2014/06/01(日) - 01:23
オスカル・プジョルの献身的なアシストで総合首位に立ったのは熊野山岳コースを制したフランシスコ・マンセボ。総合は12秒以内に8人の僅差で翌日の最終ステージへ向かう。
千枚田を上るメイン集団 photo:Hideaki TAKAGI
5月31日(土)、ツール・ド・熊野の大勢を決する第2ステージ熊野山岳コースが109.3kmで行なわれた。コースは世界遺産の地、紀伊半島の山岳地帯へ入るもの。丸山千枚田を上り、いったんスタート地点方向へ下り、それから札立峠を越え、丸山千枚田を下り、そして2回目の丸山千枚田を越えた後はゴールまで12kmの下り基調のコース。上りもきついが下りが特にテクニカル。当日は好天に恵まれスリップの心配は少なく名物の路面のコケも少なめ。熊野倶楽部をスタートした選手たちは熊野市内をパレード走行ののち正式スタート。すぐにアタックが始まる。
スタート前のスカイダイブドバイプロサイクリングチームはリラックスムード photo:Hideaki TAKAGI
国道42号をパレード走行 photo:Hideaki TAKAGI
6人が先行
7km地点の新田トンネルへの上りで伸びた前方がまとまって6人の先頭集団を作る。メンバーはジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)、トマス・ラボウ(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)、オスカル・プジョル(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)、寺崎武郎(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、山下貴宏(シエルヴォ奈良サイクリングチーム)。
先頭の6人は1回目の千枚田を越えて札立峠入り口の金山交差点まで逃げる。ホセ・ビセンテ(チーム右京)とダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)の2人が先行する場面も。ここでメイン集団は3人を吸収、集団の先頭は阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が増田成幸(宇都宮ブリッツェン)を牽引して増田が上り口の先頭に立つ。その後清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)がペースを上げ、先行していた寺崎と合流、さらに集団はペースを上げ札立峠中腹で10人強が先行する。
逃げる6人 photo:Hideaki TAKAGI
札立峠中盤の集団。このまま下っていく photo:Hideaki TAKAGI
札立峠でマンセボら13人の先頭集団
いっぽうで序盤から逃げていた6人のうちクロフォードとプジョルの2人がそのまま札立峠KOMを越えて下りへ。下り区間で後続と合流し13人の先頭集団ができる。メンバーはスカイダイブドバイプロサイクリングチームがマンセボとプジョル、チーム右京がホセ・ビセンテとリカルド・ガルシア、OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチームがキャメロン・ベイリーとエリック・シェパード、ドラパックプロフェッショナルサイクリングがクロフォードとラクラン・ノリス、ブリヂストンアンカーサイクリングチームがトマ・ルバとモニエ。
札立峠を先行して上るラクラン・ノリス(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)とオスカル・プジョル(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム) photo:Hideaki TAKAGI
育生GSを過ぎた13人の先頭集団 photo:Hideaki TAKAGI
さらにベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)、中根英登(愛三工業レーシングチーム)と増田で、5チームが2人ずつ揃える。この13人の先頭集団は安定せず、モニエがアタックしてホセ・ビセンテが合流ししばらく逃げるが吸収される。この集団を積極的に引くのはプジョル。そして2回目の千枚田上り。ここでプジョルが脱落する。モニエそしてラボウがペースを上げるとマンセボらが20mほど離れる場面も。
12人の勝負はゴールにもつれ込む
先頭の12人は結局大きな動き無くそのままゴールを目指す。12kmの下り基調の区間では常にアタックがかかる状況。積極的に動くのはモニエ、ベイリー、ノリスら。しかし決定的な差は生まれずゴール前の登坂区間へ。中根が先頭に立つがシェパードが先行、これをマンセボがかわして優勝。同時にリーダージャージも手にした。
千枚田でペースを上げるダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) photo:Hideaki TAKAGI
ラスト4km、3人がリードする photo:Hideaki TAKAGI
例年ならばこのステージは数人が逃げ切る展開だが、今年はやや多目の12人でゴールを迎えた。昨年のNIPPO2人のような大きな力の差はないのが今年。翌日の最終第3ステージは太地町。過去には逆転劇が多く生まれた場所。総合上位8人は12秒差以内の僅差。ボーナスタイム(3秒2秒1秒)のあるホットスポットは2回、ゴールのボーナスタイムは10秒6秒4秒。平坦で強力なドラパックは総合ジャンプアップとステージの両方を狙うだろう。U23賞は1秒差、ポイントは1点差。上位チームそれぞれにボーナスタイムなどの獲得が見どころのステージになる。
フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)が優勝、総合リーダーに photo:Hideaki TAKAGI
結果
第2ステージ 109.3km
1位 フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)3時間03分07秒
2位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)
3位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)
4位 エリック・シェパード(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)
5位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
6位 ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)
7位 中根英登(愛三工業レーシングチーム)
8位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
9位 ラクラン・ノリス(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)
10位 リカルド・ガルシア(チーム右京)+12秒
個人総合成績 第2ステージ終了時点
1位 フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)5時間37分13秒
2位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+05秒
3位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+06秒
4位 中根英登(愛三工業レーシングチーム)+08秒
5位 ラクラン・ノリス(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)+10秒
6位 ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)
7位 エリック・シェパード(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+12秒
8位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
9位 リカルド・ガルシア(チーム右京)+22秒
10位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+24秒
個人総合ポイント成績 第2ステージ終了時点
1位 フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)34点
2位 ワウテル・ウィッパート(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)33点
3位 ウィリアム・クラーク(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)30点
個人総合山岳順位 第2ステージ終了時点
1位 オスカル・プジョル(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)18点
2位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)12点
3位 ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)10点
個人総合U23順位 第2ステージ終了時点
1位 清水太己(日本ナショナルチーム、EQA U23)
チーム総合順位 第2ステージ終了時点
1位 OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム 16時間55分48秒
2位 チーム右京 +11秒
3位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム +2分27秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
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5月31日(土)、ツール・ド・熊野の大勢を決する第2ステージ熊野山岳コースが109.3kmで行なわれた。コースは世界遺産の地、紀伊半島の山岳地帯へ入るもの。丸山千枚田を上り、いったんスタート地点方向へ下り、それから札立峠を越え、丸山千枚田を下り、そして2回目の丸山千枚田を越えた後はゴールまで12kmの下り基調のコース。上りもきついが下りが特にテクニカル。当日は好天に恵まれスリップの心配は少なく名物の路面のコケも少なめ。熊野倶楽部をスタートした選手たちは熊野市内をパレード走行ののち正式スタート。すぐにアタックが始まる。
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6人が先行
7km地点の新田トンネルへの上りで伸びた前方がまとまって6人の先頭集団を作る。メンバーはジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)、トマス・ラボウ(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)、オスカル・プジョル(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)、寺崎武郎(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、山下貴宏(シエルヴォ奈良サイクリングチーム)。
先頭の6人は1回目の千枚田を越えて札立峠入り口の金山交差点まで逃げる。ホセ・ビセンテ(チーム右京)とダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)の2人が先行する場面も。ここでメイン集団は3人を吸収、集団の先頭は阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が増田成幸(宇都宮ブリッツェン)を牽引して増田が上り口の先頭に立つ。その後清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)がペースを上げ、先行していた寺崎と合流、さらに集団はペースを上げ札立峠中腹で10人強が先行する。
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札立峠でマンセボら13人の先頭集団
いっぽうで序盤から逃げていた6人のうちクロフォードとプジョルの2人がそのまま札立峠KOMを越えて下りへ。下り区間で後続と合流し13人の先頭集団ができる。メンバーはスカイダイブドバイプロサイクリングチームがマンセボとプジョル、チーム右京がホセ・ビセンテとリカルド・ガルシア、OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチームがキャメロン・ベイリーとエリック・シェパード、ドラパックプロフェッショナルサイクリングがクロフォードとラクラン・ノリス、ブリヂストンアンカーサイクリングチームがトマ・ルバとモニエ。
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さらにベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)、中根英登(愛三工業レーシングチーム)と増田で、5チームが2人ずつ揃える。この13人の先頭集団は安定せず、モニエがアタックしてホセ・ビセンテが合流ししばらく逃げるが吸収される。この集団を積極的に引くのはプジョル。そして2回目の千枚田上り。ここでプジョルが脱落する。モニエそしてラボウがペースを上げるとマンセボらが20mほど離れる場面も。
12人の勝負はゴールにもつれ込む
先頭の12人は結局大きな動き無くそのままゴールを目指す。12kmの下り基調の区間では常にアタックがかかる状況。積極的に動くのはモニエ、ベイリー、ノリスら。しかし決定的な差は生まれずゴール前の登坂区間へ。中根が先頭に立つがシェパードが先行、これをマンセボがかわして優勝。同時にリーダージャージも手にした。
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例年ならばこのステージは数人が逃げ切る展開だが、今年はやや多目の12人でゴールを迎えた。昨年のNIPPO2人のような大きな力の差はないのが今年。翌日の最終第3ステージは太地町。過去には逆転劇が多く生まれた場所。総合上位8人は12秒差以内の僅差。ボーナスタイム(3秒2秒1秒)のあるホットスポットは2回、ゴールのボーナスタイムは10秒6秒4秒。平坦で強力なドラパックは総合ジャンプアップとステージの両方を狙うだろう。U23賞は1秒差、ポイントは1点差。上位チームそれぞれにボーナスタイムなどの獲得が見どころのステージになる。
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結果
第2ステージ 109.3km
1位 フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)3時間03分07秒
2位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)
3位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)
4位 エリック・シェパード(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)
5位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
6位 ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)
7位 中根英登(愛三工業レーシングチーム)
8位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
9位 ラクラン・ノリス(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)
10位 リカルド・ガルシア(チーム右京)+12秒
個人総合成績 第2ステージ終了時点
1位 フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)5時間37分13秒
2位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+05秒
3位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+06秒
4位 中根英登(愛三工業レーシングチーム)+08秒
5位 ラクラン・ノリス(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)+10秒
6位 ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)
7位 エリック・シェパード(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+12秒
8位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
9位 リカルド・ガルシア(チーム右京)+22秒
10位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+24秒
個人総合ポイント成績 第2ステージ終了時点
1位 フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)34点
2位 ワウテル・ウィッパート(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)33点
3位 ウィリアム・クラーク(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)30点
個人総合山岳順位 第2ステージ終了時点
1位 オスカル・プジョル(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)18点
2位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)12点
3位 ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)10点
個人総合U23順位 第2ステージ終了時点
1位 清水太己(日本ナショナルチーム、EQA U23)
チーム総合順位 第2ステージ終了時点
1位 OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム 16時間55分48秒
2位 チーム右京 +11秒
3位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム +2分27秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
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