2016/04/09(土) - 13:43
8つのカテゴリー山岳が登場するブエルタ・アル・パイスバスコ第5ステージは、約130kmを1人で逃げ切ったディエゴ・ローザ(アスタナ、イタリア)が勝利。終盤にコンタドールと共にメイン集団を飛び出したセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)が総合首位に立っている。
ブエルタ・アル・パイスバスコ第5ステージは、オリオをスタートしアラテに至る159km。3級山岳x1つと2級山岳x6つを越え、バスク1周レースに頻繁に組み込まれる1級山岳ウサルツァの頂上にフィニッシュする今大会クイーンステージだ。翌日の個人タイムトラアルを前にして、山岳で優位に立ちたいクライマーたちを中心に、有力ライダーが動きを見せると予想された。
序盤に複数のアタックが掛かったあと、24名が逃げを決める。山岳賞首位のステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)、ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール)、ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)など錚々たる面々が先頭集団に入った。
定石通りであれば24名は協調体制をとって逃げ切りを目指すはずだが、ディエゴ・ローザ(アスタナ、イタリア)がこの日2つめのカテゴリー山岳である3級カルバリオを前に先頭集団から飛び出す。この動きに対して追走集団を形成したのはマキシム・モンフォールとサンデル・アルミー(共にベルギー、ロット・ソウダル)とニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、前日も逃げたカルロス・ベローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)。しかし、数に勝る4名の追走集団はローザとのギャップを縮めることができないどころか、タイム差の拡大を許してしまう。
ステージ終盤の総合争いに向け距離を減らすメイン集団では落車が発生し、地面に叩きつけられたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)やサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)がバイクを降りることに。そして、バスク地方が雨と寒さに見舞われる中で、アルデンヌ・クラシックを見据えるダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)、サイモン・ゲランス(オーストラリア。オリカ・グリーンエッジ)らがリタイアを決めた。
ハードな登りとスリッピーなダウンヒル、悪天候がライダー達を苦しめる中で、それらを物ともせず逃げ続けるローザ。28歳のイタリアンクライマーは、モンフォールら後続4名に対してのタイム差を残り20km地点で4分30秒まで拡大することに成功。メイン集団とのタイム差も5分以上と、逃げ切りが現実味を帯び始めてくる。
人数を減らしながらフィニッシュへの距離を縮めるメイン集団からは、ミケル・ランダとダビ・ロペスガルシア(共にスペイン、チームスカイ)がアタック。前を走っていたベローナ、サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール)、セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンジョンデータ)の3名に合流。ランダは首位奪還を狙ったものの、ペースが上がったメイン集団にあえなく吸収される。
ローザ以外を飲み込んだメイン集団からは、残り5kmを前にしてアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)とセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)が満を持してアタック。2名は協調しながら後続の総合上位勢を突き放し、フィニッシュへと向かう。
多くのリタイアを出したハードなステージで約130kmに及ぶ独走を成功させたローザ。最後は自らのバイクを持ち上げ、喜びを全身で表現しながらフィニッシュラインを切った。
「まるでサーカスで演技している様な気分だった」と独走劇を例えるローザ。「今シーズンはここまでインフルエンザや病気に苦しめられていたし、昨日も調子が悪かった。だけど今日は一転して調子の良さを感じていて、逃げグループに入ることにした。序盤に出来た先頭集団は人数が多すぎると感じたから、メンバーを絞ろうとアタックしたら、そのまま1人になってしまい、130kmも残っていたが独走してみた。アルが落車でリタイアしてしまったのは残念だが、骨折が無かったと聞いてほっとしている。」とコメント。また、独走によって7つのカテゴリー山岳を先頭で通過したローザは山岳賞ジャージも獲得した。
ローザから3分13秒遅れの2位に入ったのはセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)で、共にメイン集団を飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)は同タイムの3位に。第4ステージで総合首位に立ったウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)はエナオモントーヤとコンタドールに対して1分11秒遅れでフィニッシュ。結果、4秒差の2位につけていたエナオモントーヤがリーダージャージに袖を通すこととなった。
エナオモントーヤは「ここまでリーダージャージを目指して戦ってきたから、とても嬉しい。コンタドールとアタックした時、お互いにタイム差を稼ぎたかったから協力してフィニッシュを目指した。明日のタイムトライアルは、昨年よりも僕に向いている。前半の登り区間が重要だ」と語った。
トップ12位までが1分半以内にひしめく混戦模様のまま最終ステージを迎えるブエルタ・アル・パイスバスコ。前述のとおり明日の最終ステージは、16.5kmの個人タイムトライアル。コース前半には距離5kmで高度差400mの登りが用意されているものの、残り10.5kmは下り+平坦というプロファイル。ピュアクライマーよりもタイムトライアルも得意とするオールラウンダーに分がありそうだ。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2016第5ステージ結果
個人総合成績
ポイント賞
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
山岳賞
1位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
スプリント賞
1位 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)
チーム総合成績
1位 チームスカイ
text:Yuya.Yamamoto
photo:BettiniPhoto
ブエルタ・アル・パイスバスコ第5ステージは、オリオをスタートしアラテに至る159km。3級山岳x1つと2級山岳x6つを越え、バスク1周レースに頻繁に組み込まれる1級山岳ウサルツァの頂上にフィニッシュする今大会クイーンステージだ。翌日の個人タイムトラアルを前にして、山岳で優位に立ちたいクライマーたちを中心に、有力ライダーが動きを見せると予想された。
序盤に複数のアタックが掛かったあと、24名が逃げを決める。山岳賞首位のステファン・デニフル(オーストリア、IAMサイクリング)、ピエール・ロラン(フランス、キャノンデール)、ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)、ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)など錚々たる面々が先頭集団に入った。
定石通りであれば24名は協調体制をとって逃げ切りを目指すはずだが、ディエゴ・ローザ(アスタナ、イタリア)がこの日2つめのカテゴリー山岳である3級カルバリオを前に先頭集団から飛び出す。この動きに対して追走集団を形成したのはマキシム・モンフォールとサンデル・アルミー(共にベルギー、ロット・ソウダル)とニコラ・エデ(フランス、コフィディス)、前日も逃げたカルロス・ベローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)。しかし、数に勝る4名の追走集団はローザとのギャップを縮めることができないどころか、タイム差の拡大を許してしまう。
ステージ終盤の総合争いに向け距離を減らすメイン集団では落車が発生し、地面に叩きつけられたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)やサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)がバイクを降りることに。そして、バスク地方が雨と寒さに見舞われる中で、アルデンヌ・クラシックを見据えるダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)やティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)、サイモン・ゲランス(オーストラリア。オリカ・グリーンエッジ)らがリタイアを決めた。
ハードな登りとスリッピーなダウンヒル、悪天候がライダー達を苦しめる中で、それらを物ともせず逃げ続けるローザ。28歳のイタリアンクライマーは、モンフォールら後続4名に対してのタイム差を残り20km地点で4分30秒まで拡大することに成功。メイン集団とのタイム差も5分以上と、逃げ切りが現実味を帯び始めてくる。
人数を減らしながらフィニッシュへの距離を縮めるメイン集団からは、ミケル・ランダとダビ・ロペスガルシア(共にスペイン、チームスカイ)がアタック。前を走っていたベローナ、サイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール)、セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンジョンデータ)の3名に合流。ランダは首位奪還を狙ったものの、ペースが上がったメイン集団にあえなく吸収される。
ローザ以外を飲み込んだメイン集団からは、残り5kmを前にしてアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)とセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)が満を持してアタック。2名は協調しながら後続の総合上位勢を突き放し、フィニッシュへと向かう。
多くのリタイアを出したハードなステージで約130kmに及ぶ独走を成功させたローザ。最後は自らのバイクを持ち上げ、喜びを全身で表現しながらフィニッシュラインを切った。
「まるでサーカスで演技している様な気分だった」と独走劇を例えるローザ。「今シーズンはここまでインフルエンザや病気に苦しめられていたし、昨日も調子が悪かった。だけど今日は一転して調子の良さを感じていて、逃げグループに入ることにした。序盤に出来た先頭集団は人数が多すぎると感じたから、メンバーを絞ろうとアタックしたら、そのまま1人になってしまい、130kmも残っていたが独走してみた。アルが落車でリタイアしてしまったのは残念だが、骨折が無かったと聞いてほっとしている。」とコメント。また、独走によって7つのカテゴリー山岳を先頭で通過したローザは山岳賞ジャージも獲得した。
ローザから3分13秒遅れの2位に入ったのはセルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)で、共にメイン集団を飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)は同タイムの3位に。第4ステージで総合首位に立ったウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)はエナオモントーヤとコンタドールに対して1分11秒遅れでフィニッシュ。結果、4秒差の2位につけていたエナオモントーヤがリーダージャージに袖を通すこととなった。
エナオモントーヤは「ここまでリーダージャージを目指して戦ってきたから、とても嬉しい。コンタドールとアタックした時、お互いにタイム差を稼ぎたかったから協力してフィニッシュを目指した。明日のタイムトライアルは、昨年よりも僕に向いている。前半の登り区間が重要だ」と語った。
トップ12位までが1分半以内にひしめく混戦模様のまま最終ステージを迎えるブエルタ・アル・パイスバスコ。前述のとおり明日の最終ステージは、16.5kmの個人タイムトライアル。コース前半には距離5kmで高度差400mの登りが用意されているものの、残り10.5kmは下り+平坦というプロファイル。ピュアクライマーよりもタイムトライアルも得意とするオールラウンダーに分がありそうだ。
ブエルタ・アル・パイスバスコ2016第5ステージ結果
1位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
2位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 ローソン・クラドック(アメリカ、キャノンデール)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
10位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)
2位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
3位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
6位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 ローソン・クラドック(アメリカ、キャノンデール)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
10位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)
4h19'19"
+3'13"
+3'15"
+3'40"
+3'41"
+3'56"
+4'12"
+3'13"
+3'15"
+3'40"
+3'41"
+3'56"
+4'12"
個人総合成績
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
7位 ローソン・クラドック(アメリカ、キャノンデール)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
10位 セバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、FDJ)
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
4位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
5位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
7位 ローソン・クラドック(アメリカ、キャノンデール)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ロットNLユンボ)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
10位 セバスティアン・ライヘンバッハ(スイス、FDJ)
22h15'24"
+06"
+10"
+12"
+31"
+38"
+1'00"
+1'07"
+1'09"
+1'11"
+06"
+10"
+12"
+31"
+38"
+1'00"
+1'07"
+1'09"
+1'11"
ポイント賞
1位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)
山岳賞
1位 ディエゴ・ローザ(イタリア、アスタナ)
スプリント賞
1位 ニコラ・エデ(フランス、コフィディス)
チーム総合成績
1位 チームスカイ
text:Yuya.Yamamoto
photo:BettiniPhoto
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