豪雪の中で開催された2連戦の飯山シクロクロス。C1では圧倒的な雪上テクニックで会場を沸かせた横山航太(シマノレーシング)が2日間共に優勝。1週間後の全日本選手権に向けて弾みを付けた。



土曜日 信州シクロクロス#6 飯山ナイター

土曜日 照明が一面雪に覆われたコースを照らす。土曜日 照明が一面雪に覆われたコースを照らす。 photo:Makoto.Ayano
土曜日 圧倒的なスピードでひた走る横山航太(シマノレーシング)土曜日 圧倒的なスピードでひた走る横山航太(シマノレーシング) photo:Makoto.Ayanoこの飯山でシクロクロスが開催されたのは4年前のこと。2012年からナイターレースが追加されて2日間開催になり、他では味わうことのできない雰囲気を求める人が集う「名物レース」になりつつある大会だ。

土曜日 2位をキープし続けた沢田時(ブリヂストン・アンカー)土曜日 2位をキープし続けた沢田時(ブリヂストン・アンカー) photo:Makoto.Ayano長野県飯山市、起伏のある長峰運動公園内に敷設されたコースはアスファルト、芝草、林間、丸太の階段などあらゆるシチュエーションが用意される変化に富んだもの。しかし今年は寒波が襲ったため会場は初日朝にはすっかり雪に埋もれ、一部区間をカットしたショートコースを使用することになった。更に土曜日夜にはおよそ60cmもの降雪があったが、地元や関係者の尽力によって2日目もレースは無事開催にこぎつけることができた。参加者側もDNSは少数であり、シクロクロッサーの競技熱を強く印象づける大会に。

土曜日 前田公平は3位に食い込んだ土曜日 前田公平は3位に食い込んだ photo:Makoto.Ayanoコース上に降り積もった雪はスケジュールが進行するにつれて硬い轍や踏み跡を伴う荒れた氷に変化したため、2日間ともに最終レースであるC1では乗車すらままならない難コンディションと化した。その中で一人、横山航太(シマノレーシング)の圧倒的な雪上テクニックが際立つこととなった。

初日の信州シクロクロス第6戦ナイタークロスには、横山や小坂正則(スワコレーシング)、斎藤亮(ブリヂストン・アンカー)、恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)といった地元選手に加え、沢田時(ブリヂストン・アンカー)、前田公平ら実力者がエントリー。C2レースの頃には完全に辺りは闇に包まれ、会場では雪と選手を照明が照らす、ナイタースキー場のような幻想的な光景が繰り広げられた。

土曜日 雪に手を焼く小坂正則(スワコレーシング)土曜日 雪に手を焼く小坂正則(スワコレーシング) photo:Makoto.Ayano号砲と共に飛び出した横山を、沢田と前田が追う形でレースはスタート。このジュニア選手たちの後ろには濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)や山田誉史輝(PAX PROJECT)、松本駿(SCOTT)らが続いていく。

しかし会場を沸かせたのは先頭を行く横山のテクニックだ。他の選手がランニングを強いられる区間をいとも簡単に乗車でクリアしてみせ、スリップダウンが多発した下りでは一人だけ舗装路を走っているかのような段違いのスピードを披露する。リカバリーが早いことでミスがタイムロスに繋がらないため、あっという間に独走態勢を築き上げていく。

ジュニアカテゴリーで1位になった山田将輝(パックスプロジェクト)が40分間のレースを終える頃、横山はほぼ大多数の選手をラップアウト。そして終盤には単独2位、3位となっていた沢田と前田をも抜き去り、ただひとり11周回を走り切って優勝を決めた。

なお、L1では今井美穂(CycleClub.jp)が後続を6分弱引き離す走りで圧勝し、C2は岩崎恭二が、C3ではMTBで出場した平野星矢(ブリヂストン・アンカー)が6分半差の大差で勝利。マスターズは水竹真一が勝利している。



日曜日 信州シクロクロス#7 飯山

日曜日 C1スタート前日曜日 C1スタート前 photo:Makoto.Ayano
日曜日 好スタートを切った丸山厚(BOMA)日曜日 好スタートを切った丸山厚(BOMA) photo:Makoto.Ayano日曜日 乗車を阻むコースにランニング大会と化した日曜日 乗車を阻むコースにランニング大会と化した photo:Makoto.Ayano


日曜日 雪をいとわずクリアしていく横山航太(シマノレーシング)日曜日 雪をいとわずクリアしていく横山航太(シマノレーシング) photo:Makoto.Ayano前日のC1レースに降り続いた雪は明け方になっても止むことは無く、上空の寒波はこの地方に60cmもの積雪を記録させた。前日のレースで作り上げられたコース上の凹凸や轍も雪に覆われ、更に時間の経過と共に雪が溶け出し、C1ライダーは超難コースに苦しめられることになる。

日曜日 先頭を追いかける小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)日曜日 先頭を追いかける小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム) photo:Makoto.AyanoL1(C2との混走)で今井美穂が2連勝を決めた後に開催されたC1には、前日のメンバーに加えて全日本選手権を見据える小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)や丸山厚(BOMA)らが参戦した。

日曜日 追い上げて2位に入った沢田時(ブリヂストン・アンカー) 日曜日 追い上げて2位に入った沢田時(ブリヂストン・アンカー)  photo:Makoto.Ayanoホールショットは小坂光が獲り、これに横山が反応する形でレースがスタート。しかし半周を要さずに横山がリードすると、徐々に後続を引き離して再び独走態勢を築き上げることに成功する。

「難しい路面に手を焼いたために昨日のようなペースで走るには至りませんでした。」と後に言う横山。雪のレースは今回が初めてと言うが、しかし雪上走行に慣れた地元・長野出身の横山にとってはこの悪コンディションが有利に働いた。

その後ろでは小坂光に小坂正則が追いつき、親子で激しい2位争いを展開していく。スタートで手間取った沢田も追い上げを見せ、中盤戦が終わる頃には小坂親子をパスして2位に浮上した。斎藤亮と恩田祐一のライバルコンビがこれに続く。

そして横山は終始リードを崩すこと無く、2位の沢田に1分56秒をつける走りで2連勝。残る表彰台の一角には小坂光が滑り込んだ。

2連勝を飾った横山は「タフなコースだったため思うように乗車ができず昨日よりも苦しめられました。来週の全日本選手権に向けて良い感触を掴むことができ良かったですね。ただし身体のダメージが大きいのでしっかりとリカバリーさせたい。」と語った。

日曜日 2位パックを作る小坂正則(スワコレーシング)と小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)日曜日 2位パックを作る小坂正則(スワコレーシング)と小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム) photo:Makoto.Ayano日曜日 斎藤亮(ブリヂストン・アンカー)と恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)の同郷コンビが5位争い日曜日 斎藤亮(ブリヂストン・アンカー)と恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)の同郷コンビが5位争い photo:Makoto.Ayano

日曜日 2日連続で圧勝した横山航太(シマノレーシング)日曜日 2日連続で圧勝した横山航太(シマノレーシング) photo:Makoto.Ayano日曜日 C1表彰台日曜日 C1表彰台 photo:Makoto.Ayano


オーガナイザーの小林輝紀さんオーガナイザーの小林輝紀さん photo:Makoto.Ayanoこのレースのオーガナイザーを務めたのは、ブリヂストン・アンカーMTBチームのメカニックとしても手腕を振るう小林輝紀さん。「中止の不安もありましたが、地元の方々の協力のおかげで開催にこぎ着けることができました。初めてのナイタースノークロスでしたが、飯山ならではの楽しさ、面白さが演出できたのではないでしょうか。」と言う。

この飯山は来年のシクロクロス全日本選手権候補地となっており、もし実現すれば雪試合の可能性も低くない。「非常に自然環境に恵まれた場所ですから、全日本選手権を誘致できれば面白いレースが期待できますね。でもビッグレースを開催するだけでは無く、一番の目標はたくさんの方々から愛されるレースに成長させることにあります。これからも継続して発展させていくつもりですから、期待して頂きたいですね。」と語ってくれた。

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信州シクロクロス#6 飯山ナイタークロス結果
C1

1位 横山航太(シマノレーシング)                1'00"18"
2位 沢田時(ブリヂストン・アンカー)              -1Lap
3位 前田公平
4位 濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)
5位 山田誉史輝(PAX PROJECT)
6位 松本駿(SCOTT)
7位 矢野大介(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)
8位 斎藤亮(ブリヂストン・アンカー) 
9位 北島篤志(ckirin.com)
10位 山本聖吾(スワコレーシング)

L1
1位 今井美穂(CycleClub.jp)
2位 相野田静香(club GROW)
3位 綾野桂子(CycleClub 3up)
4位 林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM)
34'52"
+5'55"
-1Lap




信州シクロクロス#7 飯山結果
C1

1位 横山航太(シマノレーシング) 
2位 沢田時(ブリヂストン・アンカー) 
3位 小坂光(宇都宮ブリッツエンシクロクロスチーム)
4位 小坂正則(スワコレーシング)
5位 恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)
6位 斎藤亮(ブリヂストン・アンカー) 
7位 埋樋敬介
8位 松本駿(SCOTT)
9位 鬼形博之(OCI)
10位 山田誉史輝(PAX PROJECT)
1h00'30"
+1'56"
+2'05"
+4'33"
+5'19"
+7'02"
+8'38"
+9'52"
+10'01"
-1Lap


L1
1位 今井美穂(CycleClub.jp)
2位 綾野桂子(CycleClub 3up)
3位 相野田静香(club GROW)
4位 林口幸恵(SNEL CYCLOCROSS TEAM)
5位 橋口陽子(轍屋)

text:So.Isobe
photo:Makoto.Ayano,So.Isobe


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