
2008年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2007年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2003年 ミケーレ・バルトリ(イタリア)
2002年 ミケーレ・バルトリ(イタリア)
2001年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2000年 ライモンダス・ルムシャス(リトアニア)
1999年 ミルコ・チェレスティーノ(イタリア)
1998年 オスカル・カーメンツィント(スイス)
※シクロワイアードではジロ・ディ・ロンバルディアのテキストライブを10月17日(土)22時30分からお届けする予定です!日曜日ではなくて土曜日です!お見逃しなく!!
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Makoto Ayano
鍵を握るギザッロ、チヴィリオ、サンフェルモ
今年で開催103回目を迎えるジロ・ディ・ロンバルディア。第1回大会が開催されたのは1905年のこと。ミラノ〜サンレモ(1907年)、ロンド・ファン・フラーンデレン(1913年)、パリ〜ルーベ(1896年)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(1892年)と並んで「モニュメント」と称される伝統の一戦だ。
ヨーロッパのレースシーズン最終戦として、例年10月中旬に開催されており、秋色に染まったイタリア北部を駆け抜けることから「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」とも呼ばれている。
ヴァレーゼをスタートする全長242kmのコースは、国際的なリゾート地として知られるコモ湖をぐるっと一周。途中いくつもの峠を越え、平坦なコモ湖畔を駆け抜ける。標高500m〜700mクラスの峠が連続するため、上りをこなせる登坂力が優勝者の必須条件だ。
例年レースが動くのが、ラスト53km地点から始まる登坂距離8.6kmの上りだ。コモ湖畔から高低差511mを駆け上がった先にあるのは、サイクリストの聖地として知られるマドンナ・デル・ギザッロ教会(標高754m)。最大勾配14%のこの上りをクリアするとゴールまで44km。ここからレースは激しさを増して行く。
ギザッロ通過後は細かなアップダウンを経て、ゴール15km手前でチヴィリオ(標高613m)、ゴール5km手前でサンフェルモ・デッラ・バッターリア(標高397m)にアタック。いずれも登坂距離は短いが、道が細く、勾配はキツい。前へ前へと積極的な走りを見せない限り、集団後方に埋もれて勝機を失ってしまう。
このチヴィリオとサンフェルモの上りで飛び出した数名のグループが、ゴール地点コモまで逃げ切るパターンが定石。コースレイアウト的に、大集団のスプリント勝負に持ち込まれる可能性は極めて低い。
レース終盤はテクニカルな下りが連続するため、ダウンヒルテクニックに長けた選手が下りで大きく挽回する可能性も。例年同様、今年もレース終盤は慌ただしい展開が繰り広げられそうだ。
クネゴの3連覇を絶好調ジルベールが阻止するか?
2006年に2連覇を達成したパオロ・ベッティーニ(イタリア)が引退した今、出場選手の中でロンバルディアの優勝経験があるのはダミアーノ・クネゴ(イタリア)だけ。クネゴは22歳の若さでジロ・デ・イタリアを制した2004年に、ロンバルディア初優勝を飾った。
持ち前の登坂力とスプリント力がロンバルディア向きであることは、自他ともに認める事実。昨年は2年連続、3度目のロンバルディア制覇を達成しており、今年は史上3人目の大会3連覇を目指す。ロード世界選手権では思うような展開に持ち込めなかったが、シーズン最後まで好調さをキープしていると思われる。
クネゴ最大のライバルと目されるのが、絶好調のフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)だ。ジルベールは6位だったロード世界選手権以降、コッパ・サバティーニ、パリ〜トゥール、そして2日前のジロ・デル・ピエモンテを全戦全勝。「これまでのキャリアで最高のコンディション」と語るほどだ。
初出場のロンバルディアでクネゴに噛み付くであろうジルベールを援護するのは、世界チャンピオンのカデル・エヴァンス(オーストラリア)。エヴァンスは2007年大会で6位に入っており、レースとの相性は良好だ。
現役復帰レースのブエルタ以降、シーズン終盤にかけてアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)は積極的な走りを見せている。ヴィノは昨年2位のヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)や、ブエルタでの骨折から復活したクリストファー・ホーナー(アメリカ)とともに大会初制覇を目指す。
ロード世界選手権2位のアレクサンドル・コロブネフ(ロシア、サクソバンク)も登坂力とスプリント力を兼ね備えた選手であり、シュレク兄弟のいないサクソバンクを率いて初タイトルを目指す。ジロ・デッレミリアを制したロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)やイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)の登坂力もレース終盤の上りで発揮されるだろう。
起伏のあるクラシックが得意な選手は他にも、キム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア・HTC)やサイモン・ジェランス(オーストラリア、サーヴェロ)、そして「万年2位」の汚名を返上したいジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ISD)らが揃う。
チヴィリオとサンフェルモの下り区間で注目したいのはサムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)だ。ロンバルディアでは何度もそのダウンヒルテクニックを披露しており、2006年2位、2007年3位と表彰台を2度経験。上り、下り、スプリントの三拍子揃ったサンチェスは、表彰台の真ん中に立ってもいいころだ。
上記のバッソやヴィスコンティの他にも、ジャパンカップ出場予定のホアキン・ロドリゲス&ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)コンビにも注目。ジャパンカップの1週間前に開催されるだけに、各選手のコンディションを見るには絶好の機会だ。
そして日本からは新城幸也(Bboxブイグテレコム)が初参戦。自身のブログで「調子はいいです」と語っているユキヤは、このヨーロッパ最終戦ロンバルディアを走ってから日本に帰国する予定だ。
ジロ・ディ・ロンバルディア歴代優勝者
2008年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2007年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2006年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2005年 パオロ・ベッティーニ(イタリア)
2004年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア)
2003年 ミケーレ・バルトリ(イタリア)
2002年 ミケーレ・バルトリ(イタリア)
2001年 ダニーロ・ディルーカ(イタリア)
2000年 ライモンダス・ルムシャス(リトアニア)
1999年 ミルコ・チェレスティーノ(イタリア)
1998年 オスカル・カーメンツィント(スイス)
※シクロワイアードではジロ・ディ・ロンバルディアのテキストライブを10月17日(土)22時30分からお届けする予定です!日曜日ではなくて土曜日です!お見逃しなく!!
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Makoto Ayano