2015/09/05(土) - 10:04
平坦ステージという位置づけながら、1級を含む3つのカテゴリー山岳を含むコースプロファイルは、アタッカーたちに有利な展開を産んだ。24名という強力な逃げ集団から、終盤に飛び出したネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)がステージ優勝。逃げに乗った新城幸也はチームメイトの総合成績アップに貢献した。
ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージはアラゴン州のカラタユーからタラソナに至る178km。最終日マドリード以外では最後の平坦ステージであり、スプリンターたちは是が非でも勝利したいところ。しかし、ハードな2週間を過ごしてきたプロトンの行く手には、2つの3級山岳と1つの1級山岳という大きな壁が立ちはだかる。加えて1年を通して風が強い地域として知られており、アタッカーにもチャンスが転がり込む可能性が高く、総合成績が大きく変動することもあり得る。
そんな、ブエルタならではのナーバスな平坦ステージは、序盤からアタックが頻発。一時50名もの超巨大な先行集団が形成されるも、リーダージャージ擁するアスタナがことごとく吸収。アタック合戦を繰り広げた結果、最初の1時間の平均時速は44.6km/hに達した。
ハイペースを刻み続けたメイン集団では、なんと総合9位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が遅れを喫す。休息日に風邪をひき、回復に努めていたというコロンビアンクライマーは、この後チームメイトのアシストにより、なんとか集団復帰に成功。しかし、翌日からの山岳3連戦に向けては不安がつきまとう。
距離8.2km/平均勾配3.7%の3級山岳アルト・コリャード・デ・オセハに差し掛かると、プロトンから9名が先行。この中には、ここまで積極的に逃げを試み続けてきたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)、新城幸也(ユーロップカー)やネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らが入った。
この先頭9名にジョインするべく、プロトンからは逃げを得意とするライダーが続々と集団からアタック。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)、イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ソウダル)らが先頭との合流を果たす。
アルト・コリャード・デ・オセハの頂上は、山岳賞ジャージを狙うプラサが先頭で通過。その間にステファン・カミングス(イギリス、MTNキュベカ)らを加えた先頭集団は、最終的に24名に。下りを終えた時点でプロトンに対して3分のタイム差をつける。
逃げ切りの危険性を察知したプロトンは、残り約100km地点でタイム差を1分50秒にまで縮めるも、その後は徐々に拡大。スピードを緩めない強力な逃げ集団に白旗をあげ、アスタナが先頭を固めるプロトンは逃げを容認。4分程のタイム差をもって順調に駒を進める先頭24名では、プラサが1級山岳アルト・デ・ベラトンを再び先頭で通過。協調体制のまま、この日最後の山岳である3級のアルト・デ・モンカヨの登りにたどり着く。
残り42kmのスプリントポイントはジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)がを先頭で通過。その後シャヴァネルとオリヴェイラが飛び出し、一旦吸収された後にパウェル・ポルヤンスキー(ポーランド、ティンコフ・サクソ)がしばらく先行する。この動きによりポルヤンスキーは敢闘賞を獲得した。
その後勾配が増すと、再びオリヴェイラが単独で飛び出す。そのままアルト・デ・モンカヨを先頭で通過すると、ポルトガルTTチャンピオンの独走力と持ち前のダウンヒルスキルを遺憾なく発揮し、残り10kmまで続く距離20kmの下りでタイムを稼ぎだす。
同時に、追走集団ではチームメイトのプラサとヴァレリオ・コンティ(イタリア)が集団先頭付近で追走の動きを阻止。このランプレのチームプレーによりオリヴェイラは逃げ切りを確実なものとし、最終的に後続に1分のタイム差をつけてフィニッシュ。自身初となるUCIワールドレース優勝を飾った。
「タイミングが少し早かったかなとも思ったけど、リカバリーするために周りの動きが少し静まったと感じ『勝つためには先手を打つしかない』とアタックしたんだ。」と戦況を振り返るオリヴェイラ。「キャリアで最も美しい勝利だ。もちろん、ナショナル選手権もエモーショナルな勝利ではあるけど、今日の勝利は言葉で表現できないほど嬉しい」と喜びを表現した。
また、「いつもアシストしてもらっているチームメイトとこの勝利を共有することができたことも良かった。一緒に逃げたプラサとコンティはブエルタに限らず、シーズンを通して僕を全面的にサポートしてくれるんだ。」とチームメイトを労った。
後続集団は、ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)を先頭にフィニッシュ。新城幸也はフィニッシュへ向けて集団を牽引し、この動きによってロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)が総合10位へとジャンプアップ。また、ブランビッラも順位を4つあげて総合9位としている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
Resumen - Etapa 13 (Calatayud / Tarazona) - La... 投稿者 la_vuelta
Onboard camera / Cámara a bordo - Stage 13... 投稿者 la_vuelta
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第13ステージ結果
1位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) 4h14’01”
2位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス) +01’00”
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
7位 ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)
8位 ミカエル・シュレル(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
10位 マキシム・モンフォ―ル(ベルギー、ロット・ソウダル)
24位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +01’11”
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 47h14’30”
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +27”
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +30”
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1’28”
5位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +1’29”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’52”
7位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +1’54”
8位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) +1’58”
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +2’51”
10位 ロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 79pts
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 74pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 74pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル) 55pts
2位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) 27pts
3位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) 25pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 10pts
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 15pts
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 22pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 154h51’31”
2位 アスタナ +11’21”
3位 モビスター +12’08”
ステージ敢闘賞
パウェル・ポルヤンスキー(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
text:Yuya.Yamamoto
photo:Unipublic, CorVos
ブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージはアラゴン州のカラタユーからタラソナに至る178km。最終日マドリード以外では最後の平坦ステージであり、スプリンターたちは是が非でも勝利したいところ。しかし、ハードな2週間を過ごしてきたプロトンの行く手には、2つの3級山岳と1つの1級山岳という大きな壁が立ちはだかる。加えて1年を通して風が強い地域として知られており、アタッカーにもチャンスが転がり込む可能性が高く、総合成績が大きく変動することもあり得る。
そんな、ブエルタならではのナーバスな平坦ステージは、序盤からアタックが頻発。一時50名もの超巨大な先行集団が形成されるも、リーダージャージ擁するアスタナがことごとく吸収。アタック合戦を繰り広げた結果、最初の1時間の平均時速は44.6km/hに達した。
ハイペースを刻み続けたメイン集団では、なんと総合9位のナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)が遅れを喫す。休息日に風邪をひき、回復に努めていたというコロンビアンクライマーは、この後チームメイトのアシストにより、なんとか集団復帰に成功。しかし、翌日からの山岳3連戦に向けては不安がつきまとう。
距離8.2km/平均勾配3.7%の3級山岳アルト・コリャード・デ・オセハに差し掛かると、プロトンから9名が先行。この中には、ここまで積極的に逃げを試み続けてきたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)、新城幸也(ユーロップカー)やネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)らが入った。
この先頭9名にジョインするべく、プロトンからは逃げを得意とするライダーが続々と集団からアタック。アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ)、イェーレ・ファネンデルト(ベルギー、ロット・ソウダル)らが先頭との合流を果たす。
アルト・コリャード・デ・オセハの頂上は、山岳賞ジャージを狙うプラサが先頭で通過。その間にステファン・カミングス(イギリス、MTNキュベカ)らを加えた先頭集団は、最終的に24名に。下りを終えた時点でプロトンに対して3分のタイム差をつける。
逃げ切りの危険性を察知したプロトンは、残り約100km地点でタイム差を1分50秒にまで縮めるも、その後は徐々に拡大。スピードを緩めない強力な逃げ集団に白旗をあげ、アスタナが先頭を固めるプロトンは逃げを容認。4分程のタイム差をもって順調に駒を進める先頭24名では、プラサが1級山岳アルト・デ・ベラトンを再び先頭で通過。協調体制のまま、この日最後の山岳である3級のアルト・デ・モンカヨの登りにたどり着く。
残り42kmのスプリントポイントはジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)がを先頭で通過。その後シャヴァネルとオリヴェイラが飛び出し、一旦吸収された後にパウェル・ポルヤンスキー(ポーランド、ティンコフ・サクソ)がしばらく先行する。この動きによりポルヤンスキーは敢闘賞を獲得した。
その後勾配が増すと、再びオリヴェイラが単独で飛び出す。そのままアルト・デ・モンカヨを先頭で通過すると、ポルトガルTTチャンピオンの独走力と持ち前のダウンヒルスキルを遺憾なく発揮し、残り10kmまで続く距離20kmの下りでタイムを稼ぎだす。
同時に、追走集団ではチームメイトのプラサとヴァレリオ・コンティ(イタリア)が集団先頭付近で追走の動きを阻止。このランプレのチームプレーによりオリヴェイラは逃げ切りを確実なものとし、最終的に後続に1分のタイム差をつけてフィニッシュ。自身初となるUCIワールドレース優勝を飾った。
「タイミングが少し早かったかなとも思ったけど、リカバリーするために周りの動きが少し静まったと感じ『勝つためには先手を打つしかない』とアタックしたんだ。」と戦況を振り返るオリヴェイラ。「キャリアで最も美しい勝利だ。もちろん、ナショナル選手権もエモーショナルな勝利ではあるけど、今日の勝利は言葉で表現できないほど嬉しい」と喜びを表現した。
また、「いつもアシストしてもらっているチームメイトとこの勝利を共有することができたことも良かった。一緒に逃げたプラサとコンティはブエルタに限らず、シーズンを通して僕を全面的にサポートしてくれるんだ。」とチームメイトを労った。
後続集団は、ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス)を先頭にフィニッシュ。新城幸也はフィニッシュへ向けて集団を牽引し、この動きによってロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)が総合10位へとジャンプアップ。また、ブランビッラも順位を4つあげて総合9位としている。
選手コメントはチーム公式サイトより。
Resumen - Etapa 13 (Calatayud / Tarazona) - La... 投稿者 la_vuelta
Onboard camera / Cámara a bordo - Stage 13... 投稿者 la_vuelta
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第13ステージ結果
1位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) 4h14’01”
2位 ジュリアン・シモン(フランス、コフィディス) +01’00”
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)
4位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
7位 ケヴィン・レザ(フランス、FDJ)
8位 ミカエル・シュレル(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 キャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
10位 マキシム・モンフォ―ル(ベルギー、ロット・ソウダル)
24位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +01’11”
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 47h14’30”
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +27”
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) +30”
4位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1’28”
5位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +1’29”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’52”
7位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) +1’54”
8位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) +1’58”
9位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ) +2’51”
10位 ロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 79pts
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 74pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 74pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル) 55pts
2位 ルーベン・プラサ(スペイン、ランプレ・メリダ) 27pts
3位 ミケル・ニエベ(スペイン、チームスカイ) 25pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 10pts
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 15pts
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 22pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 154h51’31”
2位 アスタナ +11’21”
3位 モビスター +12’08”
ステージ敢闘賞
パウェル・ポルヤンスキー(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
text:Yuya.Yamamoto
photo:Unipublic, CorVos
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