2009/08/29(土) - 18:15
グランツールきっての難易度を誇るブエルタ・ア・エスパーニャの山岳ステージ。5つの山頂フィニッシュが登場する3週間の闘いで、山岳賞に輝くピュアクライマーは果たして誰だろうか?
これまで多くの山岳スペシャリストを輩出してきた、クライマー大国スペイン。今年で開催64回目を迎えるブエルタで、スペイン人選手が山岳賞を獲得したのは実に47回。そのうち22回は、スペイン人選手が山岳賞ランキングのトップスリーを独占している。
総合争いの展開に左右されるため、山岳賞争いの行方は読みにくい。何しろ今大会には5つの山頂フィニッシュが設定されており、狙わずとも総合上位の選手が山岳賞トップに立つ可能性は高い。
獲得ポイントは、超級山岳先頭通過で30ポイント、1級山岳16ポイント、2級山岳10ポイント、3級山岳6ポイント。つまり低難易度の山岳でポイントをコツコツ積算しても、超級山岳の山頂フィニッシュで一発逆転も起こり得る。
昨年は山岳ステージで優勝を飾り、その後も徹底的に山岳ポイントを稼いだダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)が、下位に大差をつけて山岳賞を獲得。昨年の総合8位以上を狙うモンクティエは山岳賞連覇に固執しないかもしれない。とにかく今年はツールで冴えなかっただけに、このブエルタで巻き返しを図りたい。
2006年はエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)が、2005年はホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ)が山岳賞を獲得している。しかし両者の本業はアシストであり、山岳ポイントだけを狙うような自由な動きは許されない。エースからGOサインが出れば再び山岳賞を手にする実力は充分にある。
山岳に強いクライマー系選手を揃えるのが、イヴァン・バッソ(イタリア)で総合優勝を狙うリクイガスだ。ロマン・クロイツィゲル(チェコ)やシルヴェスタ・シュミット(ポーランド)、オリバー・ザウグ(スイス)らが山岳ポイントに的を絞り、チームとしてツールに続く山岳賞獲得を狙う可能性も有る。
生粋のクライマーとしては、フランス期待のレミ・ディグレゴリオ(フランス、フランセーズデジュー)や、ツールのモンヴァントゥーを制したフアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)らに注目。まだ無名のスペイン人クライマーが頭角を現すかもしれない。
また、TTで苦戦し、総合で遅れをとった選手が狙いを山岳賞にスイッチすることも考えられる。中でも、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)の山岳力は初出場のブエルタでどこまで通用するのか。ツールの序盤ステージでリタイアした悔しさを、ヘーシンクはスペイン山岳にぶつける。
山岳賞争いにおいて、アンディとフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)はダークホース的な存在だ。チームは新鋭のヤコブ・フグルサング(デンマーク)をエースに立て、シュレク兄弟を総合戦線に送り込まない予定。シュレク兄弟はフグルサングをサポートしながら、山岳ステージでの勝利を狙ってくるかもしれない。フランクは2004年以来2度目のブエルタ出場。アンディはブエルタ初出場だ。
ブエルタ歴代山岳賞獲得者
2008年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 エゴイ・マルティネス(スペイン)
2005年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2004年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2003年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2002年 アイトール・オサ(スペイン)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 カルロス・サストレ(スペイン)
1999年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1998年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1997年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1996年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 リュク・ルブラン(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 カルロス・エルナンデス(スペイン)
1991年 ルイス・エレラ(コロンビア)
1990年 マルティン・ファルファン(コロンビア)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
これまで多くの山岳スペシャリストを輩出してきた、クライマー大国スペイン。今年で開催64回目を迎えるブエルタで、スペイン人選手が山岳賞を獲得したのは実に47回。そのうち22回は、スペイン人選手が山岳賞ランキングのトップスリーを独占している。
総合争いの展開に左右されるため、山岳賞争いの行方は読みにくい。何しろ今大会には5つの山頂フィニッシュが設定されており、狙わずとも総合上位の選手が山岳賞トップに立つ可能性は高い。
獲得ポイントは、超級山岳先頭通過で30ポイント、1級山岳16ポイント、2級山岳10ポイント、3級山岳6ポイント。つまり低難易度の山岳でポイントをコツコツ積算しても、超級山岳の山頂フィニッシュで一発逆転も起こり得る。
昨年は山岳ステージで優勝を飾り、その後も徹底的に山岳ポイントを稼いだダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)が、下位に大差をつけて山岳賞を獲得。昨年の総合8位以上を狙うモンクティエは山岳賞連覇に固執しないかもしれない。とにかく今年はツールで冴えなかっただけに、このブエルタで巻き返しを図りたい。
2006年はエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)が、2005年はホアキン・ロドリゲス(スペイン、ケースデパーニュ)が山岳賞を獲得している。しかし両者の本業はアシストであり、山岳ポイントだけを狙うような自由な動きは許されない。エースからGOサインが出れば再び山岳賞を手にする実力は充分にある。
山岳に強いクライマー系選手を揃えるのが、イヴァン・バッソ(イタリア)で総合優勝を狙うリクイガスだ。ロマン・クロイツィゲル(チェコ)やシルヴェスタ・シュミット(ポーランド)、オリバー・ザウグ(スイス)らが山岳ポイントに的を絞り、チームとしてツールに続く山岳賞獲得を狙う可能性も有る。
生粋のクライマーとしては、フランス期待のレミ・ディグレゴリオ(フランス、フランセーズデジュー)や、ツールのモンヴァントゥーを制したフアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)らに注目。まだ無名のスペイン人クライマーが頭角を現すかもしれない。
また、TTで苦戦し、総合で遅れをとった選手が狙いを山岳賞にスイッチすることも考えられる。中でも、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)の山岳力は初出場のブエルタでどこまで通用するのか。ツールの序盤ステージでリタイアした悔しさを、ヘーシンクはスペイン山岳にぶつける。
山岳賞争いにおいて、アンディとフランクのシュレク兄弟(ルクセンブルク、サクソバンク)はダークホース的な存在だ。チームは新鋭のヤコブ・フグルサング(デンマーク)をエースに立て、シュレク兄弟を総合戦線に送り込まない予定。シュレク兄弟はフグルサングをサポートしながら、山岳ステージでの勝利を狙ってくるかもしれない。フランクは2004年以来2度目のブエルタ出場。アンディはブエルタ初出場だ。
ブエルタ歴代山岳賞獲得者
2008年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 エゴイ・マルティネス(スペイン)
2005年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2004年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2003年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2002年 アイトール・オサ(スペイン)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 カルロス・サストレ(スペイン)
1999年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1998年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1997年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1996年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 リュク・ルブラン(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 カルロス・エルナンデス(スペイン)
1991年 ルイス・エレラ(コロンビア)
1990年 マルティン・ファルファン(コロンビア)
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos