2015/08/25(火) - 09:07
ツール・ド・フランスを走った全22チームのバイクを、2チームごとに10回にわけて紹介。ホアキン・ロドリゲス(スペイン)がステージ2勝を飾ったカチューシャと、アフリカ籍のチームとして初めてツール・ド・フランス出場を果たしたMTNキュベカのチームバイクを紹介します。
カチューシャ【キャニオン AEROAD CF SLX、Speedmax CF Evo(TTバイク)】
ユイの壁と超級山岳プラトードベイユで、エースのホアキン・ロドリゲス(スペイン)がステージ2勝を挙げたカチューシャ。そのバイクサプライヤーはジャーマンブランドのキャニオンだ。同社のバイクを駆るモビスターではナイロ・キンタナ(コロンビア)らが軽量モデルの「ULTIMATE CF SLX」を選択したが、カチューシャは全ライダーが統一してエアロロードバイク「AEROAD CF SLX」を使用した。
なお、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)は、ロンドン五輪銅メダリストを意味するコッパーゴールドをベースに、トップチューブに母国の国旗をあしらったスペシャルペイントのバイクを使用。マルコ・ハラー(オーストリア)はナショナルチャンピオンカラーの、ロドリゲスは白青赤のロシアンカラーのバイクを駆った。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で統一され、パワーメーターはクランク式のSRMとしている。AEROAD CF SLXは前後ともダイレクトマウント式のブレーキを採用しており、リアはシートステーに装着するタイプだ。
ホイールはマヴィックで、リム・スポーク・ハブ一体式のハイエンドモデル「COSMIC CARBON ULTIMATE」をメインに、平坦ステージでは60mmハイトの「CC60T」を選択するライダーも。タイヤはマヴィックがサプライヤーながらも、市販ラインアップには存在しないトラディショナルな作りのモデルとしている。トレッドパターンから察するにヴェロフレックスのアーレンベルクなどだろう。
ハンドルはステムが一体となった、AEROAD CF SLX専用設計のエアロモデル。ドロップ部分の形状は、現在の所トラディショナルな「コの字」型のみの展開のようだが、全ライダーが統一して使用している。なお、SRMモニターの台座は開発中のようで、ロドリゲスのバイクには試作品と思わしきものが装着されていた。
サドルはセライタリアで、SLR、FLITE、NOVUSなどの各モデルをライダーの好みに応じて使い分けている。なお、クリストフはヴァイキングの、ロドリゲスは自身の相性である葉巻(プリート)のイラストが描かれたSLRを使用。また、バーテープもセライタリアとしている。
TTバイクはいち早くトップチューブと面一の専用ステムなどを投入した「Speedmax CF Evo」。ハンドル類は全て専用設計品とし、空力性能を追求している。ホイールはフロントがCC60T、リアがCOMETEという組み合わせで統一されていた。
MTNキュベカ【サーヴェロ S5、P5(TTバイク)】
アフリカ籍のチームとして初めてのツール・ド・フランス出場という歴史的快挙を成し遂げ、中盤ではダニエル・テクレハイマノ(エリトリア)がマイヨアポアを着用し話題となったMTMキュベカ。バイクはサーヴェロで、金属バイクの様な艶やかなシルバーをベースに、イメージカラーのオレンジイエローを散りばめたスペシャルペイントのエアロロード「S5」をメインに使用。加えて、山岳ステージではルイス・マインティーズ(南アフリカ)らがフレームセットで947gという超軽量ハンドメイドモデル「Rca」を駆った。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメインながら、サードパーティのパーツを多く組み合わせている。クランクはローターで、アクスルに計測ユニットを内蔵した新型パワーメーター「inPower」が投入されていた。チェーンは黒と黄のチームカラーのKMC、プーリーやBBベアリングはセラミックスピードだ。
ホイールは、前後の専用設計により空力性能を追求したエンヴィ「SES」シリーズ。フロント48mm/リア56mmの「4.5」とフロント/リア25mmの「2.2」をメインに、コースプロファイルに応じて、各ハイトを使い分けた。なお、ハブはDTスイス240Sとしている。タイヤには、アーガイルチェックのトレッドパターンが特徴的なシュワルベ「ONE チューブラー」を組み合わせている。
ハンドルとステムは3Tで、剛性を重視してかアルミ製の「PRO」グレードが多く選択されている。サドルはセライタリアで、UCIの後退幅規定をクリアしつつ理想のポジションを実現するために、先端がカットされたものも見られた。その他、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージ及びボトルはエリート、サイクルコンピュータはガーミン、バーテープはリザードスキンだ。
TTバイクはシルバーとイエローのスペシャルペイントが施された「P5」。何故か、第1ステージの前に撮影したバイクにはUCIレギュレーションで禁止されているフロントブレーキのエアロカバーが取り付けられていたものの、レース時には取り外されていた。
ホイールはフロントがSES8.9(85mmハイト)、リアがエンヴィのデカールが貼られた社外製という組み合わせ。ディープリムにカウルを貼り付けた構造から察するに、HED STINGER DISCのようだ。加えて、HEDとは別に「D2Z」という自転車に関する流体力学を専門とする研究所が製造するディスクホイールも用意され、実際に使用していた。ちなみに、このD2Zはエンヴィと共同開発を行っている。
コンポーネントはロードと一部異なり、ブレーキが油圧式のマグラ「RT8 TT」、チェーンがフリクションフリーを追求したセラミックスピード「UFO」、クランクが左右のペダリングバランスを計測できる「ROTOR POWER」に変更されている。そして、ハンドルバーは3Tが製造するサーヴェロP5専用モデルだ。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
カチューシャ【キャニオン AEROAD CF SLX、Speedmax CF Evo(TTバイク)】
ユイの壁と超級山岳プラトードベイユで、エースのホアキン・ロドリゲス(スペイン)がステージ2勝を挙げたカチューシャ。そのバイクサプライヤーはジャーマンブランドのキャニオンだ。同社のバイクを駆るモビスターではナイロ・キンタナ(コロンビア)らが軽量モデルの「ULTIMATE CF SLX」を選択したが、カチューシャは全ライダーが統一してエアロロードバイク「AEROAD CF SLX」を使用した。
なお、アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)は、ロンドン五輪銅メダリストを意味するコッパーゴールドをベースに、トップチューブに母国の国旗をあしらったスペシャルペイントのバイクを使用。マルコ・ハラー(オーストリア)はナショナルチャンピオンカラーの、ロドリゲスは白青赤のロシアンカラーのバイクを駆った。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で統一され、パワーメーターはクランク式のSRMとしている。AEROAD CF SLXは前後ともダイレクトマウント式のブレーキを採用しており、リアはシートステーに装着するタイプだ。
ホイールはマヴィックで、リム・スポーク・ハブ一体式のハイエンドモデル「COSMIC CARBON ULTIMATE」をメインに、平坦ステージでは60mmハイトの「CC60T」を選択するライダーも。タイヤはマヴィックがサプライヤーながらも、市販ラインアップには存在しないトラディショナルな作りのモデルとしている。トレッドパターンから察するにヴェロフレックスのアーレンベルクなどだろう。
ハンドルはステムが一体となった、AEROAD CF SLX専用設計のエアロモデル。ドロップ部分の形状は、現在の所トラディショナルな「コの字」型のみの展開のようだが、全ライダーが統一して使用している。なお、SRMモニターの台座は開発中のようで、ロドリゲスのバイクには試作品と思わしきものが装着されていた。
サドルはセライタリアで、SLR、FLITE、NOVUSなどの各モデルをライダーの好みに応じて使い分けている。なお、クリストフはヴァイキングの、ロドリゲスは自身の相性である葉巻(プリート)のイラストが描かれたSLRを使用。また、バーテープもセライタリアとしている。
TTバイクはいち早くトップチューブと面一の専用ステムなどを投入した「Speedmax CF Evo」。ハンドル類は全て専用設計品とし、空力性能を追求している。ホイールはフロントがCC60T、リアがCOMETEという組み合わせで統一されていた。
MTNキュベカ【サーヴェロ S5、P5(TTバイク)】
アフリカ籍のチームとして初めてのツール・ド・フランス出場という歴史的快挙を成し遂げ、中盤ではダニエル・テクレハイマノ(エリトリア)がマイヨアポアを着用し話題となったMTMキュベカ。バイクはサーヴェロで、金属バイクの様な艶やかなシルバーをベースに、イメージカラーのオレンジイエローを散りばめたスペシャルペイントのエアロロード「S5」をメインに使用。加えて、山岳ステージではルイス・マインティーズ(南アフリカ)らがフレームセットで947gという超軽量ハンドメイドモデル「Rca」を駆った。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメインながら、サードパーティのパーツを多く組み合わせている。クランクはローターで、アクスルに計測ユニットを内蔵した新型パワーメーター「inPower」が投入されていた。チェーンは黒と黄のチームカラーのKMC、プーリーやBBベアリングはセラミックスピードだ。
ホイールは、前後の専用設計により空力性能を追求したエンヴィ「SES」シリーズ。フロント48mm/リア56mmの「4.5」とフロント/リア25mmの「2.2」をメインに、コースプロファイルに応じて、各ハイトを使い分けた。なお、ハブはDTスイス240Sとしている。タイヤには、アーガイルチェックのトレッドパターンが特徴的なシュワルベ「ONE チューブラー」を組み合わせている。
ハンドルとステムは3Tで、剛性を重視してかアルミ製の「PRO」グレードが多く選択されている。サドルはセライタリアで、UCIの後退幅規定をクリアしつつ理想のポジションを実現するために、先端がカットされたものも見られた。その他、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージ及びボトルはエリート、サイクルコンピュータはガーミン、バーテープはリザードスキンだ。
TTバイクはシルバーとイエローのスペシャルペイントが施された「P5」。何故か、第1ステージの前に撮影したバイクにはUCIレギュレーションで禁止されているフロントブレーキのエアロカバーが取り付けられていたものの、レース時には取り外されていた。
ホイールはフロントがSES8.9(85mmハイト)、リアがエンヴィのデカールが貼られた社外製という組み合わせ。ディープリムにカウルを貼り付けた構造から察するに、HED STINGER DISCのようだ。加えて、HEDとは別に「D2Z」という自転車に関する流体力学を専門とする研究所が製造するディスクホイールも用意され、実際に使用していた。ちなみに、このD2Zはエンヴィと共同開発を行っている。
コンポーネントはロードと一部異なり、ブレーキが油圧式のマグラ「RT8 TT」、チェーンがフリクションフリーを追求したセラミックスピード「UFO」、クランクが左右のペダリングバランスを計測できる「ROTOR POWER」に変更されている。そして、ハンドルバーは3Tが製造するサーヴェロP5専用モデルだ。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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