2015/07/17(金) - 18:32
酷暑が続くピレネー山岳。しかしプロトンがプラトー・ド・ベイユに登り始めると土砂降りの大雨に。この地が庭というプリートが友人たちの声援を受けて逃げ切り、総合優勝争いのグループはスカイが完全掌握した。
ランタンルージュのマシューズはステージを狙える時を待つ
スタートの街ラヌムザンのチームバスエリア。30分後に出走が迫っているというのに、まだジャージに着替えていないマイケル・マシューズ(オリカ・グリーンエッジ)がポロシャツに短パン姿でバスを降りた。だから走らず棄権するのかと思ってしまう。
第3ステージで落車し、肋骨を折り、広い範囲の擦過傷があるマシューズはフルームからは2時間以上の遅れで現在最終走者の「ランタンルージュ」だ。完走を目指すつもり? の問にこう応える。
「本当に苦しいレースが続いているが、チームメイトたちのサポートと励ましを受けて走り続けているんだ。ツールで最終走者にはなりたくはないよ。この後の僕向きのステージで勝ちたい。ツールをただ完走することは今の目標に無いよ」。
ティンコフ・サクソはサガンのマイヨヴェールをチームでサポート開始
難関山岳として名高いプラトー・ド・ベイユ山頂ゴールのこの日だが、レース開始後20kmに中間スプリントポイントが設定されているとあれば、まずはそこまでがレースの第1フェーズだ。マイヨヴェールの奪い合いを繰り返すサガンVSグライペル。サガンは昨日の疲れをやや感じていると言いながらも、マイヨキープに向けて意気込む。
ティンコフ・サクソのデヨンフ監督も「チームの目標はまだコンタドールのマイヨジョーヌだ」としながらも、最初のスプリントポイントに向けてはサガンに多少のサポート要員をつけると言う。そして、明日のマンドへの中央山塊ステージこそグライペルに差をつける好機と話す。認めはしないが、コンタドールのマイヨジョーヌが現実的には困難な状況にある今、次のオプションとしてサガンのヴェールは重要度が増してきた。黄色のオプションとして緑は抑えておきたいというのだろう。
昨ステージでのマイカの勝利の走りでティンコフ・サクソはチーム賞の授与式に登壇。コンタドールもスタート前に集中した表情を見せる。
そして誰よりも集中している様子を見せたのはホアキン・ロドリゲス(カチューシャ) 。バイクを手放しして真っ直ぐ走るかを確認、チェックにも余念がない。にこやかな笑顔は見当たらず、ずっと真剣な表情。観客のサインの求めにも応じない。
スタートしてから軽くアップダウンが続き、20km行った先に中間スプリントポイントが有る。スタートからハイペースの集団で、今日が誕生日というグライペルをロット・ソウダルが総力サポート。そして今日はアシストが数人ついたサガンはデゲンコルブに次いで3位。2ポイント差でマイヨヴェールを堅持した。
雨が洗ったプラトー・ド・ベイユ ホームコースで独走したプリート
午前11時スタートと出発の早かったこの日、やはり午後にかけてジリジリと暑さは厳しくなり、気温は36.5度に。しかしプラトー・ド・ベイユが近づく頃、ベイユ高原上空には急に積乱雲が発生し、鉛色に。降りだした雨は先頭のミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)がラスト9kmに差し掛かる頃に土砂降りになった。風も吹き、嵐のような状況になる。頂上手前4kmからは少し勾配が緩くなり、吹きっさらし区間も出てくる。独走には条件が悪くなる。
いったん平坦区間が現れるその4km地点手前の急勾配のコーナーにも、数年前まで沿道を埋め尽くしたオレンジのバスク人たちは居なかった。しかし今日は「プリート」ロドリゲスの友人たちが声援を送った。先行したクヴィアトコウスキーを残り6.5kmで捉え、独走に持ち込んだプリートが、ハイペースを保ったまま頂上に達した。沿道の観客たちに挨拶しながら、喜びを爆発させた。ラスト5kmは苦しみを感じず、楽しんだほどだったと言う。
数年前からこの山を越えた先にあるアンドラ公国に住んでいるプリート。ここプラトー・ド・ベイユは自宅から50kmの距離で、もはや何回登ったかわからない、庭のような上りだ。前回練習に来た時も雨が降っていたという。
第3ステージのユイの坂の勝利と合わせ、これで今ツール2勝目。ピレネー初日のハンガーノックと、2日目のニュートラルゾーンでの落車で約20分遅れていたために逃げは許された。しかし総合には手の届かない位置にいる。
「本当に狙いたかったのは総合優勝。だけど2つの失敗ですでに無理に。グランツールに運は必要だね。総合はすでに狙えないが、2つのステージ勝利は嬉しい。総合で5位や6位を争うよりは、こっちのほうがずっといいね。この先もこれを続けるよ。今まででベストなツールだ。明日は5年前に勝ったマンドのステージだ。難しいだろうけど、マイヨアポワも狙いたい」とプリートは喜ぶ。
昨年叶わなかったマイヨアポア獲得のチャンスも見出している。山頂ゴールのポイント重要度が高いが、総合争いにかかわらないぶん、ステージ序盤で細かくポイントを集めることが可能な立場はやはり強い。
第14ステージのマンドのフィニッシュ地点は、プリートが2011年に勝った「ジャラベール山」の異名をもつ短い急坂の山頂フィニッシュだ。
強力だったスカイの2人のアシスト
マイヨ・ジョーヌ集団ではリッチー・ポートとゲラント・トーマスの2人のアシストが光った。フルームは2人のつくるペースに身を任せ、コンタドール、ニーバリらがたて続けに繰り返したアタックに対してもチーム力で対処し、揺るがなかった。
ティンコフ・サクソは昨日走りの光ったマイカをコンタドールのアシストに充てた。アタックしたコンタドールもこの場所での優勝経験者。頂上までの数kmはグループで走るほうが有利で、テンポで走れば追いつくことを知っている。そしてアタックしても協力する選手は現れなかった。アタックした走りのキレも、まだ最高潮では無いことがみてとれる。
ゼッケン末尾の1の役者が揃った集団で、フルームがマークしていたのはキンタナだった。フィニッシュ前には競り合いも見せたが、揃ってフィニッシュ。総合上位陣のシャッフルは無かった。
そしてスカイはアシストに甚大な努力をしたゲラント・トーマスが上位陣に遅れずに同着フィニッシュ。総合も5位だ。当然のように2012年にフルームがウィギンズをアシストしながら総合2位でシャンゼリゼのポディウムに共に上ったことが引き合いに出される。フルームのその先、次のエースとなるのだろうか?
輝いたアルカンシェル チーム4つめの勝利を目指したクフィアト
ポイント賞争いで活性した20km地点から逃げ始め、22人の精鋭を率いてた後、ゴールまで75kmを残してプライドラー、ファンマルクと3人逃げに。プラトー・ド・ベイユは独走でチーム4つめのステージ勝利に向けトライ。ロドリゲスにラスト7.6kmで捉えられ、勝利は叶わなかったが、大きなアピールと敢闘賞を獲得したクヴィアトコウスキー。
虹色の世界チャンピオンのジャージはツールにおいても特別な意味をもつ。観客たちへのアピール度は満点で、喝采を浴びた。
「最後の坂までパワーが維持できずに残念。長い一日の後、プラトー・ド・ベイユは本当に急勾配に感じられた。ラスト7.6kmで捉えられたのは悲しい。でも、今日は最初から最後まで逃げれるなんて思ってもみなかったんだ。逃げの中には強い連中が居たから予想外だった。セプ(ファンマルク)がいるから最後まで逃げきれるとは思っていなかった。クライマーたちから逃げるように全力を尽くしたよ。調子は上がってきている。ステージを狙いに行けたことにハッピーだよ。トライしなければ何も生まれないから、今日の走りには満足しなきゃいけないね」。
「クフィアト」は今日一日、虹色のジャージを着た自分に沿道の喝采が特別大きかったことを実感したようだ。
「ツール・ド・フランスでこのように何かをして、レインボージャージの栄誉を讃えられるのは素晴らしい感覚だね。これを着て走ることを誇りに思うとともに、観客の皆さんが今日のような努力を喜んでくれると願っている。パリまではまだ遠い。チームはモチベーションに溢れている。またチャンスがあればチームは仕掛けていくよ」。
アスタナのエースはフグルサングにスウィッチ TJはスカイの様子を見る
アスタナはフグルサングが新しいリーダーになったようだ。まだ総合上位にいたフグルサングに対しヴィノクロフGMは、調子を落としたニーバリとただ一緒に走るだけでなく、総合5位以内を目指して走って良いという青信号を出したようだ。
いっときニーバリがアスタナを離れるという噂まで出たが、ヴィノはこれを否定。現在のパフォーマンスに不満はあれど、ニーバリとの間に問題は無く、ニーバリにはブエルタ・ア・エスパーニャを目指して欲しいとする。
マイヨジョーヌ集団でフィニッシュしたヴァンガーデレン(BMCレーシング)は、チームスカイの強さに様子を見たという。
「スカイが本当に強いことは知っていたけれど、彼らは危険な奴らのアタックをすべて抑え込んだ。誰かがが飛び出しても、彼らが必ず連れ戻すから、僕は今日スカイの後ろでただそれを見ているだけだった。彼らがこの後も同じことを続けて、『弾』が減っていくことを願うよ。第3週に彼らがその代償を払うことになるといいんだけど。次の休息日までにハードな山場がいくつかある。マンドもその一つで、総合争いのシャッフルはあるだろう。でも僕はその先のアルプスを見ている」。
盛り返したフランス人たち
ふがいない走りが続いていたフランス人選手たちの奮闘ぶりも目立った。逃げに11人が潜入。結果的にはロメン・バルデ(AG2Rラモンディアール) のステージ3位、ロメン・シカール(ユーロップカー) の7位、ミカエル・シュレル(AG2Rラモンディアール) の8位、そしてティボー・ピノ(FDJ)は今日は遅れずにフルーム集団でフィニッシュ。
山岳でコンスタントさをみせるピエール・ロラン(ユーロップカー)は15位。 フランス人の総合トップは、今日は遅れたもののトニー・ギャロパン(ロット・ソウダル) の総合8位だ。
心配なのはユーロップカーだ。スポンサーのレンタカー会社とは今年で契約が終了するはずなのに、次期のチームスポンサーについて何もアナウンスが聞こえてこない。予定されるユーロップカーの記者会見も、そのことについての質問に答えなければならないからだろう、キャンセルが続いている。
もっとも、土壇場で決まるのはいつものこと。今までもツールの勝利が翌年の契約の決め手となったことがある。しかし、そのためにもフランス人、なかでもユーロップカーはステージ勝利が是が非でも欲しいはずだ。
text:Makoto.AYANO in FRANCE
photo:Makoto.AYANO,Kei Tsuji,Tim de Waele,CorVos
ランタンルージュのマシューズはステージを狙える時を待つ
スタートの街ラヌムザンのチームバスエリア。30分後に出走が迫っているというのに、まだジャージに着替えていないマイケル・マシューズ(オリカ・グリーンエッジ)がポロシャツに短パン姿でバスを降りた。だから走らず棄権するのかと思ってしまう。
第3ステージで落車し、肋骨を折り、広い範囲の擦過傷があるマシューズはフルームからは2時間以上の遅れで現在最終走者の「ランタンルージュ」だ。完走を目指すつもり? の問にこう応える。
「本当に苦しいレースが続いているが、チームメイトたちのサポートと励ましを受けて走り続けているんだ。ツールで最終走者にはなりたくはないよ。この後の僕向きのステージで勝ちたい。ツールをただ完走することは今の目標に無いよ」。
ティンコフ・サクソはサガンのマイヨヴェールをチームでサポート開始
難関山岳として名高いプラトー・ド・ベイユ山頂ゴールのこの日だが、レース開始後20kmに中間スプリントポイントが設定されているとあれば、まずはそこまでがレースの第1フェーズだ。マイヨヴェールの奪い合いを繰り返すサガンVSグライペル。サガンは昨日の疲れをやや感じていると言いながらも、マイヨキープに向けて意気込む。
ティンコフ・サクソのデヨンフ監督も「チームの目標はまだコンタドールのマイヨジョーヌだ」としながらも、最初のスプリントポイントに向けてはサガンに多少のサポート要員をつけると言う。そして、明日のマンドへの中央山塊ステージこそグライペルに差をつける好機と話す。認めはしないが、コンタドールのマイヨジョーヌが現実的には困難な状況にある今、次のオプションとしてサガンのヴェールは重要度が増してきた。黄色のオプションとして緑は抑えておきたいというのだろう。
昨ステージでのマイカの勝利の走りでティンコフ・サクソはチーム賞の授与式に登壇。コンタドールもスタート前に集中した表情を見せる。
そして誰よりも集中している様子を見せたのはホアキン・ロドリゲス(カチューシャ) 。バイクを手放しして真っ直ぐ走るかを確認、チェックにも余念がない。にこやかな笑顔は見当たらず、ずっと真剣な表情。観客のサインの求めにも応じない。
スタートしてから軽くアップダウンが続き、20km行った先に中間スプリントポイントが有る。スタートからハイペースの集団で、今日が誕生日というグライペルをロット・ソウダルが総力サポート。そして今日はアシストが数人ついたサガンはデゲンコルブに次いで3位。2ポイント差でマイヨヴェールを堅持した。
雨が洗ったプラトー・ド・ベイユ ホームコースで独走したプリート
午前11時スタートと出発の早かったこの日、やはり午後にかけてジリジリと暑さは厳しくなり、気温は36.5度に。しかしプラトー・ド・ベイユが近づく頃、ベイユ高原上空には急に積乱雲が発生し、鉛色に。降りだした雨は先頭のミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、エティックス・クイックステップ)がラスト9kmに差し掛かる頃に土砂降りになった。風も吹き、嵐のような状況になる。頂上手前4kmからは少し勾配が緩くなり、吹きっさらし区間も出てくる。独走には条件が悪くなる。
いったん平坦区間が現れるその4km地点手前の急勾配のコーナーにも、数年前まで沿道を埋め尽くしたオレンジのバスク人たちは居なかった。しかし今日は「プリート」ロドリゲスの友人たちが声援を送った。先行したクヴィアトコウスキーを残り6.5kmで捉え、独走に持ち込んだプリートが、ハイペースを保ったまま頂上に達した。沿道の観客たちに挨拶しながら、喜びを爆発させた。ラスト5kmは苦しみを感じず、楽しんだほどだったと言う。
数年前からこの山を越えた先にあるアンドラ公国に住んでいるプリート。ここプラトー・ド・ベイユは自宅から50kmの距離で、もはや何回登ったかわからない、庭のような上りだ。前回練習に来た時も雨が降っていたという。
第3ステージのユイの坂の勝利と合わせ、これで今ツール2勝目。ピレネー初日のハンガーノックと、2日目のニュートラルゾーンでの落車で約20分遅れていたために逃げは許された。しかし総合には手の届かない位置にいる。
「本当に狙いたかったのは総合優勝。だけど2つの失敗ですでに無理に。グランツールに運は必要だね。総合はすでに狙えないが、2つのステージ勝利は嬉しい。総合で5位や6位を争うよりは、こっちのほうがずっといいね。この先もこれを続けるよ。今まででベストなツールだ。明日は5年前に勝ったマンドのステージだ。難しいだろうけど、マイヨアポワも狙いたい」とプリートは喜ぶ。
昨年叶わなかったマイヨアポア獲得のチャンスも見出している。山頂ゴールのポイント重要度が高いが、総合争いにかかわらないぶん、ステージ序盤で細かくポイントを集めることが可能な立場はやはり強い。
第14ステージのマンドのフィニッシュ地点は、プリートが2011年に勝った「ジャラベール山」の異名をもつ短い急坂の山頂フィニッシュだ。
強力だったスカイの2人のアシスト
マイヨ・ジョーヌ集団ではリッチー・ポートとゲラント・トーマスの2人のアシストが光った。フルームは2人のつくるペースに身を任せ、コンタドール、ニーバリらがたて続けに繰り返したアタックに対してもチーム力で対処し、揺るがなかった。
ティンコフ・サクソは昨日走りの光ったマイカをコンタドールのアシストに充てた。アタックしたコンタドールもこの場所での優勝経験者。頂上までの数kmはグループで走るほうが有利で、テンポで走れば追いつくことを知っている。そしてアタックしても協力する選手は現れなかった。アタックした走りのキレも、まだ最高潮では無いことがみてとれる。
ゼッケン末尾の1の役者が揃った集団で、フルームがマークしていたのはキンタナだった。フィニッシュ前には競り合いも見せたが、揃ってフィニッシュ。総合上位陣のシャッフルは無かった。
そしてスカイはアシストに甚大な努力をしたゲラント・トーマスが上位陣に遅れずに同着フィニッシュ。総合も5位だ。当然のように2012年にフルームがウィギンズをアシストしながら総合2位でシャンゼリゼのポディウムに共に上ったことが引き合いに出される。フルームのその先、次のエースとなるのだろうか?
輝いたアルカンシェル チーム4つめの勝利を目指したクフィアト
ポイント賞争いで活性した20km地点から逃げ始め、22人の精鋭を率いてた後、ゴールまで75kmを残してプライドラー、ファンマルクと3人逃げに。プラトー・ド・ベイユは独走でチーム4つめのステージ勝利に向けトライ。ロドリゲスにラスト7.6kmで捉えられ、勝利は叶わなかったが、大きなアピールと敢闘賞を獲得したクヴィアトコウスキー。
虹色の世界チャンピオンのジャージはツールにおいても特別な意味をもつ。観客たちへのアピール度は満点で、喝采を浴びた。
「最後の坂までパワーが維持できずに残念。長い一日の後、プラトー・ド・ベイユは本当に急勾配に感じられた。ラスト7.6kmで捉えられたのは悲しい。でも、今日は最初から最後まで逃げれるなんて思ってもみなかったんだ。逃げの中には強い連中が居たから予想外だった。セプ(ファンマルク)がいるから最後まで逃げきれるとは思っていなかった。クライマーたちから逃げるように全力を尽くしたよ。調子は上がってきている。ステージを狙いに行けたことにハッピーだよ。トライしなければ何も生まれないから、今日の走りには満足しなきゃいけないね」。
「クフィアト」は今日一日、虹色のジャージを着た自分に沿道の喝采が特別大きかったことを実感したようだ。
「ツール・ド・フランスでこのように何かをして、レインボージャージの栄誉を讃えられるのは素晴らしい感覚だね。これを着て走ることを誇りに思うとともに、観客の皆さんが今日のような努力を喜んでくれると願っている。パリまではまだ遠い。チームはモチベーションに溢れている。またチャンスがあればチームは仕掛けていくよ」。
アスタナのエースはフグルサングにスウィッチ TJはスカイの様子を見る
アスタナはフグルサングが新しいリーダーになったようだ。まだ総合上位にいたフグルサングに対しヴィノクロフGMは、調子を落としたニーバリとただ一緒に走るだけでなく、総合5位以内を目指して走って良いという青信号を出したようだ。
いっときニーバリがアスタナを離れるという噂まで出たが、ヴィノはこれを否定。現在のパフォーマンスに不満はあれど、ニーバリとの間に問題は無く、ニーバリにはブエルタ・ア・エスパーニャを目指して欲しいとする。
マイヨジョーヌ集団でフィニッシュしたヴァンガーデレン(BMCレーシング)は、チームスカイの強さに様子を見たという。
「スカイが本当に強いことは知っていたけれど、彼らは危険な奴らのアタックをすべて抑え込んだ。誰かがが飛び出しても、彼らが必ず連れ戻すから、僕は今日スカイの後ろでただそれを見ているだけだった。彼らがこの後も同じことを続けて、『弾』が減っていくことを願うよ。第3週に彼らがその代償を払うことになるといいんだけど。次の休息日までにハードな山場がいくつかある。マンドもその一つで、総合争いのシャッフルはあるだろう。でも僕はその先のアルプスを見ている」。
盛り返したフランス人たち
ふがいない走りが続いていたフランス人選手たちの奮闘ぶりも目立った。逃げに11人が潜入。結果的にはロメン・バルデ(AG2Rラモンディアール) のステージ3位、ロメン・シカール(ユーロップカー) の7位、ミカエル・シュレル(AG2Rラモンディアール) の8位、そしてティボー・ピノ(FDJ)は今日は遅れずにフルーム集団でフィニッシュ。
山岳でコンスタントさをみせるピエール・ロラン(ユーロップカー)は15位。 フランス人の総合トップは、今日は遅れたもののトニー・ギャロパン(ロット・ソウダル) の総合8位だ。
心配なのはユーロップカーだ。スポンサーのレンタカー会社とは今年で契約が終了するはずなのに、次期のチームスポンサーについて何もアナウンスが聞こえてこない。予定されるユーロップカーの記者会見も、そのことについての質問に答えなければならないからだろう、キャンセルが続いている。
もっとも、土壇場で決まるのはいつものこと。今までもツールの勝利が翌年の契約の決め手となったことがある。しかし、そのためにもフランス人、なかでもユーロップカーはステージ勝利が是が非でも欲しいはずだ。
text:Makoto.AYANO in FRANCE
photo:Makoto.AYANO,Kei Tsuji,Tim de Waele,CorVos
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