2014/10/13(月) - 20:26
好天に恵まれた2年ぶり開催の輪島。序盤から逃げた3人のスプリントをアイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)が制しマトリックスは3勝目。年間総合の個人とチームは変動なくそのままに。
2年ぶりの輪島ロード
昨年大会は台風の影響で中止となった輪島ロードレース。今年は好天のもと行われた。前日の10月11日(土)はアトラクションやチームプレゼンなど開会式が行なわれた。暖かい地元・輪島市門前町のおもてなしが毎年魅力の大会、今年は新たにP1クラスタの前に子供たちのランニングバイクでの大会も行われた。
10月12日(日)、石川県輪島市門前町で行なわれた輪島ロード。レースレイティングもAAと2番目に高い、標高差の厳しい登坂が2箇所ある公道レース。登坂力があるのが勝つための条件だが、それに加えて白熱するJプロツアー年間総合成績争いもレース展開に影響を及ぼす。
チーム右京と宇都宮ブリッツェンのタイトルを巡る戦い
前戦まではホセ・ビセンテ(チーム右京)が個人総合で2位の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)に195点リード。チームでは宇都宮ブリッツェンが2位のチーム右京に1700点リード。1戦で入れ替わるほどの僅差だが、輪島以降は3レースともクリテリウム系。スピードも持ち合わせる首位のホセ・ビセンテに対して、総合2位で登坂力のある増田にとってはこの輪島で勝つことが総合逆転の最低条件とも考えられる。
7周88.6kmで行なわれたP1クラスタ。1周目から登坂区間を中心にアタックがかかる。1周目後半の上り区間で5人ほど抜け出すが頂上までには吸収、ここからの下り区間で佐野淳哉(那須ブラーゼン)がアタック。これをフェルナンデスが追い平坦区間で合流。さらに木村圭佑(シマノレーシング)も単独で合流して3人で2周目へ。この前半の上り区間で森本誠(イナーメ信濃山形)がメイン集団から抜け出し、逃げは4人となる。
アイラン・フェルナンデスら3人が逃げる展開に
メイン集団は組織だって引くチームがなく、この逃げを容認しペースダウン。やがてロヂャースレーシングチームらがメイン集団を引く。先頭の4人は4周目、「森本さんの上りでの走りが速くて」佐野が下がり、逃げは3人に。いっぽうのメイン集団は3周目からチーム右京が主導してペースを保つ。途中でペースの上下があり揺さぶりをかけながらレースは後半へ。
5周目には一時宇都宮ブリッツェンもペースを作るがふたたびチーム右京が先頭に立ち、加減速の繰り返しでメイン集団も数を減らしていく。上りは森本、下りと平坦がフェルナンデスと木村で交代を繰り返す3人は快調に逃げ続ける。メイン集団とのタイム差は上下し30秒ほどに縮まるときもあったが、最大2分にまで広がる。6周目には揺さぶりのかかるメイン集団ではリーダージャージのホセ・ビセンテ自身でも仕掛けて終盤に向かう。
逃げ切り3人でのスプリント勝負へ
最終周回の7周目でもタイム差は1分40秒で逃げ切りが濃厚に。この時点でも先頭3人は交代を繰り返してペースを保ち、逃げ切る意思に迷いはない。メイン集団からベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)がアタックするが先頭には届かず単独走行に。さらに阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)主導で、入部正太朗(シマノレーシング)、エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)の3人が抜け出す。
森本先行でのゴール前、スプリント争いをフェルナンデスが木村を抑えて優勝。自身今シーズンに来日して初めての国内での優勝。チームは嬉しい3勝目を挙げた。京都産業大学を卒業して1年目の木村もJプロツアー初表彰台。そして上りで持ち前の登坂力を生かした森本も今シーズンJプロツアー初表彰台。
年間総合順位は変動無し
Jプロツアー年間総合成績は個人もチームもともに変動なし。個人のポイント差は変わらず、チームは首位の宇都宮ブリッツェンが、阿部の抜け出しによってさらに引き離すことに成功した。登坂の厳しい輪島を終えて残すレースは3戦。いずれもクリテリウム系であり、個人はスピードもあるホセ・ビセンテの総合優勝がついに手の届くところにきた。
チーム総合はまだ1戦で逆転する範囲内だが、互いをマークする戦いという点では大きな点差となっている。各レースでの優勝を時には手放しても年間総合のタイトルを欲する両チーム。それほどに大きなタイトルと言える。
「最大の目標はチームランキング」宇都宮ブリッツェン清水裕輔監督
個人総合2位の増田が総合逆転するには、実質この輪島で優勝するしかないとみられた。しかしその動きにはならなかった。それを清水監督はこう語っている。
「増田の登坂力が期待された輪島だったが、今の最大の目標であるチームランキングを守るということでみんな我慢のレースをしてくれた。逃げ切った3人はいいメンバーだったがそのために容認せざるを得なかった」
「増田自身はホセと勝負したいし僕らも増田とホセの1対1ならば行かせたい。だが増田が行くと右京のほかのメンバーが付いていく可能性が高い。それはチームランキングに影響すること。上りに強く上りで増田をアシストできる堀が途中で落車した時点で、増田が上りで攻撃することはあきらめざるをえなかった」
結果
P1クラスタ 88.6km
1位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)2時間37分41秒
2位 木村圭佑(シマノレーシング)
3位 森本誠(イナーメ信濃山形)
4位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)+41秒
5位 入部正太朗(シマノレーシング)+53秒
6位 エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)
7位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)+57秒
8位 才田直人(NEILPRYDE - MENS CLUB PRO CYCLING)+1分11秒
9位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)+1分16秒
10位 畑中勇介(シマノレーシング)
Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ(チーム右京)
U23リーダー 雨澤毅明(那須ブラーゼン)
Fクラスタ 25.6km
1位 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)55分49秒
2位 棟近陽子(EURO-WORKS Racing)
3位 高田由貴(ZIPPY CYCLE CLUB)
E1クラスタ 50.8km
1位 田崎友康(F(t)麒麟山 Racing)1時間29分42秒
2位 小野康太郎(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)
3位 米谷隆志(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)+01秒
4位 鶴岡慶太(RITCHEY BREZZAカミハギRT)+03秒
5位 宇田川陽平(ブラウ・ブリッツェン)+08秒
6位 浅尾銀二(ボンシャンス)+35秒
E2クラスタ 38.2km
1位 木村裕己(DOKYU HOKKAIDO)1時間09分22秒
2位 平林楓輝(松山聖陵高等学校)
3位 根本侑(AQULS内房レーシング)
4位 中嶋勇貴(バルバレーシングクラブ)+18秒
5位 長谷川武敏(ACQUA TAMA)
6位 篠原直貴(Team-DADDY)
E3クラスタ 38.2km
1位 科野大蔵(ネクストリーム・岡電気)1時間10分20秒
2位 中井雄策(TRC PANAMAREDS)
3位 岡理裕(SPADE・ACE)
4位 福永達也(VC Fukuoka Oceans)
5位 本間智樹(トンデモクラブ CSKAGA)
6位 若林恵一朗(バルバレーシングクラブ)+01秒
photo&text:高木秀彰
2年ぶりの輪島ロード
昨年大会は台風の影響で中止となった輪島ロードレース。今年は好天のもと行われた。前日の10月11日(土)はアトラクションやチームプレゼンなど開会式が行なわれた。暖かい地元・輪島市門前町のおもてなしが毎年魅力の大会、今年は新たにP1クラスタの前に子供たちのランニングバイクでの大会も行われた。
10月12日(日)、石川県輪島市門前町で行なわれた輪島ロード。レースレイティングもAAと2番目に高い、標高差の厳しい登坂が2箇所ある公道レース。登坂力があるのが勝つための条件だが、それに加えて白熱するJプロツアー年間総合成績争いもレース展開に影響を及ぼす。
チーム右京と宇都宮ブリッツェンのタイトルを巡る戦い
前戦まではホセ・ビセンテ(チーム右京)が個人総合で2位の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)に195点リード。チームでは宇都宮ブリッツェンが2位のチーム右京に1700点リード。1戦で入れ替わるほどの僅差だが、輪島以降は3レースともクリテリウム系。スピードも持ち合わせる首位のホセ・ビセンテに対して、総合2位で登坂力のある増田にとってはこの輪島で勝つことが総合逆転の最低条件とも考えられる。
7周88.6kmで行なわれたP1クラスタ。1周目から登坂区間を中心にアタックがかかる。1周目後半の上り区間で5人ほど抜け出すが頂上までには吸収、ここからの下り区間で佐野淳哉(那須ブラーゼン)がアタック。これをフェルナンデスが追い平坦区間で合流。さらに木村圭佑(シマノレーシング)も単独で合流して3人で2周目へ。この前半の上り区間で森本誠(イナーメ信濃山形)がメイン集団から抜け出し、逃げは4人となる。
アイラン・フェルナンデスら3人が逃げる展開に
メイン集団は組織だって引くチームがなく、この逃げを容認しペースダウン。やがてロヂャースレーシングチームらがメイン集団を引く。先頭の4人は4周目、「森本さんの上りでの走りが速くて」佐野が下がり、逃げは3人に。いっぽうのメイン集団は3周目からチーム右京が主導してペースを保つ。途中でペースの上下があり揺さぶりをかけながらレースは後半へ。
5周目には一時宇都宮ブリッツェンもペースを作るがふたたびチーム右京が先頭に立ち、加減速の繰り返しでメイン集団も数を減らしていく。上りは森本、下りと平坦がフェルナンデスと木村で交代を繰り返す3人は快調に逃げ続ける。メイン集団とのタイム差は上下し30秒ほどに縮まるときもあったが、最大2分にまで広がる。6周目には揺さぶりのかかるメイン集団ではリーダージャージのホセ・ビセンテ自身でも仕掛けて終盤に向かう。
逃げ切り3人でのスプリント勝負へ
最終周回の7周目でもタイム差は1分40秒で逃げ切りが濃厚に。この時点でも先頭3人は交代を繰り返してペースを保ち、逃げ切る意思に迷いはない。メイン集団からベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)がアタックするが先頭には届かず単独走行に。さらに阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)主導で、入部正太朗(シマノレーシング)、エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)の3人が抜け出す。
森本先行でのゴール前、スプリント争いをフェルナンデスが木村を抑えて優勝。自身今シーズンに来日して初めての国内での優勝。チームは嬉しい3勝目を挙げた。京都産業大学を卒業して1年目の木村もJプロツアー初表彰台。そして上りで持ち前の登坂力を生かした森本も今シーズンJプロツアー初表彰台。
年間総合順位は変動無し
Jプロツアー年間総合成績は個人もチームもともに変動なし。個人のポイント差は変わらず、チームは首位の宇都宮ブリッツェンが、阿部の抜け出しによってさらに引き離すことに成功した。登坂の厳しい輪島を終えて残すレースは3戦。いずれもクリテリウム系であり、個人はスピードもあるホセ・ビセンテの総合優勝がついに手の届くところにきた。
チーム総合はまだ1戦で逆転する範囲内だが、互いをマークする戦いという点では大きな点差となっている。各レースでの優勝を時には手放しても年間総合のタイトルを欲する両チーム。それほどに大きなタイトルと言える。
「最大の目標はチームランキング」宇都宮ブリッツェン清水裕輔監督
個人総合2位の増田が総合逆転するには、実質この輪島で優勝するしかないとみられた。しかしその動きにはならなかった。それを清水監督はこう語っている。
「増田の登坂力が期待された輪島だったが、今の最大の目標であるチームランキングを守るということでみんな我慢のレースをしてくれた。逃げ切った3人はいいメンバーだったがそのために容認せざるを得なかった」
「増田自身はホセと勝負したいし僕らも増田とホセの1対1ならば行かせたい。だが増田が行くと右京のほかのメンバーが付いていく可能性が高い。それはチームランキングに影響すること。上りに強く上りで増田をアシストできる堀が途中で落車した時点で、増田が上りで攻撃することはあきらめざるをえなかった」
結果
P1クラスタ 88.6km
1位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)2時間37分41秒
2位 木村圭佑(シマノレーシング)
3位 森本誠(イナーメ信濃山形)
4位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)+41秒
5位 入部正太朗(シマノレーシング)+53秒
6位 エドワード・プラデス(マトリックスパワータグ)
7位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)+57秒
8位 才田直人(NEILPRYDE - MENS CLUB PRO CYCLING)+1分11秒
9位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)+1分16秒
10位 畑中勇介(シマノレーシング)
Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ(チーム右京)
U23リーダー 雨澤毅明(那須ブラーゼン)
Fクラスタ 25.6km
1位 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)55分49秒
2位 棟近陽子(EURO-WORKS Racing)
3位 高田由貴(ZIPPY CYCLE CLUB)
E1クラスタ 50.8km
1位 田崎友康(F(t)麒麟山 Racing)1時間29分42秒
2位 小野康太郎(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)
3位 米谷隆志(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)+01秒
4位 鶴岡慶太(RITCHEY BREZZAカミハギRT)+03秒
5位 宇田川陽平(ブラウ・ブリッツェン)+08秒
6位 浅尾銀二(ボンシャンス)+35秒
E2クラスタ 38.2km
1位 木村裕己(DOKYU HOKKAIDO)1時間09分22秒
2位 平林楓輝(松山聖陵高等学校)
3位 根本侑(AQULS内房レーシング)
4位 中嶋勇貴(バルバレーシングクラブ)+18秒
5位 長谷川武敏(ACQUA TAMA)
6位 篠原直貴(Team-DADDY)
E3クラスタ 38.2km
1位 科野大蔵(ネクストリーム・岡電気)1時間10分20秒
2位 中井雄策(TRC PANAMAREDS)
3位 岡理裕(SPADE・ACE)
4位 福永達也(VC Fukuoka Oceans)
5位 本間智樹(トンデモクラブ CSKAGA)
6位 若林恵一朗(バルバレーシングクラブ)+01秒
photo&text:高木秀彰
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