2015/07/13(月) - 09:16
全日本TTより、日本最速の座を争ったTTバイク11台を2編に分けて紹介。後編は與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)、萩原麻由子(Wiggle Honda)、小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)、西薗良太(ブリヂストンアンカー)、佐野淳哉(那須ブラーゼン)、綾部勇成(愛三工業レーシング)のバイクをチェックします。
與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)のスウィフトカーボン NEUROGEN
2年ぶりに全日本TT王者へと返り咲いた與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)のバイクは、スウィフトカーボン「 NEUROGEN」。最小サイズのトップチューブ長が497mmと、恐らく700CのTTバイクとしては最も短い部類で、身長160cmの與那嶺でも無理なく理想のポジションが出せている様だ。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。クランク周りはロードバイクと共通で、クランク式パワーメーターPower2maxのローター3D+モデルに、同じくローターの楕円チェーンリングQ-RINGSを組み合わせている。歯数はフロントが53-38T、リアが11-28Tであった。
ホイールは、フロントがロードでも好んで使用しているイーストンEC90 AERO 55で、リアがライトウェイトというセットアップだ。タイヤはスペシャライズドの国内未発売モデルで、悪天候でのグリップ性能を高めたという「TURBO ALLROUND」。ハンドルまわりはプロファイルデザインで、目一杯ハンドル位置を下げるために、アジャスタブルステムを使用し、ヘッドパーツからトップキャップを取り外している。
萩原麻由子(Wiggle Honda)のコルナゴ K-ZERO
昨年のTT女王で、今年は2位でフィニッシュした萩原麻由子(Wiggle Honda)。バイクはコルナゴ K-ZERO。身長が高いことから、ポジションに関する規定を難なくクリアできている様で、男子選手のバイクと比較してもシートポストの突き出し量や、サドルとハンドルの落差が大きい。
コンポーネントはカンパニョーロで、SUPERRECORDとRECORDがミックスされている。男子顔負けの歯数はフロントが55-42Tで、リアが11-29T。ホイールもカンパニョーロで、フロントがBORA ULTRA 80、リアがディスクタイプのBORA ULTRA TTという組み合わせだ。
タイヤはアメサイドが特長的なヴィットリアの定番レーシングタイヤ「CORSA SC」の23mm。メカニックによると、急勾配区間前の急カーブで勢いを殺さないために比較的低めに設定したそうで、「基本は9Barで、雨だったら6.8~7Barぐらいまで落とす」とのこと。ハンドル及びステムはフレームの付属品としている。
小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)のREVEN
アジア選手権銅メダルの実力を遺憾なく発揮し、U23でTT王者に輝いた小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)。バイクはチームの活動拠点ベルギーのREVENだが、今回小石が駆ったTTバイクは一般には販売されていないモデルのよう。前後ともブレーキは一般的なキャリパータイプに対応するなど、オーソドックスな仕様の1台である。
コンポーネントはスラムFORCEがメイン。チェーンリングはFSAのTTモデルKRONOに換装されている。ホイールは前後ともハンドメイド・イン・ベルギーのSONICというブランドのもの。こちらもフレーム同様にオーソドックスな造りとなっている。組み合わせるタイヤはIRCが開発を進めるチューブラー仕様のプロトタイプFormula PRO RACE TEAMとした。
ハンドルはブランドロゴが一切ないカーボン製で、海外のTTスペシャリストの様に、DHバーとベースバーの落差が大きく取っている。サドルはヴェロ製で、恐らくプロモーションのために、本来は同社のコンフォートモデルブランドである「Senso」のロゴがあしらわれていた特別仕様の様だ。
西薗良太(ブリヂストンアンカー)のアンカー RT9
2012年の全日本TT王者であり、現役復帰後の今大会では2位に入った西薗良太が駆ったのは、アンカー初のTTバイクとして今シーズンデビューし注目を集める「RT9」。他モデル同様に開発にはチームが深く関わった1台で、156cmのライダーに適応するサイズもラインナップされるなど、日本人にマッチした設計の1台となっている。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で統一。歯数はフロントが56-44Tで、リアが11-28T。パワーメーターはパイオニアのペダリングモニターながら、サイクルコンピューターはサポートを受けるガーミンとしている。フロントディレーラー取付部にはチェーンキャッチャーを装着することで、チェーン落ちのリスクを最小限に留めた。
ホイールは前後ともPROで、4本スポークのバトンに、Textreamカーボンを用いたDiscという組み合わせ。タイヤはヴィットリアで、定番モデルのCORSA CXよりもやや粗いトレッドパターンを採用したCORSA SRの24mmを選使用。メカニックによれば空気圧は8Barとしたとのこと。ハンドルはPROのMISSILEで、DHバーはスキーベンドを選択。ステムはアルミ削り出しのRT9専用品だ。サドルはロードでも使用するフィジークANTARESとしている。
佐野淳哉(那須ブラーゼン) のボーマ SWOOP
チームの活動拠点での優勝が期待された佐野淳哉(那須ブラーゼン)が駆ったのは、カーボン繊維商社を前身とする国内ブランド・ボーマのTTバイク「SWOOP」。サポートチームのフィードバックを基に開発された日本人設計の1台で、専用ハンドルバーやエアロVブレーキとあわせてエアロ性能を高めている。
コンポーネントはシマノULTEGRA Di2をメインに、クランクのみ旧型DURA-ACEのFC-7900としている。歯数はフロントが56-44Tで、リアが11-25T。なお、佐野はカーボンドライジャパンより個人サポートを受けており、下側15Tの大口径プーリーを搭載した「ビッグプーリーキット」や、ドライカーボン製チェーンキャッチャーを組み合わせてる。パワーメーターはチームカラーのパイオニア ペダリングモニター。ボルト類はほとんどが興津螺旋のチタンボルトへ換装されていた。
ホイールはフレームと同じくボーマ製。タイヤはパナレーサーのプロトタイプ。メカニックによれば、メインバイクには耐パンク製を重視した仕様の、スペアバイクにはレイン仕様のテストモデルを装着。空気圧は9Barとのこと。その他サドルはサンマルコAspide TT、バーテープはスパカズ、ペダルはルックKeO 2 Maxとしている。
綾部勇成(愛三工業レーシング)のスコット PLASMA 3
スコットのサポートを受ける愛三工業レーシングのTTバイクは「PLASMA 3」。2015モデルでは後継モデルとしてPLASMA 4がデビューしているが、その優れたエアロ性能は今なお健在で、他ブランドの現行モデルと比較しても遜色ないか、それ以上の走行性能を有してる名車である。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメインだが、リアブレーキのみ2世代前のBR-7800としている。なお、綾部勇成のバイクの歯数はフロントが55-42Tで、リアが11-25T。ホイールはフロントが供給品のWH-9000-C75-TUで、何故かリアはサポートを受けるPROではなく、ビニールテープでロゴを隠したマヴィックCOMETEとしている。タイヤはコンチネンタルの定番レーシングモデル「COMPETITION」だ。
ハンドルはPROのMISSILE EVO。DHバーとベースバーが共に斜めを向いた、国内ではあまり見かけないセットアップとされている。サドルはプロロゴのTT用ショートデザインモデルZero IIだ。
text&photo:Yuya.Yamamoto
與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)のスウィフトカーボン NEUROGEN
2年ぶりに全日本TT王者へと返り咲いた與那嶺恵理(サクソバンク FX証券)のバイクは、スウィフトカーボン「 NEUROGEN」。最小サイズのトップチューブ長が497mmと、恐らく700CのTTバイクとしては最も短い部類で、身長160cmの與那嶺でも無理なく理想のポジションが出せている様だ。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。クランク周りはロードバイクと共通で、クランク式パワーメーターPower2maxのローター3D+モデルに、同じくローターの楕円チェーンリングQ-RINGSを組み合わせている。歯数はフロントが53-38T、リアが11-28Tであった。
ホイールは、フロントがロードでも好んで使用しているイーストンEC90 AERO 55で、リアがライトウェイトというセットアップだ。タイヤはスペシャライズドの国内未発売モデルで、悪天候でのグリップ性能を高めたという「TURBO ALLROUND」。ハンドルまわりはプロファイルデザインで、目一杯ハンドル位置を下げるために、アジャスタブルステムを使用し、ヘッドパーツからトップキャップを取り外している。
萩原麻由子(Wiggle Honda)のコルナゴ K-ZERO
昨年のTT女王で、今年は2位でフィニッシュした萩原麻由子(Wiggle Honda)。バイクはコルナゴ K-ZERO。身長が高いことから、ポジションに関する規定を難なくクリアできている様で、男子選手のバイクと比較してもシートポストの突き出し量や、サドルとハンドルの落差が大きい。
コンポーネントはカンパニョーロで、SUPERRECORDとRECORDがミックスされている。男子顔負けの歯数はフロントが55-42Tで、リアが11-29T。ホイールもカンパニョーロで、フロントがBORA ULTRA 80、リアがディスクタイプのBORA ULTRA TTという組み合わせだ。
タイヤはアメサイドが特長的なヴィットリアの定番レーシングタイヤ「CORSA SC」の23mm。メカニックによると、急勾配区間前の急カーブで勢いを殺さないために比較的低めに設定したそうで、「基本は9Barで、雨だったら6.8~7Barぐらいまで落とす」とのこと。ハンドル及びステムはフレームの付属品としている。
小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)のREVEN
アジア選手権銅メダルの実力を遺憾なく発揮し、U23でTT王者に輝いた小石祐馬(CCT p/b CHAMPION SYSTEM)。バイクはチームの活動拠点ベルギーのREVENだが、今回小石が駆ったTTバイクは一般には販売されていないモデルのよう。前後ともブレーキは一般的なキャリパータイプに対応するなど、オーソドックスな仕様の1台である。
コンポーネントはスラムFORCEがメイン。チェーンリングはFSAのTTモデルKRONOに換装されている。ホイールは前後ともハンドメイド・イン・ベルギーのSONICというブランドのもの。こちらもフレーム同様にオーソドックスな造りとなっている。組み合わせるタイヤはIRCが開発を進めるチューブラー仕様のプロトタイプFormula PRO RACE TEAMとした。
ハンドルはブランドロゴが一切ないカーボン製で、海外のTTスペシャリストの様に、DHバーとベースバーの落差が大きく取っている。サドルはヴェロ製で、恐らくプロモーションのために、本来は同社のコンフォートモデルブランドである「Senso」のロゴがあしらわれていた特別仕様の様だ。
西薗良太(ブリヂストンアンカー)のアンカー RT9
2012年の全日本TT王者であり、現役復帰後の今大会では2位に入った西薗良太が駆ったのは、アンカー初のTTバイクとして今シーズンデビューし注目を集める「RT9」。他モデル同様に開発にはチームが深く関わった1台で、156cmのライダーに適応するサイズもラインナップされるなど、日本人にマッチした設計の1台となっている。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で統一。歯数はフロントが56-44Tで、リアが11-28T。パワーメーターはパイオニアのペダリングモニターながら、サイクルコンピューターはサポートを受けるガーミンとしている。フロントディレーラー取付部にはチェーンキャッチャーを装着することで、チェーン落ちのリスクを最小限に留めた。
ホイールは前後ともPROで、4本スポークのバトンに、Textreamカーボンを用いたDiscという組み合わせ。タイヤはヴィットリアで、定番モデルのCORSA CXよりもやや粗いトレッドパターンを採用したCORSA SRの24mmを選使用。メカニックによれば空気圧は8Barとしたとのこと。ハンドルはPROのMISSILEで、DHバーはスキーベンドを選択。ステムはアルミ削り出しのRT9専用品だ。サドルはロードでも使用するフィジークANTARESとしている。
佐野淳哉(那須ブラーゼン) のボーマ SWOOP
チームの活動拠点での優勝が期待された佐野淳哉(那須ブラーゼン)が駆ったのは、カーボン繊維商社を前身とする国内ブランド・ボーマのTTバイク「SWOOP」。サポートチームのフィードバックを基に開発された日本人設計の1台で、専用ハンドルバーやエアロVブレーキとあわせてエアロ性能を高めている。
コンポーネントはシマノULTEGRA Di2をメインに、クランクのみ旧型DURA-ACEのFC-7900としている。歯数はフロントが56-44Tで、リアが11-25T。なお、佐野はカーボンドライジャパンより個人サポートを受けており、下側15Tの大口径プーリーを搭載した「ビッグプーリーキット」や、ドライカーボン製チェーンキャッチャーを組み合わせてる。パワーメーターはチームカラーのパイオニア ペダリングモニター。ボルト類はほとんどが興津螺旋のチタンボルトへ換装されていた。
ホイールはフレームと同じくボーマ製。タイヤはパナレーサーのプロトタイプ。メカニックによれば、メインバイクには耐パンク製を重視した仕様の、スペアバイクにはレイン仕様のテストモデルを装着。空気圧は9Barとのこと。その他サドルはサンマルコAspide TT、バーテープはスパカズ、ペダルはルックKeO 2 Maxとしている。
綾部勇成(愛三工業レーシング)のスコット PLASMA 3
スコットのサポートを受ける愛三工業レーシングのTTバイクは「PLASMA 3」。2015モデルでは後継モデルとしてPLASMA 4がデビューしているが、その優れたエアロ性能は今なお健在で、他ブランドの現行モデルと比較しても遜色ないか、それ以上の走行性能を有してる名車である。
コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメインだが、リアブレーキのみ2世代前のBR-7800としている。なお、綾部勇成のバイクの歯数はフロントが55-42Tで、リアが11-25T。ホイールはフロントが供給品のWH-9000-C75-TUで、何故かリアはサポートを受けるPROではなく、ビニールテープでロゴを隠したマヴィックCOMETEとしている。タイヤはコンチネンタルの定番レーシングモデル「COMPETITION」だ。
ハンドルはPROのMISSILE EVO。DHバーとベースバーが共に斜めを向いた、国内ではあまり見かけないセットアップとされている。サドルはプロロゴのTT用ショートデザインモデルZero IIだ。
text&photo:Yuya.Yamamoto