2014/08/27(水) - 10:37
フィニッシュ26km手前に登場した2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠でピュアスプリンターが軒並み遅れる中、ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が持ち前の登坂力を活かしてポジションをキープ。60名に絞られた集団の中で、ジャーマンスプリンターのスピードは飛び抜けていた。
164.7kmコースの大半は平坦路。しかしフィニッシュ地点コルドバの街が近づくとコースは登りに転じる。110km地点でまずは3級山岳サンヘロニモ峠をクリアし、その後コルドバのフィニッシュラインを一度通過。そこから標高595mの2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠に向かう。
最大勾配が16%に達する2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠と、その後の細かいアップダウンが勝負の分かれ道。3年前には同じレイアウトで下りアタックも決まっており、クライマーとスプリンターのせめぎ合いに注目が集まった。
最高気温が40度に達するアンダルシア州を北上し始めてすぐ、2012年大会に4回敢闘賞&2013年大会3回敢闘賞と総合敢闘賞を獲得したハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)、ジミー・アングルヴァン(フランス、ユーロップカー)、セバスティアン・テュルゴー(フランス、AG2Rラモンディアール)、ヘルト・ユエアール(エストニア、コフィディス)がエスケープを開始した。
ステージ優勝も同時に狙いたいリーダーチームのオリカ・グリーンエッジが前半から集団をコントロールしたことで、タイム差は5分を上限に縮小に転じる。1人1日10リットル以上の水を必要とする猛烈な暑さの中、ボトル運びのアシストたちは忙しなく集団とチームカーを行き交った。
3級山岳サンヘロニモ峠に差し掛かったところでメイン集団はにわかに活気づき、チームスカイやモビスターのペースアップによって逃げグループは射程圏内に。
すると、逃げの苦戦を察したアメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)がカウンターアタックで先頭に合流。3級山岳頂上を先頭通過したチュルカが、それまで逃げていたアングルヴァンだけを引き連れてカハルーラルの逃げを続行させる。
しかし逃げ切るにはあまりにもタイム差が少なく、チュルカとアングルヴァンは2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠を前に集団に飲み込まれた(敢闘賞はチュルカが獲得)。
そして迎えた「14%の登り」という名の2級山岳、カトルセ・ポル・シエント峠。引き続きチームスカイやモビスターがハイペースを刻むと、ポイント賞ジャージを着るナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)らが軒並み脱落。コンスタントに10%を超える登りはピュアスプリンターに厳しすぎた。
2級山岳の頂上手前で、ビネル・アナコナゴメス(コロンビア、ランプレ・メリダ)のアタックを切っ掛けにレースは動く。素早くアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)が反応し、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)までもここに合流する。
アップダウンとワインディングを繰り返すコースで15秒ほどのアドバンテージを稼ぎ出した先頭4名。しかしコルドバの街に向かう平坦直線路でタイム差は急速に縮まり、オリカ・グリーンエッジの集団牽引によってバルベルデらの目論みは残り9kmで断たれる。最終的に60名ほどの小集団によるゴールスプリントに持ち込まれた。
連日のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)による終盤アタックは届かず、ジャイアント・シマノが主導権を握ってスプリントへ。この日26歳の誕生日を迎えたチャド・ハガ(アメリカ、ジャイアント・シマノ)がリードアウトし、デゲンコルブを発射した。
先に仕掛けたビセンテ・レイネス(スペイン、IAMサイクリング)を段違いのスピードで抜き去り、後続を5mほど引き離したデゲンコルブが両手を挙げる。クライマー揃いの集団の中でデゲンコルブのスピードは飛び抜けていた。
「サウナのような一日で、水分補給が追いつかなかった」と語るデゲンコルブが今大会1勝目。ブエルタではステージ通算6勝目。"登れるスプリンター"としての真骨頂を発揮した。
「ヘント〜ウェベルヘム以降ずっと2位が続いていたので、この勝利で安心するよ。この勝利は、素晴らしい走りをしたバースデーボーイのチャドへの誕生日プレゼントだ」と、今シーズン6勝目を飾ったデゲンコルブは語る。ポイント賞ランキングではトップと同ポイントの2位に浮上した。
マイヨロホを着るマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)も問題なく2級山岳をクリアしたものの、平坦スプリントではデゲンコルブに敵わず3位に。勝利には届かなかったが、ボーナスタイムによって総合リードを広げることに成功している。
この日、ステージ優勝者と同タイムでフィニッシュしたのは59名。8分31秒遅れたユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)や、10分47秒遅れた総合8位のジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)、そして16分55秒遅れたティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)らが総合争いから姿を消した。
選手コメントはレース公式リリースより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2014第4ステージ結果
マイヨロホ(個人総合成績)
マイヨプントス(ポイント賞)
マイヨモンターニャ(山岳賞)
マイヨコンビナーダ(複合賞)
チーム総合成績
ステージ敢闘賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
164.7kmコースの大半は平坦路。しかしフィニッシュ地点コルドバの街が近づくとコースは登りに転じる。110km地点でまずは3級山岳サンヘロニモ峠をクリアし、その後コルドバのフィニッシュラインを一度通過。そこから標高595mの2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠に向かう。
最大勾配が16%に達する2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠と、その後の細かいアップダウンが勝負の分かれ道。3年前には同じレイアウトで下りアタックも決まっており、クライマーとスプリンターのせめぎ合いに注目が集まった。
最高気温が40度に達するアンダルシア州を北上し始めてすぐ、2012年大会に4回敢闘賞&2013年大会3回敢闘賞と総合敢闘賞を獲得したハビエル・アラメンディア(スペイン、カハルーラル)、ジミー・アングルヴァン(フランス、ユーロップカー)、セバスティアン・テュルゴー(フランス、AG2Rラモンディアール)、ヘルト・ユエアール(エストニア、コフィディス)がエスケープを開始した。
ステージ優勝も同時に狙いたいリーダーチームのオリカ・グリーンエッジが前半から集団をコントロールしたことで、タイム差は5分を上限に縮小に転じる。1人1日10リットル以上の水を必要とする猛烈な暑さの中、ボトル運びのアシストたちは忙しなく集団とチームカーを行き交った。
3級山岳サンヘロニモ峠に差し掛かったところでメイン集団はにわかに活気づき、チームスカイやモビスターのペースアップによって逃げグループは射程圏内に。
すると、逃げの苦戦を察したアメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)がカウンターアタックで先頭に合流。3級山岳頂上を先頭通過したチュルカが、それまで逃げていたアングルヴァンだけを引き連れてカハルーラルの逃げを続行させる。
しかし逃げ切るにはあまりにもタイム差が少なく、チュルカとアングルヴァンは2級山岳カトルセ・ポル・シエント峠を前に集団に飲み込まれた(敢闘賞はチュルカが獲得)。
そして迎えた「14%の登り」という名の2級山岳、カトルセ・ポル・シエント峠。引き続きチームスカイやモビスターがハイペースを刻むと、ポイント賞ジャージを着るナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)らが軒並み脱落。コンスタントに10%を超える登りはピュアスプリンターに厳しすぎた。
2級山岳の頂上手前で、ビネル・アナコナゴメス(コロンビア、ランプレ・メリダ)のアタックを切っ掛けにレースは動く。素早くアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・グリーンエッジ)が反応し、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やロメン・シカール(フランス、ユーロップカー)までもここに合流する。
アップダウンとワインディングを繰り返すコースで15秒ほどのアドバンテージを稼ぎ出した先頭4名。しかしコルドバの街に向かう平坦直線路でタイム差は急速に縮まり、オリカ・グリーンエッジの集団牽引によってバルベルデらの目論みは残り9kmで断たれる。最終的に60名ほどの小集団によるゴールスプリントに持ち込まれた。
連日のアダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)による終盤アタックは届かず、ジャイアント・シマノが主導権を握ってスプリントへ。この日26歳の誕生日を迎えたチャド・ハガ(アメリカ、ジャイアント・シマノ)がリードアウトし、デゲンコルブを発射した。
先に仕掛けたビセンテ・レイネス(スペイン、IAMサイクリング)を段違いのスピードで抜き去り、後続を5mほど引き離したデゲンコルブが両手を挙げる。クライマー揃いの集団の中でデゲンコルブのスピードは飛び抜けていた。
「サウナのような一日で、水分補給が追いつかなかった」と語るデゲンコルブが今大会1勝目。ブエルタではステージ通算6勝目。"登れるスプリンター"としての真骨頂を発揮した。
「ヘント〜ウェベルヘム以降ずっと2位が続いていたので、この勝利で安心するよ。この勝利は、素晴らしい走りをしたバースデーボーイのチャドへの誕生日プレゼントだ」と、今シーズン6勝目を飾ったデゲンコルブは語る。ポイント賞ランキングではトップと同ポイントの2位に浮上した。
マイヨロホを着るマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)も問題なく2級山岳をクリアしたものの、平坦スプリントではデゲンコルブに敵わず3位に。勝利には届かなかったが、ボーナスタイムによって総合リードを広げることに成功している。
この日、ステージ優勝者と同タイムでフィニッシュしたのは59名。8分31秒遅れたユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)や、10分47秒遅れた総合8位のジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)、そして16分55秒遅れたティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)らが総合争いから姿を消した。
選手コメントはレース公式リリースより。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2014第4ステージ結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
2位 ビセンテ・レイネス(スペイン、IAMサイクリング)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
5位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
6位 アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)
7位 ロイド・モンドリー(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
10位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
2位 ビセンテ・レイネス(スペイン、IAMサイクリング)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
5位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)
6位 アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)
7位 ロイド・モンドリー(フランス、AG2Rラモンディアール)
8位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
10位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
4h02'55"
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
6位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、キャノンデール)
8位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
10位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
2位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
4位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、キャノンデール)
6位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)
7位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、キャノンデール)
8位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレックファクトリーレーシング)
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)
10位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
13h30'44"
+08"
+15"
+19"
+21"
+24"
+27"
+22"
+08"
+15"
+19"
+21"
+24"
+27"
+22"
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)
3位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
45pts
45pts
33pts
45pts
33pts
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
2位 ジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)
3位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)
2位 ジェローム・クザン(フランス、ユーロップカー)
3位 ダニーロ・ウィス(スイス、BMCレーシング)
9pts
9pts
6pts
9pts
6pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 ヴァレリオ・コンティ(イタリア、ランプレ・メリダ)
2位 ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
3位 アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
2位 ルイス・マスボネ(スペイン、カハルーラル)
3位 アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
79pts
124pts
125pts
124pts
125pts
チーム総合成績
1位 ベルキン
2位 BMCレーシング
3位 カチューシャ
2位 BMCレーシング
3位 カチューシャ
40h04'29"
+09"
+26"
+09"
+26"
ステージ敢闘賞
アメツ・チュルカ(スペイン、カハルーラル)
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele