2015/09/01(火) - 08:13
ブエルタ・ア・エスパーニャの1週目を締めくくる第10ステージの集団スプリント。2級山岳で生き残った60名による勝負でクリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)が勝利した。
ブエルタの長い長い1週目はバレンシア州のカステリョンでようやく終わりを迎える。州都バレンシアを出発する146.6kmコースに登場するカテゴリー山岳は2つ。残り25km地点のスプリントポイント通過後すぐに始まる2級山岳アルト・デル・デシエルト・デ・ラス・パルマスが勝負のカギを握った。
登坂距離7.5km/高低差395m/平均勾配5.6%という登りは軽量スプリンターであればこなせる難易度。しかし頂上からフィニッシュまで17.1kmしかなく、登りで飛び出した選手が逃げ切ってしまう可能性も。アンドラ公国までの大移動を控えたこの日、第5ステージの勝者カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)は計画通りレース序盤にリタイアした。
アタック合戦の末、23km地点から始まる3級山岳プエルト・デ・コロネで40名のグループが先行を開始する。ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)やキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ソウダル)、セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)らを含む大きな逃げ集団がメイン集団を引き離し始めた。
実に20チーム(ユーロップカーとティンコフ・サクソを除く)が選手を送り込んだ逃げは2分30秒リードを稼ぎ出す。しかし貴重な平坦ステージのチャンスをスプリンターチームが逃すはずはなく、ジャイアント・アルペシンが中心となってメイン集団を牽引。トム・ドゥムラン(オランダ)の総合首位キープとジョン・デゲンコルブ(ドイツ)のスプリントという2つのミッションを背負ったジャーマンチームがレースを支配した。
横風吹く平坦区間でジャイアント・アルペシンとトレックファクトリーレーシングが集団ペースアップを試みると、逃げ集団はリードと人数を失っていく。結局逃げていた選手たちは残り55kmで吸収され、メイン集団のコントロールはモビスターにバトンタッチした。
残り52km地点で総合4位ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)が落車したが、チームメイトの力を借りて集団復帰に成功している。この日はエナオモントーヤも落車するなど、チームスカイにとっては落車続きの一日となった。
早めに逃げを吸収したメイン集団からは断続的にカウンターアタックがかかったものの、独走したニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)を含めて2級山岳アルト・デル・デシエルト・デ・ラス・パルマスを前に全て吸収。モビスターが集団先頭に陣取ったまま、この日最大の難所に突入した。
モビスターやアスタナが淡々とペースを刻むメイン集団からはミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)や山岳賞ジャージのオマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)らが相次いで脱落。徐々に人数を減らすメイン集団からアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)、ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)がそれぞれ抜け出すことに成功する。
メイン集団から30秒を超えるリードを稼ぎ出した先頭デマルキ、シカール、エリッソンドの3名。ジャイアント・アルペシンはデゲンコルブを脱落させない絶妙なペースでメイン集団を率い、マイヨロホを着るドゥムラン自らが集団先頭に立つシーンも。先頭3名から35秒遅れて、60名に絞られた状態でメイン集団は2級山岳アルト・デル・デシエルト・デ・ラス・パルマスをクリアした。
フィニッシュまでの下りと平坦路で先頭3名のリードは縮小し、残り4.5km地点でデマルキ、シカール、エリッソンドは吸収。登りで多くのリードアウトマンが脱落したため、メイン集団をコントロールするチームが現れないままフィニッシュへのカウントダウンが始まる。
残り3kmでお得意のハイスピードアタックを仕掛けたアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)も吸収され、混沌とした状況のままフィニッシュに向かう小集団。カステリョンの街中に差し掛かり、残り1kmアーチ通過後にルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が仕掛けたが決まらない。
デゲンコルブがポジションを下げる中、残り150mで仕掛けたトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)の後ろからズバラーリが伸びる。デゲンコルブの追い上げは届かず、ホアホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)を抑え込んだズバラーリが先頭を守ってフィニッシュした。
「登りでの感触がとても良かったので今日はチャンスを逃したくなかった。このブエルタではすでに数回惜しいところでチャンスを逃していたので、落ち着いて残り200mまでスプリント開始を待ったんだ」。トラックレース出身で、2013年にMTNキュベカでプロデビューした25歳がUCIワールドツアーレース初勝利を掴んだ。
「今まで味わったことのないセンセーショナルな気分。チームにとっても重要な勝利であり、キュベカ基金や(アフリカに寄贈する)5000台のバイクキャンペーンにもつながるんだ」。2年連続ブエルタ出場中のMTNキュベカは、ツール・ド・フランス第14ステージのスティーブ・クミングス(イギリス)に続くグランツール2勝目。ワイルドカードでの出場ながら主役級の活躍を演じている。
総合上位陣は全員が60名の先頭集団でフィニッシュ。ドゥムランがマイヨロホを着用して大会1回目の休息日を迎えることとなった。選手たちはレース後に450km離れたアンドラまで大移動。深夜0時を過ぎてから休息日のホテルに到着している。
選手コメントはチーム公式サイトより。
Summary - Stage 10 (Valencia / Castellón... 投稿者 la_vuelta
Onboard camera / Cámara a bordo - Stage 10... 投稿者 la_vuelta
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第10ステージ結果
1位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ) 3h12’43”
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
3位 ホアホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
4位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 ホセ・ゴンサルヴェス(ポルトガル、カハルーラル)
6位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
7位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
10位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
159位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +10’50”
DNF カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 38h34’56”
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +57”
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +59”
4位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ) +1’07”
5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +1’13”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’17”
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +1’18”
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1’47”
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +1’52”
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 71pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 70pts
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 67pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル) 18pts
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 13pts
3位 ベルトヤン・リンデマン(オランダ、ロットNLユンボ) 13pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 6pts
2位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 11pts
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 20pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 115h58’54”
2位 モビスター +6’10”
3位 アスタナ +11’52”
ステージ敢闘賞
カルロス・ベローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
ブエルタの長い長い1週目はバレンシア州のカステリョンでようやく終わりを迎える。州都バレンシアを出発する146.6kmコースに登場するカテゴリー山岳は2つ。残り25km地点のスプリントポイント通過後すぐに始まる2級山岳アルト・デル・デシエルト・デ・ラス・パルマスが勝負のカギを握った。
登坂距離7.5km/高低差395m/平均勾配5.6%という登りは軽量スプリンターであればこなせる難易度。しかし頂上からフィニッシュまで17.1kmしかなく、登りで飛び出した選手が逃げ切ってしまう可能性も。アンドラ公国までの大移動を控えたこの日、第5ステージの勝者カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)は計画通りレース序盤にリタイアした。
アタック合戦の末、23km地点から始まる3級山岳プエルト・デ・コロネで40名のグループが先行を開始する。ルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)やキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ソウダル)、セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)らを含む大きな逃げ集団がメイン集団を引き離し始めた。
実に20チーム(ユーロップカーとティンコフ・サクソを除く)が選手を送り込んだ逃げは2分30秒リードを稼ぎ出す。しかし貴重な平坦ステージのチャンスをスプリンターチームが逃すはずはなく、ジャイアント・アルペシンが中心となってメイン集団を牽引。トム・ドゥムラン(オランダ)の総合首位キープとジョン・デゲンコルブ(ドイツ)のスプリントという2つのミッションを背負ったジャーマンチームがレースを支配した。
横風吹く平坦区間でジャイアント・アルペシンとトレックファクトリーレーシングが集団ペースアップを試みると、逃げ集団はリードと人数を失っていく。結局逃げていた選手たちは残り55kmで吸収され、メイン集団のコントロールはモビスターにバトンタッチした。
残り52km地点で総合4位ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)が落車したが、チームメイトの力を借りて集団復帰に成功している。この日はエナオモントーヤも落車するなど、チームスカイにとっては落車続きの一日となった。
早めに逃げを吸収したメイン集団からは断続的にカウンターアタックがかかったものの、独走したニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)を含めて2級山岳アルト・デル・デシエルト・デ・ラス・パルマスを前に全て吸収。モビスターが集団先頭に陣取ったまま、この日最大の難所に突入した。
モビスターやアスタナが淡々とペースを刻むメイン集団からはミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)や山岳賞ジャージのオマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)らが相次いで脱落。徐々に人数を減らすメイン集団からアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、BMCレーシング)、ロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)、ケニー・エリッソンド(フランス、FDJ)がそれぞれ抜け出すことに成功する。
メイン集団から30秒を超えるリードを稼ぎ出した先頭デマルキ、シカール、エリッソンドの3名。ジャイアント・アルペシンはデゲンコルブを脱落させない絶妙なペースでメイン集団を率い、マイヨロホを着るドゥムラン自らが集団先頭に立つシーンも。先頭3名から35秒遅れて、60名に絞られた状態でメイン集団は2級山岳アルト・デル・デシエルト・デ・ラス・パルマスをクリアした。
フィニッシュまでの下りと平坦路で先頭3名のリードは縮小し、残り4.5km地点でデマルキ、シカール、エリッソンドは吸収。登りで多くのリードアウトマンが脱落したため、メイン集団をコントロールするチームが現れないままフィニッシュへのカウントダウンが始まる。
残り3kmでお得意のハイスピードアタックを仕掛けたアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ソウダル)も吸収され、混沌とした状況のままフィニッシュに向かう小集団。カステリョンの街中に差し掛かり、残り1kmアーチ通過後にルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)が仕掛けたが決まらない。
デゲンコルブがポジションを下げる中、残り150mで仕掛けたトッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)の後ろからズバラーリが伸びる。デゲンコルブの追い上げは届かず、ホアホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)を抑え込んだズバラーリが先頭を守ってフィニッシュした。
「登りでの感触がとても良かったので今日はチャンスを逃したくなかった。このブエルタではすでに数回惜しいところでチャンスを逃していたので、落ち着いて残り200mまでスプリント開始を待ったんだ」。トラックレース出身で、2013年にMTNキュベカでプロデビューした25歳がUCIワールドツアーレース初勝利を掴んだ。
「今まで味わったことのないセンセーショナルな気分。チームにとっても重要な勝利であり、キュベカ基金や(アフリカに寄贈する)5000台のバイクキャンペーンにもつながるんだ」。2年連続ブエルタ出場中のMTNキュベカは、ツール・ド・フランス第14ステージのスティーブ・クミングス(イギリス)に続くグランツール2勝目。ワイルドカードでの出場ながら主役級の活躍を演じている。
総合上位陣は全員が60名の先頭集団でフィニッシュ。ドゥムランがマイヨロホを着用して大会1回目の休息日を迎えることとなった。選手たちはレース後に450km離れたアンドラまで大移動。深夜0時を過ぎてから休息日のホテルに到着している。
選手コメントはチーム公式サイトより。
Summary - Stage 10 (Valencia / Castellón... 投稿者 la_vuelta
Onboard camera / Cámara a bordo - Stage 10... 投稿者 la_vuelta
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第10ステージ結果
1位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ) 3h12’43”
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
3位 ホアホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
4位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)
5位 ホセ・ゴンサルヴェス(ポルトガル、カハルーラル)
6位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
7位 イェンス・ケウケレール(ベルギー、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
9位 ピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
10位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
159位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +10’50”
DNF カレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 38h34’56”
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +57”
3位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) +59”
4位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ) +1’07”
5位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +1’13”
6位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) +1’17”
7位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) +1’18”
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) +1’47”
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール) +1’52”
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 71pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) 70pts
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 67pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル) 18pts
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 13pts
3位 ベルトヤン・リンデマン(オランダ、ロットNLユンボ) 13pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) 6pts
2位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) 11pts
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 20pts
チーム総合成績
1位 チームスカイ 115h58’54”
2位 モビスター +6’10”
3位 アスタナ +11’52”
ステージ敢闘賞
カルロス・ベローナ(スペイン、エティックス・クイックステップ)
text:Kei Tsuji
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