2015/07/11(土) - 12:04
マイヨジョーヌ離脱という事態に揺れながらも、スタートを切ったプロトン。レースを去ったチームメイトのためにスプリントを制したマーク・カヴェンディッシュをはじめ、各選手らのコメントを紹介します。
2年ぶりにツールでのステージ優勝を挙げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
スプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
2年ぶりのステージ優勝を掴んだマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
リラックスした表情で走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)ら photo:Kei Tsujiここまで2回のスプリントフィニッシュでチームは良い働きをしてくれたにも関わらず、勝ちたいという思いが強すぎて、早めにスプリントを開始して、結局負けてしまった。だから今日は平常心を保ってスプリントしたんだ。
アレクサンダー・クリストフが2人のアシストを残しているのが見えた。普段彼は早掛けするのだが、今日は彼がスプリントを開始するのを待っていたら、遅すぎた。ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)を避けなければならず、その時点でパニックに陥っていた。もしアンドレ・グライペルがコーナー内側に寄ってきていたら前に出ることは出来なかったけど、彼はジェントルマンであり、真っ直ぐスプリントしてくれた。調子はいつも通りで、タイミングがバッチリとあったことが今日の勝利に繋がった。
昨日の落車でトニ・マルティンとマイヨジョーヌを同時に失ってしまったことが残念でならない。彼のリタイアはチームに取ってとても大きな痛手だ。マルティンの働きは他選手の4人分ぐらいに相当し、レース以外でも彼はグッドガイなんだ。だから、彼の手術が成功して嬉しい。今日は彼のために勝ちたかったんだ。彼と一緒にこの勝利を祝いたかった。この勝利を彼に捧げたい。
これまでに挙げてきたツールでの26回のステージ優勝はどれも特別だ。1つのステージ優勝によって、選手の価値は大きく高まる。今回のステージ優勝は2年ぶり。妻と息子の前で再びステージ優勝できて素晴らしい。パリまでに、あと何回スプリントフィニッシュになるのかは分からない。恐らく第13ステージと第15ステージだと予想しているが、どちらもハードなフィニッシュになるだろうし、マイヨヴェールを獲得する可能性が最も高いペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)と競ることになるはず。
来年もエティックス・クイックステップで走りたい。僕はこのチームと共に成長してきた。ベルギー人はサイクリングを愛しているし、それは僕も一緒。同じ考えを持つ仲間と情熱をシェアできることは大変素晴らしいことだ。
2位に入ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
マイヨヴェールのアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Makoto.Ayano
スプリントフィニッシュというのは、参加する選手たちが多くなればなるほど、より複雑でトリッキーになっていくものだ。チームのみなは、僕を残り2km地点から前に引き上げてくれるのに良い働きをしてくれた。
最後のスプリントでぼくが勝てなかったのは、少し登り勾配で僕にはきつかったというのが大きな理由だと思っている。次の集団スプリントはパリになるだろう。でも、僕はトニー・ギャロパンをサポートする仕事もあるし、中間スプリントを獲りに行く必要もあるね。
3位に入ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
総合2位に浮上し、マイヨブランのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:Makoto.Ayanoこれだけは確かなんだけど、本当に難しいスプリントだった。でも、かなりうまく立ち回れたんじゃないかと思っている。落車することもなくスプリントをこなすことができたしね。
スプリントが始まる瞬間では、(ジョン)デゲンコルブの後ろについていたんだけど、最終的にはアンドレ・グライペルの後輪につけていた。でも今日は(マーク)カヴェンディッシュの速さは別格だったね。
僕はベストを尽くしたし、明日のステージを楽しみにしている。既に明後日のチームタイムトライアルの戦略を練り始めてもいるよ。一番大切なことは、僕の調子がよくて、落車もしておらず、またチャンスがあれば何度でもトライできるということ。
明日のステージは僕向きのコースだと聞いている。マイヨジョーヌにかなり近い位置にいるのは確かだけど、明日のステージでフルームを逆転するのはかなり難しいだろうね。僕はクライマーじゃないし、最後の登りはとてもキツイみたいだ。しかも僕の2位との強い縁を考えると、困難なことには間違いないだろうね(笑)
マイヨジョーヌに袖を通したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
マイヨジョーヌに袖を通したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto.Ayano
楽しそうに並んで走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)とクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele昨日のステージが終わったあと、ヴィンチェンツォ・ニーバリと僕の間で、ちょっとしたバトルがあった。昨日の落車の原因を僕だと彼が誤解していて、僕のことを疑っていたんだ。でも、誤解は解けて、今日は二人ともリラックスして過ごすことが出来たよ。
多くの包帯や止血バンドを集団の中で目にする。今、レースが落ち着きを見せていることが凄いことだと感じるよ。今僕は、大きな特権を持っているリーダージャージを着ている。とはいえ、実際のところそれで何かが大きく変わるということは無い。チームには大きなモチベーションを与えてくれるけど、既にみんなはやる気十分だしね。マイヨジョーヌの有無にかかわらず、僕らのチームは普通のチーム以上に積極的に働いているよ。
ライバルたちが僕をどの様に見ているかはわからないけれど、ティージェイ・ヴァンガーデレンは凄く調子がよさそうだし、総合成績でも僕の数秒後ろに迫っている。(ナイロ)キンタナは、既に多くのタイムを失ってしまったね。かなりの痛手だと思うけど、山岳ステージで彼は強さを見せてくるだろう。アルベルト・コンタドールはジロを走っている。彼が山岳でどれだけのフレッシュさを見せてくれるのかが大きな争点になるだろう。ニーバリ?今週は彼を良く見ることがあったね。
マイヨアポワをキープしたダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)
逃げに乗るダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ) photo:Makoto.Ayano今日も山岳ポイントを稼がなくてはならなかったから、再び逃げに乗った。昨日獲得したマイヨアポワを着用しての逃げで、何かを示せた気がして、とても良かった。そして、しっかりと山岳ポイントを獲得できてホッとしている。昨晩は母国から多くの祝福の声が届いた。このジャージと共に山岳ステージへ入れる様に頑張りたい。
敢闘賞を獲得したアントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ)
敢闘賞を獲得したアントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ) photo:Makoto.Ayano
僕らを逃して直ぐに、スプリンターチームが集団のコントロールに入ってしまったから、複雑な状況になった。逃げ切るには20分のタイムギャップが必要だったが、プロトンは完全に僕らのことを弄ぶかの様にコントロール下に置いていたね。
これまでにツールでは何度か逃げ集団に入ってきたけど、敢闘賞を獲得するのはこれが初めて。加えて、今日は故郷であるノルマンディーをスタートして、チームの拠点であるブルターニュにゴールするという特別なステージ。そしてフィニッシュ地点のフージェールはチームマネージャーのエマニエル・イベールの故郷だ。今日は地元を走る幸せをコース上で見せることができたと思う。
ニュートラルで起こった落車についてアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
今日は僕たちにとって良い一日になったと思う。いつもプロトンは信じられないくらい張りつめた緊張感が漂っているけど、僕らのチームは穏やかに過ごすことができた。チームの誰もクラッシュすることも無かったしね、ニュートラル中に僕が落車したのを除けば。でも、全然心配するような影響は無いよ。笑い話なんだけど、集団前方でここ数日の落車について話していたら他の選手たちと絡んでしまって自分も落車してしまったんだ。
text:Naoki YASUOKA,Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele
2年ぶりにツールでのステージ優勝を挙げたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)
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アレクサンダー・クリストフが2人のアシストを残しているのが見えた。普段彼は早掛けするのだが、今日は彼がスプリントを開始するのを待っていたら、遅すぎた。ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)を避けなければならず、その時点でパニックに陥っていた。もしアンドレ・グライペルがコーナー内側に寄ってきていたら前に出ることは出来なかったけど、彼はジェントルマンであり、真っ直ぐスプリントしてくれた。調子はいつも通りで、タイミングがバッチリとあったことが今日の勝利に繋がった。
昨日の落車でトニ・マルティンとマイヨジョーヌを同時に失ってしまったことが残念でならない。彼のリタイアはチームに取ってとても大きな痛手だ。マルティンの働きは他選手の4人分ぐらいに相当し、レース以外でも彼はグッドガイなんだ。だから、彼の手術が成功して嬉しい。今日は彼のために勝ちたかったんだ。彼と一緒にこの勝利を祝いたかった。この勝利を彼に捧げたい。
これまでに挙げてきたツールでの26回のステージ優勝はどれも特別だ。1つのステージ優勝によって、選手の価値は大きく高まる。今回のステージ優勝は2年ぶり。妻と息子の前で再びステージ優勝できて素晴らしい。パリまでに、あと何回スプリントフィニッシュになるのかは分からない。恐らく第13ステージと第15ステージだと予想しているが、どちらもハードなフィニッシュになるだろうし、マイヨヴェールを獲得する可能性が最も高いペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)と競ることになるはず。
来年もエティックス・クイックステップで走りたい。僕はこのチームと共に成長してきた。ベルギー人はサイクリングを愛しているし、それは僕も一緒。同じ考えを持つ仲間と情熱をシェアできることは大変素晴らしいことだ。
2位に入ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)
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スプリントフィニッシュというのは、参加する選手たちが多くなればなるほど、より複雑でトリッキーになっていくものだ。チームのみなは、僕を残り2km地点から前に引き上げてくれるのに良い働きをしてくれた。
最後のスプリントでぼくが勝てなかったのは、少し登り勾配で僕にはきつかったというのが大きな理由だと思っている。次の集団スプリントはパリになるだろう。でも、僕はトニー・ギャロパンをサポートする仕事もあるし、中間スプリントを獲りに行く必要もあるね。
3位に入ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)
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僕はベストを尽くしたし、明日のステージを楽しみにしている。既に明後日のチームタイムトライアルの戦略を練り始めてもいるよ。一番大切なことは、僕の調子がよくて、落車もしておらず、またチャンスがあれば何度でもトライできるということ。
明日のステージは僕向きのコースだと聞いている。マイヨジョーヌにかなり近い位置にいるのは確かだけど、明日のステージでフルームを逆転するのはかなり難しいだろうね。僕はクライマーじゃないし、最後の登りはとてもキツイみたいだ。しかも僕の2位との強い縁を考えると、困難なことには間違いないだろうね(笑)
マイヨジョーヌに袖を通したクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
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ライバルたちが僕をどの様に見ているかはわからないけれど、ティージェイ・ヴァンガーデレンは凄く調子がよさそうだし、総合成績でも僕の数秒後ろに迫っている。(ナイロ)キンタナは、既に多くのタイムを失ってしまったね。かなりの痛手だと思うけど、山岳ステージで彼は強さを見せてくるだろう。アルベルト・コンタドールはジロを走っている。彼が山岳でどれだけのフレッシュさを見せてくれるのかが大きな争点になるだろう。ニーバリ?今週は彼を良く見ることがあったね。
マイヨアポワをキープしたダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)
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敢闘賞を獲得したアントニー・ドゥラプラス(フランス、ブルターニュ・セシェ)
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僕らを逃して直ぐに、スプリンターチームが集団のコントロールに入ってしまったから、複雑な状況になった。逃げ切るには20分のタイムギャップが必要だったが、プロトンは完全に僕らのことを弄ぶかの様にコントロール下に置いていたね。
これまでにツールでは何度か逃げ集団に入ってきたけど、敢闘賞を獲得するのはこれが初めて。加えて、今日は故郷であるノルマンディーをスタートして、チームの拠点であるブルターニュにゴールするという特別なステージ。そしてフィニッシュ地点のフージェールはチームマネージャーのエマニエル・イベールの故郷だ。今日は地元を走る幸せをコース上で見せることができたと思う。
ニュートラルで起こった落車についてアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
今日は僕たちにとって良い一日になったと思う。いつもプロトンは信じられないくらい張りつめた緊張感が漂っているけど、僕らのチームは穏やかに過ごすことができた。チームの誰もクラッシュすることも無かったしね、ニュートラル中に僕が落車したのを除けば。でも、全然心配するような影響は無いよ。笑い話なんだけど、集団前方でここ数日の落車について話していたら他の選手たちと絡んでしまって自分も落車してしまったんだ。
text:Naoki YASUOKA,Yuya.Yamamoto
photo:Makoto.Ayano,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele
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平常心を失わない技術 ここ一番に強い人間になる (中経の文庫)
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