2014/05/25(日) - 02:41
大激戦の伊豆ステージ。なんと1周目から逃げ続けたタブリーズペトロケミカルチームのガデル・ミズバニがステージ優勝、ミルサマ・ポルセイェディゴラコールが個人総合リーダーに。
ツアー・オブ・ジャパンも終盤、累積標高差合計4000mに達する伊豆ステージが、個人総合を決める事実上の最終ステージ。5月24日(土)、日本CSCの内外1周12.2kmを12周する146.4kmでレースが行なわれた。注目は個人総合争いで、全ステージまででトップのグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)からミルサマ・ポルセイェディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)、3位トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)までの3人が22秒差の間にいる混戦。
今まで伊豆ステージの多くは、ここまでで分差がついておりステージ優勝が焦点だったが今年は違う。NIPPO、タブリーズ、アンカーの3チーム個人総合狙い三つ巴の戦いに加えて、ホセ・ビセンテ(チーム右京)の総合ジャンプアップ、ラファコンドールJLTのステージ狙いなど、各チームの思惑が交錯する。
1周目からいきなり逃げが決まった。ラファコンドールJLTらの動きにポルセイェディゴラコールが反応、さらに単独でミズバニが合流し11人の逃げに。2周目に入りミズバニが逃げを強烈に牽引すると先頭は5人に。ミズバニ、ポルセイェディゴラコール、ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)、ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)そして清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)の超強力メンバー。
タブリーズにとって1周目からの逃げは賭けとも思われる走り。このまま逃げ切れば劇的優勝だが、間違えればすべてを失う。カーシーは前日の富士山を2位、まだ19歳の若さ。クロフォードは上りやサバイバルレースに強い。清水はメイン集団のトマ・ルバのために先頭集団を引く必要はない。この集団を引くのはイランナショナルチャンピオンジャージを着るミズバニ。5人いてもその半分以上の時間を引きつづける。差は開き3分から最大5分にまで広がる。
メイン集団は定石どおりにNIPPOが引き、その後方にはランプレ・メリダ、アンカー、ラファ、チーム右京らが続く。NIPPOはアシストをひとりずつ使いながら走るが、先頭との差は開く一方。ついにリーダーのボーレを守るのはピエールパオロ・デネグリひとりに。そのデネグリも先頭を引き続けたあと、7周目に入って先頭から脱落。ボーレも下がり、この瞬間にNIPPOは負けを認めることに。
先頭集団からはクロフォード、そして清水が脱落する。メイン集団を引くのはNIPPOに代わってランプレ。しかしペースを上げたいアンカーがすぐに先頭に立ち、ルバのためにダミアン・モニエがほぼ先頭で10周目まで走り続ける。11周目に入っても先頭とメインの差は4分台。先頭の逃げ切りが見えてくる。ここでアンカーもモニエが下がって総合争いから脱落。メイン集団では次にチーム右京が中心となってペースを上げ差を急速に縮めていく。
先頭の3人はリードを保ったまま最終周回へ。上り区間でミズバニがペースを上げるとカーシーが離れる。しかしその後にタブリーズの2人がコースアウトしそうになり、ここでカーシーは追いつき、そのままゴールへ向かう。ゴール前の上りでミズバニが抜け出して優勝。3位のポルセイェディゴラコールは個人総合リーダーに立つ。
タブリーズ2人の果敢な逃げが成功しレースは今までになく厳しいものに。他チームはその実力を計り損ねたのが要因。イランチームはビザの取得や予算などが厳しく国外のレースに出場しにくい状況のため、力量がお互いに把握しにくい。しかしことポルセイェディゴラコールに関しては今年に出場した、HCクラスのツール・ド・ランカウイとツアー・オブ・チンハイレイク、そしてほぼ手中にした1クラスの本大会と重要なレースに勝つ力を持つ。
昨年よりも15分以上速いレースのため周回遅れが続出。最終的に85人が出走し44人が失格、41人のみが翌日の東京ステージに出場する。もともとTOJでは「先頭の競技者に追い抜かれそうな競技者は失格」「以降のステージに参加することはできない」とされている。過去にはそうした競技者を復活させ、その競技者がステージ優勝することもあった。成績にも影響することであり当初からの定めでもあり、一部のスター選手不在の東京ステージだが妥当な判断だろう。
結果
第5ステージ伊豆
1位 ガデル・ミズバニ(タブリーズペトロケミカルチーム)4時間14分13秒
2位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)+03秒
3位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)
4位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)+2分04秒
5位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+2分08秒
6位 アミール・コラドゥーズハグ(タブリーズペトロケミカルチーム)+2分11秒
7位 ベンジャミン・プラド(マトリックスパワータグ)+2分13秒
8位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+2分46秒
9位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
10位 ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)+2分56秒
個人総合成績 第5ステージ終了時点
1位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)12時間42分47秒
2位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)+1分57秒
3位 ガデル・ミズバニ(タブリーズペトロケミカルチーム)+3分48秒
4位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+4分19秒
5位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+5分13秒
6位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)+5分48秒
7位 アミール・コラドゥーズハグ(タブリーズペトロケミカルチーム)+5分54秒
8位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+6分59秒
9位 ベンジャミン・プラド(マトリックスパワータグ)+7分28秒
10位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+8分32秒
個人総合ポイント賞 第5ステージ終了時点
1位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)44点
2位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)39点
3位 ガデル・ミズバニ(タブリーズペトロケミカルチーム)31点
個人総合山岳賞 第5ステージ終了時点
1位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)32点
2位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)27点
3位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)15点
個人総合新人賞 第5ステージ終了時点
1位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)
チーム総合成績 第5ステージ終了時点
1位 タブリーズペトロケミカルチーム 38時間18分17秒
2位 チーム右京 +19分25秒
3位 ラファコンドールJLT +21分08秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
ツアー・オブ・ジャパンも終盤、累積標高差合計4000mに達する伊豆ステージが、個人総合を決める事実上の最終ステージ。5月24日(土)、日本CSCの内外1周12.2kmを12周する146.4kmでレースが行なわれた。注目は個人総合争いで、全ステージまででトップのグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)からミルサマ・ポルセイェディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)、3位トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)までの3人が22秒差の間にいる混戦。
今まで伊豆ステージの多くは、ここまでで分差がついておりステージ優勝が焦点だったが今年は違う。NIPPO、タブリーズ、アンカーの3チーム個人総合狙い三つ巴の戦いに加えて、ホセ・ビセンテ(チーム右京)の総合ジャンプアップ、ラファコンドールJLTのステージ狙いなど、各チームの思惑が交錯する。
1周目からいきなり逃げが決まった。ラファコンドールJLTらの動きにポルセイェディゴラコールが反応、さらに単独でミズバニが合流し11人の逃げに。2周目に入りミズバニが逃げを強烈に牽引すると先頭は5人に。ミズバニ、ポルセイェディゴラコール、ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)、ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)そして清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)の超強力メンバー。
タブリーズにとって1周目からの逃げは賭けとも思われる走り。このまま逃げ切れば劇的優勝だが、間違えればすべてを失う。カーシーは前日の富士山を2位、まだ19歳の若さ。クロフォードは上りやサバイバルレースに強い。清水はメイン集団のトマ・ルバのために先頭集団を引く必要はない。この集団を引くのはイランナショナルチャンピオンジャージを着るミズバニ。5人いてもその半分以上の時間を引きつづける。差は開き3分から最大5分にまで広がる。
メイン集団は定石どおりにNIPPOが引き、その後方にはランプレ・メリダ、アンカー、ラファ、チーム右京らが続く。NIPPOはアシストをひとりずつ使いながら走るが、先頭との差は開く一方。ついにリーダーのボーレを守るのはピエールパオロ・デネグリひとりに。そのデネグリも先頭を引き続けたあと、7周目に入って先頭から脱落。ボーレも下がり、この瞬間にNIPPOは負けを認めることに。
先頭集団からはクロフォード、そして清水が脱落する。メイン集団を引くのはNIPPOに代わってランプレ。しかしペースを上げたいアンカーがすぐに先頭に立ち、ルバのためにダミアン・モニエがほぼ先頭で10周目まで走り続ける。11周目に入っても先頭とメインの差は4分台。先頭の逃げ切りが見えてくる。ここでアンカーもモニエが下がって総合争いから脱落。メイン集団では次にチーム右京が中心となってペースを上げ差を急速に縮めていく。
先頭の3人はリードを保ったまま最終周回へ。上り区間でミズバニがペースを上げるとカーシーが離れる。しかしその後にタブリーズの2人がコースアウトしそうになり、ここでカーシーは追いつき、そのままゴールへ向かう。ゴール前の上りでミズバニが抜け出して優勝。3位のポルセイェディゴラコールは個人総合リーダーに立つ。
タブリーズ2人の果敢な逃げが成功しレースは今までになく厳しいものに。他チームはその実力を計り損ねたのが要因。イランチームはビザの取得や予算などが厳しく国外のレースに出場しにくい状況のため、力量がお互いに把握しにくい。しかしことポルセイェディゴラコールに関しては今年に出場した、HCクラスのツール・ド・ランカウイとツアー・オブ・チンハイレイク、そしてほぼ手中にした1クラスの本大会と重要なレースに勝つ力を持つ。
昨年よりも15分以上速いレースのため周回遅れが続出。最終的に85人が出走し44人が失格、41人のみが翌日の東京ステージに出場する。もともとTOJでは「先頭の競技者に追い抜かれそうな競技者は失格」「以降のステージに参加することはできない」とされている。過去にはそうした競技者を復活させ、その競技者がステージ優勝することもあった。成績にも影響することであり当初からの定めでもあり、一部のスター選手不在の東京ステージだが妥当な判断だろう。
結果
第5ステージ伊豆
1位 ガデル・ミズバニ(タブリーズペトロケミカルチーム)4時間14分13秒
2位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)+03秒
3位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)
4位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)+2分04秒
5位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+2分08秒
6位 アミール・コラドゥーズハグ(タブリーズペトロケミカルチーム)+2分11秒
7位 ベンジャミン・プラド(マトリックスパワータグ)+2分13秒
8位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+2分46秒
9位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
10位 ジャイ・クロフォード(ドラパックプロフェッショナルサイクリング)+2分56秒
個人総合成績 第5ステージ終了時点
1位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)12時間42分47秒
2位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)+1分57秒
3位 ガデル・ミズバニ(タブリーズペトロケミカルチーム)+3分48秒
4位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+4分19秒
5位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+5分13秒
6位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)+5分48秒
7位 アミール・コラドゥーズハグ(タブリーズペトロケミカルチーム)+5分54秒
8位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+6分59秒
9位 ベンジャミン・プラド(マトリックスパワータグ)+7分28秒
10位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)+8分32秒
個人総合ポイント賞 第5ステージ終了時点
1位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)44点
2位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)39点
3位 ガデル・ミズバニ(タブリーズペトロケミカルチーム)31点
個人総合山岳賞 第5ステージ終了時点
1位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)32点
2位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)27点
3位 アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)15点
個人総合新人賞 第5ステージ終了時点
1位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)
チーム総合成績 第5ステージ終了時点
1位 タブリーズペトロケミカルチーム 38時間18分17秒
2位 チーム右京 +19分25秒
3位 ラファコンドールJLT +21分08秒
photo&text:Hideaki TAKAGI
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