2009/02/23(月) - 22:38
2009年2月18日から22日までの5日間、ポルトガルで第35回ヴォルタ・アオ・アルガルヴェ(UCI2.1)が開催された。山岳ステージでの決定的な動きに乗じ、個人タイムトライアルを制したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が総合優勝。最高の形でシーズンをスタートさせた。
アメリカがツアー・オブ・カリフォルニアで盛り上がりを見せる2月下旬、ポルトガルでは第35回ヴォルタ・アオ・アルガルヴェが開催された。UCI(国際自転車競技連盟)のカテゴリーは「クラス1」。レースには11のプロツアーチームが出場した。
2度目のツール・ド・フランス総合優勝を狙うコンタドールのシーズンデビュー戦。主力選手をカリフォルニアに送り込んでいるアスタナは、2軍(と呼ぶには豪華すぎるほどのメンバー、クレーデンやパウリーニョ)をアルガルヴェに投入した。
第1ステージ Albufeira-Olhao 173.6km
ステージ優勝を飾ったハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ) photo:Cor Vosアルガルヴェ地方の中心都市ファロ近郊で行なわれたオープニングステージは、ウィル・フリッシュコーン(アメリカ、ガーミン)ら6名が逃げる展開。しかしスプリンターチームが逃げを全て封じ込め、大集団によるスプリント勝負に持ち込まれた。
ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)を始めとする大物スプリンターが後方に下がる中、デニス・ファンヴィンデン(オランダ、ラボバンクコンチネンタル)との接戦を制したのはハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)だ。
ツアー・オブ・カタール総合2位&新人賞のハウッスラーが、今シーズン初勝利を飾るとともに、リーダージャージを獲得した。サーヴェロ・テストチームは、今シーズン発足したプロコンチネンタルチームながら、前日にトル・フースホフト(ノルウェー)がカリフォルニアでステージ優勝を飾るなどシーズン序盤から絶好調。グランツールでの活躍も大いに期待できる。
第1ステージ結果
1位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)4h31'43"
2位 デニス・ファンヴィンデン(オランダ、ラボバンクコンチネンタル)
3位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)
総合首位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)
第2ステージ Lagoa-Lagos 183.5km
上りスプリントを制したコルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル) fundacioneuskadi.com今大会最長の第2ステージは、中盤に内陸部の山岳地帯を通過。ラスト60kmほどは平坦だが、ゴール手前は上り基調で、ラスト200mから勾配が10〜12%に達する。
レースはエルヴェ・デュクロラサル(フランス、コフィディス)やマルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)ら6名の逃げがラスト5kmで吸収され、最後は集団スプリントに持ち込まれた。上りのパワー勝負を制したのは前日3位のコルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)。クライマーを多く輩出するバスク地方としては珍しいスプリンターのフェルナンデスは、同時にリーダージャージを獲得した。
なお、今大会には、世界選手権1kmタイムトライアルやケイリン、スプリントで優勝を収めている偉大なトラックレーサー、テオ・ボス(オランダ、ラボバンク・コンチネンタル)も出場している。スプリントでの活躍が期待されたが、ロードレースのペースに苦戦。初日167位、この日は最下位に沈んだ。
第2ステージ結果
1位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)4h56'54"
2位 マヌエル・カルドソ(ポルトガル、リバティーセグロス)
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)
総合首位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)
第3ステージ V.R-S.Antonio - Malhao(Loule) 175km
アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)がメイン集団のペースを上げる photo:Cor Vos内陸部の山岳地帯を駆け回る第3ステージは、中盤にかけて3級山岳が4つ登場。しかもゴール地点は2級山岳マルハオ峠の頂上に設定されている。
この日もお決まりのように6名の逃げグループが形成されたが、アスタナがコントロールするメイン集団は最後の上り手前でこれを吸収。勝負はマルハオ峠での山岳バトルに持ち込まれた。
リーダージャージを獲得したアントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ) photo:Cor Vosまず上り始めでアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)がアタックし、これにシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)が反応。2人でマルハオ峠を駆け上がった。
しかしクレーデン&シャヴァネルコンビのリードは広がらず、ラスト800mで一旦吸収。すると今度はコンタドールがアタックを仕掛け、これには元チームメイトのアントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)のみが食らいついた。
結局コンタドールのアタックが決定打となり、最後は2人によるスプリント勝負を制したコロムが、チャレンジ・マヨルカに続く今シーズン2勝目を飾った。リーダージャージはフェルナンデスからコロムに移っている。
第3ステージ結果
1位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)4h35'42"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
3位 ルーベン・プラサ(スペイン、リバティーセグロス)+06"
総合首位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)
第4ステージ Castro Marin-Tavira(ITT) 33.7km
トップタイムを叩き出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:CorVos距離33.7km、標高差200mほどのアップダウンコースで行なわれた個人タイムトライアル。この「時間との闘い」は、実質的に総合優勝者を決める大一番だ。
フランスTTチャンピオンジャージを着るシルヴァン・シャヴァネル(クイックステップ)やアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)、そして地元のティアゴ・マチャード(ポルトガル、マデイノックス・ボアビスタ)が好タイムをマーク。しかし総合2位のコンタドールがこれらのタイムを全て上回った。
トップタイムを叩き出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)がリーダージャージを獲得 photo:CorVosリーダージャージを着る最終走者コロムは思うようにタイムを伸ばせず、コンタドールから1分27秒遅れでゴール。コンタドールはステージ優勝を飾るとともに、総合トップに躍り出た。
奇しくも同日カリフォルニアではチームメイトのライプハイマー(アメリカ)がソルバンク個人TTで優勝している。
アスタナの公式サイトの中でコンタドールは「チームメイトの働きに報いるためにも今日は勝ちたかった。最後までいいリズムで走れたよ。天気が良くて、コースも走りがいがある。このアルガルヴェをデビュー戦に選んで正解だった」と語っている。
第4ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)44'05"
2位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+33"
3位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+36"
総合首位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
第5ステージ Vila Do Bispo-Portimao 168.8km
フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、サイレンス・ロット)との接戦を制したハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ) photo:Cor Vos中盤に2級山岳フォイア峠が登場する最終ステージ。ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァッカンソレイユ)やビョルン・シュレーダー(ドイツ、ミルラム)、フーブ・デュイン(オランダ、ガーミン)らが逃げを試みたが、スプリンターチームがこれを封印。最後は大会3度目のスプリント勝負に持ち込まれた。
フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、サイレンス・ロット)を破り、第1ステージに続く2勝目を飾ったのはハウッスラー。2月25日に25歳の誕生日を迎えるこの若手ジャーマンスプリンターは、スプリント2勝1敗、文句無しのポイント賞トップに輝いた。
表彰台に上がる各賞ジャージ受賞者 photo:Cor Vosそしてコンタドールのアルガルヴェ初総合優勝が決定。2度目のマイヨジョーヌ獲得を最大の目標に掲げるコンタドールが、この上ない最高の形でシーズンをスタートさせた。
コンタドールは、チーム公式サイトの中で「トレーニングキャンプでは好感触を得ていたけど、実戦でどれぐらい走れるのか分からなかった。この勝利はツールに向けてのファーストステップ。これからはパリ〜ニース(2007年総合優勝)に調子を合わせたい」とコメントしている。
第5ステージ結果
1位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)4h16'04"
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、サイレンス・ロット)
3位 ワウテル・ウェイラント(ベルギー、クイックステップ)
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)19h04'22"
2位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+1'06"
3位 ルーベン・プラサ(スペイン、リバティーセグロス)+1'07"
ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)
山岳賞
マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ランプレ)
新人賞
ティアゴ・マチャード(ポルトガル、マデイノックス・ボアビスタ)
チーム総合成績
アスタナ
アメリカがツアー・オブ・カリフォルニアで盛り上がりを見せる2月下旬、ポルトガルでは第35回ヴォルタ・アオ・アルガルヴェが開催された。UCI(国際自転車競技連盟)のカテゴリーは「クラス1」。レースには11のプロツアーチームが出場した。
2度目のツール・ド・フランス総合優勝を狙うコンタドールのシーズンデビュー戦。主力選手をカリフォルニアに送り込んでいるアスタナは、2軍(と呼ぶには豪華すぎるほどのメンバー、クレーデンやパウリーニョ)をアルガルヴェに投入した。
第1ステージ Albufeira-Olhao 173.6km
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ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)を始めとする大物スプリンターが後方に下がる中、デニス・ファンヴィンデン(オランダ、ラボバンクコンチネンタル)との接戦を制したのはハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)だ。
ツアー・オブ・カタール総合2位&新人賞のハウッスラーが、今シーズン初勝利を飾るとともに、リーダージャージを獲得した。サーヴェロ・テストチームは、今シーズン発足したプロコンチネンタルチームながら、前日にトル・フースホフト(ノルウェー)がカリフォルニアでステージ優勝を飾るなどシーズン序盤から絶好調。グランツールでの活躍も大いに期待できる。
第1ステージ結果
1位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)4h31'43"
2位 デニス・ファンヴィンデン(オランダ、ラボバンクコンチネンタル)
3位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)
総合首位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)
第2ステージ Lagoa-Lagos 183.5km
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レースはエルヴェ・デュクロラサル(フランス、コフィディス)やマルティン・マースカント(オランダ、ガーミン)ら6名の逃げがラスト5kmで吸収され、最後は集団スプリントに持ち込まれた。上りのパワー勝負を制したのは前日3位のコルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)。クライマーを多く輩出するバスク地方としては珍しいスプリンターのフェルナンデスは、同時にリーダージャージを獲得した。
なお、今大会には、世界選手権1kmタイムトライアルやケイリン、スプリントで優勝を収めている偉大なトラックレーサー、テオ・ボス(オランダ、ラボバンク・コンチネンタル)も出場している。スプリントでの活躍が期待されたが、ロードレースのペースに苦戦。初日167位、この日は最下位に沈んだ。
第2ステージ結果
1位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)4h56'54"
2位 マヌエル・カルドソ(ポルトガル、リバティーセグロス)
3位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)
総合首位 コルド・フェルナンデス(スペイン、エウスカルテル)
第3ステージ V.R-S.Antonio - Malhao(Loule) 175km
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この日もお決まりのように6名の逃げグループが形成されたが、アスタナがコントロールするメイン集団は最後の上り手前でこれを吸収。勝負はマルハオ峠での山岳バトルに持ち込まれた。
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しかしクレーデン&シャヴァネルコンビのリードは広がらず、ラスト800mで一旦吸収。すると今度はコンタドールがアタックを仕掛け、これには元チームメイトのアントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)のみが食らいついた。
結局コンタドールのアタックが決定打となり、最後は2人によるスプリント勝負を制したコロムが、チャレンジ・マヨルカに続く今シーズン2勝目を飾った。リーダージャージはフェルナンデスからコロムに移っている。
第3ステージ結果
1位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)4h35'42"
2位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
3位 ルーベン・プラサ(スペイン、リバティーセグロス)+06"
総合首位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)
第4ステージ Castro Marin-Tavira(ITT) 33.7km
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フランスTTチャンピオンジャージを着るシルヴァン・シャヴァネル(クイックステップ)やアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)、そして地元のティアゴ・マチャード(ポルトガル、マデイノックス・ボアビスタ)が好タイムをマーク。しかし総合2位のコンタドールがこれらのタイムを全て上回った。
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奇しくも同日カリフォルニアではチームメイトのライプハイマー(アメリカ)がソルバンク個人TTで優勝している。
アスタナの公式サイトの中でコンタドールは「チームメイトの働きに報いるためにも今日は勝ちたかった。最後までいいリズムで走れたよ。天気が良くて、コースも走りがいがある。このアルガルヴェをデビュー戦に選んで正解だった」と語っている。
第4ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)44'05"
2位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+33"
3位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)+36"
総合首位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
第5ステージ Vila Do Bispo-Portimao 168.8km
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フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、サイレンス・ロット)を破り、第1ステージに続く2勝目を飾ったのはハウッスラー。2月25日に25歳の誕生日を迎えるこの若手ジャーマンスプリンターは、スプリント2勝1敗、文句無しのポイント賞トップに輝いた。
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コンタドールは、チーム公式サイトの中で「トレーニングキャンプでは好感触を得ていたけど、実戦でどれぐらい走れるのか分からなかった。この勝利はツールに向けてのファーストステップ。これからはパリ〜ニース(2007年総合優勝)に調子を合わせたい」とコメントしている。
第5ステージ結果
1位 ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)4h16'04"
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、サイレンス・ロット)
3位 ワウテル・ウェイラント(ベルギー、クイックステップ)
個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)19h04'22"
2位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+1'06"
3位 ルーベン・プラサ(スペイン、リバティーセグロス)+1'07"
ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)
山岳賞
マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ランプレ)
新人賞
ティアゴ・マチャード(ポルトガル、マデイノックス・ボアビスタ)
チーム総合成績
アスタナ
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