2014/05/04(日) - 18:02
ワールドツアーとしては珍しい周回コースが舞台となったツール・ド・ロマンディ第4ステージ。3人による逃げ集団スプリントでヴォクレールとバケランツを下したミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)が地元レースでハットトリックを達成した。
総合優勝を決定づける大会唯一の難関山岳ステージと個人タイムトライアルに挟まれたツール・ド・ロマンディ第4ステージ。昨日に続き、分厚い雲が空を覆い、選手たちはウォーマー類を装着してレースに臨むという寒空のコンディションの中、UCIワールドツアーのレースとしては珍しく周回コースを舞台に開催され、1周29kmを6周する174kmで争われた。
アップダウンこそあるものの、29kmの中に設定されたカテゴリー山岳は3級が1つのみ(山岳賞周回は4、5、6周目)。総合系の選手にとっては翌日に向けた回復日であり、マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)らによる集団スプリントで勝負が決すると予想されていた。なお、第1ステージの個人タイムトライアルを制したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)が未出走を決めた。
この日逃げを決めたのはここまでステージ2勝のアルバジーニ、トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、ジャンマルク・マリノ(フランス、キャノンデール)、アレクシ・ヴュイエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアール)という強力5名。
10km過ぎに形成されたこの逃げは急速にメイン集団とのタイム差を拡大し、18km地点では3分31秒差に。この後、誘導ミスによって先頭5名はコースをショートカットしてしまったため、ニュートラルによって1分半の足止めを余儀なくされる。しかしながら、この後もタイム差は順調を拡大し50km地点で6分15秒差とした。
後続をコントロールしたのはスプリンターを抱える3チーム。キッテル擁するジャイアント・シマノ、ロベルト・フェラーリ(イタリア)擁するランプレ・メリダと、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)擁するトレックファクトリーレーシングが強力な5人の先頭集団を逃がすまいとメイン集団を牽引した。
3チームの追走により順調にタイム差を縮めつつあったメイン集団だが、残り16.8km地点の山岳ポイント手前からティンコフ・サクソが集団先頭に踊り出るとそのままペースアップ。横風を利用して集団の分裂を図るも、この作戦は失敗に終わる。加えて、組織的にメイン集団を牽引するチームが無くなり、先頭5名は1分半以上のタイム差を持って残り15kmに入る。
先頭集団が動いたのは残り10.2km地点の登り区間でのこと。バケランツがペースを上げるとマリノ、ヴュイエルモーズの順に脱落。一方でメイン集団はペースが上がらず、先頭の逃げ切りが濃厚に。ツール・ド・フランスで逃げ切り優勝を飾った経験を持つヴォクレールとバケランツに加え、今大会ステージ2勝のアルバジーニという強力な3人に勝負は絞られた。
アルバジーニとのスプリント勝負を回避したいヴォクレールとバケランツはチャンスを伺うものの次の一手が出ず。残り1kmを切るとバケランツが仕掛けるも、先頭のアルバジーニが難なく対応。そのままアルバジーニ、ヴォクレール、バケランツの順で200mからスプリントを開始する。
コースの両サイドにスイス国旗がはためく中、アルバジーニがそのまま先頭でゴールに飛び込み、今大会3勝目をマークした。「実は今朝のミーティングで”今日は逃げ集団が勝つんじゃないか”とチームメイトと話していたんだ」と語るアルバジーニ。予想通りの勝利となったが、地元レースでのハットトリック達成には驚きを隠せない。
「本当に信じられない。素晴らしい勝利だ。昨日のステージでとても疲れていたし、背中の調子もよくなかった。でも、うまく逃げに乗れたからにはチャンスを生かさない手は無かった。加えて、このレース後から休暇に入るから、その前に全力を尽くそうと考えていた。終盤にかけては調子が良くなってきて、結果的に勝利することができたんだ。」(アルバジーニ)
アルバジーニら3人を捉えきれなかった後続集団はダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、AG2R)を先頭に9秒差でゴールに飛び込んだ。残り7kmを手前にトニ・マルティン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らを含む集団落車が発生するも、個人総合順位に変動はなかった。
最終日となる翌第5ステージは高低差200mの登りを含む18.5kmの個人タイムトライアル。現在首位に1秒差に2位につけるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が大本命だが、これまで何度も最終個人タイムトライアルで逆転が起こっており、総合争いの行方は最後まで分からない。
ツール・ド・ロマンディ2014第4ステージ結果
個人総合順位
山岳賞
ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)
ポイント賞
マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
新人賞
ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
チーム総合成績
モビスター
text:Yuya.Yamamoto
photo:Tim de Waele
総合優勝を決定づける大会唯一の難関山岳ステージと個人タイムトライアルに挟まれたツール・ド・ロマンディ第4ステージ。昨日に続き、分厚い雲が空を覆い、選手たちはウォーマー類を装着してレースに臨むという寒空のコンディションの中、UCIワールドツアーのレースとしては珍しく周回コースを舞台に開催され、1周29kmを6周する174kmで争われた。
アップダウンこそあるものの、29kmの中に設定されたカテゴリー山岳は3級が1つのみ(山岳賞周回は4、5、6周目)。総合系の選手にとっては翌日に向けた回復日であり、マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)らによる集団スプリントで勝負が決すると予想されていた。なお、第1ステージの個人タイムトライアルを制したミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)が未出走を決めた。
この日逃げを決めたのはここまでステージ2勝のアルバジーニ、トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)、ジャンマルク・マリノ(フランス、キャノンデール)、アレクシ・ヴュイエルモーズ(フランス、AG2Rラモンディアール)という強力5名。
10km過ぎに形成されたこの逃げは急速にメイン集団とのタイム差を拡大し、18km地点では3分31秒差に。この後、誘導ミスによって先頭5名はコースをショートカットしてしまったため、ニュートラルによって1分半の足止めを余儀なくされる。しかしながら、この後もタイム差は順調を拡大し50km地点で6分15秒差とした。
後続をコントロールしたのはスプリンターを抱える3チーム。キッテル擁するジャイアント・シマノ、ロベルト・フェラーリ(イタリア)擁するランプレ・メリダと、ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア)擁するトレックファクトリーレーシングが強力な5人の先頭集団を逃がすまいとメイン集団を牽引した。
3チームの追走により順調にタイム差を縮めつつあったメイン集団だが、残り16.8km地点の山岳ポイント手前からティンコフ・サクソが集団先頭に踊り出るとそのままペースアップ。横風を利用して集団の分裂を図るも、この作戦は失敗に終わる。加えて、組織的にメイン集団を牽引するチームが無くなり、先頭5名は1分半以上のタイム差を持って残り15kmに入る。
先頭集団が動いたのは残り10.2km地点の登り区間でのこと。バケランツがペースを上げるとマリノ、ヴュイエルモーズの順に脱落。一方でメイン集団はペースが上がらず、先頭の逃げ切りが濃厚に。ツール・ド・フランスで逃げ切り優勝を飾った経験を持つヴォクレールとバケランツに加え、今大会ステージ2勝のアルバジーニという強力な3人に勝負は絞られた。
アルバジーニとのスプリント勝負を回避したいヴォクレールとバケランツはチャンスを伺うものの次の一手が出ず。残り1kmを切るとバケランツが仕掛けるも、先頭のアルバジーニが難なく対応。そのままアルバジーニ、ヴォクレール、バケランツの順で200mからスプリントを開始する。
コースの両サイドにスイス国旗がはためく中、アルバジーニがそのまま先頭でゴールに飛び込み、今大会3勝目をマークした。「実は今朝のミーティングで”今日は逃げ集団が勝つんじゃないか”とチームメイトと話していたんだ」と語るアルバジーニ。予想通りの勝利となったが、地元レースでのハットトリック達成には驚きを隠せない。
「本当に信じられない。素晴らしい勝利だ。昨日のステージでとても疲れていたし、背中の調子もよくなかった。でも、うまく逃げに乗れたからにはチャンスを生かさない手は無かった。加えて、このレース後から休暇に入るから、その前に全力を尽くそうと考えていた。終盤にかけては調子が良くなってきて、結果的に勝利することができたんだ。」(アルバジーニ)
アルバジーニら3人を捉えきれなかった後続集団はダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、AG2R)を先頭に9秒差でゴールに飛び込んだ。残り7kmを手前にトニ・マルティン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)らを含む集団落車が発生するも、個人総合順位に変動はなかった。
最終日となる翌第5ステージは高低差200mの登りを含む18.5kmの個人タイムトライアル。現在首位に1秒差に2位につけるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)が大本命だが、これまで何度も最終個人タイムトライアルで逆転が起こっており、総合争いの行方は最後まで分からない。
ツール・ド・ロマンディ2014第4ステージ結果
1位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)
2位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
3位 ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、AG2R)
5位 アントニー・ルー(フランス、FDJ.fr)
6位 オスカル・ガット(イタリア、キャノンデール)
7位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)
8位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)
9位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 トニ・ウレル(フランス、ユーロップカー)
2位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
3位 ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、AG2R)
5位 アントニー・ルー(フランス、FDJ.fr)
6位 オスカル・ガット(イタリア、キャノンデール)
7位 ラムナス・ナヴァルダスカス(リトアニア、ガーミン・シャープ)
8位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、ジャイアント・シマノ)
9位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、ランプレ・メリダ)
10位 トニ・ウレル(フランス、ユーロップカー)
4h14'21"
+09″
+09″
個人総合順位
1位 サイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
4位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
6位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
9位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
4位 ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
5位 マティアス・フランク(スイス、IAMサイクリング)
6位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
9位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
10位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)
15h53'55"
+01"
+1'02"
+1'06"
+1'10"
+1'13"
+1'14"
+1'40"
+1'48"
+1'50"
+01"
+1'02"
+1'06"
+1'10"
+1'13"
+1'14"
+1'40"
+1'48"
+1'50"
山岳賞
ヨハン・チョップ(スイス、IAMサイクリング)
ポイント賞
マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
新人賞
ヘスス・ヘラーダ(スペイン、モビスター)
チーム総合成績
モビスター
text:Yuya.Yamamoto
photo:Tim de Waele
Amazon.co.jp