2014/06/04(水) - 10:32
連載でお届けするプロバイクレポート。今回は5月17日~25日にかけて開催された、ツアー・オブ・ジャパンを走った海外チームのプロバイクより、タブリーズペトロケミカル、ラファコンドールJLT、ランプレ・メリダ、ドラパック、アヴァンティのバイクを紹介する。
タブリーズペトロケミカル 【KTM REVELATOR MASTER、REVELATOR 3300】
ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン、タブリーズペトロケミカル)のKTM REVELATOR MASTER photo:Yuya.Yamamoto
富士山、伊豆と勝負のかかるステージで圧倒的な力を発揮したタブリーズペトロケミカルは、国内ではモーターサイクルブランドとしての知名度が高いKTMのREVELATORを使用する。ただし、ライダーによってグレードが異なり、総合優勝を飾ったミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン)はセカンドグレードの「MASTER」を、伊豆ステージを制したイランチャンピオンのガデル・ミズバニはエントリーグレードの「3300」を駆った。
コンポーネントは機械式のシマノ9000系デュラエース。ホイールは、登りのキツい富士山や伊豆ではチームのイニシャルが入ったライトウェイトを、平坦基調の東京ではカンパニョーロ BORA2 ULTRAやAIRSTREEEMというオーストラリアンブランドを投入した。タイヤはコンチネンタルだが定番のCOMPETITIONでは無く、下位モデルで耐久性に優れるSPRINTER GATORSKINを使用。低予算での運営を強いられるチームの台所事情が垣間見えるアッセンブルだ。
ハンドルとステムにはリッチーをアッセンブル photo:Yuya.Yamamoto
フレームカラーに合わせて2色のバーテープを使用 photo:Yuya.Yamamoto
機械式のシマノ9000系デュラエースを使用 photo:Yuya.Yamamoto
タイヤは耐久性に優れるコンチネンタル SPRINTER GATORSKIN photo:Yuya.Yamamoto
ハンドル及びステムはリッチーや3Tなど多数のブランドをミックスして使用。ミズバニは73度のステムをチョイスし、ヘッドパーツのトップキャップを取り払うことで理想のハンドル位置を実現していた。シートポストはKTMのオリジナル。サドルはハンドル周りと同様に、特にブランドが決まっているわけでは無く、フィジークや4ZAなど各選手の好みのモデルを使用しているようだ。
ガデル・ミズバニ(イラン、タブリーズペトロケミカル)のKTM REVELATOR 3300 photo:Yuya.Yamamoto
使い込まれた4ZAのサドル photo:Yuya.Yamamoto
ヘッドパーツの一部を取り除きハンドル位置を下げる photo:Yuya.Yamamoto
ラファコンドールJLT 【コンドール Leggero】
ヒュー・カーシー(イギリス、ラファコンドールJLT)のコンドール Leggero photo:Yuya.Yamamoto
ハンドル周りはフィジークで統一 photo:Yuya.Yamamoto
コンポーネントはカンパニョーロRECORD photo:Yuya.Yamamoto
ヒュー・カーシー(イギリス)が山岳賞と新人賞を獲得するなど存在感を見せたラファコンドールJLT。メインスポンサーのラファと同じくイギリス・ロンドンに居を構えるサイクルショップ「Condor」のオリジナルバイクを使用する。今回のTOJ参戦ではピュアレーシングモデルに位置づけられる「Leggero」で統一。このフレームはコンドールがデザインを行い、イタリアのデダチャイが製造を行っている。フロントフォークももちろんデダチャイ製だ。
コンポーネントは機械式のカンパニョーロ RECORDで揃えられ、クランクには2014年の新モデルとして登場したBB30専用モデル「オーバートルク」をアッセンブル。一部のバイクはローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」や、SRMパワーメーター付きのキャノンデール ホログラムSiクランクなど契約外のパーツに置き換えられていた。ホイールもカンパニョーロで、東京ステージでは50mmハイトのBORA ONEをチーム全員が履いていた。タイヤにはコンチネンタルの定番レースモデルCOMPETITIONを組み合わせた。
コンチネンタルチームながら、フィジークからチームカラーのサドルが供給される photo:Yuya.Yamamoto
カンパニョーロ BORA ONEにコンチネンタル COMPETITIONを組み合わせる photo:Yuya.Yamamoto
SRM仕様のキャノンデール ホログラムSiクランクを使用する選手も photo:Yuya.Yamamoto
イタリアのデダチャイが製造を担当する photo:Yuya.Yamamoto
ハンドル、ステム、シートポストはフィジーク CYRANOシリーズで統一される。高身長の選手が多いため、どのバイクもステムが長く、シートポストの突き出し量も大きい。また、カーシーはフィジークの市販ラインナップには存在しない形状のハンドルをロゴ無しで使用した。サドルもフィジークで、コンチネンタルチームながらチームカラーのピンクが入った特別モデルを供給されているようだ。
ランプレ・メリダ 【メリダ REACTO】
ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO photo:Yuya.Yamamoto
TOJ参戦2年目で念願の初ステージ優勝を掴んだランプレ・メリダは、今大会で最も大きな注目を集めたフィリッポ・ポッツァートを始め、来日した全選手がエアロバイクのREACTOを使用した。今回は東京ステージと前座の堺国際クリテリウムで集団スプリントを制したニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア)のバイクをピックアップ。東京ステージのレース終了直後に装着されていたガーミンのサイクルコンピューターには最高出力1415wと表示されていた。
コンポーネントはシマノ9070系デュラエースDi2をメインとし、スプリンタースイッチやダイレクトマウントブレーキ(リアのみ)を組み合わせている。なお、スプリント時にはホイールとブレーキパッドの接触を避けるためにブレーキワイヤーのテンションを開放していた様だ。クランク&チェーンリングはローターのサポートを受けるが、ボニファツィオのバイクには純正のパワーメーター「ROTOR POWER」では無く、社外製のPOWER2 MAXが搭載されていたのが興味深いところ。チェーンリングは真円タイプのno-Qをチョイス。
スプリント時にはリアのブレーキを開放していた様だ photo:Yuya.Yamamoto
Potenza massima(最大出力) photo:Yuya.Yamamoto
デュラエースDi2にPOWER2 MAXのパワーメーターを装着したローター3D+を組み合わせる photo:Yuya.Yamamoto
タイヤはコンチネンタル COMPETITION PROLTD photo:Yuya.Yamamoto
ホイールはフルクラム RACING SPEED XLRで、デカールが昨年のパープルからライトグリーンへと変更されている。組み合わせられるタイヤはコンチネンタル COMPETITION PROLTDの25cだ。ハンドルとステムはFSAで、弱冠20歳と若い選手ながらクラシカルなシャローベンドのハンドルを使用する。サドルは滑り止め素材を座面に配したチームカラーのプロロゴ NAGO EVO nack CPC、ボトルケージは今年に入って使用率が高まっているエリート cannibalのカーボンモデルだ。
ドラパック 【スウィフト ULTRAVOX TI】
ジョーダン・ケルビー(オーストラリア、ドラパック)のスウィフト ULTRAVOX TI photo:Yuya.Yamamoto
堺、美濃とスピードコースで2連勝を果たしたドラパックが使用するのは南アフリカに居を構えるスウィフトのハイエンドレーシングモデル「ULTRAVOX TI」だ。昨今のロードバイクの中にあってはシンプルな造形を持つフレームのメイン素材には東レT800が使用される。特に剛性が必要とされるヘッド周りは三菱レーヨンM40ハイモジュラスと東レT1000が配置されることで強化され、ドラパックのハイパワーなスピードマンにも対応する走行性能を実現している。
コンポーネントはスラム RED22で統一し、Quarkのパワーメーターや純正のチェーンキャッチャーを組み込んでいる。ホイールはスラム傘下のジップだが、シルバーのスポークとチタンカラーのハブを使用する1世代前のモデルをアッセンブル。日本には複数のリムハイトを持込み、コースによってセッティングを変更していた。タイヤはヴィットリアの定番レーシングモデルCORSA CX。ロープロファイルのホイールと組み合わせたことからも推察すると、コースプロファイルに関わらず太さは25cで統一している様だ。
TRAIN(練習して)、EAT(食べて)、SLEEP(寝て)、RACE(レースして) photo:Yuya.Yamamoto
ハンドルまわりはジップで統一。スラムのガーミンマウントを使用 photo:Yuya.Yamamoto
コンポーネントはスラム RED22 photo:Yuya.Yamamoto
ジップのホイールに25mm幅のヴィットリア CORSA CXを組み合わせる photo:Yuya.Yamamoto
ハンドル、ステム、シートポストはホイールと同じくジップで、アルミ製のService Course SLシリーズで統一した。サドルはフィジーク、ボトルとバーテープは堅実なものづくりで定評があるアランデールをアッセンブルしている。
アヴァンティ【アヴァンティ CORSA SL】
ジャック・ベッキンセール(オーストラリア、アヴァンティ)のアヴァンティ CORSA SL photo:Yuya.Yamamoto
昨年はヒューオン・ジェネシスとして活動し、今シーズンからはニュージーランドの総合バイクメーカーがタイトルスポンサーを務めるアヴァンティ。使用するバイクはもちろんアヴァンティで、オールラウンドモデル「CORSA SL」を中心に、選手によってエアロモデル「CORSA DR」と使い分けている。
コンポーネントはシマノ9070系デュラエースDi2で、クランクにはSRMやSTAGES POWERのパワーメーターを使用している。また、リアブレーキがダイレクトマウント式のCorsa SLにアルテグラグレードのキャリパーが装着されたバイクも。足回りはコンポーネントと同じくシマノ9000系デュラエースのホイールに、KENDAのタイヤという組み合わせ。タイヤはサイドウォールにまで摩耗が及んでいた。
ホットスポットとゴールまでの距離が記されたメモ photo:Yuya.Yamamoto
ケンダのタイヤを使用する photo:Yuya.Yamamoto
ボトルケージはブラックバーン。ロングボトルを装着する photo:Yuya.Yamamoto
アルテグラのダイレクトマウントブレーキを使用 photo:Yuya.Yamamoto
ハンドル、ステム、シートポストはイーストンをメインに、ニュージーランドのパーツブランド「ZERO」などを組み合わせている。ボトルケージはブラックバーンで、ヒューオン・ジェネシス時代から引き続きロングボトルを装着する。サイクルコンピューターはガーミンで、ジャック・ベッキンセール(オーストラリア)は何故かアーガイル柄のEdge510ガーミン・シャープモデルを使用していた。
text&photo:Yuya.Yamamoto
タブリーズペトロケミカル 【KTM REVELATOR MASTER、REVELATOR 3300】
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富士山、伊豆と勝負のかかるステージで圧倒的な力を発揮したタブリーズペトロケミカルは、国内ではモーターサイクルブランドとしての知名度が高いKTMのREVELATORを使用する。ただし、ライダーによってグレードが異なり、総合優勝を飾ったミルサマ・ポルセイエディゴラコール(イラン)はセカンドグレードの「MASTER」を、伊豆ステージを制したイランチャンピオンのガデル・ミズバニはエントリーグレードの「3300」を駆った。
コンポーネントは機械式のシマノ9000系デュラエース。ホイールは、登りのキツい富士山や伊豆ではチームのイニシャルが入ったライトウェイトを、平坦基調の東京ではカンパニョーロ BORA2 ULTRAやAIRSTREEEMというオーストラリアンブランドを投入した。タイヤはコンチネンタルだが定番のCOMPETITIONでは無く、下位モデルで耐久性に優れるSPRINTER GATORSKINを使用。低予算での運営を強いられるチームの台所事情が垣間見えるアッセンブルだ。
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ラファコンドールJLT 【コンドール Leggero】
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ヒュー・カーシー(イギリス)が山岳賞と新人賞を獲得するなど存在感を見せたラファコンドールJLT。メインスポンサーのラファと同じくイギリス・ロンドンに居を構えるサイクルショップ「Condor」のオリジナルバイクを使用する。今回のTOJ参戦ではピュアレーシングモデルに位置づけられる「Leggero」で統一。このフレームはコンドールがデザインを行い、イタリアのデダチャイが製造を行っている。フロントフォークももちろんデダチャイ製だ。
コンポーネントは機械式のカンパニョーロ RECORDで揃えられ、クランクには2014年の新モデルとして登場したBB30専用モデル「オーバートルク」をアッセンブル。一部のバイクはローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」や、SRMパワーメーター付きのキャノンデール ホログラムSiクランクなど契約外のパーツに置き換えられていた。ホイールもカンパニョーロで、東京ステージでは50mmハイトのBORA ONEをチーム全員が履いていた。タイヤにはコンチネンタルの定番レースモデルCOMPETITIONを組み合わせた。
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ランプレ・メリダ 【メリダ REACTO】
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コンポーネントはシマノ9070系デュラエースDi2をメインとし、スプリンタースイッチやダイレクトマウントブレーキ(リアのみ)を組み合わせている。なお、スプリント時にはホイールとブレーキパッドの接触を避けるためにブレーキワイヤーのテンションを開放していた様だ。クランク&チェーンリングはローターのサポートを受けるが、ボニファツィオのバイクには純正のパワーメーター「ROTOR POWER」では無く、社外製のPOWER2 MAXが搭載されていたのが興味深いところ。チェーンリングは真円タイプのno-Qをチョイス。
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ドラパック 【スウィフト ULTRAVOX TI】
堺、美濃とスピードコースで2連勝を果たしたドラパックが使用するのは南アフリカに居を構えるスウィフトのハイエンドレーシングモデル「ULTRAVOX TI」だ。昨今のロードバイクの中にあってはシンプルな造形を持つフレームのメイン素材には東レT800が使用される。特に剛性が必要とされるヘッド周りは三菱レーヨンM40ハイモジュラスと東レT1000が配置されることで強化され、ドラパックのハイパワーなスピードマンにも対応する走行性能を実現している。
コンポーネントはスラム RED22で統一し、Quarkのパワーメーターや純正のチェーンキャッチャーを組み込んでいる。ホイールはスラム傘下のジップだが、シルバーのスポークとチタンカラーのハブを使用する1世代前のモデルをアッセンブル。日本には複数のリムハイトを持込み、コースによってセッティングを変更していた。タイヤはヴィットリアの定番レーシングモデルCORSA CX。ロープロファイルのホイールと組み合わせたことからも推察すると、コースプロファイルに関わらず太さは25cで統一している様だ。
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アヴァンティ【アヴァンティ CORSA SL】
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コンポーネントはシマノ9070系デュラエースDi2で、クランクにはSRMやSTAGES POWERのパワーメーターを使用している。また、リアブレーキがダイレクトマウント式のCorsa SLにアルテグラグレードのキャリパーが装着されたバイクも。足回りはコンポーネントと同じくシマノ9000系デュラエースのホイールに、KENDAのタイヤという組み合わせ。タイヤはサイドウォールにまで摩耗が及んでいた。
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text&photo:Yuya.Yamamoto
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