2015/10/06(火) - 19:12
第5戦のMIZUHO MTB PARK(島根県)から2週連続、連戦となったDOWNHILL SERIESは9月26日、27日、会場を富士見パノラマリゾート(長野県)に移して開催された。
昨年度、もっとも開催希望の声が多かった富士見パノラマリゾート。今回の目玉は、Aコースをフルで使うというコース設定。国内のダウンヒルライダーであればその名前を知らない人はいないという定番「Aコース」。山頂のゴンドラ駅を降りてすぐスタートする全長4.2㎞のこのコースは、約10年前まではジャパンシリーズにも頻繁に使用されていたコースだが、コースレギュレーションの変更により「長すぎる」とされ、最近の公式戦では山頂駅からAコースを半分以上下ったところにスタート台が設置されるようになっている。
そんなレギュレーションを気にしないで開催できるのがDOWNHILL SERIES。Aコースフルを懐かしむ大人から、初めてのロングコースレースに挑む若者まで、初の関東地方開催に100人以上のライダーが集まった。
土曜日は、曇り。前日まで降った雨の影響により、富士見のコースならではのカチカチの路面はツルツルに。転んで泥だらけになった選手も多く見られた。タイムドセッションは、コース設定を担当した井本はじめ選手(SRAM/LITEC)が6分23秒745で1位。第5戦優勝者の清水一輝選手(Patrol mountain FJC)が6分31秒544で2位、浅野善亮選手(TEAM GIANT)が6分34秒278で3位に入った。注目すべきは、エリート男子クラスの黒沢大介選手(Team A&F)。全クラスの総合で3位に入る6分32秒968というタイムを出した。
タイムドセッション終了後には毎戦恒例PROライダーによる参加者交流企画として、「富士見ナイト」と称したコース解説講座が開講され、本大会の特別協賛KONAライダーの井手川直樹選手(AKI FACTORY/STRIDER)を中心に、井本選手、清水選手、今季初参戦の九島勇気選手(玄武MONDRAKER)、そしてタイムドセッション総合3位の結果を出した黒沢選手らが講師陣として参加。トップライダーそれぞれのライン取りやコース攻略のポイントを1時間かけて伝授。集まった30人以上の参加者はうなづいたり、時に質問をしながら熱心に聞き入った。
この2日間、富士見ということもあって観客も多く、ブースエリアも大盛況。KONAの試乗車はコースでの実走も可能とのことで次々に貸し出され、インターテックやサローネ・デル・モンテブースではずらりと並んだ最新へルメットの試着ができ、A&Fや重力技研のブースでは大特価での販売に人だかりが絶えなかった。
日曜日。本戦が始まる頃になると、やっと太陽が顔を覗かせた。エリート男子クラスは、いつにも増して激戦。トップタイムが更新される度に歓声が上がる。#2SRAMPARKでの下克上システムでPROライダー全員を下した経験のある井岡佑介選手(HottSpinNUKEPROOF)が6分29秒611という前日のタイムドセッションでの黒沢選手を上回るタイムを出す。金子匠選手(Team Yellow小川輪業)は前日より20秒も縮めるが6分38秒511、#1十種ヶ峰で優勝した京都の藤村飛丸選手(BlankyDog/MUDDYCHOCOLATE)も6分42秒691と伸びず。
CJ-1春の富士見でエリートクラス2位に入った泉野龍雅選手(豊橋桜丘高校/KONA/自転車道)は6分32秒、地元長野の五十嵐優樹選手(STORMRIDERS)も6分30秒138と6分30秒を切れない。そして残るは黒沢選手。明らかな速さでフィニッシュゲートに飛び込んできたタイムは6分27秒940。前日よりも5秒縮めての初優勝となった。
昨年までPROライダーの面々と日々練習を重ね、国内・海外遠征を続けてきた黒沢選手。公式戦での優勝はまだなく、そのためPROクラスではなくエリートクラスでの出走となったが、「自転車を始めた頃から何本走ったか分からないこのコースで、ライバルも多かったんですが、勝ててよかったです。出展しながらのレースでしたが、色んな人に助けて頂いてブースも大盛況でした!」と笑顔で話した。
ロングコースでの疲労を物語るかのように、フィニッシュエリアにはレースを終えたライダーたちが次々に倒れ込み、そのままレースの行方を見守る中でPROクラスがはじまった。初年度の開幕戦以来、優勝が遠のいている阿藤寛(Topknot racing)、久々の参戦となった九島勇気選手・賛汰選手(玄武)兄弟は6分20秒台、2003年全日本チャンピオンの大島礼治選手はトラブルで後退。
驚くべき中間タイム4分8秒を出したのは、タイムドセッション4位の井手川選手。フィニッシュタイムは6分18秒468とこの日初めての6分20秒を切るタイム。そして、残る浅野選手は「距離は思ったほど辛くはなかったですが、ペース配分をミスしましたね」と話したとおり前半のタイムが伸びず、わずか0.876秒及ばない6分19秒344。清水選手も6分20秒台。タイムドセッション1位ながら、最後のAダッシュと呼ばれるセクションで「歩いていても転ぶような根っこで吹っ飛んじゃって。木とハグをしました」と話した井本選手も6分24秒。
結果、KONAが冠についた第6戦でKONAライダー井手川選手がDOWNHILL SERIES初優勝。シナリオがあったかのような、圧倒的で素晴らしい勝ち方だった。レース後、「約10年ぶりのAコースフルでしたが、僕みたいなオールドスクールが勝って良かったなと! まだまだ、まだまだロングなら負けないということが証明できました! 来年は200人、300人と参加者が増えてくれたら。」と話した。
ファーストタイマー男子クラスでは梶原佳祥選手(TEAM RINGOROAD)が、スポーツ女子クラスでは鎌苅るな選手(Team URGE/つくでMTB )が、30人を越える出走となったスポーツ男子クラスでは渡辺耕平選手(輪心 wheelsoulbikeworks)が、エキスパート男子クラスでは二ノ宮司選手が優勝。エリート女子クラスでは2位に17秒差をつけて末政実緒選手(SRAM/LITEC)が優勝した。
第7戦、吉無田高原DHコース(熊本県)は11月21日〜22日に開催される。
report:DOWNHILL SERIES
photo:DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
昨年度、もっとも開催希望の声が多かった富士見パノラマリゾート。今回の目玉は、Aコースをフルで使うというコース設定。国内のダウンヒルライダーであればその名前を知らない人はいないという定番「Aコース」。山頂のゴンドラ駅を降りてすぐスタートする全長4.2㎞のこのコースは、約10年前まではジャパンシリーズにも頻繁に使用されていたコースだが、コースレギュレーションの変更により「長すぎる」とされ、最近の公式戦では山頂駅からAコースを半分以上下ったところにスタート台が設置されるようになっている。
そんなレギュレーションを気にしないで開催できるのがDOWNHILL SERIES。Aコースフルを懐かしむ大人から、初めてのロングコースレースに挑む若者まで、初の関東地方開催に100人以上のライダーが集まった。
土曜日は、曇り。前日まで降った雨の影響により、富士見のコースならではのカチカチの路面はツルツルに。転んで泥だらけになった選手も多く見られた。タイムドセッションは、コース設定を担当した井本はじめ選手(SRAM/LITEC)が6分23秒745で1位。第5戦優勝者の清水一輝選手(Patrol mountain FJC)が6分31秒544で2位、浅野善亮選手(TEAM GIANT)が6分34秒278で3位に入った。注目すべきは、エリート男子クラスの黒沢大介選手(Team A&F)。全クラスの総合で3位に入る6分32秒968というタイムを出した。
タイムドセッション終了後には毎戦恒例PROライダーによる参加者交流企画として、「富士見ナイト」と称したコース解説講座が開講され、本大会の特別協賛KONAライダーの井手川直樹選手(AKI FACTORY/STRIDER)を中心に、井本選手、清水選手、今季初参戦の九島勇気選手(玄武MONDRAKER)、そしてタイムドセッション総合3位の結果を出した黒沢選手らが講師陣として参加。トップライダーそれぞれのライン取りやコース攻略のポイントを1時間かけて伝授。集まった30人以上の参加者はうなづいたり、時に質問をしながら熱心に聞き入った。
この2日間、富士見ということもあって観客も多く、ブースエリアも大盛況。KONAの試乗車はコースでの実走も可能とのことで次々に貸し出され、インターテックやサローネ・デル・モンテブースではずらりと並んだ最新へルメットの試着ができ、A&Fや重力技研のブースでは大特価での販売に人だかりが絶えなかった。
日曜日。本戦が始まる頃になると、やっと太陽が顔を覗かせた。エリート男子クラスは、いつにも増して激戦。トップタイムが更新される度に歓声が上がる。#2SRAMPARKでの下克上システムでPROライダー全員を下した経験のある井岡佑介選手(HottSpinNUKEPROOF)が6分29秒611という前日のタイムドセッションでの黒沢選手を上回るタイムを出す。金子匠選手(Team Yellow小川輪業)は前日より20秒も縮めるが6分38秒511、#1十種ヶ峰で優勝した京都の藤村飛丸選手(BlankyDog/MUDDYCHOCOLATE)も6分42秒691と伸びず。
CJ-1春の富士見でエリートクラス2位に入った泉野龍雅選手(豊橋桜丘高校/KONA/自転車道)は6分32秒、地元長野の五十嵐優樹選手(STORMRIDERS)も6分30秒138と6分30秒を切れない。そして残るは黒沢選手。明らかな速さでフィニッシュゲートに飛び込んできたタイムは6分27秒940。前日よりも5秒縮めての初優勝となった。
昨年までPROライダーの面々と日々練習を重ね、国内・海外遠征を続けてきた黒沢選手。公式戦での優勝はまだなく、そのためPROクラスではなくエリートクラスでの出走となったが、「自転車を始めた頃から何本走ったか分からないこのコースで、ライバルも多かったんですが、勝ててよかったです。出展しながらのレースでしたが、色んな人に助けて頂いてブースも大盛況でした!」と笑顔で話した。
ロングコースでの疲労を物語るかのように、フィニッシュエリアにはレースを終えたライダーたちが次々に倒れ込み、そのままレースの行方を見守る中でPROクラスがはじまった。初年度の開幕戦以来、優勝が遠のいている阿藤寛(Topknot racing)、久々の参戦となった九島勇気選手・賛汰選手(玄武)兄弟は6分20秒台、2003年全日本チャンピオンの大島礼治選手はトラブルで後退。
驚くべき中間タイム4分8秒を出したのは、タイムドセッション4位の井手川選手。フィニッシュタイムは6分18秒468とこの日初めての6分20秒を切るタイム。そして、残る浅野選手は「距離は思ったほど辛くはなかったですが、ペース配分をミスしましたね」と話したとおり前半のタイムが伸びず、わずか0.876秒及ばない6分19秒344。清水選手も6分20秒台。タイムドセッション1位ながら、最後のAダッシュと呼ばれるセクションで「歩いていても転ぶような根っこで吹っ飛んじゃって。木とハグをしました」と話した井本選手も6分24秒。
結果、KONAが冠についた第6戦でKONAライダー井手川選手がDOWNHILL SERIES初優勝。シナリオがあったかのような、圧倒的で素晴らしい勝ち方だった。レース後、「約10年ぶりのAコースフルでしたが、僕みたいなオールドスクールが勝って良かったなと! まだまだ、まだまだロングなら負けないということが証明できました! 来年は200人、300人と参加者が増えてくれたら。」と話した。
ファーストタイマー男子クラスでは梶原佳祥選手(TEAM RINGOROAD)が、スポーツ女子クラスでは鎌苅るな選手(Team URGE/つくでMTB )が、30人を越える出走となったスポーツ男子クラスでは渡辺耕平選手(輪心 wheelsoulbikeworks)が、エキスパート男子クラスでは二ノ宮司選手が優勝。エリート女子クラスでは2位に17秒差をつけて末政実緒選手(SRAM/LITEC)が優勝した。
第7戦、吉無田高原DHコース(熊本県)は11月21日〜22日に開催される。
DOWNHILL SERIES 2015 #6 富士見パノラマスキー場 - HIGHLIGHT from SL MEDIA on Vimeo.
report:DOWNHILL SERIES
photo:DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
Amazon.co.jp