2016/02/19(金) - 09:04
フィジークのロードシューズラインアップより、BOAクロージャーの採用や新型アッパー構造などの採用により生まれ変わった新型ハイエンドモデル「R1B」をインプレッション。実際にR1Bを取り扱うショップからのおすすめコメントと合わせて紹介しよう。
フィジーク R1B UOMO (ホワイト)
「R1B」はフィジークのロードモデルの最上位モデル。前作は、カンガルーレザーをアッパーに採用し、ラグジュアリーシューズとして位置づけられてきたが、今回のフルモデルチェンジでは最先端のトレンドとテクノロジーを詰め込んだレーシングシューズとして生まれ変わった。
大きな変更点はクロージャーシステムとアッパーの素材、そしてその形状だ。前作ではバックル+2本ベルクロというトラディショナルなクロージャーシステムを採用していたR1だが、新しいモデル名「R1B」の「B」が意味するのはBOAクロージャーを採用しているということ。既にレーシングシューズの世界では主流となっているシステムを2つ搭載することで、細やかで均一なフィッティングが可能となった。ミドルグレードであるR3やR5などが先んじて採用しており、満を持しての採用となる。
前作の特徴であったカンガルーレザーのアッパーは今回のモデルチェンジでマイクロテックスへと変更されることに。フィジークのサドルやバーテープに用いられるマイクロテックス素材はフィジークがもっともよく知るマテリアルである。
2枚の大きなパネルを重ねた新構造のアッパー
クロージャーにはBOAを2個採用する
上側のパネルにはスリット(切込み)を設けた「ボリュームコントロールフィット」
ヒールの「:k」ロゴはエンボス加工によるもの
柔軟性に富む一方で高い耐候性も持ち合わせているマイクロテックスは、包み込むようなフィット感と過酷な環境でも長く使える耐久性という、シューズに求められる大事な要素を満足させることが出来る素材だ。全面にパンチング加工が施されることで、通気性もしっかりと確保されている。
パネリングも大幅に変更されており、「ボリュームコントロールフィット」というパターンが新たに設計されている。シューズの内側と外側から足全体を大きなパターンで包みこむような構造によって、アッパーの可動域が大きくなり、つま先のボリュームを調整しやすくなっている。
一方、足首側は「エクステンデッドパワーストラップ」と名付けられたパーツによって、しっかりとしたホールド力を発揮するような設計がおこなわれている。そして、足首側とつま先側のフィット感をそれぞれ独立して調整するために、外側に来るアッパーは切欠きが設けられ、足幅の広さ、甲の高さに関わらず最適なフィッティングを得ることができる。
UDカーボンファイバー製のアウターソール
アーチサポートは中程度
ソール裏にはベンチレーションホールが設けられている
ヒール内側にはなめらかな肌触りの生地を配している
標準装備のインソール
フィジーク R1B UOMO 40サイズ右側実測232g
アウトソールは高剛性のUDカーボンファイバー製。高いパワー伝達効率性を誇るアウトソールにはベンチレーションが設けられることで、優れた通気性を実現している。夏場でもサイクリングが楽しめるだけの快適性を与えられている。
これらの変更によって、大幅なダイエットに成功しているのもR1Bの大きな進化である。前作の335g(43サイズ)という重量から、100g以上の軽量化を実現。227g(42.5サイズ)と、他ブランドのハイエンドレーシングシューズに対してもアドバンテージとなるスペックを獲得した。
カラーはホワイトとブラックの2色展開。シックにまとまったグラフィックはフィジークらしさを保ちつつも、レーシーな雰囲気を醸し出している。サイズ展開は39‐45サイズ(39-44まではハーフサイズ展開)。
「日本人の足型にフィットしやすいシューズ。サイズは小さめがオススメ」ベルエキップ遠藤店長 自らもフィジークのシューズを愛用しているというベルエキップの遠藤店長によると、「R1Bは、ハイアーチであったり、足の甲に高さのある方など、日本人の足型にフィットしやすいシューズです。ソールはクリートの調整幅が大きく、クリート取付部が比較的前方に位置しているため、足の指が短い日本人でもセッティングを出しやすいですね。」
「フィジークの他モデルと比較すると、つま先部に余裕があり、ヒール部の造りは小さめです。フィジークのシューズは使い始めるとアッパーが少し伸びるので、小さめのサイズを選ぶことをオススメします」とのことだ。
ー編集部インプレッション
まず箱から取り出して感じるのはそのラグジュアリー感。プロが使うことからも分かるように、R1Bは正真正銘のレースシューズであり、本来ならメカメカしいはずのダイヤルクロージャーを装備しているが、デニムと合わせてアーバンライドに使っても何ら違和感のない上品な仕上がり。フィジークの製品に共通するデザイン性の高さには、心底感心させられる。
ラグジュアリー感あふれるルックスと履き心地を兼ね備える
そして、見た目で感じられたラグジュアリー感は、実際に足を通してみても感じることができる。2枚の大きなアッパーを重ねる新構造は、足の甲に満遍なくフィットしてくれる一方で、レースシューズにありがちな圧迫感は皆無。シューズにカッチリ感を求めるライダーだと好みが分かれるかもしれないが、長時間履き続けるにはぴったりだ。R1を履いたなら、ついつい走行時間や距離が伸びてしまうかもしれない。
フィジークはこれまで日本向けの「G-Fit」とユーロフィットという2種類の足型を用意していたが、R1Bでは1種類に統合された。しかし、甲高幅広な筆者の足でも窮屈さを感じることはなかった。同じフィジークでも、R3BやR4Bよりも余裕のあるフィット感となっている。サイズ表記に対しては実際のサイズは少し大きめで、筆者は普段シディWIREの44サイズを使用しているが、R1Bなら42.5でちょうど良いフィット感が得られた。なので、購入を考えている人はぜひ店頭で実際にフィッティングしたほうがよさそうだ。また、より高いフィット感を求めるのであればフィジークとシダスが共同開発した熱成形インソール「モールダブル・インソール」を使用することをオススメしたい。
高剛性ながら反発力が脚にきにくいソール
微調整が可能で、使い勝手に優れるBOAクロージャー マイクロファイバー製のアッパーは、他のシューズでは類を見ないほどしなやか。パンチング加工もしなやかさに貢献している一方で、部位によって穴の面積を変えている。締め付ける力を受け止めるワイヤーフックの近辺など、変形させてはいけない所には細孔を設けないなど、細部に渡って作りこみがなされている。また、パンチングの穴からは効率よくフレッシュな空気が取り込まれ、通気性は高いと感じた。
アッパーの2枚の大きなパネルのうち、上側のパネルにスリット(切込み)を設けた「ボリュームコントロールフィット」は実に効果的。つま先と甲のフィット感を個別に調整できるため、まるでオーダーメイドシューズかのように、アッパーを満遍なくフォットさせることができる。また、アッパーにシワがよることがなく、履いた時のルックスも良い。
ソールは高剛性で、踏み込んだ際にもロスは感じられなかったが、反発力で足裏が疲労するということもあまり感じられなかった。アーチサポートは中程度。クリート取付部の前方に設けられたベンチレーションホールは、効率よくジューズ内に空気を送ってくれるため、前述のアッパーと合わせて、通気性は高いレベルにある。冬場のライドではシュ―ズカバーをしていても足が冷えきってしまうほどだが、夏場のライドでは蒸れにくいはずだ。
BOAクロージャーは細かく調整することができ、アッパー本体が持つ高いフィット感を更に引き出してくれる。冬場であればシュ―ズカバーの上から締め具合を調整でき、ダイヤルを引き上げれば一気に開放することが可能で、左右で締付/開放とクロージャーの回転方向を揃えていたりと、使い勝手もいい。
満遍なく足を包み込んでくれる高いフィット感、ラグジュアリー感あふれるルックスと履き心地、優れたレース性能に使い勝手と、シューズに求められる様々な性能を高次元で兼ね備える「R1B」。乗り方や自転車歴を問わず、予算が許すのであれば、あらゆるライダーにオススメしたいし、手持ちのシューズのフィット感に悩んでいる方であれば、尚更R1Bをチェックしてみる価値があるだろう。
(インプレッション by CW編集部・山本)
フィジーク R1B UOMO
ソール:UDカーボンファイバー・ベンチレーテッド
アッパー:マイクロテックス
インソール:フィジーク・サイクリングインソール
クロージングシステム:BOA IP1-Bx2
サイズ:39~45まで(ハーフサイズあり)
カラー:ホワイト、ブラック
価 格: 39,980円(税抜)
フィジーク R1B UOMO (ブラック)
text&photo:Yuya.Yamamoto
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「R1B」はフィジークのロードモデルの最上位モデル。前作は、カンガルーレザーをアッパーに採用し、ラグジュアリーシューズとして位置づけられてきたが、今回のフルモデルチェンジでは最先端のトレンドとテクノロジーを詰め込んだレーシングシューズとして生まれ変わった。
大きな変更点はクロージャーシステムとアッパーの素材、そしてその形状だ。前作ではバックル+2本ベルクロというトラディショナルなクロージャーシステムを採用していたR1だが、新しいモデル名「R1B」の「B」が意味するのはBOAクロージャーを採用しているということ。既にレーシングシューズの世界では主流となっているシステムを2つ搭載することで、細やかで均一なフィッティングが可能となった。ミドルグレードであるR3やR5などが先んじて採用しており、満を持しての採用となる。
前作の特徴であったカンガルーレザーのアッパーは今回のモデルチェンジでマイクロテックスへと変更されることに。フィジークのサドルやバーテープに用いられるマイクロテックス素材はフィジークがもっともよく知るマテリアルである。
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柔軟性に富む一方で高い耐候性も持ち合わせているマイクロテックスは、包み込むようなフィット感と過酷な環境でも長く使える耐久性という、シューズに求められる大事な要素を満足させることが出来る素材だ。全面にパンチング加工が施されることで、通気性もしっかりと確保されている。
パネリングも大幅に変更されており、「ボリュームコントロールフィット」というパターンが新たに設計されている。シューズの内側と外側から足全体を大きなパターンで包みこむような構造によって、アッパーの可動域が大きくなり、つま先のボリュームを調整しやすくなっている。
一方、足首側は「エクステンデッドパワーストラップ」と名付けられたパーツによって、しっかりとしたホールド力を発揮するような設計がおこなわれている。そして、足首側とつま先側のフィット感をそれぞれ独立して調整するために、外側に来るアッパーは切欠きが設けられ、足幅の広さ、甲の高さに関わらず最適なフィッティングを得ることができる。
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これらの変更によって、大幅なダイエットに成功しているのもR1Bの大きな進化である。前作の335g(43サイズ)という重量から、100g以上の軽量化を実現。227g(42.5サイズ)と、他ブランドのハイエンドレーシングシューズに対してもアドバンテージとなるスペックを獲得した。
カラーはホワイトとブラックの2色展開。シックにまとまったグラフィックはフィジークらしさを保ちつつも、レーシーな雰囲気を醸し出している。サイズ展開は39‐45サイズ(39-44まではハーフサイズ展開)。
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ー編集部インプレッション
まず箱から取り出して感じるのはそのラグジュアリー感。プロが使うことからも分かるように、R1Bは正真正銘のレースシューズであり、本来ならメカメカしいはずのダイヤルクロージャーを装備しているが、デニムと合わせてアーバンライドに使っても何ら違和感のない上品な仕上がり。フィジークの製品に共通するデザイン性の高さには、心底感心させられる。
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フィジークはこれまで日本向けの「G-Fit」とユーロフィットという2種類の足型を用意していたが、R1Bでは1種類に統合された。しかし、甲高幅広な筆者の足でも窮屈さを感じることはなかった。同じフィジークでも、R3BやR4Bよりも余裕のあるフィット感となっている。サイズ表記に対しては実際のサイズは少し大きめで、筆者は普段シディWIREの44サイズを使用しているが、R1Bなら42.5でちょうど良いフィット感が得られた。なので、購入を考えている人はぜひ店頭で実際にフィッティングしたほうがよさそうだ。また、より高いフィット感を求めるのであればフィジークとシダスが共同開発した熱成形インソール「モールダブル・インソール」を使用することをオススメしたい。
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アッパーの2枚の大きなパネルのうち、上側のパネルにスリット(切込み)を設けた「ボリュームコントロールフィット」は実に効果的。つま先と甲のフィット感を個別に調整できるため、まるでオーダーメイドシューズかのように、アッパーを満遍なくフォットさせることができる。また、アッパーにシワがよることがなく、履いた時のルックスも良い。
ソールは高剛性で、踏み込んだ際にもロスは感じられなかったが、反発力で足裏が疲労するということもあまり感じられなかった。アーチサポートは中程度。クリート取付部の前方に設けられたベンチレーションホールは、効率よくジューズ内に空気を送ってくれるため、前述のアッパーと合わせて、通気性は高いレベルにある。冬場のライドではシュ―ズカバーをしていても足が冷えきってしまうほどだが、夏場のライドでは蒸れにくいはずだ。
BOAクロージャーは細かく調整することができ、アッパー本体が持つ高いフィット感を更に引き出してくれる。冬場であればシュ―ズカバーの上から締め具合を調整でき、ダイヤルを引き上げれば一気に開放することが可能で、左右で締付/開放とクロージャーの回転方向を揃えていたりと、使い勝手もいい。
満遍なく足を包み込んでくれる高いフィット感、ラグジュアリー感あふれるルックスと履き心地、優れたレース性能に使い勝手と、シューズに求められる様々な性能を高次元で兼ね備える「R1B」。乗り方や自転車歴を問わず、予算が許すのであれば、あらゆるライダーにオススメしたいし、手持ちのシューズのフィット感に悩んでいる方であれば、尚更R1Bをチェックしてみる価値があるだろう。
(インプレッション by CW編集部・山本)
フィジーク R1B UOMO
ソール:UDカーボンファイバー・ベンチレーテッド
アッパー:マイクロテックス
インソール:フィジーク・サイクリングインソール
クロージングシステム:BOA IP1-Bx2
サイズ:39~45まで(ハーフサイズあり)
カラー:ホワイト、ブラック
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text&photo:Yuya.Yamamoto
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