2015/07/27(月) - 17:17
Jプロツアー第13戦の湾岸クリテリウム2015が、東京都のお台場にあるシンボルプロムナード公園で開催された。今年一番の暑さの中、都心で行われたクリテリウムの模様をレポートする。
朝から良く晴れたお台場 photo:Satoru.Kato
レジェンドクリテリウムのスタートラインに集まったレジェンド選手達とガールズケイリンの選手 photo:Satoru.Kato1週間前に梅雨明けした関東地方。数日前から東京都内は35℃を超える暑さが続く。この日もお台場は朝から晴れ渡り、気温はぐんぐん上昇。お昼前の時点で40℃に迫ろうかという暑さになった。それでもお台場という一等地での開催とあって、多くの観客が集まった。
コースは昨年から使用されるシンボルプロムナード公園内に設定された1周1.45km。広場の周りをぐるっとまわりこみ、折り返して往復する様は、この日最終ステージを迎えたツール・ド・フランスのパリ・シャンゼリゼコースを縮小したような…と言ったら大げさだろうか。
決勝スタート前にはレジェンドクリテリウムが行われ、ガールズケイリンの選手と往年のトップ選手が出場。今中大介、安原昌弘、藤野智一、野寺秀則、栗村修、広瀬佳正、片山右京、唐見実世子らが、現役時代と変わらない本気のバトルで会場を魅了した。
P1クラスタ ロイック・デリアックが残り2周を逃げ切る
JPT決勝スタート photo:Satoru.Kato
逃げ集団の先頭に立つ佐野淳哉(那須ブラーゼン) photo:Satoru.Kato
レース序盤から長く伸びる集団 photo:Satoru.Kato
逃げグループを追う窪木一茂(チーム右京)と安原大貴(マトリックスパワータグ) photo:Satoru.Kato午前中4組に分けて行われた予選は、各組上位10人が決勝に進む。およそ2/3が予選落ちとなるため、トップチームからも予選落ちが相次いだ。
午後から行われた決勝は、24周34.8㎞。スタート直後から1周あたり2分を切るハイペースで進行する集団は縦に長く引き伸ばされる。
6周目、10人の逃げ集団が形成される。メンバーは、宇都宮ブリッツェンから阿部嵩之、堀孝明。チーム右京から土井雪広、グアルディオラ・サルバドール。那須ブラーゼンから佐野淳哉、鈴木龍。ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、秋丸湧哉(シマノレーシング)、中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、ロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム)。
独走力のあるメンバーが揃った逃げ集団はローテーションを回す一方、主要チームがメンバーを送り込んだ事から、メイン集団との差は10秒、20秒と徐々に開いていく。窪木一茂(チーム右京)と安原大貴(マトリックスパワータグ)がメイン集団から飛び出して追走を試みるが、逃げ集団に合流するには至らない。
レース半ばの12周目、逃げ集団から中村が単独で飛び出し、約10秒の差をつけて周回を重ねる。14周目に入ると、メイン集団では宇都宮ブリッツェンが集団コントロールを始め、約40秒あった差を縮めはじめる。
18周目、中村を追走する集団からデリアックが中村に合流。この後、追走集団はメイン集団に吸収され、先行する2人との差は30秒まで開く。
残り周回数が少なくなってもメイン集団の追走の足並みは揃わず、中村とデリアックとの差は20秒前後から縮まる気配が無い。2人の逃げ切りが濃厚になってきた残り2周、デリアックがアタック。
「集中力が切れて一瞬判断が遅れてしまった」という中村はこれに反応できない。デリアックはそのまま単独で逃げ切り、右手を高々と挙げてゴール。レース距離の約半分を逃げた中村が2位に入った。
「中村がタイムトライアルチャンピオンである事は知っていたが、スプリント力がどの程度あるのかわからなかったのでアタックして引き離す事にした」とデリアック。「1人で行くのは簡単ではないけど、今日は最後まで逃げ切れる自信があった」と、レースを振り返った。
中村龍太郎(イナーメ信濃山形)に追いついたロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato
レース終盤、メイン集団を率いて追走する宇都宮ブリッツェン photo:Satoru.Kato
残り2周を逃げ切ったロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato
単独で前を追った入部正太朗(シマノレーシング)が3位 photo:Satoru.Kato
メイン集団の先頭は野中竜馬(キナンサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato
デリアックとキナンサイクリングチームにとっては、これが今季Jプロツアー初優勝。加藤康則マネージャーは「今日はデリアックで勝つというオーダーでレースに臨み、決定的な動きを見逃さないようにと伝えた。調子は上がってきているのでシーズン後半もまた勝てるようにやっていきたい」と語った。
惜しくも2位の中村は「勝てなくて悔しいと言うより、JBCFのレースでは初めての表彰台なのでちょと嬉しい」と話す。「レース中盤に窪木さんが追いかけてきているのが見えたので、スプリント勝負は避けたかったので飛び出してみた。レース距離が半分以上残っていたので、いつ追いつかれるかとヒヤヒヤしていた」と言い、「タイムトライアルチャンピオンの意地は見せられたかな」と、やりきった表情を見せた。
Fクラスタは樫木祥子がスプリントで合田祐美子を下す
Fクラスタ 合田祐美子(BH ASTIFOP)とのマッチレースを制した樫木祥子(Neilpryde-Nanshin Subaru Cycling 駒澤大学)が優勝 photo:Satoru.Kato16人が出走した女子のFクラスタは14周20.3㎞。5周目にかかったポイント周回の動きで6人に絞られる。残り3周、「今日は逃げるつもりでいた」と言う合田祐美子(BH ASTIFO)が仕掛けると、ついていけたのは樫木祥子(Neilpryde-Nanshin Subaru Cycling)だけ。2人はそのまま最終周回まで逃げ切り、最後は樫木がスプリントで合田を下した。
樫木は前日に行われた学連クリテリウムでも優勝しており、2日連続優勝。「自分でもびっくりです」と自分で自分の結果に驚く。「今日はスプリント力のある選手の足を削る事が出来て、最後は合田さんも私もスプリント力の無い者同士の勝負になったので勝てました」と、今日の勝因を語った。
JPT 表彰 photo:Satoru.Kato
Jプロツアーリーダーは畑中勇介(チーム右京)、U23リーダーは新城雄大(那須ブラーゼン)で変わらず photo:Satoru.Kato
Fクラスタ(女子) 表彰 photo:Satoru.Kato
レジェンドクリテリウム 表彰 photo:Satoru.Kato
P1クラスタ(34.8㎞) 結果
1位 ロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム) 50分55秒
2位 中村龍太郎(イナーメ信濃山形) +6秒
3位 入部正太朗(シマノレーシング) +18秒
4位 野中竜馬(KINAN Cycling Team) +25秒
5位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
6位 畑中勇介(Team UKYO) +26秒
7位 窪木 一茂(Team UKYO)
8位 サルバドール・グラルディオラ(Team UKYO)
9位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
10位 鈴木龍(那須ブラーゼン) +27秒
Jプロツアーリーダー 畑中勇介(Team UKYO)
U23リーダー 新城雄大(那須ブラーゼン)
Fクラスタ(20.3㎞) 結果
1位 樫木祥子(Neilpryde-Nanshin Subaru Cycling 駒澤大学) 34分28秒
2位 合田祐美子(BH ASTIFO) +0秒
3位 古田佳美(竹芝サイクルレーシング +1分22秒
Jフェミニンリーダー 金子広美(イナーメ信濃山形)
text&photo:Satoru.Kato
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コースは昨年から使用されるシンボルプロムナード公園内に設定された1周1.45km。広場の周りをぐるっとまわりこみ、折り返して往復する様は、この日最終ステージを迎えたツール・ド・フランスのパリ・シャンゼリゼコースを縮小したような…と言ったら大げさだろうか。
決勝スタート前にはレジェンドクリテリウムが行われ、ガールズケイリンの選手と往年のトップ選手が出場。今中大介、安原昌弘、藤野智一、野寺秀則、栗村修、広瀬佳正、片山右京、唐見実世子らが、現役時代と変わらない本気のバトルで会場を魅了した。
P1クラスタ ロイック・デリアックが残り2周を逃げ切る
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午後から行われた決勝は、24周34.8㎞。スタート直後から1周あたり2分を切るハイペースで進行する集団は縦に長く引き伸ばされる。
6周目、10人の逃げ集団が形成される。メンバーは、宇都宮ブリッツェンから阿部嵩之、堀孝明。チーム右京から土井雪広、グアルディオラ・サルバドール。那須ブラーゼンから佐野淳哉、鈴木龍。ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、秋丸湧哉(シマノレーシング)、中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、ロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム)。
独走力のあるメンバーが揃った逃げ集団はローテーションを回す一方、主要チームがメンバーを送り込んだ事から、メイン集団との差は10秒、20秒と徐々に開いていく。窪木一茂(チーム右京)と安原大貴(マトリックスパワータグ)がメイン集団から飛び出して追走を試みるが、逃げ集団に合流するには至らない。
レース半ばの12周目、逃げ集団から中村が単独で飛び出し、約10秒の差をつけて周回を重ねる。14周目に入ると、メイン集団では宇都宮ブリッツェンが集団コントロールを始め、約40秒あった差を縮めはじめる。
18周目、中村を追走する集団からデリアックが中村に合流。この後、追走集団はメイン集団に吸収され、先行する2人との差は30秒まで開く。
残り周回数が少なくなってもメイン集団の追走の足並みは揃わず、中村とデリアックとの差は20秒前後から縮まる気配が無い。2人の逃げ切りが濃厚になってきた残り2周、デリアックがアタック。
「集中力が切れて一瞬判断が遅れてしまった」という中村はこれに反応できない。デリアックはそのまま単独で逃げ切り、右手を高々と挙げてゴール。レース距離の約半分を逃げた中村が2位に入った。
「中村がタイムトライアルチャンピオンである事は知っていたが、スプリント力がどの程度あるのかわからなかったのでアタックして引き離す事にした」とデリアック。「1人で行くのは簡単ではないけど、今日は最後まで逃げ切れる自信があった」と、レースを振り返った。
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デリアックとキナンサイクリングチームにとっては、これが今季Jプロツアー初優勝。加藤康則マネージャーは「今日はデリアックで勝つというオーダーでレースに臨み、決定的な動きを見逃さないようにと伝えた。調子は上がってきているのでシーズン後半もまた勝てるようにやっていきたい」と語った。
惜しくも2位の中村は「勝てなくて悔しいと言うより、JBCFのレースでは初めての表彰台なのでちょと嬉しい」と話す。「レース中盤に窪木さんが追いかけてきているのが見えたので、スプリント勝負は避けたかったので飛び出してみた。レース距離が半分以上残っていたので、いつ追いつかれるかとヒヤヒヤしていた」と言い、「タイムトライアルチャンピオンの意地は見せられたかな」と、やりきった表情を見せた。
Fクラスタは樫木祥子がスプリントで合田祐美子を下す
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P1クラスタ(34.8㎞) 結果
1位 ロイック・デリアック(キナンサイクリングチーム) 50分55秒
2位 中村龍太郎(イナーメ信濃山形) +6秒
3位 入部正太朗(シマノレーシング) +18秒
4位 野中竜馬(KINAN Cycling Team) +25秒
5位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
6位 畑中勇介(Team UKYO) +26秒
7位 窪木 一茂(Team UKYO)
8位 サルバドール・グラルディオラ(Team UKYO)
9位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
10位 鈴木龍(那須ブラーゼン) +27秒
Jプロツアーリーダー 畑中勇介(Team UKYO)
U23リーダー 新城雄大(那須ブラーゼン)
Fクラスタ(20.3㎞) 結果
1位 樫木祥子(Neilpryde-Nanshin Subaru Cycling 駒澤大学) 34分28秒
2位 合田祐美子(BH ASTIFO) +0秒
3位 古田佳美(竹芝サイクルレーシング +1分22秒
Jフェミニンリーダー 金子広美(イナーメ信濃山形)
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