2014/09/10(水) - 10:34
連載でお届けするプロバイクレポート。今回はツール・ド・フランス2014を走った最新鋭のTTバイクに迫る第3弾。チームスカイ、アスタナ、ガーミン・シャープ、ネットアップ・エンデューラ、ランプレ・メリダ、オリカ・グリーンエッジのマシンにフォーカスする。
チームスカイ 【ピナレロ BOLIDE】
チームスカイが使用するTTバイクはピナレロ「BOLIDE」。チームスポンサーであるイギリスの自動車メーカーのジャガーとの共同開発によって空力性能を追求したモデルだ。その最たる特徴は前後のブレーキを覆うカウルにあり、BOLIDE登場以前はUCIレギュレーションに反すると考えられていたが、早速ビアンキ等が追従してきた。
コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2で、左のクランクアーム裏側に計測ユニットを搭載したパワーメーター「STAGES POWER」を使用する。ホイールは前後共にPRO。フロントに装着された3本スポークのバトンホイールは従来モデルよりリムを拡幅した恐らくプロトタイプで、スカイのみに供給されている様だ。組み合わせるタイヤは前後共にFMBで、転がり抵抗よりもトラクションを重視したアッセンブルだと思われる。
ステム一体式のハンドルはピナレロ製で、ベースバーの先端には独自に作成した変速スイッチとグリップを高めるための紙やすりの様な素材が取り付けられている。その他、サドルはフィジーク、ボトルケージはエリート、サイクルコンピューターはガーミンで、そのマウントはK-EDGEだ。
アスタナ 【スペシャライズド S-Works Shiv TT】
アスタナが使用するTTバイクはスペシャライズド「S-Works Shiv TT」。写真は見事第101代マイヨジョーヌに輝いたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)のバイクで、機材変更に保守的なニーバリらしく、黄色のバーテープとホイールの白いデカール以外は標準的なチーム仕様とほぼ共通とされている。
コンポーネントは機械式のカンパニョーロがメインで、実際に第20ステージで使用したマシンにはS-Works Fact CarbonのアームにFSAのTT用エアロチェーンリングが装着されていた。ホイールはコリマで、フロントが73mmハイトのUP”S”、リアがディスクという組み合わせ。なお、スペアバイクには登り対策としてフロントに3スポーク、リアに4スポークのバトンホイールをアッセンブル。タイヤは他のステージで使用していたスペシャライズドではなく、スポンサーのベロフレックスとしている。
ハンドルはShivの専用品。サドルについてもこだわりが強く、普段はスポンサー外のフィジークをロゴ消しで使用するニーバリだが、TTバイクにはーボンレールのスペシャライズドSITERO Proを採用。ボトルケージ及びボトルはエリートKIT CRONOをスポンサーであるタックスのロゴに張り替えて使用していた。
ガーミン・シャープ 【サーヴェロ P5】
ガーミン・シャープが使用するTTバイクは、エアロバイクを得意とするカナディアンブランドであるサーヴェロの「P5」。ヘッドチューブやシートチューブの圧倒的なボリューム感が特徴だ。
コンポーネントはドライブトレインが9070系シマノDURA-ACE+ローターのクランク&チェーンリング、ブレーキが今大会では唯一となる油圧式のマグラ「RT8 TT」というアッセンブリー。ペダルはガーミンVectorで、ロードでは使用していなかったパワー計測ユニットもしっかり取り付けられていた。
ホイール及びタイヤはマヴィックで、フロントが60mmハイトのCXR60、リアがCOMETEという組み合わせがガーミン・シャープでは多数派。ハンドル&ステムは3Tが製造するP5専用モデル。サドルはフィジークで、大柄な選手が多いためかTT用ではなくロード用を選択したライダーが多い。ボトル及びボトルケージはアランデールだ。
ネットアップ・エンデューラ 【フジ NORCOM STRAIGHT】
ネットアップ・エンデューラが使用するTTバイクはフジ「NORCOM STRAIGHT」。スローピングデザインによる見た目的にも走り的にも重心が低そうなフレームデザインが特徴的で、前後ブレーキとヘッドチューブ周りのインテグレーテッドデザインやコンパクトなリア三角などトレンドをしっかりと抑えている。
コンポーネントはリア10速の6770系シマノULTEGRA Di2をメインに、クランクのみ7900系シマノDURA-ACEとしている。なお、ブレーキはTRPのVブレーキタイプ。ホイールは普段オーヴァルコンセプツ(恐らくヴィジョン製)を使用するが、TTでは前後共にヴィジョンを使用。フロントが3スポークのMETRON 3-SPOKE、リアがディープリムにカウルを貼り付けてディスク化したMETRON DISCとしている。
ハンドルはオーヴァルコンセプツで、ベースバーの中央に設けられた穴からエクステンションバーが飛び出すという独特の構造が特徴的。サドル及びバーテープはプロロゴ。ペダルはチームカラーのスピードプレイだ。
ランプレ・メリダ【メリダ WARP TT】
ランプレ・メリダが使用するTTバイクは、もちろんタイトルスポンサーであるメリダの「WARP TT」。マッシブなフレーム形状もさることながら、前後共にダイレクトマウントブレーキを採用することがトピックスで、サードパティーよりもシマノのパーツで揃えられ、整備性も高いという点は現場の声を取り入れた結果なのだろう。
コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2がメイン。クランク周りはローターで、アームをFLOW、チェーンリングをエアロタイプとすることで、空気抵抗の低減を追求した。ホイールは前後ともフルクラムで、フロントが50mmハイトのRACING SPEED XLR、リアがRACING SPEED DISC。組み合わせられるタイヤはコンチネンタルがプロ供給専用に製造するCOMPETITION PROLTDだ。
ハンドルはヴィジョンと共同開発した専用品。サドル及びバーテープはプロロゴ。ボトルケージはエリートで、TT用のKIT CHRONOではなく、普段から使用しているノーマルボトル対応のCANNIBALとしている。
オリカ・グリーンエッジ【スコット PLASMA 3】
プロチームの中でもTTスペシャリストが数多く揃うオリカ・グリーンエッジが使用するTTバイクは、同じくスコットのサポート受けるIAMサイクリングの一部メンバーと同じく「PLASMA 3」。その勝利の数から現代のTTバイクにおけるベンチマーク的存在といっても過言では無いだろう。
パーツアッセンブルはシマノからサポートを受けるとあって、シマノとPROがほとんど。コンポーネントは9070系と7970系の新旧のシマノDURA-ACE Di2。ホイールはフロントが9000系DURA-ACE、リアがTextreamカーボンを使用したPROのディスクホイールという組み合わせ。なお、写真のバイクのようにフロントに、テスト段階で使用されていたSHIMANOロゴのみのプロトタイプを装着したバイクも多数見られた。
ハンドル及びステムはPRO。その他、サドル及びバーテープはプロロゴを、ボトルケージはTT用のエリートKIT CRONOで、ダウンチューブではなくシートチューブに取り付けて使用する。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
チームスカイ 【ピナレロ BOLIDE】
チームスカイが使用するTTバイクはピナレロ「BOLIDE」。チームスポンサーであるイギリスの自動車メーカーのジャガーとの共同開発によって空力性能を追求したモデルだ。その最たる特徴は前後のブレーキを覆うカウルにあり、BOLIDE登場以前はUCIレギュレーションに反すると考えられていたが、早速ビアンキ等が追従してきた。
コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2で、左のクランクアーム裏側に計測ユニットを搭載したパワーメーター「STAGES POWER」を使用する。ホイールは前後共にPRO。フロントに装着された3本スポークのバトンホイールは従来モデルよりリムを拡幅した恐らくプロトタイプで、スカイのみに供給されている様だ。組み合わせるタイヤは前後共にFMBで、転がり抵抗よりもトラクションを重視したアッセンブルだと思われる。
ステム一体式のハンドルはピナレロ製で、ベースバーの先端には独自に作成した変速スイッチとグリップを高めるための紙やすりの様な素材が取り付けられている。その他、サドルはフィジーク、ボトルケージはエリート、サイクルコンピューターはガーミンで、そのマウントはK-EDGEだ。
アスタナ 【スペシャライズド S-Works Shiv TT】
アスタナが使用するTTバイクはスペシャライズド「S-Works Shiv TT」。写真は見事第101代マイヨジョーヌに輝いたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)のバイクで、機材変更に保守的なニーバリらしく、黄色のバーテープとホイールの白いデカール以外は標準的なチーム仕様とほぼ共通とされている。
コンポーネントは機械式のカンパニョーロがメインで、実際に第20ステージで使用したマシンにはS-Works Fact CarbonのアームにFSAのTT用エアロチェーンリングが装着されていた。ホイールはコリマで、フロントが73mmハイトのUP”S”、リアがディスクという組み合わせ。なお、スペアバイクには登り対策としてフロントに3スポーク、リアに4スポークのバトンホイールをアッセンブル。タイヤは他のステージで使用していたスペシャライズドではなく、スポンサーのベロフレックスとしている。
ハンドルはShivの専用品。サドルについてもこだわりが強く、普段はスポンサー外のフィジークをロゴ消しで使用するニーバリだが、TTバイクにはーボンレールのスペシャライズドSITERO Proを採用。ボトルケージ及びボトルはエリートKIT CRONOをスポンサーであるタックスのロゴに張り替えて使用していた。
ガーミン・シャープ 【サーヴェロ P5】
ガーミン・シャープが使用するTTバイクは、エアロバイクを得意とするカナディアンブランドであるサーヴェロの「P5」。ヘッドチューブやシートチューブの圧倒的なボリューム感が特徴だ。
コンポーネントはドライブトレインが9070系シマノDURA-ACE+ローターのクランク&チェーンリング、ブレーキが今大会では唯一となる油圧式のマグラ「RT8 TT」というアッセンブリー。ペダルはガーミンVectorで、ロードでは使用していなかったパワー計測ユニットもしっかり取り付けられていた。
ホイール及びタイヤはマヴィックで、フロントが60mmハイトのCXR60、リアがCOMETEという組み合わせがガーミン・シャープでは多数派。ハンドル&ステムは3Tが製造するP5専用モデル。サドルはフィジークで、大柄な選手が多いためかTT用ではなくロード用を選択したライダーが多い。ボトル及びボトルケージはアランデールだ。
ネットアップ・エンデューラ 【フジ NORCOM STRAIGHT】
ネットアップ・エンデューラが使用するTTバイクはフジ「NORCOM STRAIGHT」。スローピングデザインによる見た目的にも走り的にも重心が低そうなフレームデザインが特徴的で、前後ブレーキとヘッドチューブ周りのインテグレーテッドデザインやコンパクトなリア三角などトレンドをしっかりと抑えている。
コンポーネントはリア10速の6770系シマノULTEGRA Di2をメインに、クランクのみ7900系シマノDURA-ACEとしている。なお、ブレーキはTRPのVブレーキタイプ。ホイールは普段オーヴァルコンセプツ(恐らくヴィジョン製)を使用するが、TTでは前後共にヴィジョンを使用。フロントが3スポークのMETRON 3-SPOKE、リアがディープリムにカウルを貼り付けてディスク化したMETRON DISCとしている。
ハンドルはオーヴァルコンセプツで、ベースバーの中央に設けられた穴からエクステンションバーが飛び出すという独特の構造が特徴的。サドル及びバーテープはプロロゴ。ペダルはチームカラーのスピードプレイだ。
ランプレ・メリダ【メリダ WARP TT】
ランプレ・メリダが使用するTTバイクは、もちろんタイトルスポンサーであるメリダの「WARP TT」。マッシブなフレーム形状もさることながら、前後共にダイレクトマウントブレーキを採用することがトピックスで、サードパティーよりもシマノのパーツで揃えられ、整備性も高いという点は現場の声を取り入れた結果なのだろう。
コンポーネントは9070系シマノDURA-ACE Di2がメイン。クランク周りはローターで、アームをFLOW、チェーンリングをエアロタイプとすることで、空気抵抗の低減を追求した。ホイールは前後ともフルクラムで、フロントが50mmハイトのRACING SPEED XLR、リアがRACING SPEED DISC。組み合わせられるタイヤはコンチネンタルがプロ供給専用に製造するCOMPETITION PROLTDだ。
ハンドルはヴィジョンと共同開発した専用品。サドル及びバーテープはプロロゴ。ボトルケージはエリートで、TT用のKIT CHRONOではなく、普段から使用しているノーマルボトル対応のCANNIBALとしている。
オリカ・グリーンエッジ【スコット PLASMA 3】
プロチームの中でもTTスペシャリストが数多く揃うオリカ・グリーンエッジが使用するTTバイクは、同じくスコットのサポート受けるIAMサイクリングの一部メンバーと同じく「PLASMA 3」。その勝利の数から現代のTTバイクにおけるベンチマーク的存在といっても過言では無いだろう。
パーツアッセンブルはシマノからサポートを受けるとあって、シマノとPROがほとんど。コンポーネントは9070系と7970系の新旧のシマノDURA-ACE Di2。ホイールはフロントが9000系DURA-ACE、リアがTextreamカーボンを使用したPROのディスクホイールという組み合わせ。なお、写真のバイクのようにフロントに、テスト段階で使用されていたSHIMANOロゴのみのプロトタイプを装着したバイクも多数見られた。
ハンドル及びステムはPRO。その他、サドル及びバーテープはプロロゴを、ボトルケージはTT用のエリートKIT CRONOで、ダウンチューブではなくシートチューブに取り付けて使用する。
photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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