2015/10/26(月) - 19:38
10月23日金曜日、さいたまクリテリウム前日にJ SPORTSサイクル視聴者におなじみの『我らワールド』のLIVE配信用番組収録が行われた。フルームやデゲンコルブ、プリトにバルデらクリテリウム参加主要選手らが登場した愉快な収録の様子をお届けする。
映画館「MOVIXさいたま」で行われたこの収録は、サッシャ&栗村修のコンビがゆるくロードレースの解説をする番組『我らワールド』の、“さいたまクリテリウム2015直前スペシャル”として、J SPORTSオンデマンドで無料配信された。会場のシアターには多くのサイクルロードレースファンが集い、司会の2人が登場すると大きな拍手で出迎える。翌日のクリテリウムのために用意したであろうさまざまな応援グッズを持った観客たちを見て、サッシャが「TV収録があるので、顔出しNGの方は選手の顔パネルをかぶっておいて」と投げかけ笑いをとる。
今回のイベントのメインは“2016ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーション”。先日パリで発表された2016年ツールのコースを日本語でおさらいし、見所を確認しようというもの。まずは栗村氏とサッシャ氏による2015年のツールの振り返りが行われる。栗村氏曰く「近年トラブルも多かったが、その分力と力のぶつかり合いが見られた」とのこと。また、サッシャも2015年のコースについてオランダスタートからのユイの壁やミニ・フレッシュワロンヌとも言うべきコース作りなどに触れ「2015年のコースは秀逸だった」と絶賛した。
次に、スペシャルゲストであるASOのベルナール・イノー氏、新城幸也(チーム・ユーロップカー)、別府史之(チーム・トレックファクトリーレーシング)をステージに呼び、2016年のルート解説に入る。
2016年ツール・ド・フランスのコースは、世界遺産であるモンサンミッシェルがスタート地点。途中ではツール初登場の山であるアンドラ・アルカリスを経由し、フランスの革命記念日である7月14日には“死の山”と呼ばれるモン・バントゥに登るバラエティに富んだコース。
イノー氏は「頂上ゴールも多く、タイムトライアル(TT)も2回ある。2016年は難しいコースだと思う。すべての能力がなければ勝てない」とコースの難易度に言及。また、2016年はチームTTがないことについても「ツールでは毎年新しいことをするようにしている」と、コース作成へのこだわりを見せた。
リモージュスタートの第5ステージでは、ロメン・バルデ(AG2R)選手の地元を通過、また第16ステージのスタート地点であるヴィラ・レ・ドンブは別府選手の自宅のごく近所(約3kmほど!)ということで、「来年のコースを見て、ぜひツールを走ってみたいと思った」と別府選手が発言。出場選手の決定とともに、注目が集まるコースも多数ありそうだ。
サッシャ氏からの「来年出場するとしたら、特にがんばりたいステージは?」という質問に対して、別府選手は「地元のヴィラ・レ・ドンブはもちろんのこと、アンドラも楽しそう。ぜひ走ってみたいコースだ」という。また、ツール・ド・リムザンでの優勝などで、リムザン地方での人気が極めて高い“ムッシュ・リムザン”のあだ名を持つ新城選手は「リムザンは外せない!」とのこと。
もし出場するとすれば、2016年ツールは移籍先のランプレ・メリダで走ることになる新城選手。移籍先チームの母国語であるイタリア語の習得について尋ねられ、「これからがんばります」と苦笑いしていた姿が印象的だった。
次いで、翌日のクリテリウムに出場予定のクリス・フルーム(チーム・スカイ)、ジョン・デゲンコルブ(チーム・ジャイアントアルぺシン)、ホアキン・ロドリゲス(チーム・カチューシャ)、ロメン・バルデ(AG2R)ら4選手が登場。エキシビションとして、さいたまクリテリウムの前日に昨年も行われた『さいたま王決定戦』ゲームが行われた。
さいたまにまつわるクイズに答えて、“さいたま王”を決めるこのゲームだが、選手たちはかなり真剣な面持ちでクイズに参加していた。実はサッシャ氏いわく、去年の『さいたま王決定戦』で優勝した選手がさいたまクリテリウムの覇者となったことで、このイベントで勝利することは縁起が良いことで知られているのだとか(本当かしら?)。
ラスト1問は、「さいたま市のPRキャラ“つなが竜 ヌゥ”を一番うまく描けるのは誰か!?」という超難問。それぞれの個性たっぷりの絵が描き上がると、客席の拍手の多寡で勝敗が決せられ、勝利を手にしたのはデゲンコルブ選手。満面の笑みを見せてはしゃぐ無邪気な姿に、会場のファンも大喜びだった。
さいたま王の証である“はっぴジョーヌ”、そして賞品として10万円相当の兜が贈られた。デゲンコルブ選手は「自転車とは違う戦いがてきて、楽しかったよ。応援ありがとう」とライバルたちとの前哨戦を楽しんだ様子だ。
各選手へ改めて「2016年ツール・ド・フランスのコースについてどう思うか?」という質問がなされたが、各選手の答えは以下。
クリス・フルーム選手「きびしいコースだ。クライミング、タイムトライアル……全ての能力を試されるし、特にチーム力も必要になる。ツールで勝利をするというのは簡単なことではないけど、自分のモチベーションも高い。今からトレーニングをして、調整していきたいと思う」
デゲンコルブ選手「スプリントチャンスは5〜6回あるし、そういう意味では自分にもチャンスがあると思っている。チームとしては総合争いもあるし、ドゥムランやバルギルなどのチームメイトたちと一緒に、戦っていきたい」
ホアキン選手「ツールはとてもタフな戦いなので、現時点で勝敗の明言はできないが、これから調整をして行きたい。また、今回のコースは山が多いコースになっていると思うので、いずれにしてもがんばりたいと思う」
バルデ選手「2016年のコースは大変難しいコースですが、モン・バントゥはフランス人にとっては思い入れのあるコース。それが革命記念日に設定されているということで、思い入れも強くなっているよ。来年のコースはバリエーションに富んでいて、山頂ゴールや下りでのゴールも多数ある。そういう意味では、各カラージャージの獲得も一筋縄ではいかないのではないかと思う」
トークショーが終了すると、プレゼント抽選会に。各選手がたったいま手描きした“ヌゥ”とサインが描かれた色紙や、サイン入りの“ハッピジョーヌ”が来場者へのプレゼントとして当選者に贈呈された。来場者全員が満足げな笑顔をうかべて、会場を去って行く姿が印象的だった。
最後に、“我らワールド”恒例(?)の「早すぎる総合優勝者予想」が行われた。栗村氏の予想は「そろそろティボ・ピノー選手を代表するフランス人選手に勝ちに来て欲しい」という“希望”にとどまった。約8ヶ月後、ツール・ド・フランス2016でどんなレースが展開されるのか、改めて楽しみにしておこう。
ちなみに、“さいたま王”を獲得したデゲンコルブ選手は、24日のクリテリウム本レースで優勝を果たした。さいたま王=レースの覇者というジンクスは、来年以降も続いていくのであろうか……?
(文中敬称略)
text:Yuri.Tozaki
photo:Makoto.AYANO
映画館「MOVIXさいたま」で行われたこの収録は、サッシャ&栗村修のコンビがゆるくロードレースの解説をする番組『我らワールド』の、“さいたまクリテリウム2015直前スペシャル”として、J SPORTSオンデマンドで無料配信された。会場のシアターには多くのサイクルロードレースファンが集い、司会の2人が登場すると大きな拍手で出迎える。翌日のクリテリウムのために用意したであろうさまざまな応援グッズを持った観客たちを見て、サッシャが「TV収録があるので、顔出しNGの方は選手の顔パネルをかぶっておいて」と投げかけ笑いをとる。
今回のイベントのメインは“2016ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーション”。先日パリで発表された2016年ツールのコースを日本語でおさらいし、見所を確認しようというもの。まずは栗村氏とサッシャ氏による2015年のツールの振り返りが行われる。栗村氏曰く「近年トラブルも多かったが、その分力と力のぶつかり合いが見られた」とのこと。また、サッシャも2015年のコースについてオランダスタートからのユイの壁やミニ・フレッシュワロンヌとも言うべきコース作りなどに触れ「2015年のコースは秀逸だった」と絶賛した。
次に、スペシャルゲストであるASOのベルナール・イノー氏、新城幸也(チーム・ユーロップカー)、別府史之(チーム・トレックファクトリーレーシング)をステージに呼び、2016年のルート解説に入る。
2016年ツール・ド・フランスのコースは、世界遺産であるモンサンミッシェルがスタート地点。途中ではツール初登場の山であるアンドラ・アルカリスを経由し、フランスの革命記念日である7月14日には“死の山”と呼ばれるモン・バントゥに登るバラエティに富んだコース。
イノー氏は「頂上ゴールも多く、タイムトライアル(TT)も2回ある。2016年は難しいコースだと思う。すべての能力がなければ勝てない」とコースの難易度に言及。また、2016年はチームTTがないことについても「ツールでは毎年新しいことをするようにしている」と、コース作成へのこだわりを見せた。
リモージュスタートの第5ステージでは、ロメン・バルデ(AG2R)選手の地元を通過、また第16ステージのスタート地点であるヴィラ・レ・ドンブは別府選手の自宅のごく近所(約3kmほど!)ということで、「来年のコースを見て、ぜひツールを走ってみたいと思った」と別府選手が発言。出場選手の決定とともに、注目が集まるコースも多数ありそうだ。
サッシャ氏からの「来年出場するとしたら、特にがんばりたいステージは?」という質問に対して、別府選手は「地元のヴィラ・レ・ドンブはもちろんのこと、アンドラも楽しそう。ぜひ走ってみたいコースだ」という。また、ツール・ド・リムザンでの優勝などで、リムザン地方での人気が極めて高い“ムッシュ・リムザン”のあだ名を持つ新城選手は「リムザンは外せない!」とのこと。
もし出場するとすれば、2016年ツールは移籍先のランプレ・メリダで走ることになる新城選手。移籍先チームの母国語であるイタリア語の習得について尋ねられ、「これからがんばります」と苦笑いしていた姿が印象的だった。
次いで、翌日のクリテリウムに出場予定のクリス・フルーム(チーム・スカイ)、ジョン・デゲンコルブ(チーム・ジャイアントアルぺシン)、ホアキン・ロドリゲス(チーム・カチューシャ)、ロメン・バルデ(AG2R)ら4選手が登場。エキシビションとして、さいたまクリテリウムの前日に昨年も行われた『さいたま王決定戦』ゲームが行われた。
さいたまにまつわるクイズに答えて、“さいたま王”を決めるこのゲームだが、選手たちはかなり真剣な面持ちでクイズに参加していた。実はサッシャ氏いわく、去年の『さいたま王決定戦』で優勝した選手がさいたまクリテリウムの覇者となったことで、このイベントで勝利することは縁起が良いことで知られているのだとか(本当かしら?)。
ラスト1問は、「さいたま市のPRキャラ“つなが竜 ヌゥ”を一番うまく描けるのは誰か!?」という超難問。それぞれの個性たっぷりの絵が描き上がると、客席の拍手の多寡で勝敗が決せられ、勝利を手にしたのはデゲンコルブ選手。満面の笑みを見せてはしゃぐ無邪気な姿に、会場のファンも大喜びだった。
さいたま王の証である“はっぴジョーヌ”、そして賞品として10万円相当の兜が贈られた。デゲンコルブ選手は「自転車とは違う戦いがてきて、楽しかったよ。応援ありがとう」とライバルたちとの前哨戦を楽しんだ様子だ。
各選手へ改めて「2016年ツール・ド・フランスのコースについてどう思うか?」という質問がなされたが、各選手の答えは以下。
クリス・フルーム選手「きびしいコースだ。クライミング、タイムトライアル……全ての能力を試されるし、特にチーム力も必要になる。ツールで勝利をするというのは簡単なことではないけど、自分のモチベーションも高い。今からトレーニングをして、調整していきたいと思う」
デゲンコルブ選手「スプリントチャンスは5〜6回あるし、そういう意味では自分にもチャンスがあると思っている。チームとしては総合争いもあるし、ドゥムランやバルギルなどのチームメイトたちと一緒に、戦っていきたい」
ホアキン選手「ツールはとてもタフな戦いなので、現時点で勝敗の明言はできないが、これから調整をして行きたい。また、今回のコースは山が多いコースになっていると思うので、いずれにしてもがんばりたいと思う」
バルデ選手「2016年のコースは大変難しいコースですが、モン・バントゥはフランス人にとっては思い入れのあるコース。それが革命記念日に設定されているということで、思い入れも強くなっているよ。来年のコースはバリエーションに富んでいて、山頂ゴールや下りでのゴールも多数ある。そういう意味では、各カラージャージの獲得も一筋縄ではいかないのではないかと思う」
トークショーが終了すると、プレゼント抽選会に。各選手がたったいま手描きした“ヌゥ”とサインが描かれた色紙や、サイン入りの“ハッピジョーヌ”が来場者へのプレゼントとして当選者に贈呈された。来場者全員が満足げな笑顔をうかべて、会場を去って行く姿が印象的だった。
最後に、“我らワールド”恒例(?)の「早すぎる総合優勝者予想」が行われた。栗村氏の予想は「そろそろティボ・ピノー選手を代表するフランス人選手に勝ちに来て欲しい」という“希望”にとどまった。約8ヶ月後、ツール・ド・フランス2016でどんなレースが展開されるのか、改めて楽しみにしておこう。
ちなみに、“さいたま王”を獲得したデゲンコルブ選手は、24日のクリテリウム本レースで優勝を果たした。さいたま王=レースの覇者というジンクスは、来年以降も続いていくのであろうか……?
(文中敬称略)
text:Yuri.Tozaki
photo:Makoto.AYANO
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