2015/12/31(木) - 03:30
国内選手権の開催が集中した6月から8月。関東地方で初の全日本ロードから高校生、大学生の大会、そして高校生の世界チャンピオン誕生まで振り返ります。
6月
6月は大学生の選手権が2つある。まずは学生チームロードタイムトライアル。4人1組で競うレースは風との戦いとなりこれを鹿屋体育大学(原田・徳田・山本・冨尾)が制した。2位朝日大学とは8秒、3位明治大学とは11秒の僅差だった。
その翌週に行われたのは学生個人TT。ここでも鹿屋体育大学が圧倒し、男子は山本大喜が、女子は江藤里佳子が優勝。男子の2位は6秒差で池邊聖(慶応義塾大学)そして57秒差3位には浦佑樹(東京大学)が入ったこともトピックだ。
大学生にとって個人ロードレース頂点の戦いが全日本学生選手権個人ロードレースだ。女子は樫木祥子(駒澤大学)が登坂力を生かし優勝。男子は終盤30kmを逃げた浦佑樹(東京大学)が一時は5秒差にまで詰められるも突き放して優勝。東京大学としては西薗良太、安井雅彦に続き3人目の全国覇者だ。
初めて栃木県大田原市で行われた全日本選手権個人タイムトライアル。男子エリートはなんと社会人の中村龍太郎(イナーメ信濃山形)。2位には3秒差で増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が、3位にはさらに0.12秒差で西薗良太(ブリヂストンアンカー)で入った。
女子エリートは與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)が2位萩原麻由子(Wiggle HONDA)に1分の大差をつけ圧勝。男子U23は小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)、男子ジュニアは大町健斗(安芸府中高校)が男子U17は地元の小野寺慶(ブラウブリッツェン)が制した。女子ジュニアは梶原悠未(筑波大付属坂戸高)、女子U17は細谷夢菜(浦和工高)が制した。
6月下旬に開催された栃木県那須町で行われた全日本選手権ロードレース。初日はエリート以外のレースで、男子U23は中井路雅(京都産業大学)がラスト1kmでアタックして逃げ切り。男子ジュニアはアジアチャンピオンの沢田桂太郎(東北高)が制した。女子ジュニアは梶原悠未(筑波大坂戸高)が大差をつけ圧勝、男子U17は篠田幸希(前橋工高)が、女子U17は細谷夢菜(浦和工高)がそれぞれ優勝。
2日目は男女エリートが行われた。女子はこう着状態が続く中、最終周回に大堀博美(YOKOSUKA UNO RACING)が逃げたがラスト150mで吸収され、スプリント勝負を萩原が制し2連覇達成。TTでついた與那嶺との1分差を跳ね除ける勝利だった。萩原はこの後すぐにイタリアへ渡り、ジロ・ローザでステージ優勝することに。
男子エリートは逃げが決まらず最終周回でも約50名の先頭集団。ここから11人が抜け出しチーム右京の3人が、まず土井雪広がアタック、次に畑中勇介がアタックそしてラスト1kmで窪木一茂が抜け出し逃げ切り優勝。2位にも畑中が入りチーム右京が圧倒した。窪木は全日本トラックでも3冠、前年の全日本オムニアムでも優勝しており、近年にないスピードマンの優勝だ。
7月
全日本マウンテンバイク選手権が富士見パノラマリゾートで行われ、DH男子エリートは永田隼也(AKI FACTORY)、女子は末政実緒(SRAM/LITEC)が優勝。XCOの男子エリートは山本幸平(TREK FACTORY RACIG)が2年ぶりに優勝、女子は末政がなんとDHとの2冠を達成。男子U23は沢田時(ブリヂストンアンカー)が3連覇を成し遂げた。
ベルギーで行われたBMX世界選手権でガールズ16歳クラスで榊原爽が優勝。ガールズ14歳クラスでは籔田寿衣が2位に。若い世代の活躍は2020年の東京オリンピックへ向けて弾みがつくものだ。
8月
高校生頂点の戦いが全国高校総体で今年は大阪岸和田競輪場と鈴鹿サーキットで行われた。団抜きは予選で4分23秒313の大会新を出した祐誠(今村、貝原、佐竹、橋本)が、チームスプリントは予選で1分17秒098の男子ジュニア新、男子高校新、大会新を出した和歌山北(永橋、南、布居)が優勝。ロードレースは全体の8割の距離を逃げた4人のゴール勝負を渡邉歩(学法石川)が制し、大前翔(慶応)、中村圭佑(昭和一学園)が続いた。
今夏、高校生の世界チャンピオンが誕生した。しかも日本人では初となるトラック中距離種目だ。8月にカザフスタンで行われたジュニアトラック世界選手権で今村駿介(祐誠高)がポイントレースで優勝。アルカンシェルを獲得する快挙だ。いま、ジュニア世代は今村とともに梶原悠未、沢田桂太郎ら海外でも活躍する選手で層が厚い。
MTBアジア選手権がマレーシアで行われ、4人で行われるチームリレーは門田基志、末政実緒、平林安理、佐藤寿美で臨み2位に。XCOは男子エリートで山本幸平が7連覇を達成、男子ジュニアは竹内遼(WESTBERG/ProRide)、平林安里(白馬高校)、山田将輝(Limited846/DIRTFREAK)がワン・ツー・スリーを達成した。
国体開催地がおよそ前年に行うのが全国都道府県対抗自転車競技大会だ。2015年は岩手県紫波町で行われ、成年少年の区別のないスプリントは高校生の山田諒(岐阜第一高)が制した。ロードレースは最終周回なのにあと1周あると前代未聞のミスがあり混乱。仕切り直しの1周だけのレースを竹井彗(高松工芸高)が制した。女子は上野みなみ(鹿屋体育大院)が優勝。
シマノ鈴鹿国際ロードレースは国内コンチネンタルチームに加え、UCIワールドチームのジャイアント・アルペシン、BMCレーシングの育成組織であるBMCデヴェロップメント、そしてオランダ籍のSEGチームが参加。国内選手主体の逃げが決まり、9人のスプリントを畑中勇介(チーム右京)が制した。またチームTTで優勝したチーム右京(畑中、窪木、湊、山本)の記録した27分49秒は時速50.02km/hとハイスピードだった。
大学生頂点の戦いが全日本大学対抗選手権自転車競技大会、通称インカレで、2015年は長野県松本市新設の美鈴湖競技場と大町市美麻で行われた。標高1000mの新設競技場は好記録ラッシュ。200mFTTは小原佑太(朝日大)が10秒392の大会新、学連新でスプリント優勝。1kmTTは野上竜太(鹿屋体育大)が1分03秒579の学連新・大会新で、チームスプリントは鹿屋体育大(山口、野上、堀)が1分01秒777(予選時)の大会新・学連新で優勝。
団抜きは予選結果を覆し法政大(寺崎、新村、青野、鈴木)が4分13秒021で鹿屋体育大を下した。ロードレースは過去2連覇している徳田優(鹿屋体育大)がマークされる中、吉田悠人、吉田優樹(日本大)、橋本英也(鹿屋体育大)の3人が逃げ切り吉田悠人が優勝。じつに2年ぶりに日本大の校歌が流れた。女子は樫木祥子(駒沢大)が圧勝。総合成績では鹿屋体育大が男子3連覇、女子も優勝した。
text:高木秀彰
6月
6月は大学生の選手権が2つある。まずは学生チームロードタイムトライアル。4人1組で競うレースは風との戦いとなりこれを鹿屋体育大学(原田・徳田・山本・冨尾)が制した。2位朝日大学とは8秒、3位明治大学とは11秒の僅差だった。
その翌週に行われたのは学生個人TT。ここでも鹿屋体育大学が圧倒し、男子は山本大喜が、女子は江藤里佳子が優勝。男子の2位は6秒差で池邊聖(慶応義塾大学)そして57秒差3位には浦佑樹(東京大学)が入ったこともトピックだ。
大学生にとって個人ロードレース頂点の戦いが全日本学生選手権個人ロードレースだ。女子は樫木祥子(駒澤大学)が登坂力を生かし優勝。男子は終盤30kmを逃げた浦佑樹(東京大学)が一時は5秒差にまで詰められるも突き放して優勝。東京大学としては西薗良太、安井雅彦に続き3人目の全国覇者だ。
初めて栃木県大田原市で行われた全日本選手権個人タイムトライアル。男子エリートはなんと社会人の中村龍太郎(イナーメ信濃山形)。2位には3秒差で増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が、3位にはさらに0.12秒差で西薗良太(ブリヂストンアンカー)で入った。
女子エリートは與那嶺恵理(サクソバンクFX証券)が2位萩原麻由子(Wiggle HONDA)に1分の大差をつけ圧勝。男子U23は小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)、男子ジュニアは大町健斗(安芸府中高校)が男子U17は地元の小野寺慶(ブラウブリッツェン)が制した。女子ジュニアは梶原悠未(筑波大付属坂戸高)、女子U17は細谷夢菜(浦和工高)が制した。
6月下旬に開催された栃木県那須町で行われた全日本選手権ロードレース。初日はエリート以外のレースで、男子U23は中井路雅(京都産業大学)がラスト1kmでアタックして逃げ切り。男子ジュニアはアジアチャンピオンの沢田桂太郎(東北高)が制した。女子ジュニアは梶原悠未(筑波大坂戸高)が大差をつけ圧勝、男子U17は篠田幸希(前橋工高)が、女子U17は細谷夢菜(浦和工高)がそれぞれ優勝。
2日目は男女エリートが行われた。女子はこう着状態が続く中、最終周回に大堀博美(YOKOSUKA UNO RACING)が逃げたがラスト150mで吸収され、スプリント勝負を萩原が制し2連覇達成。TTでついた與那嶺との1分差を跳ね除ける勝利だった。萩原はこの後すぐにイタリアへ渡り、ジロ・ローザでステージ優勝することに。
男子エリートは逃げが決まらず最終周回でも約50名の先頭集団。ここから11人が抜け出しチーム右京の3人が、まず土井雪広がアタック、次に畑中勇介がアタックそしてラスト1kmで窪木一茂が抜け出し逃げ切り優勝。2位にも畑中が入りチーム右京が圧倒した。窪木は全日本トラックでも3冠、前年の全日本オムニアムでも優勝しており、近年にないスピードマンの優勝だ。
7月
全日本マウンテンバイク選手権が富士見パノラマリゾートで行われ、DH男子エリートは永田隼也(AKI FACTORY)、女子は末政実緒(SRAM/LITEC)が優勝。XCOの男子エリートは山本幸平(TREK FACTORY RACIG)が2年ぶりに優勝、女子は末政がなんとDHとの2冠を達成。男子U23は沢田時(ブリヂストンアンカー)が3連覇を成し遂げた。
ベルギーで行われたBMX世界選手権でガールズ16歳クラスで榊原爽が優勝。ガールズ14歳クラスでは籔田寿衣が2位に。若い世代の活躍は2020年の東京オリンピックへ向けて弾みがつくものだ。
8月
高校生頂点の戦いが全国高校総体で今年は大阪岸和田競輪場と鈴鹿サーキットで行われた。団抜きは予選で4分23秒313の大会新を出した祐誠(今村、貝原、佐竹、橋本)が、チームスプリントは予選で1分17秒098の男子ジュニア新、男子高校新、大会新を出した和歌山北(永橋、南、布居)が優勝。ロードレースは全体の8割の距離を逃げた4人のゴール勝負を渡邉歩(学法石川)が制し、大前翔(慶応)、中村圭佑(昭和一学園)が続いた。
今夏、高校生の世界チャンピオンが誕生した。しかも日本人では初となるトラック中距離種目だ。8月にカザフスタンで行われたジュニアトラック世界選手権で今村駿介(祐誠高)がポイントレースで優勝。アルカンシェルを獲得する快挙だ。いま、ジュニア世代は今村とともに梶原悠未、沢田桂太郎ら海外でも活躍する選手で層が厚い。
MTBアジア選手権がマレーシアで行われ、4人で行われるチームリレーは門田基志、末政実緒、平林安理、佐藤寿美で臨み2位に。XCOは男子エリートで山本幸平が7連覇を達成、男子ジュニアは竹内遼(WESTBERG/ProRide)、平林安里(白馬高校)、山田将輝(Limited846/DIRTFREAK)がワン・ツー・スリーを達成した。
国体開催地がおよそ前年に行うのが全国都道府県対抗自転車競技大会だ。2015年は岩手県紫波町で行われ、成年少年の区別のないスプリントは高校生の山田諒(岐阜第一高)が制した。ロードレースは最終周回なのにあと1周あると前代未聞のミスがあり混乱。仕切り直しの1周だけのレースを竹井彗(高松工芸高)が制した。女子は上野みなみ(鹿屋体育大院)が優勝。
シマノ鈴鹿国際ロードレースは国内コンチネンタルチームに加え、UCIワールドチームのジャイアント・アルペシン、BMCレーシングの育成組織であるBMCデヴェロップメント、そしてオランダ籍のSEGチームが参加。国内選手主体の逃げが決まり、9人のスプリントを畑中勇介(チーム右京)が制した。またチームTTで優勝したチーム右京(畑中、窪木、湊、山本)の記録した27分49秒は時速50.02km/hとハイスピードだった。
大学生頂点の戦いが全日本大学対抗選手権自転車競技大会、通称インカレで、2015年は長野県松本市新設の美鈴湖競技場と大町市美麻で行われた。標高1000mの新設競技場は好記録ラッシュ。200mFTTは小原佑太(朝日大)が10秒392の大会新、学連新でスプリント優勝。1kmTTは野上竜太(鹿屋体育大)が1分03秒579の学連新・大会新で、チームスプリントは鹿屋体育大(山口、野上、堀)が1分01秒777(予選時)の大会新・学連新で優勝。
団抜きは予選結果を覆し法政大(寺崎、新村、青野、鈴木)が4分13秒021で鹿屋体育大を下した。ロードレースは過去2連覇している徳田優(鹿屋体育大)がマークされる中、吉田悠人、吉田優樹(日本大)、橋本英也(鹿屋体育大)の3人が逃げ切り吉田悠人が優勝。じつに2年ぶりに日本大の校歌が流れた。女子は樫木祥子(駒沢大)が圧勝。総合成績では鹿屋体育大が男子3連覇、女子も優勝した。
text:高木秀彰
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