2014/05/21(水) - 05:35
残り700mの右コーナーでスプリンターが相次いで落車。サルソマッジョーレ・テルメのフィニッシュラインに先頭で飛び込んできたのは真っ赤なマリアロッサを着るナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)だった。
休息日明けのジロ第10ステージは、フェラーリのお膝元モデナを発ち、広大なロンバルディア平原を駆け抜ける一日。スタートからひたすら起伏のない平坦路が続くため、レース主催者によるステージの格付けは一つ星だ。
しかしすんなりと平坦な道を選んでサルソマッジョーレ・テルメにフィニッシュしないのが何ともジロらしい。残り10kmを切ってから、勾配の緩い標高差100mほどの小さな丘を越える。単純な平坦ステージと侮るなかれ、総合狙いの選手たちは高速化するレースとテクニカルな下り、そして危険なゴール前の連続コーナーに警戒しなければならない。
レースは絵に描いたような平坦ステージらしい展開を見せる。モデナの街をパレード後、アクチャルスタートが切られるとすぐにマルコ・バンディエラ(イタリア、アンドローニジョカトリ)とアンドレア・フェーディ(イタリア、ネーリソットリ)がアタック。UCIプロコンチネンタルチームに所属するイタリア人2名による逃げがすんなりと決まった。
タイム差はすぐに8分30秒まで広がり、これをスプリンターチームが追う展開に。60km地点の中間スプリントマリアロッサを懸けた闘い(ヴィヴィアーニが先着)が繰り広げられたものの、その他にサプライズは起こらず、スプリンターチームが淡々とタイム差を縮める作業をこなしていった。
FDJ.frとジャイアント・シマノを中心にした追撃によって、残り50km地点でタイム差は3分に。残り25kmを切ってから発生した落車によってヤニック・エイセン(ベルギー、BMCレーシング)がリタイア。マリアローザのカデル・エヴァンス(オーストラリア)は貴重なアシストを一人失ってしまった。
オメガファーマ・クイックステップとトレックファクトリーレーシングがコントロールに合流するとさらに集団の勢いは増し、残り9kmで逃げは吸収、グルッポコンパット。ゴール手前の丘が迫ると、ダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)がペースアップを開始した。
スプリンターを振るい落としたいチームスカイのペースアップによって縦に長く伸びるメイン集団。フィニッシュラインまでおよそ残り6.5kmを残した丘の頂上手前でニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)がアタックを仕掛けたが、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)がこれを封じ込める。
テクニカルな下りを終えて、スプリントに向けて平坦路で主導権を握ったのはトレックファクトリーレーシング。別府史之も集団前方でジャコモ・ニッツォロ(イタリア)のために位置取りをする。
残り2kmを切ってFDJ.frやジャイアント・シマノが先頭に立ち、ポジション争いながらロータリーやコーナーを抜けていく。すると残り700mの最終コーナーで7番手を走っていたタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が落車。集団前方での落車に、後続の選手が次々に突っ込んだ。
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)を含めた多くの選手が落車する中、落車を避けた10名ほどが先行してスプリントが始まる。好位置からジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)が発進すると、マリアロッサのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)がすぐさま反応した。
最短ラインを突き進んだニッツォロをブアニが追い上げる展開に。「ロングスプリントだったので、最後の最後で失速してしまった」というニッツォロを、ブアニが抜き去った。
この日からショーツまで赤色で揃えたマリアロッサのブアニがステージ3勝目。マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が早々にリタイアしたジロで、スプリント3戦3勝の活躍を見せている。
「登りで少しポジションを落としたものの、何とか20番手あたりで丘を越えたんだ。そこからはセバスティアン・シャヴァネルに連れられてポジションを上げて、朝のミーティング通り5番手以内で最終コーナーを抜けた。このチームで走っていることを誇りに思う」と、表彰台で三本指を見せたブアニ。ポイント賞争いでも首位を快走している。
マリアローザのエヴァンスは最終コーナーで発生した落車を避け、ステージ9位でフィニッシュ。別府史之(トレックファクトリーレーシング)は落車で足止めを食らって79位。新城幸也(ユーロップカー)は3分22秒遅れの140位で第10ステージを終えている。
ジロ・デ・イタリア2014第10ステージ結果
マリアローザ 個人総合成績
マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text&photo:Kei Tsuji in Salsomaggiore Terme, Italy
休息日明けのジロ第10ステージは、フェラーリのお膝元モデナを発ち、広大なロンバルディア平原を駆け抜ける一日。スタートからひたすら起伏のない平坦路が続くため、レース主催者によるステージの格付けは一つ星だ。
しかしすんなりと平坦な道を選んでサルソマッジョーレ・テルメにフィニッシュしないのが何ともジロらしい。残り10kmを切ってから、勾配の緩い標高差100mほどの小さな丘を越える。単純な平坦ステージと侮るなかれ、総合狙いの選手たちは高速化するレースとテクニカルな下り、そして危険なゴール前の連続コーナーに警戒しなければならない。
レースは絵に描いたような平坦ステージらしい展開を見せる。モデナの街をパレード後、アクチャルスタートが切られるとすぐにマルコ・バンディエラ(イタリア、アンドローニジョカトリ)とアンドレア・フェーディ(イタリア、ネーリソットリ)がアタック。UCIプロコンチネンタルチームに所属するイタリア人2名による逃げがすんなりと決まった。
タイム差はすぐに8分30秒まで広がり、これをスプリンターチームが追う展開に。60km地点の中間スプリントマリアロッサを懸けた闘い(ヴィヴィアーニが先着)が繰り広げられたものの、その他にサプライズは起こらず、スプリンターチームが淡々とタイム差を縮める作業をこなしていった。
FDJ.frとジャイアント・シマノを中心にした追撃によって、残り50km地点でタイム差は3分に。残り25kmを切ってから発生した落車によってヤニック・エイセン(ベルギー、BMCレーシング)がリタイア。マリアローザのカデル・エヴァンス(オーストラリア)は貴重なアシストを一人失ってしまった。
オメガファーマ・クイックステップとトレックファクトリーレーシングがコントロールに合流するとさらに集団の勢いは増し、残り9kmで逃げは吸収、グルッポコンパット。ゴール手前の丘が迫ると、ダリオ・カタルド(イタリア、チームスカイ)がペースアップを開始した。
スプリンターを振るい落としたいチームスカイのペースアップによって縦に長く伸びるメイン集団。フィニッシュラインまでおよそ残り6.5kmを残した丘の頂上手前でニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)がアタックを仕掛けたが、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、チームスカイ)がこれを封じ込める。
テクニカルな下りを終えて、スプリントに向けて平坦路で主導権を握ったのはトレックファクトリーレーシング。別府史之も集団前方でジャコモ・ニッツォロ(イタリア)のために位置取りをする。
残り2kmを切ってFDJ.frやジャイアント・シマノが先頭に立ち、ポジション争いながらロータリーやコーナーを抜けていく。すると残り700mの最終コーナーで7番手を走っていたタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)が落車。集団前方での落車に、後続の選手が次々に突っ込んだ。
エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)を含めた多くの選手が落車する中、落車を避けた10名ほどが先行してスプリントが始まる。好位置からジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)が発進すると、マリアロッサのナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)がすぐさま反応した。
最短ラインを突き進んだニッツォロをブアニが追い上げる展開に。「ロングスプリントだったので、最後の最後で失速してしまった」というニッツォロを、ブアニが抜き去った。
この日からショーツまで赤色で揃えたマリアロッサのブアニがステージ3勝目。マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)が早々にリタイアしたジロで、スプリント3戦3勝の活躍を見せている。
「登りで少しポジションを落としたものの、何とか20番手あたりで丘を越えたんだ。そこからはセバスティアン・シャヴァネルに連れられてポジションを上げて、朝のミーティング通り5番手以内で最終コーナーを抜けた。このチームで走っていることを誇りに思う」と、表彰台で三本指を見せたブアニ。ポイント賞争いでも首位を快走している。
マリアローザのエヴァンスは最終コーナーで発生した落車を避け、ステージ9位でフィニッシュ。別府史之(トレックファクトリーレーシング)は落車で足止めを食らって79位。新城幸也(ユーロップカー)は3分22秒遅れの140位で第10ステージを終えている。
ジロ・デ・イタリア2014第10ステージ結果
1位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSF)
6位 ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)
7位 アルバート・ティマー(オランダ、ジャイアント・シマノ)
8位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
9位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
10位 マウロ・フィネット(イタリア、ネーリソットリ)
79位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
140位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
2位 ジャコモ・ニッツォロ(イタリア、トレックファクトリーレーシング)
3位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
4位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 エンリーコ・バッタリーン(イタリア、バルディアーニCSF)
6位 ウラディミール・グセフ(ロシア、カチューシャ)
7位 アルバート・ティマー(オランダ、ジャイアント・シマノ)
8位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
9位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
10位 マウロ・フィネット(イタリア、ネーリソットリ)
79位 別府史之(日本、トレックファクトリーレーシング)
140位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
4h01'13"
+3'22"
+3'22"
マリアローザ 個人総合成績
1位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
5位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
7位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
2位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
5位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシング)
6位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
7位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ベルキン)
9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、トレックファクトリーレーシング)
42h50'47"
+57"
+1'10"
+1'20"
+1'31"
+1'39"
+1'43"
+1'44"
+1'45"
+1'49"
+57"
+1'10"
+1'20"
+1'31"
+1'39"
+1'43"
+1'44"
+1'45"
+1'49"
マリアロッサ ポイント賞
ナセル・ブアニ(フランス、FDJ.fr)
マリアアッズーラ 山岳賞
ジュリアン・アレドンド(コロンビア、トレックファクトリーレーシング)
マリアビアンカ ヤングライダー賞
ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text&photo:Kei Tsuji in Salsomaggiore Terme, Italy
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